企業連携メモリ・ソリューションを提案する
 

 半導体産業の現状
      
■ 日本半導体復権の予兆
 80年代にDRAM分野で世界トップとなった我が国半導体産業は、90年代の半導体不況、01年のITバブル崩壊、米国や韓国メーカとの価格競争から、半導体産業再編がおこるなど伸び悩んでいたが、03年前半から携帯電話、デジタルカメラ、DVDレコーダー、ゲーム機などデジタル景気の追い風を受け、再び息を吹き返そうとしている。

      
■ 撤退寸前の事業を売上1,000億円の事業に成長
 今、世界の全半導体の2割が携帯電話向けに開発されている。三菱電機(株)のメモリ事業統括部システムメモリ第一部長時代、基板に実装されている複数の機能の異なるメモリーチップを積み重ねて小さく一つにまとめるMCP(マルチ・チップ・パッケージ)技術を開発し、撤退寸前に追い込まれていた携帯電話機向け不揮発性メモリ事業を年間売上1,000億円・業界トップのビジネスに育て上げた立役者として知られている。


 企業連携型メモリ・ソリューションの提案
      
 携帯電話機やデジタル家電の小型化を左右する半導体パッケージ技術。自社の半導体チップで構成しようとする大手メーカの事業戦略に限界を感じた中島社長は「半導体をもっと自由に高度に使いこなしたい」というお客様の声に応えるため独立を決意した。「最高に価値ある製品・サービスを企業連携(クラスタリング)で実現する会社」、それが(株)GENUSION誕生の原点になったという。どこの半導体メーカの系列にも属さず工場を持たない開発型ファブレス企業として、チップメーカとセットメーカの間に立って、企業連携型メモリ・ソリューションを提案している。

      
■ 創業チームの七人の侍
 創業チーム7名は全員40歳代、三菱電機や日立製作所の半導体事業部の部課長出身者。半導体メモリデバイス技術分野、半導体メモリ設計・MCP設計分野で、世界トップ級の技術者が集い、マーケティング分野でも業界トップの実力者が集う"ミニチュアの大企業"である。七人の侍の融合効果は遺憾なく発揮されて大企業では出来ない開発力が生まれている。中島社長が前職で開拓したMCPの技術は、携帯機器向けの半導体メモリ製品では不可欠なものとなっている。豊富な経験とこれまで築き上げてきた世界的ネットワークを武器に世界のメモリ市場をリードしたいという。


 新事業開拓助成金が導火線に! 
      
 新事業開拓助成金は、中島社長が会社を辞めて僅か2週間後に申請したものであった。事業が認定されて自分達の事業に自信をもち、体外的にも信頼を得ることにも役立ち、銀行のプロパー借入も可能になった。公的機関や金融機関の助成金を受けやすくなり資金調達に役立っているという。今までに国、兵庫県、財団、銀行から事業認定を受け助成金の交付を受けることができた。「事業推進ロケットの導火線に火を付けたのがこの開拓助成金でした。」と中島社長は語る。

      
■ 東京中小企業投資育成(株)から出資!
 05年10月、東京中小企業投資育成(株)及び東京投資育成4号投資事業有限責任組合からそれぞれ1億2千万円、合計2億4千万円の出資をうけている。ロケットの三段目が点火されたという。ベンチャーキャピタル20数社から出資のオファーがあったが、東京中小企業投資育成(株)に決めた理由は、半導体産業再編の中でGENUSIONの果たすべき役割を一番理解してくれ、担当者の半導体産業を分かろうとする意欲が一番強かったからだという。


 優秀な技術者を招ける会社に!
      
 80、90年代に大手電機メーカに入社した工科系の優秀な人達は、半導体事業のDRAMに集まっているが、半導体再編のなかで行き場がなくなり会社を辞めて外資系企業に吸い取られているという。そんな我が国の優秀な技術者が集まればどんなことでもできる。「創造的事業力を持つ我が国初のファブレス・メモリメーカーになること」をミッションに掲げるGENUSION。行き場のない優秀な技術者の受け皿として、技術者が喜んで自分の技術の発揮しどころとして選択出来るような会社にしたいと中島社長はいう。
 昨年、東京中小企業投資育成(株)から出資を受ける前、社員にストックオプションを出しインセンティブがはたらくようにしたという。優秀な技術者とファブレスでメモリをベースとした新しい事業を日本に興していく。そのアウトプットとして新しい半導体メモリの事業分野を作ることができるならば、そこにGENUSIONの存在感があるのではないか。「その土台づくりの基礎が新事業開拓助成金であった」と中島社長は語った。






地球環境を汚染し搾取する流れから守り育てる流れに変える
 


 光触媒とは
      
■ 光触媒の優れた効果
 光触媒は60年代後半に本多健一、藤嶋昭両氏により見出され、ホンダ—フジシマ効果として、世界中で注目を集めた日本発の先端技術である。化石燃料を用いず太陽光を利用し、消臭効果、抗菌効果、有害化学物質分解効果等が得られる環境に優しい技術である。有機物である繊維に有機物を分解してしまう光触媒を如何に固定するか。この困難な課題に挑戦して最新の触媒技術と新しい発想のバインダー技術を融合させた光触媒加工液『ガイアクリーン』を開発した企業が(株)ガイアである。ガイアは優れた活性を持つ二酸化チタンを光触媒の加工液として使用し、光触媒の優れた特性を阻害することなく、繊維の風合いを損なわず光触媒を固定させることに成功させた。大手アパレルメーカ、テキスタイルメーカにも採用され、高い実用性能が認められている。二酸化チタンに紫外線や蛍光灯の光があたり、光触媒反応が起き、二酸化チタンに付着した有機物が酸化分解され、消臭、抗菌、防汚、VOC対策等の効果が得られるという。光触媒は様々な環境問題を解決する可能性を秘めている。

「ガイアクリーン」の効果
消臭効果 VOC(揮発性有機化合物)、たばこ、生ごみ、ペット臭など生活空間で発生する悪臭(アンモニア・酢酸・トリメチルアミン・メチルメルカプタンなど)を分子レベルで分解。
殺菌効果 活性酸素の強力な酸化力により、細菌(大腸菌・MRSA・黄色ブドウ球菌・緑濃菌など)やカビなどを分解。
 ・細菌、ウイルスを分解し、無害化。
 ・原因物質が未解明のものにも対策可。(例;SARS)
 ・菌の屍骸、毒素(例;O157のベロ毒素)も分解。
 ・耐性菌を生み出さない。
汚れ軽減効果 壁などに付くタバコのヤニを分解する力があり、汚れを軽減。
シックハウス有害化学物質対策 新築住宅やリフォーム直後の住宅の建材や内装材から発生してくる化学物質(ホルムアルデヒドなど)を分子レベルで分解するので化学物質過敏症などのシックハウス対策となる。
その他 防汚(セルフクリーニング)、水質浄化、ダイオキシンの無害化など


 事業のスタート
      
■ なぜ光触媒だったのか
 光触媒を手掛けることになった経緯について、田畑社長は「21世紀は"エネルギー、バイオ、IT、環境"が注目される時代になるだろう。その中でも環境問題は避けては通れない時代になる。だからビジネスが成り立つのではないか。」と思い、「快適で安全な生活を提供するため、絶対に必要な技術としてなくてはならないものになるだろう。」と捉えたという。これが"光触媒"挑戦の始まりであったという。「快適と安全を両立させるものとして光触媒がなくてはならないものであることが世の中に正しく認知され、消費者にキチンと広がるような結果を創れる一端を担いたい。」この想いは事業をスタートさせて一段と強くなったという。

      
■ 事業認定で全国展開が可能に!
 助成金を受けた事業は、商品化した光触媒加工液「ガイアクリーン」の販売ネットワークを全国のクリーニング店に広げるためのものであった。資本金もなくなり一番苦しい時の助成金であったという。全国展開のための説明会にかかる旅費、チラシ作成、製品の抗菌・防臭試験の費用に活用したという。タイミング良く適切な時期にやらなければならないことが出来たことから、他社に先行して北海道から九州まで主要なクリーニング店を押さえ、助成金で全国展開の仕掛けをつくることができた。今年はいよいよその成果が出てくる頃だという。またネットワーク化が出来たことで銀行借入も可能な段階となった。

      
■ ガイアの優位性
 "光触媒"の業界にも大手自動車メーカ、大手繊維メーカの参入がみられるなど期待値の高い分野になってきている。ベンチャー企業として、5年前からチャレンジし他社に先駆けて蓄えたノウハウを財産に、優位性を保っているが、光触媒加工液の専門メーカとして、商材を広げるよりもクリーニングで30%以上、アパレルで10%以上のシェアーを確保する営業戦略を展開し、加工液の出荷量がトップのメーカになることを目指している。



 鳥インフルエンザ・新型インフルエンザ対策に"光触媒"が!
      
■ ガイアの光触媒加工マスク
 新型インフルエンザの情報が蔓延する中、一番有効な自己防衛策は「マスクの着用」と「うがい」の2点しかない。マスクといえどもSARS騒動の際、マスクをしていた医師や看護婦から感染が拡大した例もあり、高いウイルス捕集効果を持つ多重機能マスクが必要になっている。そこでマスクの防御機能をさらに向上させるとして"光触媒コーティングされたマスク"が注目されている。ガイアはSARS騒動の際、台湾に光触媒加工液を1千数百万円販売した実績をもっている。光触媒加工マスクはまだ店頭に並んでいないが、取次店を含めたクリー ニング店を中心に販売していく体制を準備している。声高らかに言えないと前置きして、マイナスイオンと同じようにブームになれば、"光触媒"にもスポットライトがあたるのではないか。密かに期待していると!

 


ユビキタスな通信環境を支える情報セキュリティ基盤
 


 事業概要
      
■ 事業のコンセプトとミッション
 「あの人は誰?」や「この人がその人です」という本人確認は社会生活の基礎で、これがキチンとしていなければ社会生活は根源から成立しない。ネット社会でも同じであり、本人確認があやふやなままでは如何に優れた暗号技術でも如何に強力なセキュリティ技術も機能しない。システムの安全性を高める各種の技術が発達するにつれて個人認証部分に関しても高度な安全性と使い勝手の良い新技術の必要性が高まっており、当社の本人確認技術「ニーモニック認証」はこうした社会的要請に応えるものとして開発された。
 現在、広く使われている暗証番号やパスワードがあるが、使用者にとって覚えやすいものは他人から破られやすく、逆に破られにくいものは使用者が覚えにくいというジレンマを免れない。また、指紋などの生体認証は人間側の状況に変わることがあるため、本人拒否率をゼロにすることはできず、万一に備えバックアップパスワードと併用するのが一般的である。このためシステム全般としてパスワードの安全レベルを超えられないという問題を抱えている。
 当社は、技術の人間的・社会的側面を重視し、高齢者を含む全ての市民がストレスを感じることなく、また人間の尊厳を損なうことなく、自己のアイデンティティを電子社会で確実に証明できる個人認証のさらなる高度な技術開発を目指している。

      
■ ニーモニック認証とは
 新たな数字、文字を本人認証用に覚えてもらうのではなく、既に本人が記憶しているイメージ情報を登録する手法やかすかな記憶の手がかりを生かして本人と他人を峻別する手法などを統合し、安全確実かつ手軽な個人認証を可能とする本人認証技術である。記憶の負担をゼロに近くすることもできるので登録情報が何であったかをメモする必要をなくすことができる。
 なお、「ニーモニック」はmnemonicの英単語からとり、当社では「老若男女全ての人の記憶を最大限活用する方法」という意味で使い、社名の一部にした。


 中小機構の支援を受けるきっかけ
      
■ 携帯電話版の開発
 携帯電話大手N社に、ニーモニック認証を持ち込んだところケンモホロロ、ぼろくそに言われ肩を落として帰る途中、地下鉄駅で知人に偶然出合った。話しをしたところ、知人は個人情報保護法関係の仕事に係わっていたこともあり、理解が早く、素晴らしいアイディアだと力づけてくれた。後日、その知人から情報セキュリティの権威である東大のI教授を紹介され、「中小機構(当時は中小企業総合事業団)の支援制度に、その技術を応用した新事業で挑戦しては、」との一声に押され、支援事業として申請するに至った。その結果が「ニーモニック認証の携帯電話版」の開発であった。
 商品開発後、世間でその良さを認識してもらえず市場開拓に苦労したが、ついにNTTコミュニケーションズ社のネット決済システム「CoDenペイメントサービス」の携帯電話版に採用されることとなり、平成17年9月期に初めて「売上伝票」を出すことができた。


 これから
      
■ 新たな商品開発へ
 ニーモニック認証技術を使った新たな商品開発に着手し、例えば、暗証鍵を生成しプログラム終了時にその暗号鍵を消滅させる認証暗号一体型のソフトにより、デバイス防御製品、携帯情報金庫サービスなどの商品開発ができている。また、この2月には携帯クリプト手帳を市場に出すこともできた。
 PC、PDA等の情報機器とインターネットは、経済社会のインフラとして今や必要不可欠な存在となっており、ユーザーにとって簡単、便利、安全な個人認証ソフトに対する需要は、ウイルス対策やファイアウォールソフトと同様、急速に高まっていくものと想定される。電子政府、電子自治体といった広汎なサービス利用者を対象とする社会は「いつでも、どこでも、誰にでも」対応できる本人確認手段なしでは実現が難しく、当社の出番はますます増えてくるものと期待している。



「簡単ネットビジネス構築システム」の開発〜顧客満足志向から事業を拡大
 


 簡単ネットビジネス構築システム
      
■ 助成金で新事業を展開
 西田社長は学生時代に友人2名とレンタルサーバー会社を起業。が間もなく、コンテンツの制作、システムの受託開発等に取組みたいと考え、1999年8月、24歳の時に同社を設立。時代はITブーム。折より海外のオークションサイトを受注したことで事業は順調に推移していくことになった。
 そこでさらなる事業の飛躍を目指して新たな事業に着手。中小企業でも大きな投資を伴わないで、インターネットのビジネスサイトを運営できるようにするため、サイトの開設・運営が廉価で行える仕組みを作り、提供しようと2001年10月に新事業開拓助成金に応募。まだ創業間もない同社としては、「助成金に採択されることで事業の信頼性を増したい」との意図もあったという。
 そして、書面審査と面接審査を経て見事に採択が決まり、「簡単ネットビジネス構築システム」(名称:e-Dekimasu)の開発に社を挙げて取り組んだ。助成金はシステム開発やPRの経費として活用した。

■11月から「e-Dekimasu」の開発に着手
 「e-Dekimasu」は、自社ホームページで商品の販売及び管理、カード決済できる機能を持ち合わせながら、同時にそのデータを蓄積して、売上げ分析や顧客管理などの社内管理までできてしまうなど、全てのデータを一括管理できるのがポイント。コンピュータの知識がなくても簡単にシステムが導入でき、導入費用が廉価で済む。開発に当たっては資金的な苦労もあったが、「社長のそれまでの経営実績、経営者としての素養、人脈」をバックにベンチャーファンドからの出資も受けることができ、なんとかこれを乗り越えることができたという。そうして商品化された「e-Dekimasu」は好調に短期間で導入企業を増やしていった。


 認知度の上がるホームページを
      
■ 発想の転換
 ところが導入した顧客からは、期待していたほど自社ホームページへのアクセスが増えていないとの指摘があった。その原因を究明したところ、肝心のホームページがYahooやGoogleなどの検索エンジンに引っかかりにくいという弱点があることが判明。
 今後を担う商品として大いに期待をしていたのであるが、残念ながら顧客のニーズを十分に満足させられるものではなかったのである。そこで同社としても今後の事業主体をネットマーケティングに置きたいと考えていたこともあり、それを解決するものとして着目したのがホームページの集客力を高める「SEO*」(検索エンジン最適化)技術であった。

  *SEO(検索エンジン最適化): 検索エンジンの検索結果で、自社のWebページができるだけ上位に表示されるように工夫すること。

■ 認知度のあがるホームページを提供
 「85%以上のインターネットユーザーは、検索エンジンを介して商品やサービスを調べている」、また「80%のインターネットユーザーは検索エンジンを介してWebサイトを見つけ出す」と言われている。目的は、求める情報をすばやく入手するためである。
 Webページを効果的なビジネスツールとするためには、ユーザーがどのようなキーワードをもとに、情報を捜し求めているのかを調査し、またユーザーにとって情報が面白いものであるか、使いやすいものであるかを考慮しながらサイトの制作を行わなければならない。これには制作の各段階でかなりの熟練を必要とするが、同社では、SEO研究の第一人者を招聘し、アクセスも多く成果も多いホームページの実現に取り組んだ。


 顧客満足をモットーに
        
■ さらなる飛躍を目指して
Web事業部を新設し、法人向けのホームページ制作サービスを開始したが、ホームページを戦略的なビジネスツールにしたいと考えている企業に大きな支持を受けることとなった。実際、導入企業の中には開発経費を2〜3ヶ月でペイできるほど高い効果があった顧客も出ているという。現在、クライアント企業は600社を越える規模となっているが、8月に開設した東京事業所も当初の予想を上回る売上げを達成しており、従来大阪で展開していたサービスが東京でも十分通用することを確信し、さらなる事業拡大が期待されている。今後はWeb事業部が提供するサービスを名刺がわりに、単にホームページ制作請負という枠に収まることなく、クライアント企業の基幹システムの開発までをトータルプロデュースできるような企業への発展を狙っている。
 「e-Dekimasu」での思いもよらぬ落とし穴から、着目したSEO(検索エンジン最適化)であったが、これをきっかけに同社の事業拡大の基礎は確立されたといえる。
 7月期の売上げ目標15億円は略々達成される見込みであり前期の倍以上に当たるこの数字は、新しい市場の開拓そして近い将来の株式公開に向け最高の環境が整いつつあることの証明といえる。

 



歯科医院と患者の掛け橋に 〜 訪問歯科診療のコンサルティング事業
 


 訪問歯科診療の普及を目指して
      
■ 要介護者を治療
 急速に高齢化が進展する中で、歯科にかかりたくてもかかれない寝たきり老人など要介護者の数は急増している。一方、訪問診療を始めたくても訪問診療の知識やノウハウがなく始められない歯科医院も数多く存在する。
 デンタルネットは、歯科医師が医療法人勤務時代に修得した訪問歯科診療のノウハウを広く普及させ、社会貢献にもつなげたいとして平成12年8月に設立した。
 訪問歯科診療は在宅や施設に入所していて外出が困難な高齢者や要介護者を対象に、歯科医師、衛生士、助手の3名がチームを組み専用自動車に診療用のポータブル診療機材を積んで訪問し、義歯作成・修理、虫歯治療、抜歯、歯周治療や口腔(こうくう)ケアを実施するものである。中でも口腔ケアは高齢化社会の到来とともに、歯科診療を施すことにより要介護高齢者の生活の質が改善されるケースが数多く報告され、その重要性が認識されてきている。


 サポート内容は多岐に
      
■ 訪問歯科診療の導入をトータルサポート
 一般の歯科医師には訪問歯科診療に関する知識、ノウハウがなく、事業開始に踏み出せないケースが多い。デンタルネットでは、このような歯科医師や訪問歯科診療に取り組みたいとする病院に対し訪問診療に関するトータルサポートを実施している。
 支援内容は、訪問診療スタートアップ時の支援として、必要な訪問診療機材・訪問車両のリスト提供とその調達方法、人材の集め方、医師・人材配置計画、営業用パンフレットや管理書類の作成などである。医院から希望がある場合は、歯科医師の紹介や、機材・訪問車両のリース先やデーラーの斡旋も実施している。また、半年間は患者確保のための営業活動として、在宅看護支援事業者、老人施設への広報・告知活動を行うほか、希望に応じインストラクター、営業担当者の派遣代行や教育コンサルティングを行っている。
 さらに、開業後も医療改革情報の共有化と情報交換の場を提供する活動など、支援分野は多岐に渡っている。

■ 助成事業認定が呼び水に
 助成事業について,勝野社長は「訪問歯科診療事業そのものについては以前に勤務した医療法人で十分実績を挙げた経験があり自信をもっていた。ただ、正直なところ資金調達は素人で不安もあった。しかし、パートナーで会社設立の発起人でもある須崎取締役が、新事業開拓助成金制度を見つけ出してくれ、平成13年度の募集に応募した。おかげさまで採択となり助成金が交付され、その結果資金繰りが安定した。同時に対外的信用が高まり、銀行の見る目も変り大変助かった。」と話してくれた。
 助成金は、顧客開拓を主とした人件費やセミナー開催費用、営業用パンフレット作成などの広告宣伝費として使用。契約先は順調に増加しており、平成17年1月末現在、契約締結医院数は19先。従業員数も申請時の7名であったが、現在35名に増加。事業は順調に拡大している。


 事業は全国展開へ
        
■ 訪問診療サポートをコアとして
 同社の将来について勝野社長は「既契約医院19先の所在地は東京、大阪の大都市が中心となっている。来期は更に新規で20先の契約が確実視される状況にあるが、契約見込み先の所在地は、北は北海道、南は沖縄まで全国的な展開となる。業績も順調な推移が見込まれる状況。
 設立当初は、事業内容も人材派遣への取り組みなど多角化し将来は上場も考えていたが、現時点では、多角化や上場は当面考えず現事業をコアとし、足場をしっかり固め将来に備えたい。」との会社経営方針を表明している。

 





リーズナブルで高品質な遺伝子治療を実現!高品位プラスミドDNAベクターの生産
 


 事業開始のきっかけ
      
■ 沖縄での創業
 株式会社先端医学生物科学研究所は、平成11年6月23日に設立された、遺伝子治療に必要なベクター(遺伝子を目的の細胞内まで運ぶ運搬体)の安全性試験、同生産・販売を主な事業目的とする企業である。
  遺伝子技術を応用した各種研究と生産活動が広く人類の「幸福」そのものの実現に向けて発せられること、かつこれを沖縄の地で実現することを企業理念としている。また、会社設立の6月23日という日は、沖縄県にとっては終戦記念日ともいうべき「慰霊の日」にあたりこの日を同社創業の起点とすることにした。

■ 事業のスタート
 創立当初は、会社はできたものの、関係者全員が別の本業を持っており、暫くの間は休業状態が続いていた。しかし、平成12年3月にNEDOの地域新生コンソーシアム研究開発事業に採択が決定。それを契機に、米国立衛生研究所(NIH)への留学を終え、琉球大学ウイルス研究室に戻っていた新垣氏(同社の現研究開発担当取締役)が同社に参画し、名実共に事業が開始されることとなった。
 コンソーシアム研究開発事業で実施された事業内容は、「簡便化高純度大型プラスミド抽出・精製法の開発」である。遺伝子技術の基礎段階の研究開発に必要となるプラスミドDNAベクターは、その大半が大学等の研究室でつくられており、しかもその生産には費用とマンパワーを必要としていた。そこで同社は、より安価でしかも高品質なプラスミドDNAベクターを生産できないかと考えるに至ったのである。


 安全性・効率性の高い生産装置
      
■ 新事業開拓助成金交付事業への応募
 ベクターの生産には、プラスミドDNAに遺伝子を導入し宿主に形質転換をした微生物を大量に培養し、宿主の増殖と共にベクターを大量に作成させることが必要である。そこで、研究室や実験室レベルで使用される量のベクターを、小規模で安価に効率よく生産できる微生物培養装置の開発をテーマとして、平成13年度新事業開拓助成金交付事業に応募、採択となった。約1年の開発の結果、平成15年2月に簡易培養装置の開発を達成。現在、この装置と既に開発済みのTFF(抽出・精製法)によりベクターの生産、販売を進めている。
 喜久川社長は、「助成金の交付を受け培養装置を開発できたことで、安全性の高いプラスミドDNAベクターが生産可能となり、QOL実現に向け遺伝子治療の普及のため安価な研究材料が提供できるようになった。」と語る。また、培養装置の開発により、同社の拠って立つ基盤ともいうべきものを築くことができ、今後の遺伝子治療の発展という面でも大きな意義があったものと自負しているという。

■ 装置の商品化へ向けて
 現在、開発した簡易培養装置によるプラスミドDNAベクターの生産にとどまらず、この装置を汎用性の高い装置に仕上げ、商品化できないか検討中だ。社長は、プラスミドDNAベクターの受託生産事業はほぼ予定どおりに進捗しているが、今回開発した培養装置の販売という観点からすれば、事業化の達成度合いはまだ道半ばであると言う。
 平成18年3月期には、受託生産の拡大とあわせ、何としても期間損益の黒字化を実現したいと張り切っている。


 医薬品への展開
        
■ 沖縄の支援を受けて
 しかし、研究用のベクター受託生産事業だけでは成長に限界がある。臨床治験に使用可能で、人体にも対応できるグレードの高いプラスミドDNAベクターの生産に向け全社一丸となって注力中である。
 平成14年3月に沖縄県産業振興公社より出資を受け、財務体質が強化されたことに加え、沖縄県のバイオ企業支援事業(3年間)に採択され、助成金を受けることができた。これにより、医薬品(治験薬)としてプラスミドベクターの生産という新たな事業を推進中である。クリアすべき課題は多く、設備開発には相当な費用がかかるが、この開発に成功すれば同社の発展のみならず、これからの医療発展に大きな貢献が図れるものと期待されている。

 

商売が誰にでも簡単にできるようにしたい!日本最大級の商品無料卸商社に発展
 


 新しい形態の卸売業
      
■ 会社設立!
小さい時から社長になると決めていたという。夢を実現させる第一歩として1996年(21才の時)古着のブランドリサイクルショップをオープン。順調に業績は伸びていたが、インターネットで売った方がもっと効率が良いのではと気軽な感じでネットショップ専業に転換。しかし、中古品は同一商品がないため、思ったように在庫が確保できず、かえって効率も悪いと感じ始めていた。
 そうした時、たまたま講演会で小規模なインテリアのネットショップが、在庫を持たずお客さんとメーカーを仲介するだけで成功しているという話を聞いた。よく考えたらネットショップで並べられている物は、商品の写真(画像)である。写真さえあれば誰でも商売ができることに気づいた。通常の物販では商品の仕入代金を払い、在庫を抱え、注文を受け商品の配送までするのは当たり前であるが、何か新しい仕組みができないものかと考えついたのが「電脳卸」のシステムである。これがあれば、仕入れリスク・在庫リスク・配送の手間もなく、システムの導入も不要でネットショップを始めることができ、また多様な商品画像を広告塔に、販売チャンネルを拡大することができるのではないか。
 そして、2001年1月大阪市創業支援センター主催の「あきない・えーど」のコンテストでこの「電脳卸」のビジネスプランで入賞を果たし、特許も出願。以後の事業展開への手応えを掴めたことから、同年8月、26歳で創業メンバー2名と共に同社を設立した。


 新事業開拓助成金への応募
      
■ 助成金の事業認定が自信に繋がる!
 社長は事業の構築に当たり、「当初から経営とビジネスモデルに他人から意見を挟まれることを避けたかったから、ベンチャーキャピタル等から出資を受けることは考えていなかった。それが、新事業開拓助成金に応募する動機になった。」というが、さらに助成金の審査が厳しく採択社数も少ないと聞いたことも「やる気を俄然かきたてた。」という。同社の事業は今でこそ多くの人の理解を得ているが、当時は理解の難しいビジネスモデルであり、このビジネスモデルが本当に通用するのかどうかをどこかで試したかったからである。
 面接審査時には非常に緊張したというが、幸いなことに審査員の理解を得ることができ、また貴重なアドバイスも得ることができたという。そして助成金の採択も決まったことで、自信を持てたばかりでなく、世間にも「電脳卸」の知名度、認知度を高めることができ、また事業開始当初の資金繰りにも余裕を持つ事ができた。
 そして同年11月から中小企業総合事業団(現中小企業基盤整備機構)の支援を受けて「インターネットショップに対する販売店網展開支援アプリケーションサービス"電脳卸"」のシステム開発とサービスの提供事業を本格的に開始したのである。

■ 無料で商品仕入れを可能にする!
 インターネット上には物販商売を行うネットショップが数多く存在するが、掲載されている商品は当然すべて写真のみである。「電脳卸」は、そうしたショップに掲載されている写真を一手に集め、それらの写真をショップのオーナーに無料で提供し、貼り付けてもらう。その貼り付けた写真を経由して商品が売れた場合は貼り付けたショップのオーナーは報酬を受け取ることができ、また写真を提供しているショップは他のショップのHPの力を借りて売上を向上させることができるというものである。(写真を仕入れる側を「販売店会員」、商品写真を提供する側を「卸会員」という。)同社は、これら会員間の一連の事務代行を担うと共にいわば卸会員の入居するビルのオーナーの役割を果たすのである。


 株式上場も視野に
        
■ 事業開始10ヶ月後から黒字化する!
 とはいえ、会社設立当初は将来もまだ見えない状況の中で、事務机もなく、床にマットを敷いただけのオフィスで事業をスタートすることとなった。
 「電脳卸」は、ネットショップである卸会員と販売店会員数および商品の品数をバランス良く拡大してゆくことが基盤確立のポイントであったが、創業メンバーがネットショップの経験者でもありそれぞれの人脈を活用し、メール等でPRを続け会員数の拡大に努めてきた。また、助成金を「電脳卸」の根幹であるシステムの開発・サーバーの増強などに活用してきた。
 そして、地道な努力が実り早くもサービス開始10ヶ月後で事業は黒字化し、それは現在もまだ継続されている。2002年2月時点では卸会員数50社、販売店数2,000サイトだったが、2005年2月時点ではそれぞれ430社、38,000サイトへと規模を急拡大させている。
 新サービスを次々と立ち上げていくことは簡単であるが、収益に結びつけることは容易なことではない。同社はこれまで収益の基盤となる「電脳卸」に経営資源を注力し、日々システムの改善を繰り返すことで足元の地盤を確実に固めることに成功している。
 魅力ある商材を持つ卸会員数の拡大・優秀な販売店会員の確保が、引き続き今後の事業展開の課題ではあるが、7名という少数精鋭の従業員を率い、社長は近い将来の上場も視野に入れている。

 




「アルマイト触媒」による環境に優しい&省エネルギーの空気清浄装置を事業化
 


 「大学発」ベンチャー
      
■ 「人類と地球の未来のために」
 株式会社アルキャットは、東京農工大学亀山秀雄教授の研究成果である「アルマイト触媒」をニーズ重視で実用化・事業化する目的で平成13年8月に設立された「大学発」ベンチャーである。
 快適さや便利さを提供してくれる工業製品製造の裏には、環境に対する負荷が少なくない。このことから、当社は地球環境に配慮し、(1)人々の生活環境を自然の状態に戻すこと、(2)省エネルギ−を追求すること、をモットーに事業に取組んでいる。

■ アルマイト触媒とは
 アルマイト触媒とは、アルミニウム板の表面を酸化させて多孔質化し、白金等の触媒金属でメッキを施したものである。その特長は、熱伝導性や成形性が高く、省エネルギー化が可能で、リサイクルできることなどが挙げられる。用途としては、揮発性有機化合物(VOC)の分解・無害化・脱臭、NOxやダイオキシンなど有害物質の分解、燃料電池の改質器(水素発生器)用改質触媒などが考えられている。当社は、上述の亀山教授の支援を得て、このアルマイト触媒と電気加熱を一体化した空気清浄装置の開発・試作・販売を行っている。


 開発のスタート
      
■ 最初から完璧を目指さない
当初は、完璧な製品が出来上がってから販売を、との考えであった。しかし平成14年7月、渡辺氏が代表取締役に就任すると、「最初から完璧を目指すのではなく、製品を市場に出し、顧客ニ−ズに基づく改良を重ねながら理想に近づけるべきだ」と方針を転換した。こうして同社は本格的に事業化への道のりを歩みだすこととなった。

■ 新事業開拓助成金の活用
 当該装置の「事業化」を目指し、平成13年度新事業開拓助成金交付事業に応募、採択を受ける。助成事業においては、実用機開発の前段階となる小型VOC触媒燃焼装置の試作と、実証試験等を中心に取り組みを実施し、その後の実用機の仕様確定に向けた足固めを行った。
 実証実験においては、アルマイト触媒の持つ優位性がフィールド試験にて実証され、VOC処理用としての、アルマイト触媒の応用に関する基礎を固めることができた。


 「環境保護」の追い風を受けて
        
■ 印刷業界を中心に販路開拓
 現在、販売対象を印刷業界に絞り、インキメ−カ−とインキ塗料系商社をルートに売り込みを行っている。当初、販売は一般の商社に任せる予定であったが、顧客ニ−ズを的確に把握出来ないことや、マ−ジンの価格への上乗せ等の問題があり、印刷業と強い繋がりのあるインキメ−カ−等を経由することとした。昨年の実績としては、小型機1台をスクリ−ン印刷業者に販売した。
 また、大気汚染防止法(平成16年5月交付)の改正が、大きな追い風となっている。工場等から排出されるVOC(揮発性有機化合物)が規制対象となり、排出事業者に対して、排出施設の届出義務、排出基準の遵守義務等が課されることとなったのである。

■ 大型機の開発へ
 この影響もあって、現在市場において最も注目されているのは大型機である。助成対象事業では小型の装置を開発したが、印刷工場における空気清浄装置としては不十分であったため、工場の印刷機1台分のガスを処理できるように装置の大型化に取り組み、試作実験の結果、実用化に漕ぎ着けた。同クラスの他社製品と比較し、20%以上の初期コスト削減、設置面積の30%〜50%減に成功しており、価格、設備の占有面積における優位性が高い。現在、グラビア印刷事業者等との打合せ段階にあり、今年中に2台の販売がほぼ実現可能な状況にある。
 業界全体では年間50億円以上の需要が見込まれており、当社も当面、1年間に約1億円の売上を目指す。今後は、実績作りのためテスト機の受け入れ先を増やすことも視野に入れ、販売代理店の整備やサポート体制の充実化を図る計画だ。



「アルマイト触媒」による環境に優しい&省エネルギーの空気清浄装置を事業化
 


 「大学発」ベンチャー
      
■ 「人類と地球の未来のために」
東京農工大学の研究成果である「アルマイト触媒」をニーズ重視で実用化・事業化する目的で平成13年8月に設立された「大学発」ベンチャーである。
 快適さや便利さを提供してくれる工業製品製造の裏には、環境に対する負荷が少なくない。このことから、当社は地球環境に配慮し、(1)人々の生活環境を自然の状態に戻すこと、(2)省エネルギ−を追求すること、をモットーに事業に取組んでいる。

■ アルマイト触媒とは
 アルマイト触媒とは、アルミニウム板の表面を酸化させて多孔質化し、白金等の触媒金属でメッキを施したものである。その特長は、熱伝導性や成形性が高く、省エネルギー化が可能で、リサイクルできることなどが挙げられる。用途としては、揮発性有機化合物(VOC)の分解・無害化・脱臭、NOxやダイオキシンなど有害物質の分解、燃料電池の改質器(水素発生器)用改質触媒などが考えられている。当社は、上述の亀山教授の支援を得て、このアルマイト触媒と電気加熱を一体化した空気清浄装置の開発・試作・販売を行っている。


 開発のスタート
      
■ 最初から完璧を目指さない
 平成13年8月に開発がスタ−ト。当初は、完璧な製品が出来上がってから販売を、との考えであった。しかし平成14年7月、渡辺氏が代表取締役に就任すると、「最初から完璧を目指すのではなく、製品を市場に出し、顧客ニ−ズに基づく改良を重ねながら理想に近づけるべきだ」と方針を転換した。こうして同社は本格的に事業化への道のりを歩みだすこととなった。

■ 新事業開拓助成金の活用
 当該装置の「事業化」を目指し、平成13年度新事業開拓助成金交付事業に応募、採択を受ける。助成事業においては、実用機開発の前段階となる小型VOC触媒燃焼装置の試作と、実証試験等を中心に取り組みを実施し、その後の実用機の仕様確定に向けた足固めを行った。
 実証実験においては、アルマイト触媒の持つ優位性がフィールド試験にて実証され、VOC処理用としての、アルマイト触媒の応用に関する基礎を固めることができた。


 「環境保護」の追い風を受けて
        
■ 印刷業界を中心に販路開拓
 現在、販売対象を印刷業界に絞り、インキメ−カ−とインキ塗料系商社をルートに売り込みを行っている。当初、販売は一般の商社に任せる予定であったが、顧客ニ−ズを的確に把握出来ないことや、マ−ジンの価格への上乗せ等の問題があり、印刷業と強い繋がりのあるインキメ−カ−等を経由することとした。昨年の実績としては、小型機1台をスクリ−ン印刷業者に販売した。
 また、大気汚染防止法(平成16年5月交付)の改正が、大きな追い風となっている。工場等から排出されるVOC(揮発性有機化合物)が規制対象となり、排出事業者に対して、排出施設の届出義務、排出基準の遵守義務等が課されることとなったのである。

■ 大型機の開発へ
 この影響もあって、現在市場において最も注目されているのは大型機である。助成対象事業では小型の装置を開発したが、印刷工場における空気清浄装置としては不十分であったため、工場の印刷機1台分のガスを処理できるように装置の大型化に取り組み、試作実験の結果、実用化に漕ぎ着けた。同クラスの他社製品と比較し、20%以上の初期コスト削減、設置面積の30%〜50%減に成功しており、価格、設備の占有面積における優位性が高い。現在、グラビア印刷事業者等との打合せ段階にあり、今年中に2台の販売がほぼ実現可能な状況にある。
 業界全体では年間50億円以上の需要が見込まれており、当社も当面、1年間に約1億円の売上を目指す。今後は、実績作りのためテスト機の受け入れ先を増やすことも視野に入れ、販売代理店の整備やサポート体制の充実化を図る計画だ。



遊漁船乗合い予約サービスで九州各地の船釣り愛好者をトータルサポート!  
 


 遊漁船乗合い予約サービスとは
      
■ 九州各地の遊漁船と提携
 株式会社フィッシング・ネット九州は、アウトドアーレジャーとしての「釣り」のうち「船釣り」(沖釣り)に焦点を絞り、一般向けでは全国初の「遊漁船乗合い予約サービス」事業を行う企業である。
 この事業は、九州各地の遊漁船(沖釣り船)と提携し、会員制による乗合い予約サービスを実施するもので、釣行に必要な生情報の発信から乗船案内、釣具のレンタルサービスまでの様々な利用者ニーズをトータルでサポートするもの。また、インターネット、携帯電話、ファックスなど各種情報ツールに対応しており、同社ホームページでは各船の予約情報や船上リアルタイム写真の掲載、釣果の当日速報などユニークなコンテンツを提供している。

■ 創業の動機と経緯
 釣り船を利用して気軽・快適に沖釣りを楽しみたいと思う愛好家のニーズと、集客活動に煩わされることなく、安全操業や利用客への助言サービスに専念したいと願う船長のニーズをうまく結びつけて、これを事業化することが出来ないものか。釣り好きの白井社長がこのように思ったのは、5年ほど前のことである。
  当時白井氏は、大手コンピュータ会社の幹部営業マンとして九州一円を跳び回っていたが、55歳を目前にして、自分らしさを生かせる人生第二の仕事を模索し始めていた。
  そこで注目したのが、趣味として楽しんでいた沖釣りである。氏はかねてより、乗合い船数の制限から希望する日程やコースが見つかりにくい状況に少なからず不満を抱いていた。また、当時の釣り船は設備や貸道具が整備されておらず、初心者向けの情報提供も極端に不足していた。
 これに対し、氏は「釣り船に対する潜在需要は必ずある」「釣り船側も集客ルートが確立されれば大いに助かるはずだ」と考え、思い切って早期退職制度を選択し勤務先を退社。「釣りとインターネットの融合」をキーワードに、平成12年5月、株式会社フィッシング・ネット九州を設立し、事業を開始することとなった。


 試行錯誤の取り組み 
      
■ 船長や利用者のニーズ把握に注力
 しかし、当初事業の参考になるような事例や関連データ等は全く存在せず、「ニーズは必ずある」と信念のみで事業に着手したため、様々な課題に直面することとなった。
 長年釣りを楽しんできた白井社長であるが、その知識は趣味の範囲であり、業界知識や人脈は皆無であった。また、収入源や契約形態などの事業モデルや情報収集手段の検討、提携船に対するアプローチ、会員獲得の手法など解決すべき課題が山積していた。
 そこで社長は、顔見知りの船長との意見交換や先進的な遊漁船業組合長への相談を行うなどして、ニーズの把握と協力依頼に努めた。事業モデルづくりにあたっては、利用者の要望を繰り返し確認しつつ、現実にあわせデータの修正・改善を繰り返し、独力で作り上げていった。また、収益シュミレーション付きのわかりやすい提案書を作成し、事業内容の説明時に活用、提携船の開拓を行った。唯一の業界紙である「週刊つりニュース」との協力関係も確立させた。
 当初の収入源は、利用者紹介の対価として船長から受け取る手数料のみ。白井氏は「3年間はゼロの覚悟で臨んだ」と語る。

■ 助成金認定により周囲の評価が向上
 新事業開拓助成金交付事業に応募したのは、会社設立後6ヶ月目の平成12年11月のことであった。助成金は、ホームページの改良やパンフレット作成、レンタル用具の拡充等にあて活用。国の支援を受けて行っている事業であるとの自覚ができ、周囲からの評価も向上したという。

■ 認知度の向上
 このような試行錯誤の取組みを続けた結果、白井社長の努力は少しずつ実になり始めている。
 乗船予約サービスについては、利用客、遊漁船の双方において認知度が向上。当初の事業目標値には若干届かないものの、近々黒字化が可能な状況にある。ホームページについても、携帯版のメールによるリアルタイムでの釣果写真掲載などが実現し、充実したコンテンツに対し高評価を得ている。


 さらなるサービスの強化へ
        
■ 遊漁船の拡充に注力
 今後は、同社の核となる遊漁船の拡充を図ることを中心に事業を進めていく計画だ。まずは、手薄になっている地域や釣りコースをカバーするため、提携船数を増強。入門セミナーの開催や指導スタッフ乗船による初心者向けコースの設定などで新規会員の掘り起こしに力を入れる。
 さらに、ホームページコンテンツの大幅強化による情報提供の有料化や、大手旅行業者とともに釣りツアーを企画するなど、収益の改善・拡大のための方策を検討している。



トレーディングゲームを中心とした体験型人材教育プログラムを開発・提供
 


 「きっかけ」「感動」の種をまく
      
■ 早く世の中を変えなくては
 代表者である船橋社長は、父親の勤務の関係で海外在住(幼少期にアルゼンチン、高校時代にブラジル)を経験。世の中には様々な価値観、多様な文化が存在していることを肌で感じた。帰国し上智大学を卒業後、伊藤忠商事に入社。外国のことを誤解していることが多いのではないか、そのことを日本人に伝えたい、さらに、恵まれた環境に住む自分が世界の人々を助けてあげたいという思いから、それを実現するには商社が一番だと判断したからであった。
 伊藤忠商事ではODA絡みのインフラプロジェクト、地下鉄や電気・水道を供給する仕事を手がけ、忙しい毎日を過ごしていた。しかしその中で、自分が疑問に思ったこと、やりたいと感じていたことを少しでも早く実現したい、「早く世の中を変えなくては」という思いが強くなった。そこで、多くの人に何かを発信していこうと知人と異業種交流会を立ち上げた。
 船橋社長は特に日本の教育は海外の教育に比較し、講義中心の教育システムであることに疑問を抱いていた。体験をしながら理解を進めていくという海外の教育の良いところを、日本の学校教育、企業内教育に取り入れていくことが必要という思いがあった。そんな時、海外在住の経験をもち、同様の思いを抱いていた谷口氏に出会い、この思いを実現しようと平成12年7月当社を設立した。社名は"きっかけ"や"感動"の種を蒔いていきたいとの願いを込め、『ウィル(未来・意志)・シード(きっかけ・気づき・種・子ども)』とした。


 プログラムの開発と事業展開
      
■ 主力はトレーディングゲーム
 助成対象事業のテーマは「体験型人材教育プログラムの開発、販売、コンサルティング事業」である。その内容は、シュミレーションゲーム(主力はトレーディングゲームで、参加・体験しながら自己発見や各種スキルの向上を促す革新的な人材教育プログラム)を開発し企業や教育機関に販売し、コンサルテーションを実施するというものである。
 事業実施期間中にプログラムの改良・開発を実施。企業向け社員教育プログラムはソニー、富士通、マイクロソフトなど大手企業も含め、当時凡そ90社に採用された。また、教育機関に対しては、横浜エンジェルフォーラムと共催で大学生約100名の参加を得て『B−EX』(ビジネスエクスペリメント)を開催。他にも体験会を実施した。また千葉県の中学校等で教師に対する実践研修も行った。
 助成金は各種シュミレーションゲーム等の開発、研修運営資料の作成、体験会の運営など人件費を中心に、広告宣伝費、市場調査費等として活用した。船橋社長は、「助成金は会社立ち上げ時の資金が苦しい時期に交付され、資金繰りの安定に大いに役立った。また、助成金の申請書を作成する過程で、企業の現状・問題点の把握にも役立ち、勉強にもなった。」と語ってくれた。
 なお、助成事業期間終了後、当社では、ビジネスの全体像や成果を上げる仕事の進め方を容易に学習することが可能な体験型ビジネスシュミレーションの「トレーディングゲーム」を中軸に事業展開し業容拡大につなげている。
 因みに、トレーディングゲームを実施した企業は延べ250社を超え、小・中学生についても経済産業省からの受託事業として全国32自治体2万人規模の小中学生への実施が開始されるに至っている。

  ※トレーディングゲームとは・・参加者を幾つかのチーム(国や動物の名前を付けたりする)に分け、それぞれのチームに合わせてお金のほか「資源」を意味する白い紙、「技術」を意味するハサミや定規、コンパスなどを与え、時間内に最も多くの金を稼ぐことを競わせるゲーム。


 教育プロデュース事業へ
        
■ 学校教育を通じて社会を変革
 今後は企業内研修や学校教育に加え、大学で国際交渉手法や英語を教えることでグローバルマインドを育成する事業や、政治ゲーム、金融ゲーム、経済ゲームなどを新たに開発。アート、音楽、スポーツなどを通じて産・学・家庭・地域を結び付けていく教育プロデュース事業を手がけていきたいとしている。
 「今、僕らのお客様には若い人が多いのです。彼らは10年後の日本を創ります。子ども達は将来の日本を創ります。今の企業研修は子ども達の教育にも応用していけると思います。それをつなげていくとよい環境が生まれると思うのです。そういうことをやっていきたい。」と、船橋社長は大きな夢を話してくれた。





水質浄化をはじめ多方面の環境浄化に貢献する吸着素材「琉球ライト」
 


 琉球ライトとは
      
■ 会社設立の経緯
 沖縄県立沖縄工業高校を卒業後、28年間建築設計士として設計事務所に勤務。建築資材に関連して環境問題を研究しているうちに、人工ゼオライトの開発に行き着き、外部専門会社の基本特許実施権を得て、平成12年2月、株式会社環境浄化センターを設立した。

■ 焼却灰から生まれた「琉球ライト」
 石炭灰等と水酸化ナトリウムを混合熱処理して生成されるのが、人工ゼオライトである。これはケイ素、アルミニウム、酸素、水素から成り立った結晶体で、多孔質網目構造をなしており、その細孔を通じて色々な物質やイオンを吸着する性質をもつ。そのほかに、イオン交換機能、触媒機能などを有する。この人工ゼオライトの品質向上に取り組み、自社製オリジナルとして商品化したのが、「琉球ライト」である。


 期待されたスタート
      
■ 新事業開拓助成金に申請
 同社は、平成12年沖縄県産業振興公社の推薦を得て新事業開拓助成金を申請、13年3月に5百万円の交付決定を受けた。前年末に沖縄県から経営革新支援法の認定を受けており、県の環境問題を改善できるプロジェクトとして期待されたスタ—トであった。
 助成事業のテーマは「人工ゼオライトの試作品開発」。最新の小型プラントを導入し、旧型ではできなかった品質向上を独自の研究により実施した。実施期間中には、養豚場の悪臭除去対策、沖縄県与那城町や金武町の生活排水悪臭対策等の実験、二次製品の試作等を重ねた。その結果、実施期限の平成13年中頃には従来の人工ゼオライトより品質の高い製品として「琉球ライト」の開発に漕ぎ着け、同年6月特許申請を行うまでに至った。助成金は、主に試作開発に要する費用に活用した。
 こうして「琉球ライト」は、広い分野において低コストで有効利用ができる可能性を持った新製品として生み出されたのである。

■ 事業化までの厳しい道のり
 開発は一定の成果をあげたものの、その事業化は厳しいものであった。創業当初の計画では、平成13年中頃に大型量産プラント(年1000トン)の導入を予定していた。しかし、当てにしていた外部専門会社の販売支援が得られなかったことから、結果的に小型プラント(年120トン)で小ロット生産の操業をせざるを得なくなった。
 このため、14年以降は小ロットで付加価値の高い二次製品の試作開発に方向転換。しかし、創業以降、小型プラントの設備投資や、基本特許実施権取得、試験研究に伴う繰延資産などが負担となり、厳しい状況が続いている。


 新たな飛躍に向けて
        
■ 琉球ライト無機質抗菌剤の開発に成功
 しかし、現在明るい兆しも見えている。平成14年以降、琉球ライトの抗菌効果実験、航空宇宙技術研究所との共同特許出願や、半導体メーカーとの廃水処理実験、二次製品(船底塗料添加剤、抗菌脱臭剤、安眠シーツ等)の開発を地道に進めてきた。その結果、平成16年始めに、京都大学大学院工学研究科の今中研究室(今中忠行教授)の指導を得て、同研究室で開発した排水処理システムに提供できる、安価で、安全性、耐熱性、抗菌性に富む琉球ライト無機質抗菌剤の開発に成功したのである。
 同社は、この実績を背景に、琉球ライトの「水質抗菌剤」、「コンクリート用抗菌剤」の製造に着手。公共プール、旅館、ホテル、温泉、公衆浴場業界をターゲットに、今中教授の産官学連携会社を通じて販売を予定している。(本事業は平成16年度経済産業省の実用化研究開発事業として採択されている。) また県内でも代理店を通じて販売活動を進めており、次期売上高は75百万円と前年比倍増を見込んでいる。
 新たな飛躍に向け、確実に歩みを進める株式会社環境浄化センター。沖縄発の環境型ベンチャーとして、さらなる発展が期待される。