新会社法のポイント
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平成17年6月に成立した「会社法」が、平成18年5月1日から施行されました。 従来、会社に関する規定は、「商法第2編」、「有限会社法」、「株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律」(いわゆる「商法特例法」)、「商法施行法」など、様々な法律に分散していました。今回の「会社法」は、これらの法律を一本化したものといえます。 また、会社法の実際の運用方法については、「法務省令」で定められており、今回、法務省令として公布されたのは、「会社法施行規則」、「会社計算規則」、「電子公告規則」です。 会社の種類機関設計会社の設立
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2006年から新会社法が施行されると聞きましたが、今とどのように変わるのでしょうか?また、中小企業でも活用できる点があれば教えていただきたいのですが。 |
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新会社法とは、小泉改革の中のいわゆる商法改正の一環で、2006年春に施行されることになっています。50年ぶりとなる大規模な商法改正には様々な項目がありますが、ここでは中小企業の方に特に関係のありそうな内容についていくつかご説明いたします。 【1.1円の資本金でも株式会社の設立が可能に】1円資本金会社とは、従来有限会社なら最低300万円、株式会社なら最低1,000万円必要とされていた資本金を、1円でもOKとするものです。実は1円資本金会社自体は現在でも設立可能なのですが、設立後5年以内に資本金を有限会社なら最低300万円、株式会社なら最低1,000万円にしなければならないという条件がありました。今回の改正ではこの5年後以内に資本金を増やさなければならないという規制も撤廃されますので、資本金1円でも株式会社の存続が可能になります。 【2.類似商号規制の廃止】現在は、会社設立時にその会社の商号(会社名)を登記する際、同一市町村内で同じ営業内容としている会社で同じ商号があれば新しく設立される会社はその商号を使用することができないと決められています。そのため、これをチェックするために時間がかかる、という弊害がありましたが今回の改正でこの類似商号禁止の規制も撤廃されることとなり、新たに会社を設立する際の手続きのスピードが向上します。 【3.取締役が1人でもOKに】現在の株式会社は取締役3人、監査役1人が最低限必要となっていますが、今回の改正によりこの規制も撤廃され、定款に株式の譲渡制限の記載がある株式会社に限り、取締役は1人、監査役は置かなくてすむことが可能になります。これと同時に取締役が1人でも良くなったことにより、取締役会を開催する義務もなくなります。従来であれば、親族や友人などに頼んで取締役や監査役になってもらっていたケースも多々ありましたが、取締役1人でOKとなったことにより、このようなお願いをしたり取締役会を開催したりする手間や無用のトラブルを省くことができるようになり、より会社を興しやすくなりました。 以上に述べた3つの施策により、株式会社を興すための要件がより緩和されるため、これから新たに会社を起こそうとされている方や、子会社等を株式会社で設立しようと考えてらっしゃる中小企業の経営者の方にとっては、来春の法施行後が狙い目と言えるでしょう。なお、これらの施策の背景には、国としても起業を増加させて経済を活性化させたいという狙いがあるようです。 【4.LLC(合同会社)とLLP(有限責任事業組合)の誕生】今回の新会社法により、LLCという新しい会社形態が誕生します。 この他にも、新会社法にはいろいろな改正がありますが、その中で特に中小企業に関係の深い項目として、有限会社の消滅がありますが、これについては経過措置である存続等の内容について、別途Q−248にて詳しい説明をしてありますのでそちらをご参照願います。 |
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私の会社は有限会社です。新会社法では、有限会社がなくなるようですが、組織変更をしたほうがよいのでしょうか? |
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新会社法の設立に伴い、従来の有限会社法は廃止されることとなり、株式会社と有限会社の区別はなくなり、全ての有限会社は法律上、株式会社として扱われることになります。ただし、現存の有限会社は何もせずに株式会社を名乗ることはできず会社名としては有限会社を名乗ることになります。その代わり定款の変更や株式会社としての登記などの手続きは特に必要ありません。 なぜこのような措置が採られたのかを説明いたしますと、もともと株式会社と有限会社は最低資本金の額(株式会社は1,000万円、有限会社は300万円)や株式の譲渡制限(有限会社では出資者である社員の持分の譲渡には社員総会の承認が必要、株式会社では出資株式の譲渡は原則自由)などの違いにより明確に区別されていましたが、実態として株式会社と有限会社を区別する意味合いが薄れてきたため、ということが一因として挙げられます。例えば、これまでの商法改正により株式会社でも株式の譲渡に制限をつけることが可能になったり、資本金が1億円以上の有限会社が出てきたり、今回の新会社法で株式会社でも1円の資本金で設立が可能になったり、といったことが実態経済の中で起こってきています。 それでは現存する有限会社がどうなるかというと、これについては有限会社法の廃止に伴う経過措置として定められており、法律上株式会社として存続しながらも、商号の中に有限会社の文字を使用し続けなければならないことになっています。また、この経過措置では株式会社へと移行しなければならないという期限などが定められていないため、現在の有限会社は何もしなくても存続できます。つまり、実態としての社名が変わることはありません。このような会社を法律上は特例有限会社と呼びます。また、従来の有限会社の定款は会社法施行により不要となる一部の項目を除いて、新たに法律上存続する株式会社(=特例有限会社)の定款として効力を持ちます。つまり、従来の有限会社で会社を解散して株式会社に移行するつもりがない会社の経営者の方にとっては、定款の作り直しや株式会社としての登記は必要ない、ということです。 次に、これから会社を設立されようとされる方にこれからの日本の会社の種類についてご説明します。有限会社法の撤廃後は、新たに有限会社を設立することはできなくなります。株式会社は、資本金や負債の額により大会社と中小会社に区分されることになります。大会社の定義については従来と変わらず資本金5億円以上または負債総額200億円以上ですが、従来資本金により区別されていた中会社と小会社は一つにまとめられ、中小会社となります。この他、株式会社については株式の譲渡制限のある・なしによって分類され、これにより取締役や監査役などの期間も変わってきますのでご自身の会社の資本金・負債と合わせて会社に必要な機関について確認しましょう。 合名会社と合資会社については特に従来と変わらないため、ここでは説明を省略させていただきます。 新会社法については、別途Q−247にて中小企業とかかわりのある項目について詳しい説明をしてありますのでそちらをご参照願います。 |
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当社は音声認識システムを開発したベンチャー企業です。現在、他社と共同で家庭用留守番ロボットの開発を行うことで合意し、合弁会社を作ろうとしています。株式会社だと当然株数に応じた議決権となりますが、当社には多額の出資は困難です。しかし、他社と対等の提携でなければ参加したくありません。LLPなら技術力や貢献度に応じて議決権を与えることが可能だと聞きましたが、株式会社ではなくLLPの方が有利でしょうか。 |
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LLPとは、Limited Liability Partnershipの略です。わが国では2005年5月に法律が定められ8月1日に施行されたばかりの新しい事業体で、それまで日本版LLPと通称されていたものが「有限責任事業組合」と云う正式名称になりました。以下、ここでは便宜上「LLP」と呼びます。
先ず、<有限責任>ということは、出資者が出資額を超えて事業損失を負担することはないということです。株式会社などと同様ですね。次に述べるような<内部自治>は、民法上の組合を利用しても得られますが、民法上の組合の組合員は無限責任ですので、LLPと比べて出資者の抱えるリスクが大きいといえます。 次に、<内部自治>とは、組織の内部ルールを組合員(構成員)同士の合意により決定できるということです。つまり、株式会社の場合、株主平等原則というものがあって、出資比率に応じた議決権の付与と損益の分配が求められますが、LLPではそういうことが不要なのです。 第三に、<構成員課税>を説明しましょう。 以上のようなLLPの特徴を、他の事業体と比較した表を載せておきますので、参考にしてください。 <事業体別特徴比較表>
現在、LLP制度の活用が期待されている分野は、法人や個人が連携して行う共同事業です。経済産業省では、様々な共同事業を想定していて、LLPは、広汎な分野で「中小企業新事業活動促進法」に於ける「新連携」の支援を受けることが可能です。LLPで認定・承認を受けた計画に基づき、新連携対策補助金、新連携対応融資・保証制度、経営革新補助金、経営革新融資・保証制度などの支援策を受けることができるのです。 |
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金属加工の会社(株式会社)を経営しているのですが、これから会計参与という役職ができて、税理士を置かなければならないと聞きました。会計参与とはどのような制度なのでしょうか? |
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まず結論から申し上げますと、会計参与の設置はあくまで任意です。よって必ず置かなければならないものではありません。 会計参与とは2006年5月に施行される「新会社法」によって定められたものです。従来は監査役というポストがありましたが、会計参与はその代わりに置くことができるという位置づけになっています。ですので監査役がいる会社には会計参与を置く必要はありません。(両方置くことも可能です。) 会計参与になれる人は税理士・公認会計士(または税理士法人・監査法人)だけと決まっています。それ以外の人はなることはできません。 会計参与というポストを作ったねらいは、中小企業診の決算書類の信頼性の向上です。 会計参与の役割は取締役と共同で決算書類を作成し、株主総会で決算書類について報告説明します。また、会社とは別に5年間の決算書類の保存をしなければならず、株主・債権者から決算書類の開示を請求された場合には開示しなければなりません。 会計参与設置の方法ですが、定款に会計参与の氏名を記載する必要がありますので、株主総会で承認される必要があります。任期は取締役と同様ですので、2年間になります。 会計参与を設置した場合のメリットは、
しかし、実際に施行され少し時間が経ってみないと金融機関の評価がどの程度のものなのか見当がつかないというのが現状です。 実際に会計参与への就任を依頼するのは、現在の顧問になっている税理士の方に頼むケースが大部分だと思います。自社の顧問税理士と情報交換し設置の可否を判断されるのが良いでしょう。 |
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株式会社を設立しました。取締役会は、どれくらいの頻度で行えばよいのでしょうか? |
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現行の商法では、株式会社については、取締役は3人以上置かなければならず、取締役会の設置も必須であり、3ヶ月に1回の開催が義務付けられています(商法260条4項)。一方、有限会社については、法律上、取締役は1人以上であればよく、取締役会制度はありません(有限会社法25条、26条)。したがって、取締役会の最低回数についても法律上特に定められていません。 平成17年7月26日、これまでの商法から会社にかかわる部分を独立させて、さらに有限会社法など会社に関する諸法令などをひとつにまとめた新しい法律として、「会社法」が公布されました。この「会社法」の施行時期は、公布の日から起算して1年6ヶ月を超えない範囲で定められることになっており、平成18年5月と予想されております。 会社法の改正内容については、多岐にわたり、非常に多くの改正点がありますので、ここでは、ご質問の内容にかかわる部分に限ってご説明いたします。 まず、会社法の施行後は、有限会社法は廃止されることになります。施行前までに設立されている有限会社については、会社法の施行後は、特別な手続きをすることなく、自動的に株式会社とみなされることになります(このように、会社法の施行に伴い変更が生じる事項について、整理する法律を「会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(以下「整備法」)といいます)。この場合、会社の運営方法については、これまでの有限会社法の手続きで行われ、社名も「有限会社」という文字が残されます(整備法3条)。新たに株式会社という社名を利用したい場合は、移行の手続きを行うことにより、社名を変更することも可能です(整備法45条)。ただし、この場合は、これまでの有限会社法の手続きを継続することはできず、会社法に従わなければなりません。 会社法では、定款による株式の譲渡制限のない会社(「公開会社」)は、取締役3人以上から構成される取締役会を設置しなければならないとされ(会社法327条1項、331条4項)、取締役会を設置する会社は、これまでの商法の規定と同様に、取締役会を3ヶ月に1回、つまり年4回開催しなければならないことが定められています(会社法363条2項)。一方、公開会社でない会社、つまり定款によって株式の譲渡について会社の承認を必要としている会社(「株式譲渡制限会社」)については、取締役会の設置は強制されず、取締役の人数も1人でも構いません(会社法326条)。取締役会を設置しなかった場合は、当然取締役会の回数の制限も受けないことになります。 したがい、まず、ご自身が経営されている会社の定款に株式譲渡制限があるのかないのか、取締役が何人いるのか、などをご確認頂き、取締役会を設置する会社(会社法911条3項15号)に該当する場合には、会社法のもとでも年4回以上は、取締役会を開催しなければなりませんので、注意が必要です。 |
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会社法の施行等により、1円で開業できるって聞きました。1円で開業することはできますか? |
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開業は個人あるいは法人のいずれの形態でも、これを行うことが可能です。個人の場合は、創業後、最低限、税務署等に事業開始届けを提出するだけでよいことになっています。すなわち、いますぐにでも創業することができます。個人営業の場合、特に出資金についての制約はありません。また、5月からの会社法の施行により、株式会社についても最低の出資額が1円となりました。 つまり、現在では1円で株式会社が設立できることになっています。なお、有限会社は新会社法施行後、設立することができなくなりました。 したがって、資本金0円の会社を設立することが出来ます。ただし、資本金が0円であっても、株式の引受人は出資をしており、株式は発行されることになります。 0円であれ、1円であれ、現実的にはこのような脆弱な資本では、創業は困難であると考えた方がよろしいかと思います。営業活動をするにしても、交通費が必要となり、会社を設立する場合にも資金が必要となります。 |
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会社を設立したいと考えています。何でも好きな社名を付けられるというわけではないと聞いたのですが、社名を付ける際に気を付けるべきことがあれば教えてください。 |
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基本的には会社にどのような名前(商号)をつけるかは自由ですが、商号は、その会社の事業内容を第三者にイメージさせるようなものであり、わかりやすいものであることが大切です。いわば商号は会社の顔であり、名前ですから、今後の事業展開も考えていい名前を付けて下さい。
なお、「ABC」「abc」「エイビーシ」は同一商号に該当しません。また、漢字とカタカナ、ひら仮名も同様、同一商号には該当しません。 平成18年5月施行の会社法によって、類似商号規制は撤廃されました。これにより、従来の類似商号調査をする必要が原則なくなり、会社設立コストと時間が大幅に軽減されることとなりました。 上記のような留意点を考慮に入れつつ、詳細については登記所等で確認してください。 関連情報 |
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