農業法人には、「会社法人」と「組合法人」の2タイプがあります。
これに対して、農業生産法人とは、農地法上の概念であり、「農業経営を行うために農地を取得できる法人」ということになります。

農業法人の設立段階では、農地法2条の規定(①法人形態②事業要件③構成員要件④役員要件)の4つを満たす必要があります。
 具体的には、農事組合法人、株式会社(譲渡制限)、持分会社(合名、合資、合同会社)、有限会社のいずれかで、

構成員のうち、4分の3以上の農業関係者(農業従事者、農地提供者)の出資であることが必要です。また、農業生産法人の事業内容は、総売上の50%以上が農業・農業関連事業(農蓄産物の製造加工・貯蔵・運搬・販売、農業生産に必要な資材の製造、農作業の受託、林業等。)であることが要求されます。
 また、役員の要件では、過半数は、農業(関連事業を含む)の常時従事者(原則年間150日以上)である構成員であること。また、役員の過半数のさらに過半数は、法人が行う農作業に年間60日以上従事することが条件です。以上を満たしますと、農地法第3条許可申請となります。



農業生産法人の事業内容(農業・農業関連事業)
・ 農業
・ 農蓄産物の製造加工・貯蔵・運搬・販売
・ 農業生産に必要な資材の製造
・ 農作業の受託
・ 農村滞在型余暇活動に利用される施設設置運営、必要な労務の提供
・ 共同利用施設の設置
・ 林業等
・ その他事業(民宿、キャンプ場、造園、除雪等)
※ その他の事業を除いて、直近3ヵ年の売上高の過半数を占めることが条件となります。


農業生産法人の構成員

農業者や農業関係者の議決権が4分の3以上であること。なお、農業関係者とは、法人に農地を売却又は賃貸する個人、法人の農業の常時従事者、農業協同組合、地方公共団体(市町村など)をいいます。なお、農業協同組合、地方公共団体の100%の出資は不可となります。
また、残りの議決権の4分の1以下(1人当たり10分の1以下)は、法人と3年以上の継続的取引関係を有する者が該当します。
・法人から物資の供給又は役務の提供を受ける者
・法人に物資の供給又は役務の提供をする者
・法人の事業の円滑化に寄与する者(特許権、実用新案権等について、法人との間で契約を締結する者)

例えば、ライセンス契約する種苗会社、食品加工業者、生協、スーパー、農産物運送業者等


農地法第3条申請

農地法第3条許可申請は、権利移動に関するものとなります。平たく言えば、農家間の名義変更です。農地のまま、耕す人(所有者)が変更になる場合の許可となります。この場合は、農業生産法人が農業をする目的で農地の売買・貸借等をし、権利(所有権、永小作権、質権、賃借権等)を取得した場合です。なお、農地等を売買し、土地の名義変更をする際の所有権移転登記申請には、農地法許可書が必要となりますので、農業委員会又は都道府県知事の許可が必要となります。