学習塾


おもに受験マーケットで大きく伸びてきたが、最近は、需要の高い補習分野の強化を進める学習塾が目立つ。とくに「一人ひとりの能力に合わせた丁寧な指導」や「個別指導」をウリにする塾が増えている。

初期投資額が比較的小さいため、参入・撤退が容易で、個人経営が主体となっている。ただし、大手学習塾チェーンの傘下に入ったり、FCに加盟するなど、「系列化」が進みつつある。


少子化が進んでいることに加え、長引く不況の影響もあって通塾率は低下傾向にあり、生徒獲得競争が激化している。大手塾の攻勢が活発化していることもあり、明確な戦略を持たない小規模の個人塾は厳しい状況にある。

1. 起業にあたって必要な手続き

学習塾を開設するにあたって、とくに備えなければならない資格や条件というものはなく、手続きや届け出も不要である。ただし、「特定商取引に関する法律(特定商取引法)」により、誇大広告やクーリングオフに関して規定されている。

2. 起業にあたっての留意点・準備

学習塾には大きく分けて3つのタイプがある。
 ・進学塾:進学のための受験勉強を教える塾
 ・補習塾:学校の授業にあわせて、テスト対策を中心とした勉強を教える塾(とくに学力不振児だけを対象に教える塾もある)
 ・総合塾:進学塾と補習塾を兼ね備えた塾

学習塾の商圏は狭く、通常は半径3km程度、広くても10kmが限界とされている。そのため、商圏内の対象年齢層の人口は十分か、既存の学習塾はその何%を生徒にしているか、指導内容や進学実績はどうか、などについてあらかじめ調査し、指導方針やカリキュラムを工夫するなど、既存の学習塾との明確な差別化を図る必要がある。

学習塾の人気は講師によるところが大きいことから、学習塾経営の成否は有能な講師を確保できるかどうかにかかっているといえる。また、生徒の獲得には口コミが有効だが、これは「指導者・指導内容」に加え、「進学実績」にも強く影響される。

生徒のみならず親の満足度も高めるため、父母懇談会を行なったり、月報を発行したりしている学習塾も見られる。

3. 必要資金例

 

学習塾は、自宅の一室に机を置いただけでも起業が可能である。一方、駅前一等地のビルなどに大規模な教室を開設する場合や、FCに加盟する場合は、初期投資額も大きくなる。

ここでは、建物は自宅を改装して15坪、10席程度のスペースを設けて起業する際の必要資金例を紹介する。

 
(単位:千円)
項目 初期投資額
設備・工事費
什器・備品等
内装工事費 1,500
什器・備品 200
小計 1,700
開業費 アルバイト募集費 150
印刷・DM等販促費 20
開業前人件費 200
小計 370
総計 2,070
  ※アルバイト4名を講師として採用

  なお、教室の規模や設備・備品、講師数などによって、売上や経費は大きく異なる。各自の条件に応じた収支計画を検討してみることが必要である。

必要資金、売上計画、シミュレーションの数値などにつきましては出店状況によって異なります。 また、売上や利益を保証するものではないことをあらかじめご了承ください。