キャリア・カウンセラー

仕事を中心とした、個人のキャリア開発や職業選択の支援を行うためのカウンセラー。現在の雇用状況の悪化に伴い、注目される職業となっている。


政府が総合雇用対策のひとつとして打ち出した「5年間で5万人のキャリアカウンセラー養成」によって、多くの分野での活躍の場が一気に広がったといえる。各都道府県の雇用・能力開発機構に約300人のキャリアカウンセラーを設置するなど、行政機関としても力を入れていることがうかがわれる。


キャリアカウンセリングの実績を踏まえ、「自己開発」や「学生への就職支援」などのセミナー講師としてもニーズは高い。


1. 起業にあたって必要な手続き

複数の協会などがそれぞれ認定しているキャリアカウンセラー資格がある。独自に展開しているため、その協会によって名称も多少異なる。基本的には、「厚生労働省キャリア形成促進助成金(職業能力評価推進給付金)指定『キャリアコンサルタント』資格検定試験」に対応している協会を選ぶことがおすすめ。講座や通信講座を受講後、認定資格試験を受ける。


開業当初は個人事業として始める人がほとんど。その場合、一般的な手続きとして、個人事業の開廃業等届出書、所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産償却方法の届出書、青色申告承認申請書等を納税地の所轄税務署へ提出。また、個人事業開始申告書は事業所所在地の都道府県税事務所へ。詳しくは、最寄りの管轄行政に問い合わせを。


2. 起業にあたっての留意点・準備

1)営業上の留意点

 
  • 実績が重視される業種でもあるため、まずはできるだけ多くのカウンセリングを行って、実績をつくることが大切。
  • 自分の強みをつくって、それを中心に実績を積むことが早道。例えば、「女性のキャリア支援」や「学生のための就職支援」、「企業内での従業員能力開発支援」など、社会的に求められている分野を選びたい。
  • キャリアカウンセリング経験を積み、ステップアップの道としてセミナー講師があげられる。自分のステージを広げるためにも、行政機関や教育機関への売り込みも大切だ。
  • 個人情報保護の観点から、カウンセリングを受けた人たちの情報取り扱いについては細心の注意が必要。


2)経営上の留意点

 
 
  • 自分のある程度の時給単価を割り出しておくと良い。それをもとに、セミナー料金の設定やカウンセリング料金の設定ができる。
  • 得意分野が異なるキャリアカウンセラーとネットワークを組んで、受注体制を広げたほうが得策の場合もある。


3. 必要資金例
 ・創業までの費用内訳

  個人事業として始め、最初は事務所を構えない場合も多い。自宅開業なら、電話とファクス、パソコン、携帯電話があれば開業できる。開業資金10万円以下でも可能。ただし、キャリアカウンセラー資格を取得するための費用として、受講料20〜25万程度。通信講座は4万円程度が目安。別途、資格試験受験料が2万5000円程度かかる場合もある。