ペットホテル

近年ペットホテルは、動物病院やペット美容院、ペットショップなどとの併設型が主流となっている。
形態は、ペット美容院との併設で一時預かり用のケージを2〜3個設置しただけのものから、駐車場完備の大規模なペットホテルまでさまざま。前者は商店街や住宅街の一角でも運営でき、後者は空港近くなどの立地において展開される。
集客方法は、飼い主間の口コミが強いが、各ショップ独自にもつホームページも効果的である。また事前に飼い主とメールを交換するなど、信頼と安心を築くホテルも増えている。


1.起業にあたって必要な手続き

  「動物の愛護及び管理に関する法律」が2005年7月に法律の改正があり、動物取扱業を営もうとする者に対して、都道府県知事(指定都市にあってはその長)への届出制から登録制になった。動物取扱業の登録をせず営業した場合、20万円以下の罰金が科される。

◇動物取扱業の範囲
 ・業として、ペット動物などの取扱いを行なっている者
 ・飼養施設を有していること
のいずれにも該当する者
◇登録に必要な書類
 ・動物取扱業登録書
 ・飼養施設の平面図
 ・事業所付近の見取図など
◇登録書記載事項
 ・氏名または名称・住所(法人の場合は代表者の氏名)
 ・飼育施設を設置する事業所の名称および所在地
 ・動物取扱業の種別
 ・おもに取扱う動物の種類・数
 ・飼養施設の構造および規模
 ・飼養施設の管理方法
 ・営業開始年月日 など

また、収容頭数によっては、「化製場等に関する法律」に基づき、都道府県知事の許可を受けなければならない。
このほかにも、都道府県によっては、条例で「動物取扱主任者」などの資格取得や登録を義務づけているところもあるため、詳細については所轄の保健所に確認する必要がある。


2.起業にあたっての留意点・準備

 
立地
開業予定地周辺のペット所有人口がポイント。ペット人口を考える際、近隣のペット所有人口以外に、ショッピングセンターなど周辺施設を利用する流れも見込まれる。ニーズがあれば、大都市圏でなくとも開業は十分可能となる。
安全・衛生
動物を預かるという業務の性質上、伝染病対策には細心の注意を払う。基本的なものとしてケージ、部屋の消毒・清掃、予防接種の証明の提示を求めること、病気の動物の受け入れ排除などがある。また、周辺への影響を配慮した消臭対策は必須である。
料金設定
宿泊料金は動物の種類、大きさでコースを設けるところが多い。地域によって異なるが、
  ・小動物:1日預かり2500円前後
  ・大型・中型犬:1日預かり5000円程度
とする施設が多い。長期預かりについては、長期割引の適用なども検討する。
繁閑の差の克服
飼い主の旅行や外出の予定などに応じてニーズが発生するため、夏休みなどのレジャーシーズン、休日祝日に利用が集中し、平日は稼働率が落ち込む傾向がある。ペット美容院、ペットショップなど併設施設を検討してみることも必要である。
付加的サービスの充実
飼い主間の口コミにより評判が左右されることが多いため、自宅までの送迎、トリミングサービス、散歩、ペットのしつけ教室など、差別化できるサービスを充実させる。また、動物病院と提携して、いざというときでも迅速に対応できる体制をアピールする。


3.初期投資例

  大型ショッピングセンターの端にある10坪を賃貸、無休       (単位:千円)
物件取得費 2,000
設備工事費 4,300
ゲージ等 2,000
自動車 1,200
備品その他 500
看板・広告費 700
合  計 10,700


4.収支例

  ●月商 125万円
日商   5万円(1日平均 10頭、1頭平均単価 5000円)
月商 125万円(日商5万、月30日営業)

●月間諸経費 110万円
売上原価(餌、シャンプー等:)15万円
家賃:20万円
人件費(パート4人):50万円
水道光熱費ほか:25万円