合い鍵業


鍵・錠前の製造・販売・施行という従来の事業領域のほか、車の開錠等の出張サービスが近年急速に成長している。また侵入盗の増加、防犯意識の高まりもあり、事業領域・市場の両方が拡大している。
事業形態はおもに下記の2つに分けられる。
キースミス型:合鍵の製作・販売を主とする。スーパー等の一角に店舗を構え、靴等の修理と兼業しているタイプがよくみられる。
ロックスミス型:出張作業を主とする。鍵の紛失等のトラブル対応や修理・交換等のメンテナンス等 付加価値の高いサービスを実施する。
参入企業:フランチャイズチェーンが数多く存在し、防犯市場の拡大にあわせ加盟店を広く募っている。また比較的小資本で開業できることもあり個々の企業は小規模業者が多い。


1.起業にあたって必要な手続き

 
開業にあたっては原則的に自由である。一般の開業手続きとして、個人であれば税務署への開業手続き等、法人であれば、必要に応じて、健康保険・厚生年金関連は社会保険事務所、雇用保険関連は公共職業安定所、労災保険関連は労働基準監督署、税金に関するものは所轄税務署や税務事務所にて手続きをする。
合鍵業界は資格認定制度等がないため、技術があれば誰でも参入可能な状況である。


2.起業にあたっての留意点・準備

 
営業形態
合鍵業の営業形態として、FC加盟店、ロックメーカー等の代理店、その他一般店に区分される
起業に当たっては、FC加盟店になることが成功率が高いと言える。FC加盟のメリットとして、知名度による効果的な集客、営業ノウハウや技術指導を定期的に受けることが可能などである
FC選択のポイント
本部の経営方針が自分の考えに合っているかの見極めが重要である
ロイヤルティーも安価なFC、低率なFCを求めすぎるのも得策ではない。安価、低率であれば開業後のサポートも手薄なことが多い
営業テリトリーの制限の有無を注意する。開業後に近隣に別のFC加盟店が出店することもありうる
FC契約は複数年契約かつ契約締結後は解除、見直しが困難である。十分に内容を確認し、納得した上での契約が必要である
成功のポイント
合鍵業は販売業ではなく、実際は高度な職人技が要求されるサービス業である。 年々鍵の精度が上がり、それに対応して新しい技能を獲得する必要がある。 技能が上がらないと収益を確保することが難しいという性質の業界である。
防犯、財産保全の一角を担う業種でもあり、高い信頼性が求められる。地域密着型の事業活動とともに接客マナーや服装にも十分に留意し、地域・顧客からの信頼を得る必要がある。


3.必要資金例

  繁華街に10坪の店舗を開業する場合のモデルケース(単位:千円)
(単位:千円)
項  目 初期投資額
物件取得費 3,000
設備工事費・什器備品費等 5,000
開業費(FC加盟金、保証金、開業前人件費等) 2,825
合  計 10,825


4.ビジネスプラン策定例

  ●初年度売上計画例
店舗にて合鍵製造・販売を実施、出張サービスとして錠前の取付け・交換等の工事も実施した場合
(単位:千円)
  客数/日 (人) 客単価
営業日数 (日) 年商
合鍵製造・販売 75 3 225 2,700
防犯用品販売 25 2.5 62.5 750
小規模工事 65 20 1,300 15,600
防犯セキュリティ工事 1 500 500 6,000
合 計     2087.5 25,050

●モデル収支例
(単位:千円)
  初年度 2年度 3年度 4年度
売上高 25,050 26,303 27,618 28,999
売上原価 6,263 6,576 6,905 7,250
売上総利益 18,788 19,727 20,714 21,749
諸経費計 17,509 17,945 18,395 18,862
営業利益 1,279 1,783 2,318 2,888

売上計画やシミュレーション数値などにつきましては、出店状況によって異なります。また、売上や利益を保証するものではないことをあらかじめご了承ください。