カルチャースクール


労働時間の短縮、定年後世代の生活のゆとりなど社会生活を取り巻く環境変化が進むなかで、職業能力およびレジャー能力開発の必要性が生涯学習システムを生み、カルチャーブームを到来させた。
受講生の80%以上が女性である。余暇の活用という意味あいの講座の人気が高い。
大手企業が参入し、カルチャースクール事業は拡大・発展してきたが、個人経営のところもあり、様々なカルチャースクールが存在する。
生徒数の多いものは、資格取得、健康、ボランティア等である。学生であれば就職、主婦であれば副収入、OLであれば再就職や独立、余裕のある熟年・老年世代であれば余暇をボランティアで過ごすためといえる。
本業への集客を目的としてカルチャースクールを開校するショッピングセンター、手芸店、ペットショップ等が近年増加しつつある。


1.起業にあたって必要な手続き

  スクールビジネスとして各種学校の認可を受ける場合には、学校教育法の規定を準用することとされているため、都道府県(教育委員会)に申請しなければならない。ただし、商業施設内での各種教室や自宅を利用して開催する教室レベルの範囲で営業する場合は各種学校として認められず、また認可申請の必要もない。
一般の開業手続きとして、個人であれば税務署への開業手続き等、法人であれば、必要に応じて、健康保険・厚生年金関連は社会保険事務所、雇用保険関連は公共職業安定所、労災保険関連は労働基準監督署、税金に関するものは所轄税務署や税務事務所にて手続きをする。


2.起業にあたっての留意点・準備

 
大手スクールによるマーケットの寡占化はない。また小資本での開業が可能であり、新規参入増加の一因となっている。 地方自治体が主催する趣味・文化講座、充実した設備を誇る大学での社会人向け講座等も増えてきており、競争が激化している。
成功のポイントとしては、なによりも魅力ある講座づくりが必要である。受講生の視点や流行に合った講座を企画し、既存・競合スクールとの差別化を図る。魅力ある講座であれば、高額な受講料を設定しても受講生獲得は可能なのである。
講師料は全費用の中で最もウエイトが高い。有名講師は講座差別化のためには必要であるが、講師料高騰の原因であり、講師経験がなくても才能を持つ人材を発掘することで、講師料負担を軽減することが必須である。また、講座数を増やし、稼働率を高めることが必要となる。2教室の小規模スクールでも、月間190〜240講座まで設置が可能である。
新規受講生の募集についてもつねに必要である。広告・チラシも内容を十分吟味し、定期的に継続して実施する必要がある。


3.必要資金例

  住宅地に30坪のカルチャースクールを開業する場合のモデルケース(単位:千円)
項  目 初期投資額
貸借料 保証金(賃借料10カ月分) 3,000
敷金・礼金 600
小 計 3,600
設備工事費・什器等 内装工事費 2,000
設備工事(電気、空調他) 500
器具、備品 2,500
小 計 5,000
開業費 広告宣伝費・ 500
社員・アルバイト募集 他 200
開業前人件費 500
開業前賃貸料 150
小 計 1,350
合  計 9,950


4.ビジネスプラン策定例

  ●初年度売上計画例
平日:10人/講座×4講座/日=40人/日、土日:10人/講座×5講座/日=50人/日
(単位:千円)
  客数/日 (人) 客単価
日商 営業日数 (日) 年商
平 日 40 2 80 208 16,640
土曜日 50 2 100 52 5,200
日曜日 50 2 100 52 5,200
合 計       312 27,040

●モデル収支
初期投資回収 6年度
(単位:千円)
  年間増加率 変動費比率 初年度 2年度 3年度 4年度 5年度
売上高 1.0%   27,040 28,392 29,812 31,303 32,868
売上原価   15.0% 4,056 4,259 4,472 4,695 4,930
売上総利益     22,984 24,133 25,340 26,608 27,938
諸経費計     21,365 22,239 23,155 24,117 25,124
営業利益     1,619 1,894 2,185 2,491 2,814

売上計画やシミュレーション数値などにつきましては、出店状況によって異なります。また、売上や利益を保証するものではないことをあらかじめご了承ください。