クリーニング店(取次)

経営環境
 ・クリーニング取次店は、狭い商圏でも商売が成り立ち、開業費が低いため開業しやすい。
 ・形状記憶シャツの普及や家庭用洗濯機、洗剤の改良により、1人当たりの単価が年々減少、市場は縮小傾向にある。
営業形態
 ・営業形態は、自店で洗濯処理する「一般クリーニング店」と、洗濯物の受取・保管・引渡しを行なう「取次店」に分けられる。
 ・ 取次店には、洗濯処理する業者の直営店と、FCに加盟する取次店がある。以下、FC加盟の取次店の独立開業について述べる。
取次店の業務
 ・取次店の業務は、洗濯物の受取、一時保管、引渡しのみで、若干の研修を受ければ誰でもできる。
 ・ 店舗と棚以外にとくに必要な設備もなく、資金が少なくても開業可能である。


1.起業にあたって必要な手続き

  ●開業する際、クリーニング法に基づき保健所へ届出をし、検査や確認を受ける。
 (自店で洗濯処理する場合、「クリーニング師」(国家資格)が事業所ごとに1人必要となる。取次店は不要)
●開業までの流れ
1)FC各社から資料取り寄せ、比較検討。FCを選定、加盟手続き
2)開業25日前までに所管保健所に行き、申請用紙を受取り必要書類を作成
3)開業14日前頃までに所轄の保健所に申請


 
立地条件
クリーニング取次店は、自らの技術による差別化がむずかしいため、立地が重要となる。
基本的には交通の要所、商店街やスーパーの近隣等で、住宅街の近くが望ましい。出勤時・帰宅時に立ち寄る人も多いため、住宅街などへ向かう動線に立地しているほうがよい。
持ち運びに手間がかかるため、特定の住宅街にターゲットを定めたうえ、駅への動線のなかで住宅街寄りがよい。
取次店は店舗を借りて採算が取れるケースは少ないため、すでに保有している土地・建物の有効活用として考えるほうが好ましい(各チェーンでの取次店募集においても、大多数は既存の土地・店舗の有効活用が前提とされている)。
FCの選定
本部の工場で集中的に洗濯処理が行なわれるのでチェーンの技術力がカギとなる。
≪主な選定のポイント≫
【経営ノウハウ】
ブランド力…知名度・集客力
経営支援…スーパーバイザーによる定期的な店舗支援・経営指導の有無、その内容
情報システム支援…POS等の情報システム貸与の有無、利用料の有無
販売促進支援…広告・ポスターや販促グッズなどの提供、無料支援の有無
【技術】
技術力…本部の洗濯処理の技術力
サービス内容…洗濯以外の付加的サービスの有無
【収支面】
初期費用
手数料…通常売上の20%〜35%
【開業時の人数】
マージンは高くないため、従業員を採用せず、基本的に家族で営業する。
【営業時間】
標準的には8時〜19時程度
他店との差別化を図るためには、早朝・深夜営業をしたほうが顧客層を拡大でき、収益アップが期待できる。
家族営業を基本とすると早朝・深夜営業がしやすく、フランチャイズ直営店等でパート等を雇用する場合、早朝・深夜営業は困難なため、差別化のポイントになる。


3.資金例

  10坪の取次店を自宅の一部を改装して開業する場合の開業資金は、設備工事費や什器備品等で180万円、宣伝広告費などの開業費が100万円で、およそ280万円ほどになる。
初年度売上は、1日50人、客単価1000円、営業日数320日とすると1600万円になると予測できる。うち営業手数料収入をクリーニング売上の25%とすると、営業手数料収入は400万円となる。光熱費や消耗品などの諸経費が年間90万円ほどかかるとすると、年間営業利益は310万円となる。