コイン洗車場

1.起業にあたって必要な手続き

  コイン洗車場開業に際しては、該当地が農業専用地や住宅専用地区等の特別地区の場合には、届出が必要である。また、各都道府県により条例で規制される場合があるため、事前に所轄官庁の建築課もしくは都市計画課に確認する必要がある。
■関連法規:都市計画法、下水道法、道路法、水質汚濁防止法等
一般の開業手続きとして、個人であれば税務署への開業手続き等、法人であれば、必要に応じて、健康保険・厚生年金関連は社会保険事務所、雇用保険関連は公共職業安定所、労災保険関連は労働基準監督署、税金に関するものは所轄税務署や税務事務所にて手続きをする。


2.起業にあたっての留意点

  ●コイン洗車場を経営する際のメリットとしては、
 ・遊休地を活用できる
 ・比較的小資本で開業でき、収益率が高い
 ・毎日現金収入が得られるだけでなく、カード販売による先取り収入もある
 ・無人サービスでできるため、人件費・管理費コストが低い
 ・立て看板・フェンスを利用した看板広告がおもで、宣伝コストが低い
 ・ゲームセンターなど他業種を併設できる
 ・建築物を建てないため、用途の変更が容易
などがある。一方、デメリットとしては、
 ・利用客は土日に集中する
 ・天気に左右されやすい。天候の悪い2月や6月は売り上げが落ちる
 ・周辺の住民から汚水、騒音などによる苦情が多い
などがあげられる。
●交通量、店舗や住民の構成が立地を選ぶ際のポイントとなる。好ましい立地は、
・交通量の比較的多い幹線道路に面している
・幹線道路から奥まっていても、看板等を出せば利用客の誘導が可能
・周辺に大型のショッピングセンターがある
などがあげられる。
道路に面して出入口がとりやすく、女性ドライバーでも反対車線から容易に入場できる土地が望ましい。周辺のガソリンスタンドに門型洗車機があっても、客層が異なるため競合しにくい。
●商圏は、走行時間15分程度、半径3キロ以内であれば十分可能。
●ワックスがけのニーズが高まってきているため、専用スペースを広くとるところが増えている。
洗車機1基あたり50坪が必要といわれており、300坪(990平方メートル))程度の土地を確保するのが望ましい。大規模になるほど収益率は上がるが、1000平方メートル以上の土地利用には多くの規制があるので注意が必要である。
●幅広い年齢層の男性客だけでなく、女性客やファミリー層の利用も急増している。
● 固定客率が高い業種であるため、利用者をいかにリピーターにするかが成功のポイントになる。


3.収支例

  コイン洗車場の開業資金は、実際に開業する場所や土地面積により大きく異なる。たとえば、マンションが多い人口密集地の場合、10台以上のコイン洗車機が必要とされ、その場合の土地面積は300坪程度が望ましい。

●開業資金
通常、コイン洗車場開業に際して資金が必要となる項目は、
 ・土木工事(整地、コンクリート・アスファルト舗装)
 ・水道工事(瞬間湯沸しボイラー設備、配管など)
 ・排水工事(U字溝、油分分離槽設置など)
 ・電気工事(配電盤・水銀灯設置及び配線工事など)
 ・外壁工事(ブロック積、フェンス・テント工事など)
 ・その他雑工事
 ・消耗品費(洗剤代など)
 ・広告宣伝費など
 ・コイン洗車機 1台あたり150万〜200万円(リースも可能)

● 売り上げ
洗車機の利用料金は、水洗車、シャンプー洗車、ワックスがけなど、メニューにより異なる。

<コイン洗車場の料金体系例>
シャンプー&ワックス 800〜1300円
シャンプー洗車 600〜 900円
水洗車 500〜 800円
ブロー 400円
車内掃除機 100〜 200円
マット洗浄 100円

●洗車1台当たりのランニングコスト
1台の洗車機で月間450台程度の利用を目安にする。しかし、洗車場の規模や地域により、その台数にはばらつきがある。
コイン洗車場のランニングコストは、水、電気、洗剤などを全て含め、車1台当たり150円程度が目安となる。

●年間収支例
収入(利用料)、ランニングコストをもとに、洗車機利用による年間収支を算出すると次のとおり。
 ・利用料金:1台650円
     (洗車:500円、バキュームクリーナーや消臭等の付帯売上:150円)
 ・月当たり洗車台数450台

 ・収  入:450台×650円=29万2500円(月当たり)
        29万2500円×12カ月=351万円(年間)
 ・支  出:450台×140円=6万3千円(月当たり)
        6万3000円×12カ月=75万6千円(年間)
 ・年間収支:351万円−75万6千円=275万4千円
※計算は1台当たり。自店に当てはめる際には、台数に応じて年間収支に設置台数を乗じ、そこから人件費、洗車機リース料金、洗車機以外の光熱費、消耗費、税金、金利負担等の諸費用を差引き算出する。