語学学校


無認可校、小規模な語学教室が多い。半数近くは個人経営で就業者数10人未満の小規模学校が7割を占めている。一般的には英会話を教示する学校が多く、全体の9割を超えている。英語以外にも、中国語、フランス語が2割弱、ついでスペイン語、ドイツ語となる。韓国語の伸びが目立っている。
ビジネスのグローバル化の進展、海外旅行の増加、小学校の英語教育の導入など語学への関心から、語学学校の需要がますます高まっている。立地的には、大都市の駅周辺、住宅地に近い商店街に多く見られる。講師と教室があればオープンできるなど初期投資が小額で済み、簡単に開業できるため、小規模業者の参入が多い。


1.起業にあたって必要な手続き

 
各種学校は学校法人であり、都道府県知事の認可を必要とするが、税制面で優遇され制度融資も利用でき、定期券の学生割引が適用される。大手にはこうした学校法人もあるが、個人経営では認可を受けていない場合が多い。
一般の開業手続きとして、個人であれば税務署への開業手続き等、法人であれば、必要に応じて、健康保険・厚生年金関連は社会保険事務所、雇用保険関連は公共職業安定所、労災保険関連は労働基準監督署、税金に関するものは所轄税務署や税務事務所にて手続きをする。


2.起業にあたっての留意点・準備

 
外国人講師に人気があるため、いかに優秀な人材の獲得ができるかが課題となる。外国人講師を採用する場合は、トラブルが起こらぬよう在留資格の確認が必要である。また、少人数、マンツーマン指導スタイルをとる教室が多く、コミュニケーション力のある朗らかな講師を採用することもポイントである。
競合が激しいため、得意分野や特定の分野に絞り込んだ運営がポイントとなる。小規模経営の場合は、小回りの良さ、機動性を発揮し、生徒に応じたきめ細かな対応をしていく必要がある。外国の諸行事を取り入れたイベントや、パーティを開催するなどアットホームな雰囲気で楽しく学習できる工夫が必要である。最近は中高年の学習意欲が向上しており、若年層に比べ定着率が高いことなどから中高年対象のクラスの充実も検討すべきであろう。
休んだ場合の振替授業を受けやすくし、生徒の便宜にこたえ、損したと思わせないことが大切である。大手では、チケット制を採用するところが多いが、期限切れへの不満も多いため、チケット制を採用する場合も生徒サイドに立ったシステムが必要である。
生徒募集は、地域誌や口コミの活用で地域に密着した活動を地道に継続していくことが大切である。また、インターネットで広くPRすることも重要である。体験レッスンの開設、授業参観なども実施すると入会率を向上させる。
eラーニングや電話等によるレッスンも見られるが、実際に講師と接するフェイストゥフェイスの授業が効果的であり基本である。ハイレベルの知識や熱意に基づいた指導力は当然備わっていなければならないが、生徒に好感を持たれるコミュニケーション能力も必須である。


3.必要資金例

  自宅に10坪の語学教室を開業する場合
(単位:千円)
項  目 初期投資額
設備工事費費 内外装工事費 1,000
教室設備費 1,000
什器・備品費、その他 500
小 計 2,500
開業費 市場調査費 200
生徒募集広告費 100
講師募集費 100
教材費 500
水道光熱費、その他 100
小 計 1,000
合  計 3,500


4.ビジネスプラン策定例

  ●初年度売上計画例
(単位:円)
  生徒数 1人月謝 月商 年商
海外旅行用会話コース 40 12,000 480,000 5,760,000
シルバーコース 20 10,000 200,000 2,400,000
出張指導コース 10 13,000 130,000 1,560,000
合 計 810,000 9,720,000
*初年度は入会金は無料サービスとする。
*一例として上記コースを挙げたが、各教室の方針等で工夫することが大切である。

●モデル収支例
(単位:千円)
  年間増加率 変動費比率 初年度 2年度 3年度
売上高 7.0%   9,720 10,400 11,128
売上原価   13.0% 1,264 1,352 1,447
売上総利益     8,456 9,048 9,681
諸経費計     7,430 7,532 7,637
  人件費 1.0%   6,396 6,460 6,525
  水道光熱費   1,5% 146 156 167
  販売促進費   1.8% 175 187 200
  通信費   0.2% 19 21 22
  減価償却費     500 500 500
  その他経費   2% 194 208 223
営業利益     1,026 1,516 2,044
*減価償却費:設備工事費—5年償却
*人件費:事業主月収30万円、 講師給与20万円/月、 アルバイト1名(時給2,200円、実働時間—15時間/月) 
●初期投資回収   3年度

売上計画やシミュレーション数値などにつきましては、出店状況によって異なります。また、売上や利益を保証するものではないことをあらかじめご了承ください。