料理学校

現在存在する各種料理学校は、文部科学省の政令で都道府県知事の認可が必要な各種学校や専門学校としての認可を受けているところもあるが、授業時間数や年限が短期的で基準に達しない無認可校が多数で、受講する生徒も料理技術の習得やその情報収集が目的である。
女性が結婚しておいしい料理をつくることがあたりまえとされる価値観が少なくなったこと、若い女性の興味を引くその他の稽古事が多くなったことなど価値観が多様化したことから、結婚前の花嫁修業という形式で料理学校に通う生徒は減少している。料理教室に行く目的は、毎日の惣菜を安く、栄養バランスを考えて料理をおいしくつくる方向から、酒やパーティーの場や日曜日の家族団らんのための料理など、生活シーン別の捉え方になった。


1.起業にあたって必要な手続き

  準学校法人を設立する場合は各種学校設置基準に基づいた認可申請が必要になるが、自宅の一部やカルチャーセンターのようなところで料理教室を開く場合は、とくに認可を受ける必要はない。
それ以外には、一般の開業手続きとして、個人であれば税務署への開業手続き等、法人であれば、必要に応じて、健康保険・厚生年金関連は社会保険事務所、雇用保険関連は公共職業安定所、労災保険関連は労働基準監督署、税金に関するものは所轄税務署や税務事務所にて手続きをする。


2.起業にあたっての留意点・準備

 
生徒は主婦やOL等を中心とした構成であるため、学校や通勤の乗換え地点等交通に便利なところや女性の集まるショッピング街、専業主婦層の多い住宅地に立地するのがよい。
女性の需要だけではなく、男性対象や子供向け等、ニーズに合った料理講座を積極的に開講し、対象層を広げる。
固定的な時間帯だけでなく、フレキシブルな受講システムで生徒離れを防ぐ方法をとる。
入学は4月と10月が最も多く、授業時間は1回2時間、週1回で半年または1年の基礎コースが多い。短時間で一通りを習得するコースもある。
サロン的な雰囲気で生徒の集まりやすい雰囲気をつくる。デパートや食品関連業、カルチャー教室、有力会員組織、大手企業などとの業務提携・ネットワークづくりを行ない、同じ生徒層・客層との相互関連効果を考える。
独自路線の場合は、魅力ある講座等で他校との差別化を行なう。たとえば、イタリア料理、フランス料理、お菓子等に対象を絞った専門コース、健康・美容志向に訴えるコース、中高年齢層男性向けコースなど様々な講座を設定する。評判のよいレストランから一流シェフを呼ぶイベントも生徒にとっては魅力的である。こうした講座は趣味的な要素を含むため、受講料が割高なものもあるが、人気も高い。
生徒獲得のためには、学校の存在を認知してもらわなければならない。その方法として、電車やバス、店舗掲示板への広告、地域のコミニュティ誌や女性誌や専門誌の広告掲載を定期的に行なう。


3.必要資金例

  ショッピング街に、15坪の料理教室を開業する場合の必要資金例
(単位:千円)
項  目 初期投資額
貸借料 保証金 1,200
仲介料 120
小 計 1,320
設備工事費・什器等 内装工事費 1,000
共益費 30
設備工事(電気、空調他) 400
看板 200
什器備品 2,000
小 計 3,630
開業費 調査費 300
販促費 500
交際費 300
開業前賃貸料その他 520
小 計 1,620
合  計 6,570


4.ビジネスプラン策定例

  初年度売上計画例:年間売上高 11,800千円
 (15坪の教室で、生徒50人、入会金2万円、月謝2万円<材料費込み>とする)
モデル収支
初期投資回収 7年度
(単位:千円)
  初年度 2年度 3年度 4年度 5年度
売上高 11,800 12,400 12,700 12,800 12,900
売上原価 3,304 3,472 3,556 3,584 3,612
売上総利益 8,496 8,928 9,114 9,216 9,288
諸経費計 8,740 8,430 8,476 8,346 8,265
  人件費 4,200 4,200 4,200 4,200 4,200
  地代家賃 1,600 1,600 1660 1700 1700
  水道光熱費 700 710 720 730 730
  販売促進費 630 470 496 516 425
  通信費 180 190 200 190 190
  消耗品費 180 190 200 210 220
  減価償却費 800 600 600 400 400
  その他経費 450 470 400 400 400
営業利益 -244 498 638 870 1023

売上計画やシミュレーション数値などにつきましては、出店状況によって異なります。また、売上や利益を保証するものではないことをあらかじめご了承ください。