特別養護老人ホーム開業

特別養護老人ホームの事業主体は、社会福祉法人・市町村などの公益法人又は、公的機関であり、建設・運営に補助金などの支援があるものである。居室は、主に4人程度の複数人部屋で、サービス内容は、全国的にほぼ一律だが、多くの待機者がいるために、新しい入居者は要介護4〜5等の高齢者に限定されているものである。


日本社会は徐々に長寿化が進んできている。それに比例するかのように、体に障害を持ち、常時介護を必要とする者(いわゆるねたきり老人等)も年々増加している。そのような介護を必要とする者が適切な介護を受けることが必要となっており、特別養護老人ホームはそのようなニーズに応えるものである。


開業に当たっては、公的機関でない場合は社会福祉法人である必要がある。


1. 起業にあたって必要な手続き

  社会福祉法人を設立する必要がある。社会福祉法人が行うことの出来る事業は、社会福祉事業のみであり、社会福祉法で定められている事項を参照して設立しなければならない。各市町村ごとに施設や利用者の数などの計画が策定されているため、施設整備予定の市町村などと協議する必要がある。さらに社会福祉事業を行うに必要な基本財産が必要である。社会福祉法人設立認可等審査会に諮る必要もあり、様々な手続きが会社組織設立と大きく異なるため、事前に自治体などと綿密な打ち合わせが必要になる。
また、一般的に介護を取り扱うので、介護福祉士の免許・ケアマネージャーなどの免許を持った職員を置くことが必須である。


2. 起業にあたっての留意点・準備

  介護事業を運営するのに必要な設備、備品、一定のスペースの確保や、運営に関する基準に従った事業運営をしなければならない。特別養護老人ホームは社会福祉法人という公益法人や市町村等の公的機関にのみ許された公益事業であるため、行政の指導のままに建設しサービス提供することが原則となる。制度上は、建設設備内容や、各サービス内容については最低基準を満たしていればよい。それ以上のサービスを提供しても入居者に負担を求めることはできないため、どの特別養護老人ホームも、ほぼ横並びのサービスが提供されている。要介護高齢者の生活を維持するのに必要な住宅や食事・介護・医療等がすべてまとめられたパッケージ商品ということもできる。


3. 必要資金例

  設資金等の一部に対して、国、府、市町村の補助制度があるが、自己資金として建設資金等を用意する必要がある。さらに法人の設立当初の運転資金として、年間事業予算の約12分の1以上、介護保険法上の事業及び障害福祉分野における支援費対象事業の場合は12分の2以上の資金が必要である。
建設資金の借入金として、独立行政法人福祉医療機構という公的融資機関を利用する方法があるが融資限度額も決まっており、施設開設後返済しなければならない。