自動車整備業
● | 従来、整備市場は自動車保有台数の増加に支えられた安定市場とされてきたが、近年は売上が伸び悩む一方、カー用品店やガソリンスタンドなど異業種の新規参入によって整備工場数は増加している。 |
● | 競合が激化するなか、各社はサービス内容の明確化や整備料金の透明化、整備メニューの多様化などを図り、顧客満足度の向上に努めている。 |
1. 開業にあたっての必要な手続き
● | 自動車整備業を開業するには、基本法規である「道路運送車両法」に基づき、事業所ごとに地方運輸局長の承認を得なくてはならない。 |
● | 自動車整備業には、点検・整備までの「認証工場」(検査は国の車検場で行なう)と、自社で点検・整備・検査までできる「指定工場」がある。自動車整備業を始めるには、「認証工場」の資格をかならず取得しなければならない。 a)「認証工場」の条件 ・分解整備に従事する従業員を2人以上おく。 ・分解整備に従事する従業員のうち、整備主任者を1人以上おく(整備主任者は2級以上の自動車整備士の資格が必要)。 ・従業員数のうち、3級以上の整備士を4分の1以上おく。 ・整備する自動車に対応した作業場と機械設備を揃える。 →1997年2月より「専門認証制度」が誕生しており、特定の装置の整備のみができるといった認証を得ることも可能となっている。各条件を整えたうえで、地方運輸局長に申請する(窓口は各都道府県の陸運支局。書類も窓口にある)。 b)「指定工場」の条件 ・認証工場として承認を受けてから3カ月以上が経過している。 ・申請前の「再検査率」が3%以下である。 ・指定工場としての承認を申請する前の車検台数が定められた基準を超えている。 ・検査作業と整備作業とが分業化されている。 ・機械、建屋、敷地その他整備に必要な施設を整え、かつ、これらが合理的に配置されている。 ・作業が適切な作業管理のもとに、科学的および能率的に処理され、完成品に恒常性を有する。 ・自動車の整備技術について、基礎的な学識および相当の実務経験のある主任技術者を有している。 ・工員の組織および配列が合理的である。 ・自動車整備士技能検定規則による自動車整備士を相当数有し、その種類別人数の均衡がとれている。 ・事業の基礎が強固であり、かつ、健全な経営を行なっている。 ・法または指定規則の規定を遵守することができる体制を有する。 |
● | 自動車整備業を始める場合、基本となる道路運送車両法以外にも、 ・建築基準法 ・消防法 ・水質汚濁防止法 ・下水道法 ・騒音規制法 ・振動規制法 ・悪臭防止法 などが適用される。これらの取扱いは地域によって大幅に異なっている。 詳細に関しては、開業を検討している地域を管轄している市町村の担当部署で情報を得ることができる。 |
● | 資格取得までのおおまかな流れは次のようになる 1.自動車分解整備事業(認証工場)の認証条件を整える 2.地方運輸局に申請 3.自動車分解整備事業の認証を受ける 4.指定自動車整備事業(指定工場)になるための条件を整える 5.地方運輸局長に申請 6.指定自動車整備事業の指定を受ける |
2. 開業にあたっての留意点・準備
● | 料金設定については、ユーザー車検の拡大やディスカウント車検の登場により多様化し始めているため、次の点に留意して取り組む。 ・周辺事業者の料金設定の状況、営業区域内の需要動向を把握したうえで、慎重に設定する。 ・個々の整備料金を一覧表にして顧客に提示するなど、料金体系をはっきりさせる。 |
● | 社員教育の徹底については、「自動車整備業=サービス業」として認識し、受付業務に携わる従業員に対してのみでなく、整備士に対しても挨拶、接客などの基本を十分に指導する。 |
● | 他社との差別化を図るため、独自の付加価値サービスを提供していくことが求められる。 ・割引制度(車両持込割引、期日指定納車割引、早期予約割引など) ・座席の消毒 ・休日整備 ・工場にカラオケルームやサウナを設置(点検待ちの時間に利用できる) |
3. 必要資金例
幹線道路沿いに敷地面積200坪、店舗面積150坪で自動車整備業を開業する場合の必要資金例
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(注)減価償却額の計および総計は5年度までの金額
4. ビジネスプラン策定例
1) | 売上計画例 |
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2)損益計算のシミュレーション
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※人件費:社員6名、アルバイト3名 |
※ | 必要資金、売上計画、シミュレーションの数値などにつきましては出店状況によって異なります。 また、売上や利益を保証するものではないことをあらかじめご了承ください。 |