ユーザー車検代行業


1995年7月に車検制度が大幅に簡素化され、ユーザー自らが点検・整備を行ない車検を受ける「ユーザー車検」が広がった。しかし、陸運局での検査は平日となっているため時間的な制約があり、ユーザー車検を代行する業者が誕生したのである。


「スピード」と「価格」によって集客を図っている業者が多く、価格競争が激化している。また、整備業者やディーラー、カー用品店、ガソリンスタンドなどが相次いで参入したことにより競合が激しくなっており、単一事業として取り組むことは難しい。
中古車の買い取りやカー用品販売、ウィンドーフィルムの貼付、軽板金など、自動車関連サービスに複合的に取り組むことが望ましい。


1. 起業にあたって必要な手続き

ユーザー車検代行業を開業するにあたって、特別な資格・許可などは必要ない。
継続検査申請書類などの記入も代行する場合は行政書士の資格が必要となるが、通常は行政書士に書類の作成を依頼している。


基本的に車検を受けることを代行するだけであるため、整備業者のような知識や技術も必要としない。
ただし、部品交換や修理が必要となる場合もあるため、周辺の整備業者と提携しておくことが望ましい。
なお、顧客の信頼性を向上させるため、自動車整備士の資格保有者を置いたり、自動車分解整備の認証を取得している業者も見られる。


2. 起業にあたっての留意点・準備

1)立地条件

  立地条件としては、市場規模の面などから、できるだけ地方の中心都市近郊に立地することが望ましい。
また、効率を考えると、できるだけ陸運事務所との距離が離れていない場所に店舗を構えたい。


2)料金設定

おもな収益源は車検代行料だが、価格競争が激しくなっており、1万円以下の料金設定を打ち出す業者も見られる。
周辺の競合業者の価格設定やコース設定などをあらかじめ調べておく必要がある。


3)サービス

  ユーザーが代行業者に求めているのは、「利便性」である。競合が激化するなかで顧客を獲得するためには、早朝・夜間預かり、土曜日・日曜日などの預かり、自宅や職場への出張引き取りなどのサービスを行なうことも検討したい。


4)収支計画

  大手FCの多くは、年中無休・24時間営業を原則としている。立地によっては営業時間が午前7時から午後11時まででも収益を確保できるといわれているが、周辺の競合店の状況により24時間営業も必要となる。24時間営業に取り組む場合、人件費や光熱費などのコスト増に見合うだけの売上が確保できるかが重要である。こうした経営コストの増加分を考慮に入れて、営業時間を決定する。