持ち帰り弁当店
● | 女性の社会進出や「個食」の増加といった社会の変化や、調理済み食品への意識の変化などから、「中食」(弁当や総菜などの調理済み食品を家庭に持ち帰って食べること)の需要は今後も拡大が続くと予想され、持ち帰り弁当の市場も安定した成長が見込まれる。 |
● | 商圏が小さいため、営業に適した立地の確保がとくに重要である。また、スーパーやコンビニエンスストアとの競合も厳しく、メニューを中心にした差別化をいかに図れるかがポイントになる。 |
● | 注文を受けてから数分で商品の提供を求められるため、作業効率を上げるための仕組み作りや、従業員教育が必須である。 |
1. 起業にあたって必要な手続き
● | 持ち帰り弁当店の開業にあたっては、営業許可を所轄保健所の食品衛生課に申請する。また、食品衛生法では、各店に1人、食品衛生責任者を置くことが義務づけられている。 食品衛生責任者となるには、調理師、栄養士、製菓衛生師等の資格が必要である。資格者がいない場合、保健所が実施する食品衛生責任者のための講習会を受講すれば、資格を取得できる。 |
● | 一般の開業手続きとして、個人であれば税務署への開業手続き等、法人であれば、必要に応じて、健康保険・厚生年金関連は社会保険事務所、雇用保険関連は公共職業安定所、労災保険関連は労働基準監督署、税金に関するものは所轄税務署や税務事務所にて手続きをする。 |
2. 起業にあたっての留意点・準備
1)立地条件
オフィス街・商店街・住宅街・大学の周辺などで、以下のような条件を満たしていることが望ましい。 |
・ | 商圏人口 |
おもに周辺の住民や事業所の勤務者などが対象となる小商圏の業種である。商圏を半径400m(徒歩5分)として、その人口1万人がひとつの目安と考えられる。商店街や住宅街では、駅と住宅密集地(マンションなど)の最短経路上が望ましい。オフィス街や大学周辺で、近くに住宅街がない場合、顧客が昼食時に限定されがちであることも考慮に入れることが必要である。 |
・ | 世帯構成 |
商店街や住宅街の場合、世帯構成も立地の良否を判断する要素になる。たとえば、世帯員が多い、共働き家庭が多いなどの理由で、世帯主が40代の世帯で調理食品への支出が多い、など。 |
・ | 競合店の状況 |
同業種に限らず、スーパーやコンビニエンスストアも競合となる。周辺の競合店の状況(店舗数、売り場面積、品ぞろえなど)を把握し、自店の営業にどの程度、影響するかを予測しておく必要がある。 |
2)営業上の留意点
・ | 立地に合わせた営業時間の検討 |
営業時間は平日朝7時〜夜8時などが一般的であるが、立地によっては他の時間帯の需要が多い場合もある。帰宅するサラリーマンが通る商店街では深夜の需要も多く、住宅街では休日の売上が平日を上回ることもある。立地を見定めて、営業時間・営業日を設定することが必要である。 |
・ | メニューの差別化 |
来店頻度を高めるには豊富なメニューやメニューの定期的な入れ替えが必要になる。しかし、無計画なメニューの多様化は材料コストの増加につながる。限られた食材の組み合わせで、多くのメニューバリエーションを作るなどの工夫が必要である。 また、飲食店では、安全性や健康志向への対応が重要になっている。たとえば、商品プレートに食材の生産地や生産者、栄養成分、効果などを表示するなどの取り組みも考えられる。 |
3. 必要資金例
店舗面積15坪の持ち帰り弁当店を出店する際の必要資金例
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4. ビジネスプラン策定例(モデル収支例)
1)売上計画例
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2)損益計算のシミュレーション
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※ | 必要資金、売上計画、シミュレーションの数値などにつきましては出店状況によって異なります。 また、売上や利益を保証するものではないことをあらかじめご了承ください。 |