ペットショップ |
● | 核家族化の進行や高齢者のひとり暮らしの増加から「パートナー」としての需要や、ストレスの多い現代社会人の「癒し」の存在としてペットの需要が伸びている。 |
● | さらに、飼い主の精神的な支えとなったペットは、家族の一員として「コンパニオン・アニマル(伴侶動物)」と呼ばれ、人間並みに扱われる傾向が進んでいる。そのため、ペットフードの種類や質の向上、ペットホテルや美容院、トリミングサロン、ペット霊園など多種多様なサービスが生み出され、ペット市場は拡大を続けている。 |
1. 起業にあたっての必要な手続き
● | ペットショップは「動物の愛護および管理に関する法律」で定められている「動物取扱業」に該当する。同法の定めにより、ペットショップを開業するためには、事業所ごとに登録が必要となる。ただし、対象が哺乳類・鳥類・は虫類に限られているため、魚類専門などの場合は届出や登録の必要はない。 |
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動物取扱業者は、施設ごとに「動物取扱主任者」を置かなくてはならない。 ■登録 動物取扱業の開業にともなう必要書類の請求先・提出先は開業地域を所管する保健所のケースが多いが、地域によって異なる。登録時期についてはとくに定めはないが、ペットショップの概要が決まり次第、早急に図面などをもって管轄の役所などに相談する。 ■届出に必要な事項 ・氏名または名称・住所(法人の場合は代表者の氏名) ・飼育施設を設置する事業所の名称および所在地 ・動物取扱業の種別 ・おもに取り扱う動物の種類・数 ・飼育施設の構造、規模、管理方法、配置図・付近見取図 ※必要事項は都道府県により異なる。詳しくは管轄の役所に確認すること。 |
● | ペットホテル業、ペットレンタル業、ブリーダーも「動物取扱業」に含まれるため、複合サービスを提供する場合は一緒に届け出る。また、動物取扱業者には「動物取扱業者にかかる飼養施設の構造および動物の管理の方法に関する基準」のほか、都道府県レベルでも独自の条例による登録制度が設けられている場合があるため、事前に確認しておく必要がある。希少動物や危険動物に関しては、ワシントン条約にも十分注意する。 |
● | 動物用の医薬品を取り扱う場合は、薬事法に基づく「動物用医薬品特例販売業」の許可が必要となる。 |
2. 起業にあたっての留意点・準備
1)清潔感
清潔感のある開放的なショップにすることが重要である。店内は掃除がしやすいようにできるだけ角を作らず、丸みを帯びたものにするなどの工夫をする。悪臭防止のために一般よりも大型の換気扇を設置する。 |
2)騒音対策
ペットの鳴き声は生活騒音の苦情のなかでもっとも多く、防音装置をつけていてもエアダクトから鳴き声が漏れる場合がある。エアダクトからの騒音防止にはスポンジなどで対応するなどできうる限りの対策をとる。 |
3)店舗レイアウト
近年人気のあるペットショップは、多種類の動物を陳列することにより「小動物園」あるいは「ペットパーク」を想像させるようなエンターテインメント性をもっている。動物を観察しやすい陳列にするなど消費者が何度も店舗に通いたくなるような工夫をする。 |
4)店員
動物の特性や飼育方法はもちろん、動物由来感染症など幅広い知識を習得していることが望ましい。 |
5)「商品の品揃え」「サービスの強化」2つの方向性
幅広い品揃えを誇る大型店舗に対し、中小規模の店舗では、きめ細かいサービスで顧客の囲い込みを図っているケースが多い。ペットの餌や健康などペットの飼育に関してアドバイスしたり、ペット美容院やペット医院などを併設することにより、顧客のニーズに応える体制を整え、たんに商品を販売するだけの量販店との差別化策を図っている。 ペットに対する捉え方の変化、すなわち、「飼う」という感覚から「ともに暮らす」という感覚への変化から、このようなサービスが顧客の固定化に結びつく可能性は高い。 ペットショップの開業を考える際は、こうした現状を意識しながら、取り扱うペットの種類や提供するペット関連サービスを決定する。 |
3. ペット生体仕入れの留意点
1)仕入れルート
望ましい仕入れルートとは、「健康な生体を安定的に供給してくれるルート」といえる。犬・猫の場合は、自ら繁殖させる自家繁殖のほか、ブリーダー(繁殖業者・個人の繁殖家)、競り市場(ペットオークション)、専門卸売業者、輸入業者などからの仕入れになる。 鳥類や魚類などは、輸入業者、生産・繁殖業者(国内)、専門卸売業者などからの仕入れとなる。 |
2)生体の健康状態の把握
ペット販売では生体の病気にもっとも注意を払わなければならない。仕入れた生体の健康状態を的確につかむためには、生体の飼育環境が把握でき、飼育法なども信頼できる業者から仕入れ、飼育環境を把握しておくことが重要である。 また、生体が一定数を超えると衛生面のトラブルを防ぎきれない場合があるため、あまり多くの生体を店舗におくのは避ける。 |
3)ペットの流行
大型犬の人気が高かったときもあったが、近年はひとり暮らしの狭い住宅でも飼うことが可能な小動物の人気が高まっている。また、同品種の中でも毛の長さや色、斑紋などによる流行もあるため、つねに人気の品種を把握するようにしておく必要がある。 |
4. 必要資金例
● | 自宅の一室で開業する、ホームセンターのような大型店にテナント出店するなど、さまざまな店舗形態が考えられる。どのような商品・サービスを、どのような規模で提供するかなどにより、必要な開業資金は大きく異なる。 |
ビルの1階部分を改装した40坪の店舗で、犬・猫のペット販売のほか、ペット用品販売とトリミングサービスを行なう場合の必要資金例
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5. ビジネスプラン策定例
1) | 売上計画例 |
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2)損益計算のシミュレーション
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※人件費:社員2名、アルバイト1名 |
※ | 必要資金、売上計画、シミュレーションの数値などにつきましては出店状況によって異なります。 また、売上や利益を保証するものではないことをあらかじめご了承ください。 |