パソコンインストラクター


パソコンインストラクターにはさまざまな区分があるが、おおまかには、「アプリケ−ションインストラクター」「開発系トレーナー」「ネットワークインストラクター」「各種認定トレーナー」に区分される。
 ・アプリケーションインストラクター… パソコンのエンドユーザーを対象に、OSやアプリケーションの操作や活用方法についてのインストラクションを行なう
 ・開発系トレーナー… 開発言語やプログラミングに関するインストラクションを行なう
 ・ネットワークインストラクター… ネットワーク運営者などを対象に、ネットワーク構築のインストラクションを行なう
 ・認定トレーナー… 各種認定試験の教育ライセンスを所有し、認定スクールでのインストラクションを中心に行なう

中心となるアプリケ−ションインストラクターは、学校法人や個人パソコン教室のインストラクターである。パソコンの操作などを学びたいというニーズをもっているのは高齢者や低年齢層が多いため、生徒に対してコミュニケーションがとれる能力が重要になる。「技術」を売るのではなく「コミュニケーション能力」がインストラクターに必要とされる。

1. 起業にあたって必要な手続き

  法律的に要求される資格などはとくにない。ただし、インストラクターになろうとする場合、関連する資格取得が前提となる。一般的な資格には以下のものがある。パソコン関係のハード、ソフトともに日々進化しているため、インストラクターとして常に新しい知識を身につけておくことが求められる。

<主催・実施者と、おもな認定制度・試験>
 ・マイクロソフト…マイクロソフトオフィシャルトレーナー(MOT)認定制度
 ・パソコン検定協会…P検インストラクター試験
 ・日本情報教育検定協会実施…パソコンインストラクター認定試験
 ・全日本情報学習協会…パソコン講師資格認定、文章処理試験
 ・日本商工会議所…ビジネスコンピュ−ティング検定試験

なお、個人でパソコン教室を開業し、学校法人とする場合には、専修学校または各種学校登録が必要となる。

2. 起業にあたっての留意点・準備

1)独立形態
  パソコンインストラクターとして独立するにあたっては、パソコン学校・教室とインストラクター契約を結ぶ場合と、自らパソコン教室などを開業するケースが考えられる。さらにパソコン教室などを開業する場合、個人で独立するケースとフランチャイズ(FC)制度を利用して開業するケースに分けられる。

 ・派遣・契約型
インストラクターの資格、能力により収入が大きく異なる(一般派遣パソコンインストラクターの場合で、1,300円〜5,000円/時間)。派遣契約の場合でも、自己の能力・経験を的確に派遣元や派遣先に提示する努力が必要である。派遣会社と契約せずに個人事業主として独立する場合、自己PRのパンフレット、実績を明示したキャリアシートなどを作成して積極的にPRすることが重要な営業活動となる。インストラクター同士の人間関係構築も重要である。

 ・独立開業型
独自で開業する場合、10坪ほどのスペースを確保できる物件の取得費が大きな必要資金となる。自宅を利用して起業する事例もあり、こうした場合、少人数で顧客を絞り込み、リピーター、固定客を増やす営業活動や工夫が重要になる。

 ・FC開業型
FCに加盟して開業する場合、FC本部には、女性中心の展開、子供中心の展開、シニア層に絞り込んだ展開、幅広い顧客を集める展開など特徴があるので、自信が納得できる経営が可能かを十分に検討することが肝要である。また、研修、運営や生徒募集のサポートなどの支援を受けられる反面、年間サポート費用、ロイヤルティーの水準などに留意する必要がある。

2)ターゲットを明確に、固定客化を図る
  独立型でパソコン教室を開業する場合、顧客層を絞り込み、固定客化の(リピーターを増やす)工夫が必要になる。FC型においても、どのような顧客がターゲットで、その顧客をつなぎとめる工夫があるかを確認することが、加盟を決定する場合に検討すべき項目になる。受講生をクラブ化して、教室と長期の関係を作る仕組みが用意されているかなども検討するべきである。

また、シニアや低年齢児童は、パソコンの操作技術はもちろん、「楽しめる場所」を望んでおり、生徒とのコミュニケーション能力が求められている。 また、シニア層に関しては、パソコン教室がパソコンの技能向上だけでなく、仲間づくりの場や地域の人々との交流の場になる。簡単なワープロ操作を覚えたら、その技術を使って絵葉書の作成講座を用意するなど、講座の開発・設定が重要である。

3)経営者意識を持つ

3. 必要資金例

1)派遣・契約型
   ・インストラクターの資格取得には、30万円から60万円程度の費用が必要である。
 ・本格的なインストラクターを目指すのであれば、2年程度の期間がかかる。

2)独立開業型
10坪、パソコン7台のパソコン教室を開業する際の必要資金例
 
(単位:千円)
項目 初期投資額
物件取得費 保証金(賃貸料10カ月分) 1,800
仲介料(賃貸料1カ月分) 180
小計 1,980
設備工事費 パソコン(7台) 700
プリンターなど周辺機器 100
椅子・机 140
使用ソフト 100
空調設備など 200
小計 1,240
開業費 広告宣伝費 400
看板・のぼり・ポスター 100
その他雑費 100
小計 600
総計 3,820

3)FC開業型
教室は自宅を利用し、7坪、パソコン7台のパソコン教室を開業する際の必要資金例
 
(単位:千円)
項目 初期投資額
設備工事費・什器備品費 パソコン(7台) 700
プリンターなど周辺機器 100
テレビ・ビデオ(7セット) 140
椅子・机 140
空調設備など 200
小計 1,280
FC関係費用 加盟金 300
広告宣伝費 400
教材(ビデオ他) 200
その他雑費 100
小計 1,000
総計 2,280

  なお、独立形態や資格・能力などによって、売上は大きく異なってくる。各自の条件に応じた収支計画を検討してみることが必要である。

  ※必要資金、売上計画、シミュレーションの数値などにつきましては状況によって異なります。
  また、売上や利益を保証するものではないことをあらかじめご了承ください。