アイスクリームショップ


 
FC本部の指導により経験がなく小スペース・少資本でも開業が可能でるため、フランチャイズチェーン(FC)システムの加盟店が大部分を占めている。加盟店には個人のほか、異業種からの参入もある。
営業形態は立地条件により大まかに3タイプに分けられる。
 ・ビルイン店舗型…15〜18坪規模で、駅周辺のビルや繁華街・商店街などの通行客をターゲットとする。
 ・フリースタンディング型店舗…20坪程度規模で、幹線道路沿いに駐車場を併設して車利用者をターゲットとする。
 ・インショップ型店舗…約8坪規模で、駅ビルやショッピングセンターなどの大規模商業施設の来店客をターゲットとする。
コンビニエンス・ストア(CVS)などで市販されているアイスクリームの品質が向上していることなどにより市場規模は縮小傾向にある。


1.起業にあたって必要な手続き

  飲食店の開業にあたっては、営業許可を所轄保健所の食品衛生課に申請する。また、食品衛生法では、各店に1人、食品衛生責任者を置くことが義務づけられている。
食品衛生責任者となるには、調理師、栄養士、製菓衛生師等の資格が必要である。資格者がいない場合、保健所が実施する食品衛生責任者のための講習会を受講すれば、資格を取得できる。

一般の開業手続きとして、個人であれば税務署への開業手続き等、法人であれば、必要に応じて、健康保険・厚生年金関連は社会保険事務所、雇用保険関連は公共職業安定所、労災保険関連は労働基準監督署、税金に関するものは所轄税務署や税務事務所にて手続きをする。


2.起業にあたっての留意点・準備

  ●商品の性格上、冬期の売上高はピークである夏期の1/3程度に下がることもある。
●経営のポイント
店頭の流動客がおもな客層であるため、健康志向をコンセプトにする、季節感を演出する、オリジナル商品を創作する、接客マナーの向上などで固定客を増やしていくことが大切である。
テイクアウトの他に、イートイン形式も採用すると顧客単価がアップして総売上高が増加する。また、ハンバーガーやクレープ、ワッフルなどを組み合わせて販売すると売上高アップに効果がある。カフェ風に洋菓子や中国茶を扱うことも話題性の一因となる。
おもな客層が若い女性であり、店舗イメージ(プリティタイプ、シティタイプ、カジュアルタイプなど)が客数を左右するので客層に合わせた店舗イメージを採用する。
顧客の希望を聞いてフレーバー、製法、バリエーションでオリジナリティを示し、それぞれについての商品説明をすると顧客の信頼が増すので工夫と商品知識は不可欠である。
顧客の健康志向などに応えるために、アイスクリームや組合せ商品の素材となる牛乳や有機野菜等を契約生産者から購入する。


3.必要資金例

  繁華街に10坪、テイクアウトとイートインスペース10席の店を開業するケース(家賃3万円/坪×10坪)
                                        (単位:千円)
項  目 初期投資額
貸借料 保証金(賃借料10カ月分) 3,000
敷金(1カ月分) 300
礼金(1カ月分) 300
小 計 3,600
設備工事費 改装工事費 5,000
デザイン費 500
看板工事費 100
厨房設備費 500
空調設備費 800
家具・調度品費 1,000
什器・備品費 500
ユニフォーム 100
電話・有線 150
POSレジスター 250
その他経費 1,000
小 計 9,900
開業費 市場調査費 500
従業員募集費 100
開業前賃貸料 300
研修費 200
小 計 1,100
合  計 14,600


4.ビジネスプラン策定例

  ●初年度売上計画例(客席数10席)
(単位:千円)
  客数/日 (人) 客単価
日商 営業日数 (日) 年商
平 日 180 0.40 72 240 17,280
土曜日 350 0.50 175 52 9,100
日曜日 330 0.55 182 52 9,438
合 計       344 35,818

●モデル収支
人件費:社員1名×給料25万円、アルバイト2名×800円×8時間
初期投資回収 3年度
(単位:千円)
  初年度 2年度 3年度 4年度 5年度
売上高 35,818 36,893 37,999 39,139 40,313
売上原価 10,745 11,068 11,400 11,742 12,094
売上総利益 25,073 25,825 26,600 27,398 28,219
諸経費計 19,700 20,291 20,900 21,527 22,172
  ロイヤリティ 1,791 1,845 1,900 1,957 2,016
  人件費 7,403 7,699 8,007 8,327 8,660
  建物賃貸料 3,600 3,636 3,672 3,709 3,746
  水道光熱費 358 369 380 391 403
  販売促進費 1,075 1,107 1,140 1,174 1,209
  通信費 358 369 380 391 403
  保険・修繕費 537 553 570 587 605
  減価償却費 1,782 1,782 1,782 1,782 1,782
  支払利息 396 396 396 396 605
  租税公課 358 369 380 391 403
  その他経費 2,042 2,166 2,292 2,420 2,549
営業利益 5,373 5,534 5,700 5,871 6,047

売上計画やシミュレーション数値などにつきましては、出店状況によって異なります。また、売上や利益を保証するものではないことをあらかじめご了承ください。