イタリアン料理店

イタリアンレストランは、平成2〜3年の「イタメシ」ブームと共に拡大し、いまや日本の食文化にはなくてはならないカテゴリーを形成している。その理由としては、フランス料理店の高級感ではなく、気軽にリーズナブルな雰囲気での食事を楽しむことができる店が多い点、日本人が好む麺(パスタ)が料理の中心となっている点、オリーブオイルや有機野菜の健康志向とイタリア料理とが合致している点などがあげられる。


1.起業にあたって必要な手続き

  飲食店の開業にあたっては、営業許可を所轄保健所の食品衛生課に申請する。また、食品衛生法では、各店に1人、食品衛生責任者を置くことが義務づけられている。
食品衛生責任者となるには、調理師、栄養士、製菓衛生師等の資格が必要である。資格者がいない場合、保健所が実施する食品衛生責任者のための講習会を受講すれば、資格を取得できる。

一般の開業手続きとして、個人であれば税務署への開業手続き等、法人であれば、必要に応じて、健康保険・厚生年金関連は社会保険事務所、雇用保険関連は公共職業安定所、労災保険関連は労働基準監督署、税金に関するものは所轄税務署や税務事務所にて手続きをする。


2.開業にあたっての留意点・準備

 
提供すべきメニュー構成
イタリア地方のある郷土料理に特化するのか、なじみ深いメニューを中心に提供するのか等、提供するメニューを中心として自店舗の差別化要因を抽出する。また、季節にあわせてメニューを変更して目新しさなどを演出したり、イタリアンワインを豊富に揃えることも必要である。
開業候補地の市場調査
提供メニューに合致した顧客が存在するエリアを中心に調査を進めてゆく。人口、性別・年齢、最寄り駅の乗降客数、人口動線などにより、その候補地がどういった特徴のある市場なのか商圏内のニーズ、競合店の調査を把握し、客観的な視点からコンセプトがビジネスとして成り立つかどうかを再度検討する。
店のコンセプトと合致した店舗演出
高級店のリストランテ、カジュアル店のトラットリア、立ち飲み居酒屋風のバール、ピザ専門のピッツェリアなど、店舗のコンセプトにより、内外装や装飾、調度品などのイメージを統一して、演出する 。
心地よいサービスの提供
固定客を掴むために、「またここに来店したい」思われるようなサービスを提供する。カジュアルイタリアンであれば家庭的なサービス、高級店であればスマートなサービスなどで、顧客の満足度を高めることが重要である。従業員教育を行ない、常に接客サービスの向上を目指す。ワインの品揃えが充実しているのであれば、ソムリエをおき、顧客の要望に応じてワインを提供できるようにする。


3.必要資金例

  都心部に高級イタリアンレストランを開業する場合の必要資金例
(単位:千円)
項  目 初期投資額
物件取得費 保証金 23,400
小 計 23,400
設備工事費・
什器備品費等
内外装工事費 40,000
厨房工事費 8,400
什器・備品 13,150
小 計 61,550
開業費 印刷・DM等販促費 1,800
仕入資金 4,100
開業前人件費 480
開業前賃貸料 1,800
開業前水道光熱費・その他 650
小 計 8,830
合  計 93,780


4.ビジネスプラン策定例

  ●モデル収支例
(単位:千円)
  初年度 2年度 3年度 4年度 5年度
売上高 34,160 34,843 35,540 36,251 36,976
直接材料費 12,058 12,300 12,546 12,797 13,052
諸経費計 12,878 13,113 13,353 13,597 13,846
  人件費 5,773 5,889 6,006 6,126 6,249
  不動産賃借料 1,800 1,818 1,836 1,855 1,873
  水道光熱費 1,810 1,847 1,884 1,921 1,960
  販売促進費 342 348 355 363 370
  通信費 205 209 213 218 222
  消耗品費 1,025 1,045 1,066 1,088 1,109
  その他経費 1,923 1,957 1,992 2,028 2,064
営業利益 9,224 9,430 9,642 9,857 10,077

●初期投資回収  6年度

売上計画やシミュレーション数値などにつきましては、出店状況によって異なります。また、売上や利益を保証するものではないことをあらかじめご了承ください。