ファーストフード

 
提供する商品には軽食から中食(弁当等)までを含み、さらには間食的な性質を持つものなど幅が広い。
洋風ファーストフード(FF)店ではドーナツ、アイスクリーム、サンドイッチ、ピザ、フライドチキン、ハンバーガーなどを扱い、和風FF店と
してはおにぎり、うどん・そば、お好み焼き、回転すし、牛丼、持ち帰り弁当、持ち帰りずし、天丼、たこ焼きなどを商品としている。
注文から提供までの時間が短く、セルフサービスやカウンターサービス、持ち帰り形式で比較的廉価な商品を提供する。
飲食業の売上高ランキングではフランチャイズチェ−ン(FC)の寡占となっており、上位を日本マクドナルド、ほっかほっか亭総本部、ミスタードーナツ(ダスキン)、日本ケンタッキー・フライド・チキンなどが占めている。


1.起業にあたって必要な手続き

 
飲食店の開業にあたっては、営業許可を所轄保健所の食品衛生課に申請する。また、食品衛生法では、各店に1人、食品衛生責任者を置くことが義務づけられている。
食品衛生責任者となるには、調理師、栄養士、製菓衛生師等の資格が必要である。資格者がいない場合、保健所が実施する食品衛生責任者のための講習会を受講すれば、資格を取得できる。
一般の開業手続きとして、個人であれば税務署への開業手続き等、法人であれば、必要に応じて、健康保険・厚生年金関連は社会保険事務所、雇用保険関連は公共職業安定所、労災保険関連は労働基準監督署、税金に関するものは所轄税務署や税務事務所にて手続きをする。


2.起業にあたっての留意点・準備

  ●展開している企業のほとんどは個人あるいは法人のFC加盟店で独立店は少ない。
和風FF店:牛丼(吉野家、松屋、すき家、なか卯等)、天丼(てんや、丼丼亭、てんこもり)、海鮮丼(ザ・どん、魚河岸まぐろ市場)、たこ焼き・お好み焼き(一口茶屋、銀だこ)、おにぎり(Om's、おむすび伝)
洋風FF店:ハンバーガー(日本マクドナルド、モスフードサービス、ロッテリア)、持ち帰り弁当(ほっかほっか亭総本部、本家かまどや)、フライドチキン(日本ケンタッキーフライド・チキン)

●経営ポイント
チェーン加盟では経営形態が本部主導型であるため、契約条件が企業経営に大きく影響する。加盟契約料、保証金、ロイヤリティ、契約期間などの条件が負担にならないように留意する。
チェーン間の価格戦略と出店競争が激化している。仕入体制、収益力、人材教育などへの本部の指導力と競争力が加盟の判断基準となる。
収益を確保するためには恒常的な経営管理力が求められる。仕入管理、サービス水準の維持などで収益重視の経営スタイルを確保する。
料理提供時間として、受注から提供時間まで3分未満であることが肝要となる。ただし、「安い・早い」からといってお客様を失望させないよう質的・量的に一定以上のものを提供することが大切である。
売上高のアップを図ることも必要だが、コストコントロールにより収益力を確保することが必要である。チェーン店の場合、本部が支配しているので、加盟店がコストを削減して収益力を確保するためにはいかにシステムを維持しているかが勝負どころとなる。
差別化戦略は「高付加価値化」と「低価格化」に二極化している。「高付加価値化」は大都市における好立地での収益重視型戦略として効果があり、「低価格化」は若者層の多い地域での売上高確保型戦略として効果がある。


3.必要資金例

  商店街にFC加盟店として20坪、30席のうどん専門店を開業するケース
(家賃1.5万円/坪×20坪、30席)
(単位:千円)
項  目 初期投資額
物件取得費 保証金(賃借料10カ月分) 3,000
敷金(1カ月分) 300
礼金(1カ月分) 300
小 計 3,600
設備工事費・什器備品費 改装工事費 6,000
デザイン費 600
厨房設備費 3,000
看板工事費 300
空調設備費 1,000
家具・調度品費 1,000
レジスター 250
什器・備品費 450
ユニフォーム 250
宣伝広告費 350
電話・有線 150
その他経費 13,850
小 計 27,200
開業費(運転資金) 加盟店契約料 2,000
保証金 400
従業員募集費 400
開業前賃貸料 300
水道光熱費・その他 1,000
小 計 4,100
合  計 34,900


4.ビジネスプラン策定例

  ●初年度売上計画例(客席30席)
(単位:千円)
  客数(人) 客単価 日商 営業日数(日) 年商
平日 120 \800 96 300 28,800
日曜日 120 \900 108 52 5,616
合 計       352 34,416

●モデル収支例
人件費:社員1名、給与25万円/月額、パート2名、時給800円×9時間/日
初期投資回収 4年度
(単位:千円)
  年間増加率 変動費比率 初年度 2年度 3年度 4年度
売上高 3.0%   34,416 35,448 36,512 37,607
売上原価   25.0% 8,604 8,862 9,128 9,402
売上総利益     25,812 26,586 27,384 28,205
諸経費計     20,650 21,269 21,907 22,564
  ロイヤリティ   2% 688 709 730 752
  人件費 4.0%   8,069 8,392 8,727 9,077
  建物賃貸料 1.0%   3,600 3,636 3,672 3,709
  水道光熱費   5.1% 1,755 1,808 1,862 1,918
  販売促進費   0.5% 172 177 183 188
  通信費   1.0% 344 354 365 376
  保険・修繕費   1.5% 516 532 548 564
  減価償却費 設備工事費:5年償却 2,770 2,770 2,770 2,770
  支払利息 設備工事費×4% 554 554 554 554
  租税公課     294 294 294 294
  その他経費     1,887 2,043 2,202 2,362
営業利益     5,162 5,317 5,477 5,641

売上計画やシミュレーション数値などにつきましては、出店状況によって異なります。また、売上や利益を保証するものではないことをあらかじめご了承ください。