喫茶店
● | 外資系を含めたセルフサービススタイルコーヒーショップの進出やファストフード店の喫茶需要への対応などにより、コーヒーや軽食を安く・手軽に・手早く提供する店が増え、従来型の喫茶店は顧客を奪われている。 |
● | 厳しい競合状況のなかで安定的な収益を上げるには、その時代の消費者ニーズを把握し、それらに基づいた経営コンセプトを設定したうえで事業に取り組むことが重要となる。 |
1. 起業にあたって必要な手続き
1)食品衛生法に基づく営業許可
飲食店の開業には保健所の許可が必要である。喫茶店の場合、「飲食店営業」か「喫茶店営業」のどちらかを申請する。「喫茶店営業」とは、「喫茶店、サロンその他設備を設けて、酒類以外の飲食または茶菓を客に飲食させる営業」のことを指す。食事メニューの充実を考えるのであれば「飲食店営業」の申請が必要である。 |
飲食店の開業にあたっては、営業許可を所轄保健所の食品衛生課に申請する。また、食品衛生法では、各店に1人、食品衛生責任者を置くことが義務づけられている。 食品衛生責任者となるには、調理師、栄養士、製菓衛生師等の資格が必要である。資格者がいない場合、保健所が実施する食品衛生責任者のための講習会を受講すれば、資格を取得できる。 |
2)深夜酒類提供飲食店営業の届出
深夜(午前0時から日の出前)において酒類の販売を行なう場合、「深夜酒類提供飲食店営業」として公安委員会への届出も必要になる(問い合わせ先は地域の警察署・保安係)。 |
2. 起業にあたっての留意点・準備
1)立地条件
喫茶店に対する顧客ニーズは立地によって大きく異なるため、まず立地ごとの特性や顧客ニーズを把握することが必要である。 ・駅前立地…人の流れは早朝から深夜にまでおよび、客層・ニーズともに多様である。競合店が非常に多い。
・ロードサイド…車で30分以内の近隣住民や、車での通勤通学途中の客などが固定客となる。ファミリーレストランと競合しやすい。 ・商店街…客数が出店する商店街の集客力に左右される。客層は近隣商店の従業員や住民、来街客が中心となる。 ・住宅地型…顧客の多くが固定客となる。ファミリー、とくに主婦層のニーズへの対応が重要視される。 候補地が、コンセプトにあった立地条件なのかを確認しておく必要がある。周辺の状況や競合店舗、交通量などをチェックしておく。 <チェックポイント例> ・交通量はどのくらいあるか?…前面道路の歩行者を男女別、年齢層別、職業などのタイプ別や時間帯別に確認 ・周辺の人口はどのくらいか?…市町村役場にある世帯数や人口に関する統計などで確認 ・競合店はどんなところが何店舗くらいあるか?…タウンページで調べたり、周辺を実際に見回って確認 ・競合店の営業状況はどうか?…客数、売り場面積、席数、営業日数、店員数、営業時間帯、メニュー、評判などを確認 |
2)店舗タイプ
業態の多様化が進んでいるため、あらかじめコンセプトを定め、それに沿って店舗のタイプを選定することが重要となる。 ・コーヒー専門店…"よりおいしいコーヒー"を追求している。コーヒーの品揃えは豊富で、オリジナルブレンド商品なども提供する。 ・軽食喫茶…飲み物とともに、サンドイッチやスパゲティ、トースト、カレー、ピラフなどの軽食も揃えている。
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3)メニューづくり
ターゲットのニーズに合わせた訴求力のあるオリジナルメニューを作ることが重要である。価格は店舗のタイプや競合状況によってそれぞれ異なるが、付加価値を高めることで値頃感を出し、利益率の高いメニューを作る工夫が必要である。 |
3. 必要資金例
駅前立地に店舗面積20坪、席数42席の喫茶店を開業する場合の必要資金例
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4. ビジネスプラン策定例(モデル収支例)
1)売上計画例
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2)損益計算のシミュレーション
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※人件費:社員1名、アルバイト5名 |
※ | 必要資金、売上計画、シミュレーションの数値などにつきましては出店状況によって異なります。 また、売上や利益を保証するものではないことをあらかじめご了承ください。 |