CD・楽器店

CD・楽器店は、CDレンタル店や、中古CD店など類似店との競合、ゲームソフト販売、書籍販売店などの複合化の進展に加え、外資系の大型CD店やインターネットによる通販や音楽配信などにより競争が激しさを増している。最近の統計によれば、小規模店は減少しているが、中・大規模店は増加している。
従来どおりの小規模店CD・楽器店にとっては厳しい経営環境にあるが、客層を絞り込んだ品揃えで顧客の支持を得ている人気店もある。人気店は、いずれも差別化の工夫を重ね独自路線を貫き成功している。


1.起業にあたって必要な手続き

  CD・楽器店開業にあたって特別に必要な許認可はない。一般の開業手続きとして、個人であれば税務署への開業手続き等、法人であれば、必要に応じて、健康保険・厚生年金関連は社会保険事務所、雇用保険関連は公共職業安定所、労災保険関連は労働基準監督署、税金に関するものは所轄税務署や税務事務所にて手続きをする。


2.起業にあたっての留意点・準備

 
中小店はターゲットを絞り込むことがポイントである。具体的にはジャンル別、年齢層別、音楽の嗜好別などに細分化し特定の顧客を対象とすることが考えられる。例えば、CD店の顧客は若年層が大半であるが、今後は熟年層や子供をターゲットにした展開などで品揃えを特化していくことが重要である。
売上の半分は新譜売上といわれているが、新譜販売に強い大型店と異なった店独自の情報を提供することが大切である。また、品揃えにおいてはCDと楽器のどちらを主力商品とするか考える必要がある。
お客が見やすく、選びやすいように陳列することが重要である。並べ方の工夫、POPの活用により購買意欲を高めていく。
気軽にCDを試聴できるように試聴機を置くことは必須である。順番待ちが多くならないようできる限り多くの台数を設置すべきである。また、楽器も自由に演奏できるような雰囲気作りが必要である。
店員1人ひとりが得意の分野を持ちどこにも負けない商品知識で、的確な相談、アドバイスが出来るように体制を整えて顧客の信頼を得ることが大切である。
最新チャートの紹介、各CDのコメント掲示、解説など情報を発信する。
地域のバンドなどが出演するミニコンサートの開催、支援などユニークなサービスを企画する。
売れ筋商品のライフサイクルが短いため、品揃えの変更を迅速に行なう必要があり、適切に仕入ができるか仕入能力もポイントとなる。
多品種販売のため、在庫が増加傾向にあるので在庫のコントロールを適切に行ない、デッドストック化しないように注意すべきである。


3.必要資金例

  駅前商店街に20坪で開業(家賃1万円/坪×20坪)
(単位:千円)
項  目 初期投資額
物件取得費 保証金(賃借料10カ月分) 2,000
敷金(1カ月分) 200
礼金(賃貸料1カ月分) 200
小 計 2,400
設備工事費 内装工事費 4,000
空調設備費 1,500
什器・備品費、その他 1,500
小 計 7,000
開業費 市場調査費 200
印刷・DM当販促費 100
従業員募集費 100
開業前人件費 300
開業前賃貸料 100
開業前水道光熱費・その他 150
小 計 950
合  計 10,350


4.ビジネスプラン策定例

  ●初年度売上計画例
(単位:円)
  客数/日 客単価 日商 営業日数 年商
平 日 70 2,500 175,000 240 42,000,000
土曜日 95 3,000 285,000 52 14,820,000
日曜日 95 3,000 285,000 52 14,820,000
合 計 344 71,640,000

●モデル収支例
(単位:千円)
  年間増加率 変動費比率 初年度 2年度
売上高 1.0%   71,640 72,356
売上原価   65.0% 46,566 47,031
売上総利益     25,074 25,325
諸経費計     18,750 18,922
  人件費 1.0%   11,218 11,330
  建物賃借料 1.0%   2,400 2,424
  水道光熱費   1.9% 1,361 1,375
  販売促進費   1.0% 716 724
  通信費   0.4% 287 289
  減価償却費     1,400 1,400
  支払利息     78 78
  その他経費   1.8% 1,290 1,302
営業利益     6,324 6,403

●初期投資回収  2年度

売上計画やシミュレーション数値などにつきましては、出店状況によって異なります。また、売上や利益を保証するものではないことをあらかじめご了承ください。