総菜宅配業

 
女性の社会進出や、高齢化、消費者の生活スタイルの変化などを背景に総菜宅配業は伸長傾向にある。しかし、弁当店や、コンビニ、他のファーストフード店など、小売店内でのテイクアウト販売、総菜店など競合業者が多く厳しい環境にある。高齢者を専門にした介護関連事業のほか、一流ホテル、百貨店などの新規参入組も見られ、今後は一層の競争の激化が予想されている。
総菜宅配の利用者は40代女性が最も多いといわれているが、今後は高齢者向けの総菜は需要が伸びると予想される。


1.起業にあたって必要な手続き

 
飲食店の開業にあたっては、営業許可を所轄保健所の食品衛生課に申請する。また、食品衛生法では、各店に1人、食品衛生責任者を置くことが義務づけられている。
食品衛生責任者となるには、調理師、栄養士、製菓衛生師等の資格が必要である。資格者がいない場合、保健所が実施する食品衛生責任者のための講習会を受講すれば、資格を取得できる。
一般の開業手続きとして、個人であれば税務署への開業手続き等、法人であれば、必要に応じて、健康保険・厚生年金関連は社会保険事務所、雇用保険関連は公共職業安定所、労災保険関連は労働基準監督署、税金に関するものは所轄税務署や税務事務所にて手続きをする。


2.起業にあたっての留意点・準備

 
立地は、配達の便などを考慮し渋滞等が起こりにくい場所を選定すべきであるが、時間通りの配達が出来るよう配達のシステム化が必要である。顧客と顔を会わせる配達員のマナー、営業センスも販売促進上重要である。
事前の市場調査などを綿密に行ない、地域密着型展開が大切である。メニューは、顧客ターゲットに即応し、シーズン性、独自性を加味し変化を持たせることが大事である。また、消費者は安全面には高い関心を持っており安全な食材に対するニーズ、健康志向が高くなっているため、店側もよく勉強し顧客ニーズを敏感にキャッチし品揃えに反映させることが重要である。
衛生管理を徹底し、食中毒を起こさぬよう従業員一同清潔な身だしなみ、作業場などの衛生に心がける。
食材は、予期せず価格変動が起こったり、入手できなかったりする場合があるため、材料変更、メニュー変更など柔軟な対応が必要である。


3.必要資金例

  住宅隣接地に10坪で開業する場合
(単位:千円)
項  目 初期投資額
物件取得費 保証金(賃借料10カ月分) 900
敷金(1カ月分) 90
礼金(賃貸料1カ月分) 90
小 計 1,080
設備工事費・什器備品費 改装工事費 1,000
厨房設備費 1,350
宅配用バイク 500
什器・備品費、その他 500
小 計 3,350
開業費 市場調査費 200
広告宣伝費 100
従業員募集費 100
開業前人件費 300
開業前賃貸料 45
水道光熱費、その他 100
小 計 845
合  計 5,275
家賃:9,000円/坪×10坪
総費用:437.5万円、自己資金237.5万円(54.3%)、借入金200万円(45.7%)金利1.55%


4.ビジネスプラン策定例

  ●初年度売上計画例
(単位:円)
  食数/日 単価 日商 営業日数 年商
総菜 90 520 46,800 360 16,848,000
総菜・ご飯セット 110 570 62,700 360 22,572,000
特別食 30 700 21,000 360 7,560,000
合 計 46,980,000
特別食は、健康食(栄養食、低カロリー食など)、限定食など地域性、顧客層などを考慮しメニューを決める。より、付加価値を付けていくと収益に貢献する。

●モデル収支例
(単位:千円)
  年間増加率 変動費比率 初年度 2年度
売上高 3.0%   46,980 48,389
売上原価   43.0% 20,201 20,807
売上総利益     26,779 27,582
諸経費計     19,118 19,311
  人件費 1.0%   11,784 11,902
  建物賃借料 1.0%   1,080 1,091
  水道光熱費   1.5% 705 726
  販売促進費   1.4% 658 677
  通信費   0.5% 235 242
  車両燃料費   1.8% 846 871
  減価償却費     490 490
  支払利息     31 31
  その他経費   7% 3,289 3,387
営業利益     7,661 8,271
*人件費:事業主月収37万円、パート3名、時給850円×8時間/日
*減価償却費:設備工事費—5年償却

●初期投資回収  初年度

売上計画やシミュレーション数値などにつきましては、出店状況によって異なります。また、売上や利益を保証するものではないことをあらかじめご了承ください。