花屋

多種多様な品種の花や生活水準の向上により、花のある生活を楽しむ消費者が増え、また、花のギフトが定着してきた。しかし、1世帯当たりの切り花の年間消費支出金額は、ここ数年低迷している。
生花小売業界では、スーパーやホームセンターなど異業種からの参入が目立ち、競合環境が激しくなっている。経済産業省の商業統計によると、花・植木小売業の年間販売額・商店数はバブル崩壊後も好調に推移していたが、2002年には減少に転じた。
今後は、花のある生活に慣れた消費者が、品質の高い商品をより安く供給する店、サービスが充実している店を選ぶ傾向が強まってくると考えられる。


1.起業にあたって必要な手続き

  花屋開業にあたってとくに必要な許認可はない。一般の開業手続きとして、個人であれば税務署への開業届等、法人であれば、必要に応じて、健康保険・厚生年金関連は社会保険事務所、雇用保険関連は公共職業安定所、労災保険関連は労働基準監督署、税金に関するものは所轄税務署や税務事務所にて手続きをする。


2.起業にあたっての留意点・準備

 
生花店の売上は、立地と商圏住人の所得水準に大きく左右される。また、生花店の商圏範囲は狭いため、駅周辺や商店街、住宅地であっても通過点的なところに立地することが望ましい。
商圏内の消費者層の生花購入目的により、店舗のコンセプトや品揃え、価格帯が決まる。そのためターゲットとなる、企業・個人、昼・夜間人口、世帯数、所得、性別、年齢などを具体的に把握する。
競合が激化するなか、今後は他店との差別化と、顧客の固定化が成功のポイントとなる。センスのよい花束・花かごのアレンジメント技術やラッピング技術を持っていることは必須である。それらに加えて、家庭での手入れ方法やアレンジのアドバイスをしたり、フラワーアレンジメントの教室を開催するといった工夫をする。
開業時から顧客リストづくりを行ない、固定客化を図る。顧客リストには、氏名・性別・年齢・住所・電話番号、購入年月日・購入商品・購入目的・購入金額などの基本的な項目を分かる範囲で記入することとし、必要があれば順次項目を増やしていく。
仕入れは、自店の登録している生花市場で、買受人としてセリに参加する。コスト高にならないよう、複数の市場に登録して仕入れ先を分散させることも必要である。また、生花の需要月は、12、3、8、9、5月に集中しており、仏事(彼岸、盆)、祭事(クリスマス、母の日)のある月に偏っているため、商品構成や仕入れの際は、とくに季節性や行事などをよく考慮する。
ディスカウント店では生産者からの直接購入や直輸入を積極的に行なうことによって流通経路を短縮して仕入れコスト低減、低価格化を実現している。こうした店舗と競合する場合、低価格大量販売とは異なる、品質がよく、希少種で特徴のある花をセンスよくラッピングすることで差別化をはかるほうが賢明である。


3.必要資金例

  駅前商店街に、20坪で花屋を開業
(単位:千円)
項  目 初期投資額
物件取得費 保証金(賃借料10カ月分) 2,000
仲介料(賃貸料1カ月分) 200
小 計 2,200
設備工事費・
什器備品費等
内外装工事費 6,000
設備工事費 5,000
看板・什器 2,100
小 計 13,100
開業費 印刷・DM等販促費 500
社員・アルバイト募集費 100
開業前人件費 150
開業前賃貸料 200
開業前水道光熱費・その他 150
小 計 1,100
合  計 16,400


4.ビジネスプラン策定例

  ●初年度売上計画例
(単位:円)
  客数/日 客単価 日商 営業日数 年商
平 日 35 2,500 87,500 208 18,200,000
土曜日 45 3,500 157,500 52 8,190,000
日曜日 50 4,000 200,000 52 10,400,000
合 計 312 36,790,000

●モデル収支例
(単位:千円)
  初年度 2年度 3年度 4年度 5年度
売上高 36,790 37,158 37,529 37,905 38,284
直接材料費 18,395 18,579 18,765 18,952 19,142
諸経費計 16,978 16,440 16,604 15,640 15,808
  人件費 8,698 8,802 8,907 9,014 9,123
  不動産賃借料 2,400 2,424 2,448 2,473 2,497
  水道光熱費 2,207 2,229 2,252 2,274 2,297
  販売促進費 368 372 375 379 383
  通信費 74 74 75 76 77
  消耗品費 368 372 375 379 383
  減価償却費 1,795 1,795 1,795 665 665
  その他経費 1,068 372 375 379 383
営業利益 1,417 2,139 2,161 3,313 3,334

●初期投資回収  6年度

売上計画やシミュレーション数値などにつきましては、出店状況によって異なります。また、売上や利益を保証するものではないことをあらかじめご了承ください。