古紙回収業
● | 環境重視によるリサイクルへの関心の高まりを追い風に、廃品回収業は成長産業に位置づけられている。その廃品回収業のなかでもっとも大きな比重を占めるのが古紙回収業である。古紙回収業はトラック1台を持って1人で営業する個人企業から、数百人規模の企業まで多様である。また、開業率、廃業率ともに高いが、経営不振による廃業は少ない。 |
● | 古紙専業は比較的少なく、他のリサイクル事業を兼業する企業が多い。産業廃棄物まで兼業する企業もある。古紙を回収する市場は既存業者が地盤を構築しており、フリーでの参入は容易ではない。できれば同業種の企業に1年以上勤務し、その企業の支援を受けて独立する方法が望ましい。そうではない場合など、まず同業者の組合に加入した方が営業活動を行ないやすくなる。 |
● | 良質な日本の古紙は中国など海外への輸出量が増えている。 |
1. 起業にあたって必要な手続き
● | リサイクルを目的として古紙などの廃品を回収する場合、特定の免許や営業許可などは不要である。ただし、ある程度の規模の事業を行なう場合は移動式クレーンやフォークリフトが必要であり、当然これらを取り扱う免許は必要となる。 |
● | また、古紙その他の廃品を回収する活動のなかで、中古のバイクなどの売買が発生する場合は古物営業法に基づく許可も必要になり、産業廃棄物などまでを取り扱う場合はそれに関連する許可が必要となる。 |
● | 地方自治体から委託される仕事は個人には回らないため、同業者組合に加入した方が、ビジネスチャンスが広がる。同一地域に複数の組合があるので、もっともメリットの見込まれる組合はどこかを調査する必要がある。 |
2. 起業にあたっての留意点・準備
● | 小規模の事業であれば2トンのトラック1台と、10〜15�程度の仕分け場があれば開業できる。賃借せずに自宅の空き部屋か倉庫などを活用してもよい。 |
● | 家庭から出る古紙は地方自治体の委託を受けて回収するか、町内会や学校などが集めたものを回収する方法が多いが、どちらも組合を通じて委託される場合が多い。一般企業や印刷会社からの回収は量的にはまとまるが、移動式クレーンやパッカー車(プレス機能を備えた回収車)などが必要であり、既存企業が地盤を構築しているなかでの取引先開拓は容易ではない。 |
● | 起業にあたってもっとも重要なことは、回収先をどれだけ確保できるかということであり、まずこの見通しをつけてから起業するべきである。できれば、それまでに構築した自身のネットワークを通じて、一定の取引先を確保することが望ましい。 |
● | 古紙だけでは経営が成り立ちにくい地域もある。その場合は、他のリサイクル用品(鉄、非鉄、びん、古繊維)の回収も兼業することが必要になる。 |
● | 取引の仕組みは下記のとおりである。 ・家庭より回収する古紙は無料で引き取る。企業の産業廃棄物として排出される古紙は一定額の処分費用を請求する。
・地方自治体の委託を受けて回収した古紙は、自治体からの補助が出る(1kgあたり約2円〜5円程度)。 ・1人で営業する場合で、1日あたり3〜4トンの取引が必要である。 |
3. 必要資金例
2トントラック1台を持ち、1人で開業する際の必要資金例 A:新車トラックを購入し、仕切り場を借りる場合 B:中古トラックを購入し、自己の所有する建物を仕切り場に使用する場合 |
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4. ビジネスプラン策定例
初年度売上:18,000円/日 営業日:年間 300日 損益計算のシミュレーション |
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※ | 必要資金、売上計画、シミュレーションの数値などにつきましては出店状況によって異なります。 また、売上や利益を保証するものではないことをあらかじめご了承ください。 |