リサイクルショップ


いわゆるリサイクルショップは、経済産業省の商業統計上「中古品小売業」に該当する(「骨董品小売業」とは区別される)。取扱商品は中古の衣類、家具、電気製品、楽器、レコード、運動用品、靴、オフィス家具などである。中古自動車小売、古本屋、古切手・古銭販売業はリサイクルショップに含まれないと考えるのが一般的である。


小売店舗数の大幅減少が続くなか、リサイクルショップの店舗数および販売額の増加傾向にある。景気の低迷による消費者の低価格志向、環境問題に対する意識の向上、アンティークブームなどの影響が大きい。


リサイクルショップは一般の小売業に比べ粗利益率が高く、成功すれば収益性が高いことが特徴のひとつである。


1. 起業にあたって必要な手続き

リサイクルショップを営業する場合、古物営業法に基づく許可が必要である。


 ・申請先…出店地域の警察署・生活安全課防犯係
 ・必要書類…・住民票        ・市町村長発行の身分証明書
 ・登記事項証明書         ・人的欠格事由に該当しない旨の誓約書(警察署に用紙が用意されている)
 ・過去5年間の略歴書(同)    ・店舗賃貸契約書の写し・申請手数料
※申請から許可が下りるまで、通常1カ月から1カ月半程度かかる。実際に許可が下りるまでは開業できない


2. 起業にあたっての留意点・準備

1)経営形態

  リサイクルショップを開業する場合、独立店の他、フランチャイズチェーン(FC)への加盟も選択肢となる。

 ・独立型…商品仕入の目利き、営業ノウハウなどがしっかりしていれば成功の可能性は高い。ただし、競合店が多く競争は激しい
 ・FC型…中古ゴルフクラブ、中古家電製品、中古ブランド品などを取り扱うチェーンが盛況。開業資金は独立型よりかなり割高

FC加盟のメリットは、本部の経営ノウハウ、教育・研修システム、ブランドイメージが活用でき、未経験者でも比較的容易に参入できる点にある。一方、加盟金やロイヤルティーが必要になる他、加盟をしても売上が保証されるものではない。本部の経営状態、加盟金やロイヤルティーの水準、フォロー体制などを見極め、慎重に検討する必要がある。


2)店舗コンセプト

  成功しているリサイクルショップは、店舗コンセプトが明確である。ターゲット(性別、年齢、趣味嗜好、職業など)、ターゲットのニーズ(安く家庭用品を揃えたい、安く趣味の道具を買いたい、業務に必要なものを安く買いたいなど)、競合店に比べた優位性(品ぞろえ、仕入れルート、目利き力、再生技術、アフターサービス、店舗の雰囲気など)といった点から、コンセプトを明確にして店舗づくりを行なうことが重要である。

<リサイクルショップのタイプ>
 ・品ぞろえ… a)取扱商品の幅が広く、専門性が低いタイプ。よろずや的な店舗
b)取扱商品を特定の分野に絞込み、品ぞろえの奥行きが深く専門性が高いタイプ
 ・販売形態… a)仕入れた商品をそのまま販売するタイプ(一般的なリサイクルショップ)
b)仕入れた商品を手入れ・補修、整備のうえ、保証を付与して付加価値を高めるタイプ


3)店舗運営上のポイント

  (1)仕入れ方法
 ・ 売りたい人から商品を預かり、販売した際に仕入れ代金を支払う委託方式。仕入れの元手は不要だが、商品管理が煩雑で利幅も小さい。
商品を現金で仕入れる買い取り方式。売れる商品を見極め、真贋を判断できる目が必要。仕入資金が必要だが、利幅は大きい。
 
(2)仕入れ(買い取り)ルート
 ・ 古物市場・オークションでの仕入れ。プロ同士が競い合うため、商品に対する目利きが必要。参加するには一般的に席料(参加料)が必要である。
 ・ フリーマーケットやネットオークションでの仕入れ。掘り出し物が見つかる場合がある反面、偽物などの危険性もある。
 ・ 来店客や店舗を知っている一般消費者からの仕入れ。仕入れ価格が柔軟に設定でき、高い粗利益率の確保が可能である。いかにこのルートを開拓できるかが成功のポイントともいえる。

3. 必要資金例

  都市部の路面店、売り場面積25坪、駐車スペース2台分のリサイクルショップを開業する際の資金例

 
(単位:千円)
項目 初期投資額
物件取得費 敷金(賃貸料の4カ月分) 1,000
仲介料(賃貸料の1カ月分) 250
礼金(賃貸料の1カ月分) 250
小計 1,500
設備工事費 スチール棚(中古) 200
軽トラック(中古) 300
空調設備費 250
看板 600
備品費、その他 200
小計 1,550
仕入れ資金 商品代金 1,000
開業費 印刷・DM等販促費 300
社員・アルバイト募集費 100
開業前人件費 200
開業前賃貸料 250
開業前水道光熱費、その他 50
小計 900
予備費 - 500
総計 5,450


4. ビジネスプラン策定例

1)売上計画例

 

客数(人/月)

客単価(円) 日商(円) 営業日数(日/年) 年商(千円)
平日 55 1,000

55,000

256 14,080
土曜日 70 1,000 70,000 52 3,640
日曜日 70 1,000 70,000 52 3,640
合計 312 21,360


2)損益計算のシミュレーション

 
(単位:千円)
  年間増加率 変動費率 初年度 2年度 3年度 4年度 5年度
売上高 1.0%   21,360 21,574 21,789 22,007 22,227
売上原価   45.0% 9,612 9,708 9,805 9,903 10,002
売上総利益     11,748 11,865 11,984 12,104 12,225
諸経費 合計     10,526 10,628 10,551 10,655 10,760
  人件費   27.0% 5,767 5,825 5,883 5,942 6,001
  地代家賃 1.0%   3,000 3,030 3,060 3,091 3,122
  水道光熱費   1.5% 320 324 327 330 333
  販売促進費   1.0% 214 216 218 220 222
  通信費   0.2% 43 43 44 44 44
  消耗品費   1.0% 214 216 218 220 222
  減価償却費     328 328 148 148 148
  その他経費   3.0% 641 647 654 660 667
営業利益     1,222 1,237 1,433 1,449 1,465
営業利益率     5.7% 5.7% 6.6% 6.6% 6.6%
※人件費:経営者給料、バイト6時間/日


必要資金、売上計画、シミュレーションの数値などにつきましては出店状況によって異なります。 また、売上や利益を保証するものではないことをあらかじめご了承ください。