惣菜販売業

惣菜販売業は、副菜、弁当、おにぎり、寿司、サンドイッチや調理パンなどの製造・小売りを行う業者を指す。洋風惣菜に特化した店舗は「デリカテッセン」「デリ」と呼ばれ、若年層や女性に人気。惣菜の販売だけでなく、カフェを併設したり、食材や雑貨の販売も兼ねる新しい業態の店舗も増えている。


女性の社会進出や単身者世帯の増加の影響で、手軽に食べられる惣菜の需要は年々高まり、惣菜市場は6兆円超えるまでに成長した。惣菜の粗利は4〜6割と高いため、スーパーマーケットやコンビニエンスストアでも惣菜販売に力を入れ始めている。そういった大手小売店は品数の多さや商品の低価格が魅力だが、惣菜は大量生産品よりも手作りの品のほうが好まれるため、その場で調理して販売する個人店へのニーズも十分に高い。


出店場所は、企業や学校の周辺、駅前、商店街など、人通りの多い立地であることが求められる。商品単価や客単価が低いため、顧客の来店頻度を高めることが重要。


1. 起業にあたって必要な手続き

  開業にあたっては、所轄の保健所に営業許可を申請しなければならない。食品衛生法では、施設ごとに1人、食品衛生責任者を置くことが義務づけられている。食品衛生責任者となるには、調理師、栄養士、製菓衛生師などの資格が必要。有資格者がいない場合は、保健所が実施する食品衛生責任者のための講習会を受講すれば、資格を取得できる。


2. 起業にあたっての留意点・準備
1)営業上の留意点

惣菜や弁当の品数は多いほうが良い。旬の食材を使った季節商品や日替わりメニューも用意し、常連客を飽きさせないよう工夫したい。惣菜を扱う店舗が増えてきているため、特徴ある品ぞろえで差別化を図ることも重要。有機農法や無添加などの食材を使ったり、ダイエットや美容に効果的なメニューの開発、昔懐かしい家庭料理を揃えるなど、ターゲットのニーズに対応した商品を考える。


惣菜の販売方法は、パック詰めや量り売り、バイキングなどがある。パック詰めは効率よく販売できるのが魅力だが、性別や年齢層によって客の求める量が異なるため、パックの大きさを決めるのが難しい。一つのサイズだけでなく、女性や高齢者向けの小容量のパックも用意するのが望ましい。量り売りやバイキングは、客が必要量を購入できるので好評だが、パック詰めの販売よりも広いスペースが必要となる。


2)経営上の留意点

個人経営の店舗の場合、仕入れられる食材の種類や数は限られる。食材のロスを抑え、利益率を高めるためには、少ない食材でも様々な料理が作れるよう、メニュー開発に力を入れる。


店舗内にイートインスペースを設けたり、注文を受けて宅配するケータリングサービスを行い、サービスを拡充するのも良い。ケータリングは事前に予算を決め、その範囲の中で仕入れを行うため、食材のロスがなく効率よく利益が得られる。


3. 必要資金例

※ビル1棟賃貸、別事業兼業のため算出不可

 
(単位:千円)
30坪、店舗造作・厨房機器・備品譲渡ありの物件で開業
<設備工事費・什器備品費>
  内装工事費  300万円
  厨房設備工事費  900万円
  厨房設備購入費 230万円
  什器その他 100万円
  小計 1530万円
<開業費用>
  DM等販促費  9万円
  小計 9万円
合計 1539万円


創業後の売上推移

  ※昨年6月オープンのため算出不可