1953年創業、精密コイルスプリングのメーカーとして線材加工については匠の世界を地で行く技術力を持っている。他社では真似のできない特殊な加工・高い品質精度が売り物である。しかし、仕事は下請けが主で業績は伸び悩んでいる。最近、ユーザーから直接、注文も入るようになり、顧客の高い評価を受けて経営者自身が自社の技術を再認識し、販路開拓、設備投資などの経営計画に意欲を燃やしている。
 当社のスプリングは車、電化製品、工具などの分野に使われ、工業製品に不可欠のものである。今後の課題は営業力の強化と、蓄積した匠の技を若手社員に継承すること、加工ノウハウを最新のNC機器に置き換えていくことである。

(1)現行システム導入の経緯
 下請け企業はもの造り、特に加工技術のみで生きている傾向が強く当社も例外ではない。線材加工は直線を様々に曲げながら、3次元成形する高度な加工技術が必要でNC搭載の機械もあるが、当社の機械は古いものが多く、段取り替え・準備に時間がかかっている。NCタイプは自動機であるが、プログラミングするには加工技術・ノウハウがなければ使いこなすことはできない。
 一般的に下請けは営業力が弱く、受注単価は低く抑えられ、採算すれすれで操業していることが多い。当社はそういう状況で生き残っていくため、コストダウン、生産性向上を常に行う必要があり、そのひとつが長時間・無人操業を可能にする、機械監視・遠隔制御システムである。

(2)長時間無人運転で生産性を向上
 当初、工場の防犯対策として監視カメラの設置を薦められた。機能・システム、費用など、色々聞いたがセキュリティにお金を掛ける気は起こらなかった。しかし、話を聞いているうちに感じるところがあり、防犯のためでなく、機械の運転状況を監視するためであれば、お金をかける値打ちはあると思い、設置することにした。

(1)特に問題点というほどではないが、機械の監視により、トラブルに気づけば、止めることはできるが、再起動はできないことである。それでも、停止させることができれば、不良などの発生は防ぐことはでき、材料のロスは防止できる。
 社員のなかで、工場の裏に住む者がおり、その人にある程度の時間帯はカバーしてもらうことで、トラブル発生時においても機械稼動時間を延ばすことが可能になった。

(2)設置費用が高くつくと零細企業としては躊躇するが、幸いにも業者側も機械監視に使うという新しい分野の仕事であり、成功事例を作るということで、大幅に安くしてくれた。何事も挑戦し、先駆けて行うことが大切である。

(3)生産管理システム
 当社は生産管理システムを自社開発し、使っている。システム自体は問題ないが、運用面では問題がある。受注はすべて入力しているが、納期指定が暫定で、すべて同じ日付で入っている。その日にすべて生産するわけにも行かないので、本当に必要な分だけ、電話で確認したり、経験的に把握したりして対応している。しかし、画面上は大部分が納期遅れと表示されることになってしまい、本当の納期遅れが分からなくなってしまう。
(1)機械監視・遠隔制御システム
 工場の天井にネットワークカメラを設置し、インターネットのWEB画面から自由自在にパン・チルト、ズーミングが可能で工場内のあらゆるところを細部まで監視できる。ズーミングは42倍の能力があり、本当に細かいところまで見ることができる。画像はインターネットで配信されるので、通信費は実質的にかからない。深夜自宅で機械の稼動状況をモニターし、もし異常があれば、WEB画面から停止させることができる。残念ながら、遠隔で再起動できない。しかし、止めることができるだけでも機械を稼動させたまま帰宅することができ、機械稼働率向上に役立っている。

(2)携帯電話による機械停止の通知
 画像の配信システムとは別個のシステムとしていくつかの機械にセンサーを取り付け、センサーが異常を検知したとき自動停止する。しかし、自動停止しても人が再起動しない限り停止したままである。そこで、機械がストップするとその機械の担当者の携帯電話に自動発信し、通知が行く。担当者が電話に出られない場合は2番目、3番目と順に電話がかかる。早く連絡が行くことによって、できる限り機械の停止時間を短くすることが狙いである。


(3)生産管理システム
 自社で生産管理システムを開発し使用している。システム解析は自社で行い、個人でソフトを開発している人に依頼した。したがって、通常の5分の1くらいの費用で出来上がっていると思われる。
 生産指示書の発行にあわせて、図面を出力する。
 新規の受注には必ず図面があり、以前は図面の管理が大変であった。現在は図面をスキャナーで取り込み、生産指示書を出力するときは自動的に図面もプリントされ、添付する。

(4)検査基準書、検査成績書の自動発行
 検査基準、検査成績書もデータベースとして登録してあり、生産指示書のプリントとあわせて出力される。必要なことは記入されてあり、記入ミス、検査ミスが起こらないように配慮してある。

(5)製品在庫、仕掛在庫、最近の受注・出荷状況情報の表示
 受注生産ではあるが、材料の納入、納期の関係で在庫生産もしている。しかし作りすぎて、長期在庫やデッドストックを発生することがこれまで発生していた。判断を誤らないように製品・仕掛品数量・出荷状況を生産指示書に表示することにより、在庫削減に効果を出している。

(1)経営者の役割
 当社は社長以下、すべて現場の人である。間接部門は社長の奥さんがすべてこなしている中小企業である。組織といえるほどのものはなく、社長が引っ張っていかなければ何事も進まない。しかし、独断で進めると協力が得られない。年配の社員にはIT化を進めることに抵抗する者があったが根気よく説明し、便利さを体験させると納得して協力してくれるようになった。
(1)機械稼働率の向上
 夜間、終業後も機械の運転が可能になり、トラブルがなければ、24時間稼動し、稼働率が飛躍的に向上した。

(2)材料ロスの削減
 いままで、異常に気づかず不良品を作り続けることがあり、材料ロスがかなりあった。機械監視システム・携帯電話自動発信システムによって、異常の検知が早くなり、ロスがほとんど出なくなった。

(3)製品・仕掛品在庫の削減
 生産管理システムを整備することによって、必要なものだけ作ることができるようになり、長期在庫・デッドストックの発生を防ぐことが可能になった。

(4)図面・検査基準書管理のデータベース化
 これまで、図面・検査基準書などは紙ベースで保管し、必要なときはファイルから外し、コピーして現場に渡してきた。探す手間とコピーする手間が大変であったが、電子媒体とすることで、生産指示書の発行と連動して何の手間も要らなくなり、事務的な効率は大幅に向上した。    
(1)経営者の役割
 IT化しなくとも仕事はできる。しかし、便利な道具があるのに使えない時代遅れの企業になってしまう。ITの世界は日進月歩であり、経営者が敏感でなければならない。当社の成功の要因は、新しいIT技術を積極的に取り入れていったことである。

(2)外部業者の役割
 中小企業は人材に乏しく、IT化を自社で構築することは無理である。最新のIT技術を当社の身の丈にあった規模でシステム構築してくれた外部業者のお陰である。
 生産に関わるIT化は積極的に進めているが、営業的なIT化はまだ、ほとんど手がつけられていない。大阪市ものづくりネットに、当社の情報が掲載され発信されているが、まだ引き合いはない。今後、自社のホームページにおいてバネ・線材加工の見積もり・受注システムを立ち上げ、販路の拡大を図りたいと考えている。







早くからISO9001、ISO14001を認証取得し、他社と差別化を図る。高橋社長は慶応義塾大学法学部卒業、経営革新、特に従業員教育に熱心で、社員が作った業務改善標語100ヵ条を基に、日めくりカレンダーを作成、朝礼時に唱和、日常の業務改善に生かしている。
 従前は宮城県米の輸送が中心で、年間1億円以上の利益を上げていたが、現在トラック事業参入の免許制が廃止され、運賃も原則自由化、運賃相場はこれまでに2割〜3割下落したが、この『運輸管理システム:運上手(はこびじょうず)』の導入により、売上が向上し、安定した利益を計上することができた。
 現在業界では、高齢化による運転手不足で、人件費も高止まりし、燃費も高騰、台数の過剰感から競争も激化、経営を圧迫し弱小業者の中には淘汰されるものも出て来ている。
(1)内外の経営環境との関連
 運輸業界では、運行管理、顧客管理、求貨、求車システムのような情報ネットワークが活用され始めている。また、貨物追跡システムや顧客の在庫管理と連動したシステムを導入した大手業者も増えているので、ITへの取り組みが遅れがちな中小業者は、格差を付けられつつある。

(2)現行システム導入の経緯
 同社は早くからITを導入していたが、出入りのソフト会社が倒産したことを契機に、管理ソフトのパッケージ導入を検討していた。丁度そのころに、運輸業界に精通したソフトハウスと知り合い、運送屋が企画、設計する『運輸管理システム:運上手』を作成することが出来た。そのシステムを東京国際物流機器展に展示したところ大手運輸業者の注目を集め、導入に至った。

(3)入力業務の効率化
 『経理業務』、『月次の経営分析帳票作成』は、配車係の『オーダー入力』と『運転手の日報入力』を基に作業を進めることが出来たため、作業の効率化につながった。

(4)入力ミスの防止
 入力ミスがないような簡単操作にしたことと、オーダーとのチェック機能を設けたことにより、入力漏れ、入力ミスを防ぐことが出来た。この簡単な操作により、ドライバーの高齢化にも対応でき、現在では60歳以上のドライバーでも問題なく入力作業が可能となっている。

(5)顧客サービスの向上
 荷主からの問い合わせに対して請負責任として、リアルタイムにどのような状態にあるかを即回答出来るようにした(全地球測位システム採用)。
(1)社内体制
 1)システムの導入前は、ドライバーは『荷物を運ぶ』意識しかなかったが、このシステムの導入により、運行ごとの
  利益を意識するようになり、運行経費(燃費、高速道料金など)の削減にドライバー自らが努めるようになった。
 2)経営革新のためITを活用することを計画した時、SE(システムエンジニア)優先ではなく、SEに対し『運送業界』を
  教育することから始めた。

(2)ハード、ソフト等の障害
 1)C/Sシステムの障害はなし、多少、車載機器に問題があった。
 2)ソフトについては、自社で企画・設計したシステムなので、操作を覚えてしまえば、理解には問題はなかった。
 3)システムの保守は、ソフトハウスと保守契約を結ぶことにより、『故障』『バージョンアップ』『システム変更』
  などの体制が確立されている。

(3)資金繰り
 1)『運輸管理システム:運上手』はリースで対応し、資金負担を少なくした。
 2)車載端末は現金で購入した。

(4)ベンダーの選定等
 1)従来の取引先より購入した。
(1)システムの特徴
 1)業務の連動化を実現、二重処理を極力不要にし、大幅な合理化を実現した。
 2)1運行ごとのドライバー別、車両別の粗利が把握出来る。
  日報、売上、経費等別集計していたものを全て集約し、それぞれの粗利が把握出来る。
 3)いままで紙面上で作成し、保管していた書類が、システムで作成することが可能となり、ディスク上の保管と
  なったため、ペーパレス化にもつながった。また、保管スペースが削減された。
 4)売上や経費の管理だけでなく受注、配車、運転日報、請求、損益計算などの各種経営情報を一元管理し、
  データ入力の重複を避けると共に配車、請求の洩れをチェック、また一日の粗利益額を把握することが出来る。

(2)システムの運用手順
 『受注管理』配車の結果を入力→連動『日報管理』ドライバーが入力→連動
 『日次、請求管理』売上業務、請求書発行→連動『月次損益管理』→『分析管理』



(3)投資額、資金調達先
 C/Sシステムのハードはリースを利用しているため、投資額負担の軽減となった。

(4)データの活用先
 ドライバーから社長までこの業界で生き残るための意識改革に利用した。
 1)ドライバーは安全運転、燃費向上、作業員は作業の効率化、貢献度評価への競争意識を高めた。
 2)配車担当者 実車率95%以上、適切な配車管理で損益を改善した。
 3)事務担当者 システムの連動性により業務改善がなされ、事務処理の大幅な合理化をもたらした。

(5)セキュリティ対策等
 1)各マスターには、個人情報も入っているため、全てがパスワード管理されている。
 2)パスワード管理は毎月一回更新している。
(1)経営者の役割
 運輸業界はIT化の加速によって優勝劣敗が明確になる、情報システムの優劣が企業の生き残りに影響するという社長の信念のもとに、各部門の責任者が集まり企画構成を行った。

(2)社内の運用体制
 輸送事業部長 輸送事業部 輸送サービス課 車両管理課 システム設計課(SE数人)
 上記各セクションの責任者で組織を形成したが、現場の意見をいかに吸い上げて、企画、設計に網羅するかを追及した。

(3)従業員への情報リテラシー教育
 高齢のドライバーが処理出来るよう教育訓練を行った。
(1)売上増加及び販路拡大
 1)『運輸管理システム』の導入効果として、前年度同月の売上管理が可能となり、季節物、一定時期に出荷される
  荷物に対する積極的な営業戦略が立てられるようになり、荷量の確保、さらには荷主とのコミュニケーションが
  活発化し、販路の拡大につながった(従来の15%アップ)。
 2)また、配車効率を上げるために、システムからアウトプットされる長距離配送の『実車率データ』を週間、月間で
  分析することにより、配車効率が上がり経費の削減に繋がった。

(2)入力工数低減
 1)システム導入前は、配車管理2名、日報管理1名、売上請求管理3名、運行データ集計分析1名の合計7名が
  張り付きで業務に係わっていたが、当システムを導入することにより、ドライバーが自ら日報入力を行うことになり、
  日報管理1名の工数が削減された。
 2)『運輸管理システム』の機能により、売上請求管理2名、運行データ分析1名の工数が削減され、合計4名の工数が
  削減された。
 3)その工数を『ISOの品質、環境活動』『車両故障の予防のための故障データ集計分析活動』に結びつけることが出来た。

(3)従業員の意識向上
 1)配車担当者は、実車率、運行三費を運行ごとに把握することで、配車効率を考慮するようになった。
 2)ドライバーは、自分の運行ごとの燃費、売上、経費、粗利が明確にされ、運行コストを把握することが、余裕を
  持った運行につながり、経費の削減、さらにはより一層安全運転を心掛けるようになった。

(4)顧客サービスの向上等
 1)正確、迅速な事務処理が可能となり、お客様を待たせたり、催促されたりすることがなくなった。
 2)配車効率のアップ、車両故障の削減により、延着で顧客に迷惑をかけることが少なくなった。この延着を完全に
  『ゼロ』にすることを目指している。    
(1)経営者の役割
 トップダウンで、自社に必要なシステムを企画・設計させたことが、成功した第一要因である。

(2)従業員の役割
 システムから売上、経費、粗利が出力されることにより、社員1人ひとりが経営者意識で改善提案し、仕事に従事することが出来た。

(3)従業員の評価
 1)ドライバーは、走行データ全てが管理者に把握されることにより、経費削減の意識が向上し、エコドライブの推進に
  つながった。また、違反者がいなくなった。
  さらに、自分で日報入力することにより、仕事1つひとつを完成させるプロ意識が向上した。
 2)管理者、事務員は、売上、経費、粗利、走行データ収集が容易になり、的確な分析を行うことにより、営業戦略、
  ドライバー教育のニーズが明確になった。

(4)顧客サービスの向上等
 1)正確な伝票の作成、
 2)車両情報、荷物情報が判る、
 3)運行情報がネットで手に入るようになった、
 4)入荷が予定どおり正確に入手出来る。
(1)今後の情報化戦略
 1)現在のERPをさらに充実させて、顧客満足度と従業員満足度の向上を目指す。
 2)ICタグを利用し、物流情報総合システム(WMS)を構築する。

(2)次期システム構想
 1)開発中のもの
  ・ホームページを使い、空車状況を掲示、経済的料金で引き受ける。
  ・自社の経営分析数値を運送事業者の標準経営指標と比較し、自動的にアドバイスを出す。
 2)構想
  ・ICタグを利用して荷主との取引を電子交換システム(EDI)で行う。



平成8年7月に設立され、パソコン教室の運営とソフト開発を主として、業容を拡大してきた。代表取締役の藤城淳也氏は、大学では工学部で機械工学を専攻、卒業後は機械系商社に就職、工程管理、生産管理ソフト、ハードウエアの販売業に就いた。しかし、会社の方針が、「特定メーカーのソフト及び製品」を販売するといった姿勢であったので、異なるメーカーの製品を組み合わせ、低コストで高パフォーマンスが期待される場合にも、単一メーカーの製品を高いコストにも関わらず提案せざるを得ない点に不満を持っていた。そこで、ホームページを製作するIT企業の創業に踏み切った。当初は、大阪市平野区で開業したが、その後、現在地に移転、「コツがわかるパソコンスクール」をキャッチフレーズに、パソコン教室を運営されている。また、ホームページ制作から出発して、ソフト開発、ネットワークの構築など小規模企業事業者向けの使い勝手のよいシステム開発を心がけてきた。
 創業者の開業の動機にあるように、機械商社での生産管理等のシステム開発に携わった経験から、「顧客指向のIT化を実現すること」を経営理念として掲げられている。同業他社との違いは、「ハードにもソフトにも強い技術力を有すること。」である。この強みを駆使して、マーケティング目標を掲げ、IT化を希望する企業および個人を対象に絞り込んだニッチ市場での展開を指向されてきた。顧客の獲得のために開いたパソコン教室がIT化の波に乗って、急速に売上高を向上させ、ソフト開発事業にも波及効果を及ぼし、パソコン教室とソフト開発事業の2つを柱とした経営により、経営基盤を確立してきた。会社の所在地も大阪市平野区から、大阪市中央区に移転、事務所が狭かったので、パソコン教室の拡充のため現在地に移転している。
 3本柱の営業で安定経営をめざしている。

(1)ソフト開発事業
 ソフト開発事業は、自宅や会社でパソコンを教えてほしいという要望からスタートし、その信頼を基礎に、ソフト開発を手がけて、事業化を図ってきた。ハード面で、「インターネットの設定やプリンタ・周辺機器を使えるようにして欲しい」というニ−ズが増えるため、トラブル対応のための出張修理や電話対応などを通じた、きめ細かいサービスを提供している。特に、パソコンのトラブル対処や、操作方法に関する疑問など、困っているユーザーの直面しているトラブルに緊急に対処することにより、次のリピート受注への手段としても有効性を発揮するようになっており、顧客に支持される条件となってきている。独立前に手がけた、製造業の工程管理システムや生産管理システムは、得意分野であったが、通販システムや顧客管理システム、販売管理システムなど流通系のアプリケーション分野も顧客のニーズの多様化に対応してシステム開発を受注するなかで、多様な分野でのソフト需要に応じるなかアクセスやSQL、VB、VBAなどを活用したシステム開発のノウハウを蓄積していった。独立の動機で、特定メーカーだけに依拠せずに、複数メーカーの機能を適性に組み合わせることにより、ユーザーにとって使いやすいシステム開発を低コストで提供することに使命感を抱いていたので、それが実現していくなかで、ユーザーからの感謝の声を聴く度に、独立開業して良かったと思っている。

(2)パソコン教室事業
 独自のカリキュラム作成を行い、パソコン教室の特徴を明確に打ち出すよう努力をしている。
 昼間は、主に公共職業訓練を行い、夜間は個人対象の完全マンツーマン講習の組み合わせというパターンを編み出している。教室の運営を安定させるために、求職者向けに、「公共職業訓練」を行い固定した売上高を確保する一方で、個人向けに、全コース、フルタイム完全1対1のマンツーマン講習のパソコンスクールを特徴として運営している。教習科目については、人気があるWEB、DTP、Accessをメインとしながら、フリーレッスンでオリジナルのホームページ作成(ホームページビルダー、Dreamweaver、検索サイト対策等)やAccessで顧客管理、販売管理等のデータベース作成も取り入れて、品揃えを重視している。
 また、法人向けのパソコンスクールでは、IT講習、企業内セミナーとして、会社の要望(内容、日時等)に合わせたカリキュラムを作成している。サンテックス社内の会場、お客様会場の出張開催も選択できる。スクール会場の場合、実際の業務環境とかわらぬよう、パソコンはデスクトップ(10台)とノート型パソコン(20台)ともに揃えて、選べるよう配慮している。講習は、授業を進行するメイン講師と、アシスタントのサブ講師の2名で担当して、授業を全員がマスターできるよう工夫している。

(3)ネットワークカメラ事業の展開
 ネットワークカメラはWEBカメラ、IPカメラ、インターネットライブカメラとも呼ばれている。カメラの映像をインターネット経由でパソコンや携帯電話を使って見ることのできるシステムで、手軽に低コストで導入できるのが特徴である。遠隔監視システム、ライブ映像の配信、セキュリティシステムとして、これからビジネスへの新しい利用が期待されている。携帯電話からモニタリングできる機種もあり、パソコンがない外出先でも簡単にチェックでき、携帯から直接カメラをリモート操作(上下、左右、ズーム)することも可能である。無線屋外タイプを選べば、配線が困難で設置しにくかった場所にも簡単に設置でき、配線工事費用の節約になる。また、設置場所の変更にも柔軟に対応できる。
 パソコンからの閲覧では、インターネットエクスプローラ等のブラウザを使ってカラーの動画像で閲覧でき、簡単に操作できる。また、カメラをリモート操作(上下、左右)できるので、広い範囲をカバーでき、カメラ台数も少なくて済む。さらに、ズーム機能搭載カメラで見たい箇所をアップで視ることができる。セキュリティとしてもパスワードを設定して閲覧者を制限したり、公開時間や可視範囲を制限することもできる。また、動作を感知するとメールに転送する機能もあり、簡易セキュリティシステムとしても威力を発揮している。商業施設・チェーン店舗・警備会社・マンション・駐車場・ペットショップ・ペットホテル・学校・保育園・幼稚園・観光地等、個人宅などさまざまな業界で導入が始まっており、今後も急速な普及が見込まれている。
 当社のネットワークカメラ事業は、オーナーの相談がきっかけでスタートした。「本店や自宅から支店の店内の状況を見たい。既存の防犯カメラは店舗内でしか見られないし、ビデオ録画するのでかさばるし面倒。何か良い方法はないかな?」と相談があった。従来の防犯・監視カメラの場合、遠隔地から見られないという問題があり、インターネット経由で見られるネットワークカメラが最適だった。しかも、遠隔操作、遠隔録画もでき、人体感知センサーを付ければ、動きがあったときだけ画像を保存できる。提案書により、新店舗に導入が決まった。導入後、「簡単な操作で見られて、後で見る時も無駄な時間を費やさずに済むので助かっている」ととても好評で、その後、全店舗に導入された。
 平成16年の売上高は、1億5千万円を達成した。事業の構成は、パソコン教室が30%、システム開発・保守・ハード販売が60%、ネットワークカメラ事業が10%となっている。開業時は、ホームページ製作から出発したが、徐々に、システム開発事業が増えてくるにつれて、製造から納品までの期間の回転差資金が増加してきた。しかし、パソコン事業を増加させることによって、毎月の安定した収益とキャッシュフローの確保が図れるようになった。そのため、これまで借入金に頼ることがなく、自己資本の充実による、経営基盤の強化を図っている。
 しかし、パソコン教室は、公共職業訓練に依拠する傾向が否めないため、経営環境の変動を想定した、代替できる新しい事業収益の確保が課題であった。そこで、安定した受注をめざして、ネットワークカメラ事業を新しく展開している。ネットワークカメラ事業は、パソコン、カメラ、ネットワークの3要素の技術が不可欠であるが、その3要素を全て適用できる事業者は限られている。そこで、創業以来の、異なるメーカー同士の機器とソフトを接合して、総合したシステムを構築する能力を発揮して、この事業分野へ挑戦することとした。
 新分野への進出を通じて経営革新の実現をめざす。 遠隔監視システムの展開に当たっては、照明の点灯やドアの開閉などをEメールで通知したり、画像を転送するなど利便性を追及したシステムを構築することで、ユーザーからの好評を得た。しかし、プライバシーの保護やセキュリティ対策など新しい分野での思わぬトラブルにも遭遇した。その経験をノウハウとして、ソフト面での改良を加えている。
 今後は、これまでに蓄積されたノウハウを活かして、独自のサービス提供事業を確立することによる経営革新をめざしている。得意とする顧客のニーズに適合した、ハード機器と独自のソフト開発をパッケージ化した新製品、新サービスの開発による、独自ブランド化が課題となっている。 多発するテロや犯罪の増加という社会的背景から、この分野への参入企業は、増加する一途をたどっている。したがって、市場は急速に拡大しているが、その中で生き残りを図ることは容易ではない。そこで、ネットワークカメラ販売、ネットワークカメラ設置工事、LAN/WAN ネットワーク構築等、それぞれ専門としている会社が多いが、それらとの差別化を図り、特定した市場でのシェア確保がこれからの課題となっている。顧客の要望、予算、パソコン、インターネット、ネットワーク環境等から、最適なネットワークカメラシステムが選べる、フレキシブルなサービスを提供して、他社にない付加価値を提供できる企業となることが、今後の目標である。そのための経営革新計画作りへの挑戦が始まっている。




日本のダンボール産業は年間130億�を超える生産量を誇り、包装産業の中で大きな位置を占めるに至っている。しかし近年、長引く経済低迷や生産拠点の中国などへの移転による産業の空洞化など、段ボール産業を取り巻く状況は大変厳しくなっている。また、廃棄物の削減を目指すリユース化・リターナブル化の動きも進んでおり、環境への対応も大きな問題となってきている。これらを背景に、段ボールにはよりいっそうのコスト低減が求められると同時に、環境や人(ユニバーサルデザイン)を意識した設計が求められている。
 大洋紙器株式会社は、昭和31年(1956)年に創業、輪転印刷機(プリスロ)、断裁機等を設備して、ダンボール紙器の加工を営んでいる。しかし、製造業の海外移転等の影響を受けて、業界全体が「不況業種」に指定される等、価格競争のなかで売上高が低迷して付加価値も減少するなか、昨今の海外生産シフトの影響を受け、取引先からの厳しい値引き要請と製紙メーカー等の原材料の値上げに挟まれ、利益が出ない構造に陥っている。従来型の受身受注生産体制では、売上高の減少に歯止めがかからないと考えた。
 ダンボール業界は、海外生産シフトの影響を受け、取引先からの厳しい値引き要請と製紙メーカー等の原材料の値上げに挟まれ、利益が出ない構造に陥っている。従来型の受身受注生産体制では、売上高の減少に歯止めがかからないと考え、提案型受注体制を構築するため、CAD・CAM(小ロット生産機)を導入、短納期・低コスト・小ロット生産を可能にして、版下(手彫り版、樹脂版)の要らない同業他社にない、独自の印刷システムを開発する必要がある。さらに、印刷設備や自動糊貼り機を活用した新しい生産方式を開発して、製品の品質向上とコスト削減に挑戦する。さらに、営業エリアを全国に広げて、安定受注と資金回収のためネット通販システムを開発する。
 そのために、2003年11月、独自のホームページを開設して、ネット通販システムを開発、営業エリアを全国に広げた。2004年7月、小ロット生産を行うために、CADAMカッティングマシーンを導入して、短納期・低コスト・小ロット生産による、木型(抜き型)が不要な生産システムを実験開発した。2004年12月 大阪府経営革新支援法を承認され(大阪府指令経支第1100-148号)、引き続き、経営革新を図っている。
 ダンボール箱工房はインターネットを活用して、段ボール箱や印刷紙器、包装資材などを販売している。きっかけはインターネットでもお客様との出会い、つながりを大切にし、お客様からのご要望にきめ細かく対応している。以前に、お客様の声として、小ロット生産ができる会社を探していても、なかなか見つからなかったという意見を聴いたので、当社のホームページをリニューアルして、Yahoo等に登録し、検索エンジンにヒットするよう工夫している。小ロット・短納期で制作できる特徴を活かして、「額を入れる箱、海産物を送る特殊な箱、楽器を輸送する箱、パソコンを入れる箱、化粧品の箱」などに挑戦している。

(1)ダンボール製品というのは、既存の在庫品では対応しにくい製品なので、お客様が希望されるダンボール箱を1個からでも制作している。そのため、CAD/CAMのカッティングマシーンを導入した。完成予想図面のレイアウトを入力することにより、自動的にカッティングするので、従来のように、型紙を起して、外注する手間と時間が短縮されるので、納期が短縮されている。

(2)受注システムがユーザー指向で作られるよう工夫をしている。
 インターネットによる受注システムは、全く白紙の状態からの挑戦ではなく、ダンボール会社有志で、「Dキューブ」という仕組みを立ち上げていたので、ある程度の、モデルとしてのホームページはあったので、それに独自性を加味して作成した。
 利用者からの問い合わせに多い項目として、下記の14項目を「Q&A」という形式で掲載して、これ以外に疑問に思った点の問い合わせを受けている。

○納期はどれくらいかかりますか?
○価格について
○お支払方法について
○どれくらいの大きさまで作れますか?
○カラーダンボールで作れますか?
○規格品ダンボール箱はありますか?
○冷凍庫に入れたいのですが、適したダンボールはありますか?
○ダンボールは薄いほうが値段は安いのですか?
○型抜きタイプは木型が必要ですか?
○版や木型のデータを持ち込めますか?
○配達はどのようになりますか?
○古いダンボールを引き取ってもらえますか?
○ダンボールを保管しておくのにどれくらいスペースが必要ですか?
○引越し用に箱が必要なのですが?

(3)初めて、ダンボール製品を発注する人を想定して、図解でわかりやすく、解説されている。
 ダンボールの種類について、段ボールの波の部分の段(フルート)で区分されている7種類の特性や、機能性による、「段の高さ」「緩衝性(柔らかさ)」「加圧への強度」等の区分を、詳しく解説している。また、ダンボールの材質については、表ライナー・裏ライナー(3及び5種類の原紙)、中芯、ライナーと芯の組み合わせ、重量などの要素を説明している。また、ダンボール箱の採寸について、外寸と内寸に分けて計測方法を解説している。ダンボールの通販サイトの中では、見やすく、また発注の要点を示している。さらに、ダンボール箱の形状についても、基本の形として、A式、B式、C式、奴(たとう)式、N式を例示している。また、段ボール箱の中身を保護する附属品としての、パッドや仕切等の緩衝材、スリープ、角あてなどについて詳細な解説をしている。

(4)ホームページの製作を外注せず、内製化することによりノウハウが蓄積されている。
 ソフト産業プラザ「イメディオ」(大阪市の委託を受けた、財団法人大阪市都市型産業振興センターが運営する施設)で講習会を受講して、自力でリニューアルを繰り返しながら、改善している。そのため、業務内容について、実際に日常業務を通じて親しんでいるため、良く理解をされていることも、上記に述べた、ホームページがわかりやすい要因となっているように思える。

(5)ウェブからの受注と営業体制の確立について
 ホームページのアクセス数も毎月の動向を観ると、確実に増加している。ウェブからの問い合わせに関する対応は、メールに対しては、営業時間以外等でも対応可能で、急ぎの注文にも、可能な限り応じるよう努力されている。また、通常は電話やFAXにより受付をしている。また、大阪市内や近郊都市は、なるべく営業に出かけて行って、直接のコミュケーションによる営業戦略を重視されている。遠隔地については、時間と経費を勘案して、電話、FAX、メールによる対応をしている。

(6)他のダンボール製造業とのサービスの違いを際立たせて、オンリーワン戦略を指向している。
 ダンボールという包材の商品特性は、「顧客の商品を梱包、包装するのにピッタリの寸法の箱を提供する」ことであるため、既存品では対応できず、「受注生産」が基本となっている。そのため、受注から製造、納品のリードタイムの短縮が重要である。さらに、顧客の要望するデザイン、印刷、性能など付加価値をいかに、顧客にプレゼンテーションするかの企画、デザイン力が必要となっている。CAD/CAMのカッティングマシーンの導入により、物理的な製造工程の自動化、短縮は実現している。これまでにデザインした、包材のパッケージデザインの型紙を整理、保存して、データベースを構築して、新規の受注時に、前回までの類似した企画を即時に検索して、そのデザインを修正して企画・提案ができるようなアーカイブを作成するなど、ソフト資産の保全及び活用が課題となっている。
 ダンボール業界は、一時は不況指定業種になるなど、厳しい経営環境にあり、統廃業も進んでいる。その中で、既存営業分野での売上高の減少を、ウェブ受注からの営業でカバーしようとされている。まだ、その端緒についたばかりであるが、インターネットからの問い合わせは、そのアクセス数の増加と比例して増えつつある。また、発注先の地域は、関西圏だけでなく、首都圏からの受注もコンスタントに増えている。製品の受注から、製造、発送、納品が自動化されつつある。代金回収の流れも、前金及び代引きにより債権管理も整備され、キャッシュフローも改善されてきた。新規設備の増強についても、経営革新計画の設備計画案に沿った投資を行い、減価償却も着実に増やしてきており当期利益、人件費等の付加価値の増加を図り、経営体質の改善を図っている。
 経営革新計画としては、「ウェブ受注システムによる販路開拓、ウェブ受注システムによる受注体制の確立、展示会等でのホームページの広報・宣伝、メール・マガジンを活用したヒット率の向上、ウェブ・ログ(Blog)サイトによるヒット率の向上、SEO対策による向上策の実践」等を挙げている。
 これまでは、経理業務、販売管理業務、ホームページ製作、工程管理等の分野で、自社用のソフト開発を避け、既存ソフトを導入して、活用されてきている。これにより、コスト効果のある運用を実現されている。しかし、顧客管理システムとして、ウェブ経由の受注を増加させて、顧客のニーズや不満をフィードバックさせる情報を管理する仕組みが必要となってきている。また、通販業務の増加に伴う、受注、製造、発送、売掛、入金など業務管理システムの整備が課題となっており、さらに、個人情報の管理と情報の活用を図る観点からのシステム開発戦略の立案と計画化が課題となっている。これまでの、自社開発を基本としながら、不足する技術を外部から導入するという開発方針を維持しながら、「顧客第一主義」を基本とした、「より良い商品を・より安く・より早く」作るためのテム開発が望まれる。





人材派遣業界は規制緩和に伴い、派遣許可業種が一般事務・営業・販売職、さらには製造ラインの業種まで拡大してきている。しかし、平成11年以降の規制緩和後は、需要の一巡及び過当競争等により、人材募集コストが上昇、また派遣労働者の社会保険の加入促進などの影響で、売上高は伸びても利益率は下がり厳しい経営環境下に置かれている。特に、中小派遣会社はこの傾向が強い。他方、大手企業は人材派遣の関係子会社を設立し、全国規模での営業網を強化、店舗を拡大するなどシェアを拡大してきている。業界は大手主導による再編成が進み、中小派遣会社は、資本力のある大手派遣会社と単独で対抗するのは困難なため、必死になって生き残り策を模索しているのが現状である。そこで、中小派遣会社の現状打開策として、大阪・東京・愛知・広島・福岡等の主要都市の中小人材派遣事業者と連携を図り、良質で全国規模の求人を可能にする「求人システム」の共同利用化を図ることが必要であるという結論に達した。この求人システムは、すでに特許庁への審査請求をえており、実用化をめざしている。
 この求人システムの大きな特徴としては、求人情報をサイト上に掲載し、QRコードを活用することにより、パソコン向けサイトと携帯電話向けサイトの融合を実現し、また、1つの共通したフリーダイアルを各社へ提供することにより、求職者からの求人への応募の際、求職者側の通話料の負担をなくし、応募者の増加につなげるなどといった効果が期待される。その詳細は以下に列記する。

(1)今回の事業は、人材派遣業を20年近く、営んでいる当社が、自社の求人のノウハウを基礎に、求人システムを開発し、同業他社の人材派遣業への販路開拓を行う事業である。そのため、開発しようとするシステムは、人材派遣業での運用実績がある仕組みがベースとなっており、中小派遣業での運用を充分に考慮した設計となっている。そういう観点から、人材派遣業に精通したシステムとして、円滑な導入が期待されている。

(2)さらに、求人システムを中小派遣業界に、普及する意義として、中小派遣事業者が大手派遣事業者との競争力を向上させるために貢献することがあげられる。派遣業界では規制緩和が進み、主要な派遣業の今期業績は、おおむね増収増益となっている。
 しかし、他方で、派遣会社間の競争は激化しており、業績を伸ばすカギは、「人材調達力」となっている。この「人材調達力」の向上のために、求人システムは、業績回復のための手段として効果的である。さらに、人材募集のために費やすコスト増加が、利益を圧迫する要因となってきており、募集費用の高騰防止を講じるための情報化ツールとしても有効である。したがって、「大手派遣業との業績格差を是正するための典型的な求人システム」として、中小派遣業に幅広く、浸透させることに、大きな意義があり、その必要性が高いものである。

(3)今回のITサービスは、人材派遣会社の効率化を促進
 従来の派遣会社の求人システムの弱点として、「求職者」に対する応募時の、サポートが弱いことが挙げられる。いわば、人材派遣会社の業績を左右する、「求職者の確保」が、システム化されていない点が、最大の課題であった。即ち、派遣登録者の応募時に、派遣登録者からの、電話での問い合わせ(面接場所の位置確認等)の頻度が増加するため、個別の電話に対する応対や説明に労力と時間を割いてきた。面接場所が分からないために、応募者が面接を棄権してしまうことも多く、その結果、広告費がムダになり、募集費がかさみ、経費増となっていた。派遣会社にとって、自社のクライアントからの派遣要員の量と質を確保できなくなると、次回からの注文が減少するので、「人材調達力」の有無が、人材派遣業の成長を促す要因となっている。

(4)「求職者へのサービス向上」を、ランニングコストを増やさずに、実現するシステムを開発
 人材派遣会社が、短時間で多くの求職者とのコンタクトを行う場合に、面接場所や会社の概要などの同じ内容を、個別に何回も電話で説明する必要がある。これには、大変な時間と労力を取られるが、より多くの応募者に説明すれば、その応募者のなかから条件に適った求職者を確保することができる。しかし、工数の増加は、コスト増加を招き、業務量に比例して増加している。そこで、システム化することにより、業務量が変動しても、コストに影響しない、高品質なサービスを提供することが課題となっていた。

(5)登録ハローネットの機能
 求人情報の範囲は全国を対象とし、あらゆる職種や正社員・パート・アルバイト・派遣などさまざまな雇用形態に対応している。多くの求人サイトは、パソコン向けのサイトのみだが、登録ハローネットはケータイにも対応しているため、パソコンユーザーだけではなくケータイユーザーの求職者まで幅広い人材を囲い込むことができる。
 登録ハローネット 
 弊社フリーダイアル 0120-106-860(登録ハロー)から
 「登録して、きっとみつかるいい仕事」
 サイトに登録することにより求職者と求人企業様とのベストマッチングを目指している。

 (オンライン上のハローワーク)
 仕事を求めている求職者と人材が必要な求人企業様をWebサイト上でマッチングさせ、企業様の求人にお役に立てることが目的である。同サイトは会員登録制で、求職者と求人企業様はそれぞれIDとパスワードを用いた専用ページが割り当てられる。求職者専用ページでは、求人への応募管理や自身の履歴書情報、スキルなどを登録することができ、求人企業様専用ページでは、会社概要の登録、求人情報の掲出、求人への応募者管理、オンライン上での書類選考などが行える。これによりベストマッチングを可能にし、求人企業様の欲しい人材を採用することができる。

(6)登録ハローネットの求人データは、パソコン版と携帯電話版のサイト間で、常に情報の同期が取れている。パソコンサイトより検索した求人情報に記載されているQRコードをQRコードリーダー対応の携帯電話で読み取り、その情報を携帯電話のブックマーク機能またはQRコードそのものを保存しておくことにより、携帯電話からいつでも情報にアクセスすることができる。また、携帯電話からそのまま求人へ応募することができる。応募者は、まず、パソコンで検索した求人情報に掲載されているQRコードをQRコード対応携帯電話で読み取る。そして、読み取られたURLに携帯電話からアクセスすると、パソコンで検索した求人情報が携帯電話から参照することが可能になる。また、携帯電話のブックマーク機能を使えばペーパレスで情報を保存しておくことができる。さらには携帯電話から応募も可能となっている。

(7)地図表示機能を搭載(パソコン・携帯電話両対応)している
 登録ハローネットでは、面接地周辺の地図表示機能を搭載している。求人情報掲出申請時に登録した面接地住所からシステムが自動的に、地図画像として出力する。その地図画像をパソコン版サイトからはもちろん、携帯電話版サイトからでも確認することができるため、求職者をスムースに面接会場へ誘導することができる。
(1)携帯電話のQRコードによるウェブ画面への接続システムの活用技術を開発
 ブレーン・パワー株式会社のホームページや宣伝チラシ等の媒体に記載されている、QRコードの中に必要な求人情報を組み込み、ウェブ上の画面から携帯電話の読み取り機能を使って、データを読み込む基本システムについては、すでに稼動している。

(2)「ビジネスモデル特許」について、特許庁へ出願をした。
 当社が開発した、知的財産権である「QRコードを活用した求人情報システム」の研究成果を技術要件に整理して、特許庁への特許申請を行っている。
(1)販路開拓を積極的に推進する。
 システム開発を推進する一方で、販路開拓の試みを行ってきた。しかし、活動を進めたところブランド力の弱さが問題として浮上してきた。対策として、「登録ハローネットブランド」の向上に取り組むべく、積極的な展示会への出展活動、車内広告、インターネット広告といった広告媒体を活用し、広報活動していく必要がある。その結果、ブランド力が高まり、このシステムを利用する中小派遣会社へのビジネスチャンスが広がることが想定されるので、各派遣会社へ周知し積極的に販路開拓をしていくつもりである。

(2)システム技術面の改善を随時行う。
 求職者が登録ハローネットの求人情報に容易にアクセスできるように、また求人企業が簡単に求人情報を掲載できるようにすることが閲覧者を増やすポイントになってくる。
 そのためにはアクセシビリティとユーザビリティを向上させることが大前提であり、登録ハローネットの利用者に、わかりやすく、使いやすいサイトを提供するためにシステム技術面の改善を随時行っていくつもりである。




(1)販売管理レベルの向上
 システム導入前、A社における販売管理は、経営層の感覚に頼るところが大きかった。また、自社製品の販路拡大、商品開発も同じであった。それらのことに関して、経営層は、今後の経営に不安を覚え、まず、顧客・商品別レベルでの販売管理を必要と感じた。そのため、販売管理レベルの向上を目的としたITの導入を行った。

(2)事務作業の合理化
 A社では、紙媒体による完全手作業での経理業務を行っており、担当役員にかなりの時間を費やさせる形となっていた。そこで、上記(1)に加え、事務作業の合理化も視野に入れたITの導入を行った。
(1)問題点
 IT導入時において、A社では、
 1)販売管理に対する知識・認識の不足
 2)(IT導入時の問題ではないが、顧客構造上の問題として、)特定1社に対する高い売上依存比率
 3)PC未導入および使用経験の不足
といった問題点があった。

(2)対応策
 A社では県制度の活用により、コンサルタントを利用し、上記問題点の解決を目指した。ここではまず、
 1)市販データベースソフトを活用した簡素な販売管理システムの構築
 2)経理帳票のPC化
 3)従業員のPC使用のスキルアップのための指導
を行い、特に1)については、特定の1社に対する売上依存度を下げ、他取引先の売上UP、新規顧客開拓に活かせるようにした。
 A社における販売管理システムは、コンサルタントにより市販のデータベースソフトと表計算ソフトにより作られたものである。そのため、使用者のレベルに合った簡素化されたシステム(下記フロー参照)になっている。
 なお、このシステムでは、費用削減と使いやすさ、メンテナンスのしやすさを考慮し、販売管理用データベースと売掛金管理用表計算ソフトとのリンクは設定していない。
 このシステムは、社員へのインタビュー調査を基にコンサルタントが整理し、作成した。システム構築後の運用は、事務員による入力業務、経理担当役員とコンサルタントによる経理業務、および上表の通り経営層とコンサルタントによる経営会議にて分析・検討を行っている。

(1)販売管理レベルの向上および顧客構造の改善
 通常、月初めに先月の販売結果の確認と今後の行動計画作りのための会議が行われる。その際に、数値として顧客・商品別の販売状況を確認できるようになったことで、より信頼のおける販売計画を策定することが出来ている。また、1社依存型の顧客構造の改善について、総売上を落とすことなく、その改善が進んできている。

(2)事務作業の合理化
 PC化により、事務作業の時間短縮、確実性の向上に繋がった。また、表計算ソフトの活用により、売掛金の発生・入金確認の合理化が進んだ。
 一番にコンサルタントを有効活用したことが挙げられる。また、A社ではPC経験者がいなかったが、担当者各々が、努力し取り組んだこともその要因の1つであろう。いまでは、担当者のPCアレルギーも薄れ、このシステムを基礎として通常業務が行えるようになったと担当者からも評価を得ている。
 販売管理面については、現状のシステムの費用対効果は高く、継続して使用していく予定である。また、A社は、営業戦略の一環として、より人口の大きな近隣都市に豆腐を主材料とした惣菜路面店を出店した。その部門におけるIT化に現在取り組んでいるが、当面の目標は、携帯メールを対象とした販売促進活動を軌道に乗せることである。この販促システムも市販メールソフトと表計算ソフトを組み合わせた簡素で使いやすく、ローコストなものであり、現在、会員(メール受信希望者)獲得を促進中である。



A社では、ステーキハウスのFC加盟により新規事業を行い、ある程度の成果は出すことが出来ていた。しかし、時間経過とともに、FC本部より指導される販売促進活動(販促)の折込みチラシのみでは、
「FC主体で、地域に合った独自の販促を取り入れることが困難である。」
「顧客への一方通行の仕組であり、ニーズに対する店舗の行動が後手になってしまう。」
といった問題が見えてきた。そこで、FC本部に事前に了解を得た上で、顧客満足度向上を目指し、コストが低く、双方向のやり取りが可能な携帯メールを使った販促に取組んだ。
 基本的に投資額ゼロでスタートできることもあり、導入にあたって、特に問題点はなかった。運用開始後の問題点を強いて挙げるとすれば、メールを送信した際の未着アドレスの管理が出来ないことくらいである。原因としては、

(1)受信者(顧客)の携帯にドメイン指定がかかっていること
(2)アドレス申込時の記入ミス
(3)顧客のアドレス変更

が挙げられる。(1)および(2)は店頭POP等で注意を促し、(3)は初回のメール送信時に、アドレスを変更した場合、連絡をもらえるようにお願いしている。なお、未着アドレスがリストに含まれていても、運用上の支障はないことが携帯各社への確認により判明し、未着アドレスについては基本的に放置してある。
 このシステムは、一般的なメールソフトと表計算ソフトによる顧客リストで構成されている。顧客の管理を表計算ソフトで行っていることにより、

(1)会員の情報をデータベース化できている
 (表記名、アドレス、居住地域、誕生月、登録日、意見など)
(2)そのデータベースより条件抽出をし、特定のセグメントを対象にした販促も行えている
 (誕生月、地域別など)

といった特徴を持っている。システムの概要は以下の通りである。

 販促は、FC本部の指示に従うだけでは不十分という認識のもと、このシステムの必要性が生じたという経緯があり、A社はIT活用に強いコンサルタントに相談し、このシステム導入に至った。システムの導入および運営においては、そのコンサルタントを利用した。
(1)顧客の意見を反映させた上での攻めの営業ができたこと
 (こちらから独自のアプローチができるようになったこと)
(2)顧客との双方向コミュニケーション(利用の感想、クレーム等)体制が実現できたこと
(3)チラシの一部をメール化することによりコストダウンできたこと

以上3点が成果として挙げられる。
通常は、

(1)…待ちの営業が多い
(2)…回転率と相反の関係にあり、高回転の店では難しい

のが、現状であり、これを解決できる手段を保有できたことは飲食業界において非常に貴重かつ希有であると言える。
 現在、メール会員数は各店舗に400人程度である。反応率(来店者数/対象総数)でみると、メールによる販促の反応は、25%程度(売上ベースで10万円程度)あり、チラシ配布による販促の反応(1%以下)に比べ、数字の面でもはるかに効果的な販促であることがわかる。
 顧客の利便性を考えた上で、携帯メールという媒体を使ったことが一番の成功要因と考えられる。
 FC本部からのチラシは、割引券が付いたものであるため、料金的にかなりお得な内容となっており、顧客から見て店舗を利用する際には、是非利用したいと思えるものであった。それをメールで配信することにより、

(1)繰返し使用できる(紙の割引券は一度使ったら終り)
(2)紙の割引券を財布に保管しなくて良い
(3)新聞購読がない、または折込みエリア外でも割引券が手に入る

といった利便性を顧客に提供することができた。このような顧客満足の提供が、投資ゼロで実現できたことは評価に値する。
 このシステムを継続していくことはもちろんであるが、より顧客とのやり取りを活発化させていきたいと考えている。たとえば、

(1)新商品モニター制度等の導入
(2)ギフト等提携商品の開拓と案内

など、さらに顧客満足度を向上できる店舗創りに向け、このメールによる販促を重要なツールとして活用していくことが、今後目指すところである。





インターネット活用のテレビ電話、テレビ会議システムなどのサービスを提供している。当組合は、開発者でなくこれらサービスの営業代理業であるが、主として機器販売ではなく、アプリケーションシステムの利用をインターネット上で提供するASP(Application Service Provider)事業者である。
(1)事業目的
 当組合の事業は、生活やビジネスの場でのITの効果的な利用を支援することを目的としている。言わば、各企業に内在している固有のニーズについて、より高度な充足をインターネットTV電話やTV会議システムの普及を通じて支援することである。

(2)事業構築までの問題点と対応策
 当組合の提供するサービスは、ITを生活やビジネスの場で快適かつ効果的に活用するための新しいテクノロジーだが、顧客自体がその最適な活用方法を理解できていないのが実情である。そこで、組合設立により営業体制を整えることにより、体験会を定期的に開催し、またパブリシティなどを通じ、周知普及を図るなどの地道な活動により、利用者を増やしつつある。

(3)運用体制等
 当組合は、ソフトウェア業などとして個別の営業を行っていた個人事業主3名が法人化した。法人化は、一定の組織を持つことで、営業面で有利となると同時に顧客ニーズに合ったサポートを迅速に対応処理することをも狙いとしている。設立時に企業組合という形態が比較的設立が容易であることを知ったものの設立手続きなどに不案内だったところ、岡山県中小企業団体中央会のアドバイザーによる支援を受けることにより、円滑に設立を進めることが出来た。
 現在、従業員は理事のほか、営業担当と通信ネットワーク対応などを含む営業・技術兼任がおり、そのほか組合員以外の外部の知人を中心とした販売パートナーが数10名おり、営業面で戦力となっている。
(1)提供サービス内容
 インターネット活用のテレビ電話、テレビ会議システム、転送機能付きWebTVコールセンター、ホテル業向けVOD(ビデオ・オン・デマンド)Room Theaterサービスなどを提供している。当組合は、開発者でなくこれらの営業代理業である。機器販売が主体ではなく、インターネット上でアプリケーションの利用を提供するASP(Application Service Provider)事業であり、インターネット環境があれば、そのほか特殊な機器が不要で簡便に利用できる。料金は、月額固定で、テレビ電話が月額1,029円、テレビ会議10人分で月額31,500円など(平成17年8月末現在)、安価に設定されており価格競争力もある。顧客の対象は一般家庭と事業者向けに分かれる。

(2)システムの概要・特徴
 テレビ電話システムについて他社システムと比較した特徴としては、掛け手側は、ブラウザから専用TV電話番号のURLを開くだけと操作が簡便であり、自動的に必要な機能をプラグインするので面倒なソフトのインストール作業が不要であるなど、掛け手側での専門的な設定が不要なこと、またファイル共有機能により、ブラウザから、パワーポイントやエクセル等のファイルを参加者全員がファイルを共有し閲覧することが可能などの点である。なお、利用料金負担は受け手が負担する仕組みであり、その点でフリーダイヤルと同様であり、顧客対応の各種サービスでの利用に向いている。

(3)投資額、資金調達先
 現在、岡山商工会議所ビル内に入居しているが、当組合を設立し事務所に入居するに当たり、パソコン等をはじめとするデモ用機材を必要とした。資金調達は、組合としての業暦、実績が乏しいことなどから、当初、銀行からの借入などに困難があったが、地元の大手企業との取引実績などが評価され、借入が可能になった。また、設立時の資金不足を補うため、岡山市内に指定されたIT特区内に進出するIT関連の新規創業企業に通信費を補助する制度や、そのほか雇用関係助成金の利用を行った。

(4)販路開拓方法
 当組合のシステムサービスには、インターネット環境があれば、場所を選ばず比較的容易にデモンストレーションを実施できる利点がある。こうした仕組みの持つ利点を利用し、ライブの市場競り市(せりいち)やeラーニングなどの体験会を開催すると共に、これらの活動のパブリシティなどを通じ、提供するサービスの仕組みと優位性を丁寧に説明することなどの活動により、普及を図っている。
 また、顧客の対象は一般家庭と事業者向けに分かれるが、今後は、テレビ電話、テレビ会議システムだけでなく、ホテル業向けVOD(ビデオ・オン・デマンド)Room Theaterサービス等の事業者向けをターゲットとして拡販を計画している。
(5)セキュリティ対策等
 個人情報保護法の施行などに対応して、セキュリティ対策にも留意しつつ取り組んでいる。  

(1)売上増加
 テレビ電話を始めとしてサービスの内容は普及してきているが、これらサービスを取り巻く技術の進展も著しく、顧客がその最適な活用方法を理解できていない側面もある。
 しかしサービス、価格、その仕組みについての優位性を武器として、体験会やセミナー、さまざまなパブリシティなどを通じて営業開拓を図っている。これらの地道な活動により、平成15年の設立と、設立間もないが、黒字化を果たしている。

(2)販路拡大
 当初は、提供する製品・サービスが市場に浸透しておらず、顧客の理解が及ばない点もあり困難があったが、現在は一般的な説明だけに止まらず、企業側のニーズに近い想定でデモンストレーションを行うことなどにより、サービス内容に関する顧客の理解も進み、利用者数も飛躍的に増加している。

(3)顧客サービスの向上を通じたビジネスモデルの構築
 当組合の事業は、生活やビジネスの場でのITの効果的な利用を支援することを目的としている。そこでは、サービス業としての側面だけでなく、各企業の固有のニーズについて、より高度な充足を当組合の提供するサービスを通じて支援するコンサルティング業としての側面もある。そうした観点から、今後は一層、顧客の現場の実情やニーズを把握した上での提案力の強化を図りつつある。
 提供するサービスは、昨今の事業者ニーズを捉えており、かつ一定の優位性を持っており、このため営業力強化が課題となっている。一方、多くの顧客にとっては、依然として新規性のあるサービスのため、デモンストレーション実施等の人員も必要とされている。 こうした中で、インターネットプロバイダー事業者など、外部との連携も視野に入れて効率的な営業活動を図ることとしている。
 また、ブロードバンド時代の到来に合わせた新たなサービスとして、動画像配信向けのストリーミングホスティングサービス提供を本年(平成17年)8月より開始しており、事業の柱の1つと位置付けて、積極的な取り組みを行っている。





(1)システム導入の経緯
 社長は経営改革に対する意識が強く、地域の経営者とともに研修等を積極的に行なっている。そのような中、長男の土肥常務が平成14年度ITSSP事業の戦略的IT投資研究会に参加するとともに、次男の土肥店長と担当者が経営者研修に参加し、その成果としてIT化実施計画書の作成を行った。
 従来から、IT化の必要性を十分認識していたので、IT機器の導入は行われていたものの、社内ネットワークや社外とのWEB環境等の十分な活用はなされていなかったが、ITSSP参加を機にネットワークインフラの整備を図るとともに、ホームページを活用した営業活動を展開した。

(2)システム化の狙い
 システム化の狙いはあくまで経営課題の解決である。システム化を行う前に、土肥常務以下経営幹部で、経営課題の共有化を図った。土肥社長は、地域に密着した工務店として、1)お客様第一主義(優れた顧客サービスのできる組織作り)、2)他社との競合に勝つために高品質低価格の実現、3)当社での建築物件は空室0、4)呉地区のシェアNo1 が重要な経営目標と考えている。この社長の想いを実現するために、1)社員の多能化(顧客との窓口業務である見積業務・クレーム対応などを社員全員で対応できる技能習得)、2)営業力の強化、3)工務店部門のコスト管理の徹底 という3つの経営課題の抽出を行うとともに、3年間のアクションプランの作成を行った。そして、経営課題実現のためのIT活用として、1)LANの整備とサーバー構築、2)外部ネットワークの構築を推進した。  
(1)社内体制
経営の中枢にいるメンバーはいずれもITに強い。このことは、IT化推進には非常に大きな後押しとなった。しかし、社員数15人と企業規模はそう大きくなく、IT専任スタッフもいない。IT化の必要性は認識しているもののどのように推進していいかわからないというのが正直なところであった。したがって、今回のIT化にあたっては、ITSSP事業で懇意となったITコーディネータに支援を受けた。
 社内の推進体制としては、社長以下3人の子息や経営幹部で、経営課題を整理した上で、IT化に関しては、長男の土肥常務を中心に3人の子息で対応した。ホームページについてはそこに盛り込むべき内容や検索エンジン対策、アクセスに関する分析ソフトなどについてはITコーディネータから指導・アドバイスを受けながら、子息の1人が推進し、外部へ委託することなく完成させた。

(2)身の丈にあったIT化
 土肥常務は、ITSSP事業で参加し作成したIT実施計画書では、あるべき姿を描いていた。しかし、小規模企業ではすべてを計画通り進めることは難しい。とりわけ経営を取り巻く外部環境は、短いサイクルで変化し、かつ経営への影響も大きい。したがって、当初の目標にこだわりすぎず、現実的な企業ニーズに合わせて必要性、投資対効果、自社の情報化レベル等を勘案し身の丈にあったIT化を推進した。
従来からIT化の必要性を十分認識していたので、IT機器の導入は行われていたものの、社内ネットワークや社外とのWEB環境等の十分な活用はなされていなかった。今回のIT化では、1)LANの整備とサーバー構築、2)外部ネットワークの構築を推進した。
(1)LANの整備とサーバー構築
 土肥工務店は、呉の本社と賃貸部門とを中心とした広島駅前店の2箇所にサーバーを設置し、本社・広島駅前店で社内LANを整備した。これらのインフラ整備により、以下の改善を行った。
1)文書等の共通化と共有化による業務効率向上
 従来はスタンドアロンのパソコンで各担当が保有していた文書・図面等のデータをサーバーに保管し、社内LANを活用し全社員で共有化した。お互いに情報を共有化することにより、重複業務の減少やデータ検索の容易性等、事務業務の効率化を図った。  
2)賃貸部門「お客様カード」のデータベース化
 賃貸部門のお客様カードデジタル化は、社内でインプット項目について議論し、フォーマットを作成した。お客様カードは、項目に記入のあるなしに関わらずインプットし、データベース化して、営業活動に活用できる体制とした。
3)社内用オンライン共同掲示板立ち上げ
 経営課題の1つである社員の多能化への対応として、社内オンライン共同掲示板を立ち上げた。社長の想いである「顧客との窓口業務である見積業務・クレーム対応などを社員全員で対応できる技能習得」を実現するためには、お客様の情報、工事の情報等社内の情報を共有化することがそのスタートといえる。そのためには、各社員が自分の見れる時間に欲しい情報を得ることができる社内オンライン共同掲示板は、非常に有効である。また、建設現場での工事進捗状況が一目できる写真などは、営業担当者がお客様に提供すると非常に喜ばれ、顧客満足向上にも有効なツールとなった。

(2)外部ネットワークの構築
 外部ネットワークの構築として、1)本社と営業所にブロードバンドを設置、2)独自ドメインによるホームページ構築、3)電子メールの全社員活用 を行った。特に、営業力向上へのホームページの活用を重点的に検討・推進した。
1)営業力を支援するホームページ造り
 土肥常務が感じた「提携商品への感動を、ホームページを通して一般顧客に分かりやすく伝えること」というコンセプトを実現すべく、全体構造の見直しや重点の置き方を中心に社内で討議した。その結果、土肥工務店の事業のうち、ホームページ上では一般住宅と提案型事業(介護・医療施設、アパートなど)に重点を置くことにした。
 また、一般住宅については、図面と写真とコメントをうまく活用して、買い手の求めているものを説明しながら、土肥工務店の特長をアピールできるような構成を社内で再々検討した。
 いくらいいものを作っても家を立てたい人に見てもらわないことには効果がない。当初は、検索エンジンにかかり難いようであったので、ITコーディネータの支援を受けながらホームページのアクセス解析ソフトをインストールし、ホームページの改良を図った。特に、チラシを配布した後などに、アクセス解析ソフトによりその効果を確認し、チラシとホームページ双方の改良に活用した。どのようなキーワードで検索されるかは千差万別であり、この点は今後ともに継続的な重要テーマである。
2)ホームページのPR
 土肥工務店ではホームページを立ち上げ、販売を開始した新商品の案内チラシにもURLを刷り込みホームページアドレスのPRを行っている。さらに、名刺や封筒その他対外的に配る資料類などあらゆる機会を利用して、ホームページアドレスをアピールしている。 また、現場見学会へパソコンを持ち込んで、お客様への応対・説明にホームページを活用している。建設中の内部構造の写真を見せることにより、商品の差別化を理解していただくことに役立てている。
3)営業活動へのメール活用
 従来は、訪問や電話による営業活動が主体であったが、社員にメールアドレスを持たせることにより、これに加えメールを活用することが可能となった。よりお客様のニーズに合わせた営業活動が可能となった。

(1)経営者の役割
 土肥社長は、経営の視点から明確な目的を提示し、これを受けて経営の中枢にいる3人の子息を中心とした経営幹部がIT化を推進した。

(2)外部人材の活用
 専門的な分野については、外部の専門家を積極的に活用した。経済産業省のITSSP事業で懇意となったITコーディネータの意見を積極的に取入れ、IT化を図っていった。

(1)社内掲示板、社内LANを活用した情報共有化

(2)ホームページ・メールを活用した営業力強化

(3)賃貸部門のお客様カードのデータベース化

 土肥社長の想いを受け土肥常務がIT化実施計画書を作成し、本格的なIT化を推進した。また、その実行に当たっても社内で議論を尽くし、社内の情報化レベルや環境変化を勘案しながらIT化を推進した。このように社内一丸となって、常にあるべき姿を描きつつ、日々の変化に対応しIT化を推進したことが成功した要因の1つと言える。
 今回のIT化は、スタートに過ぎない。今後も、「工務店部門のコスト管理の徹底」等、残された課題が多いが、本来の目的を見失うことなく、土肥工務店がさらなるステップアップすることを期待したい。





(1)システム導入の経緯
 三山産業では、早くから販売管理のパッケージソフトを導入し、サーバーのリース更新のタイミングには最新版にバージョンアップするなど対応していた。しかし、社内での活用は、請求書発行機能以外のシステムの機能は十分な活用をされていない状況ではあった。また、農業・土木工事関連では、提出図書(図面・写真等)の電子化の要求が強く、経営へのIT活用が重要となっていた。
 このような状況の中、尾崎専務は、平成14年に経済産業省が実施したITSSP事業の研究会・研修会に参加し、経営計画書と情報化企画書を社員とともに作成し、これを機に社内で経営計画と連動したIT化を推進した。

(2)システム化の狙い
 システム化の狙いは、あくまで経営課題の解決である。尾崎専務は、1)現人員での売上・利益のアップ、2)顧客満足度を高める(品質・価格・サービス・安全)、3)商社機能本来の(情報の活用)能力を高める という社長の想いを実現すべく、社員とともに自社の現状分析を行い、以下の6つの経営課題の抽出を行うとともに、3年間のアクションプランの作成を行った。
1)得意先を絞った提案型営業活動  
2)情報の共有化による経営のスピードアップ体制の確立  
3)新規得意先・新規部門の開拓と既存得意先の売上拡大  
4)仕入れ単価の見直し  
5)商品知識の共有と人材育成  
6)工事施工管理技術の育成
 さらに、上記の経営課題実現のために、1)販売管理ソフトの活用、2)会計ソフトの導入、3)CAD・デジタルカメラ等の活用による工事管理の電子化、4)取引先との情報共有等の情報化計画を作成し、社内のIT化を推進した。
(1)社内体制
 三山産業では、IT化の必要性は認識しているもののどのように推進していいかわからないというのが正直なところであった。また、ITに精通した人材がいないため、販売管理ソフトのバージョンアップもその機能を十分理解しないままで、ベンダーに薦められるがままに導入していたのが実情であった。
 そのような状況を打開するために尾崎専務は、経済産業省のITSSP事業に参加し、自社の経営へのIT活用の突破口とした。まず、戦略的IT活用研究会に参加し、経営へのIT活用の重要性やIT成熟度の考え方を理解するとともに、中小企業のIT活用事例に触れ、自社への展開の手応えを感じた。
 さらに理解を深めるため、引き続き経営者研修会に参加し、自社の経営計画書と情報化企画書を作成した。計画書等の作成は、自社の社員を巻き込み意見交換しながら作成することにより、自社社員の動機付けも併せて行うことができた。その後、ITSSP事業で懇意となったITコーディネータにIT計画書策定コンサルティングを受け、自社に不足するITノウハウを補完し、IT化の社内体制を築いていった。

(2)身の丈にあったハード・ソフトの選定
 尾崎専務は、情報化企画書ではあるべき姿を描いていった。しかし、実際の導入に当たっては、自社の情報活用の目的・レベルにと、投資コストを勘案することが肝要である。
 最近では、中小企業においても販売管理、財務管理等のパッケージソフトを連動したERP等の導入事例が多い。三山産業でも、当初は、先行して導入していた販売管理と在庫管理のパッケージソフトと連動した会計ソフトの導入を検討した。しかし、会社の規模や情報活用レベルに比較し、投資コストが高い状況であった。自社の情報活用度を検討し、税理士事務所と連動したソフトを導入した。
 また、工事管理用としてCAD、写真管理ソフトも順次導入した。当初は、販売管理ソフトと同じサーバーを活用していたが、写真管理ソフトの活用拡大に伴い、サーバーの容量を圧迫した。サーバーの増設も検討したが、投資コストを鑑みて、写真管理専用のパソコンを導入した。
 (1)販売管理システム
 販売管理のパッケージソフトウェアを導入しているが、機能に対する理解、データ活用ノウハウなどが十分とは言えず、システムで保持されている実績データが活用されていない状況で、請求書発行機能以外の機能は活用されていなかった。
 自社の重点経営課題である 1)得意先を絞った提案型営業活動、2)情報の共有化による経営のスピードアップ体制の確立、3)新規得意先・新規部門の開拓と既存得意先の売上拡大、4)仕入れ単価の見直しに販売管理システムの保有するデータを活かすように、営業会議に得意先ごとの売上や利益の把握、商品ごとの売上や利益をまとめた管理表を活用するようにした。

(2)在庫管理システム
 従来は、広島の本社と呉の事務所に倉庫を2拠点もった体制であったが、平成15年から事務所と倉庫とともに本社1拠点体制とし経営の効率化を図った。1拠点化に伴い、販売管理と連動した在庫管理システムを構築する予定であるが、未だその体制になっていない。一方、大手取引先からWEBを活用した発注在庫管理の要請があり、平成17年度より導入している。これを機に、手作業で記入される「在庫帳」をシステム化し、作業効率や正確性の向上、データを活用した不良在庫や適正在庫数の分析ができる体制としたい。

(3)工事管理システム
 工事管理システムは、CAD、工程管理表及び写真管理である。当然のことではあるが、取引先からは提出書類の電子化が要求されている。当初は、同一のサーバーで管理していたが、特に写真データの増加により容量が圧迫してきたので、専用パソコンを導入して管理している。工事管理のデータ管理は、工事担当の専務のみならず、販売管理担当者も作成作業を行い、社内情報リテラシーの向上に繋がった。

(4)会計管理システム
 従来会計管理は、手作業により実施していた。当初の予定では、販売管理や在庫管理ソフトと連動したパッケージの導入を検討したが、自社の事業規模やデータの活用方法を検討した結果、効果に対する投資コストが高かった。自社での会計データの活用方法を鑑みた場合、税理士事務所と連携することが良いのではないかと考え、税理士事務所と連動したパッケージを導入することとした。また、税理士事務所に、ソフトに精通した担当がいたため、自社での大きな問題もなく導入できた。

(1)経営者の役割
 三山産業の情報化推進は、尾崎専務がITSSP事業等の研修会や講習会に積極的に参加し、自社での情報化活用を検討した成果といえる。また、社内推進においては、リーダーであるとともに、各社員の意見を集約することも忘れずに、自社に適したITの導入を行い、経営革新に努めた。

(2)外部人材の活用
 専門的な分野については、外部の専門家を積極的に活用した。経済産業省のITSSP事業で懇意となったITコーディネータや税理士事務所のITに精通した担当者等、外部の人材の意見を積極的に取り入れ、システム導入を図っていった。

(3)社内人材育成
 情報化の定着のためには、人材育成が重要である。計画書作成に社員を参画させる等、動機付けは行ってきたが、ITに関する教育はほとんど行っておらず、社員の情報リテラシー向上が今後の課題である。
(1)事務所・倉庫体制を1拠点化

(2)会計システムの導入による業務の迅速化・効率化

(3)販売管理システムデータの営業活動への活用

(4)顧客ニーズへの迅速な対応(提出文書の電子化、発注在庫管理システム導入)

(5)工事現場からの情報共有化による遠隔地工事受注の獲得
専務が経営計画書と情報化企画書を作成して3年が経過し、最近では社員からIT化の提案が出るなどその成果は着実に表れている。また、WEB在庫管理やCAD・電子データ活用等を可能とし、取引先からも評価されている。尾崎専務が社員の意見を集約しながら計画書を作成し、身の丈にあったIT化を推進したことが成功した要因の1つといえる。
 専務は常々、「IT活用が目的ではない」と考えている。IT化は、経営課題を解決するための1つのツールに過ぎない。しかし一方では、あるべき姿を描きそれに一歩ずつ近づくことも重要である。今後も残された課題が多いが、本来の目的を見失うことなく、三山産業がさらなるステップアップすることを期待したい。



(1)「変換サーバ」開発の背景
 この「変換サーバ」を開発した山縣日出人社長は、開発の経緯について次のように述べている。「電子メールの利便性を生かして、企業は利益を、個人は自己実現を追求しようとしている。しかし一方では、セキュリティーを含め多くの問題が発生している。その原因のひとつには“メールアドレスそのものが脆弱である”と結論付け、それを強化するひとつの仕組みとして『相互のメールアドレスを変換するサーバ』を開発した。」
 ご承知のとおり個人情報保護法では、Keizai_Ichiro@meti.go.jpなど所属機関と名前がわかるものを対象としており、abc012@ispisp.co.jpなど個人を特定できないメールアドレスは対象外とされている。この点についても、このシステムを開発した動機付けになっている。

(1)(株)SAPの変換システムと従来のメールシステムとの相違点 【別紙資料参照】
 1)従来のメールシステム
   相互に取得したメールアドレスを利用して相手と情報を送受信しているが、そのメールアドレスが何らかの理由により
  不正利用者に知られると勝手に情報を送りつける、いわゆる「迷惑メール」という問題が発生している。
  これはメールアドレスがあれば誰とでもメールができることや相手にメールを送信すると自分のメールアドレスが相手に
  表示されるという仕組みを悪用されているために起こっている。
 2)(株)SAPの変換システム
   同システムは、送信者と受信者との中間で相互のメールアドレスを一旦「変換サーバ」で別の専用メールアドレス
  「とくアド」に変換したうえで相手にメールを送るため、相手ごとに自分のメールアドレスが全て異なる仕組みになっている。
  そのため、企業がこのシステムを採用した場合、その企業には顧客の本来のメールアドレスではなく、その企業しか利用
  できない専用に変換されたメールアドレスが届くことになるため、万が一企業から顧客情報(メールアドレス)が漏洩しても
  登録している顧客に迷惑メールが送られる心配がない。
(1)登録者の個人情報となるメールアドレスは秘匿され一切表示されない。

(2)変換後のメールアドレスは送信者を特定するため万が一、漏洩しても第三者が不正に利用できないため、登録者に
  迷惑メールが送りつけられることがない。

(3)登録者には「固有番号」を発行するため、企業や自治体は番号で管理でき登録者とのコミュニケーションが円滑にできる。

(4)携帯、パソコンからの登録者を識別できる。

(5)通常のOutlookを使用するため特別に機器の設置や知識は全く必要ない。

(6)企業や自治体がメールアドレスを変更する際も登録者に通知する必要がない。
 現在は「変換サーバ」を採用した独自のメールシステムを集客や告知のツールとして商業店舗を中心に販売をしており、平成17年8月19日現在の登録者企業は、60社。内訳は、県内企業が47社、東京都、大阪府、愛知県、長崎県などの県外企業が13社。業種別では、小売業が23社、ヘアサロンやレストラン、ホテルなどのサービス業が36社、その他が1社。ほかに山口県産業振興財団や市議会議員・国議会議員の連絡用ツールとして4団体がこのシステムを活用している。
 特に、個人情報保護法が施行された平成17年4月以降、公共施設の採用が増えてきている。
 今後の展望としては、いままでどおり企業の集客力の強化や顧客の囲い込みなどワン・トゥ・ワンマーケティングのツールとしての活用のほかに、学校や学校関連団体、自治体などの連絡用ツール(災害や事件、事故の連絡用)としての活用を提案していく。
 また一方、平成17年8月に特許取得のための審査請求をしている。今回の審査内容には、メールアドレスの変換以外にもIP電話の電話番号の変換も同時に請求しており、今後は特許のライセンス契約をも視野に事業を展開していく計画である。




(1)経営戦略として
・スーパー等に豆腐、油揚げを納入しているが、価格が厳しいため収益が上がらない。また、あるスーパーに商品を納入すると競合関係にある別のスーパーへは納入できない。県内でのシェアが高いこともあり、新規開拓による売上の伸びは期待できない。
・スーパー以外で新規顧客(市場)を求めたいと考えたが、生活者への直販は時期尚早と判断。事業所間取引として味付け油揚げを扱ううどん店の存在が浮かび上がった。そこに情報発信を行うツールが、WebとDMの連携と位置づけた。

(2)バイヤー、消費者の高い評価
・当社の豆腐、油揚げについては「おいしい」との評価が多く、食べてもらえればリピートにつながる可能性が高い。とりわけ油揚げについては、同業者からの引き合いがあるほどで、当社としても品質に自信を持っている。
・そのことは、生活者グループインタビューやスーパー店頭での顧客満足アンケートの結果に現れている。当社がこれらの結果をWeb上で公表しているのは、事業所取引に結びつける意図からである。
・その理由として、積極的に設備投資を行って消泡剤無添加や賞味期限を伸ばす製法などを取り入れるとともに、製造設備の清掃に力を入れ、水や材料のこだわりを大切にしている。

(3)情報発信が不十分
・近年に自社Webサイトを立ち上げたものの、ほとんどアクセスがなく、内容も会社案内の域を出なかった。成熟市場のなかで差別化を図るためには、情報を知って欲しい顧客に自社のこだわり、特徴を絞りこんで詳しく発信する必要がある。
・営業担当の社長はメールを活用しておらず、メールが活用できる総務担当者は通常業務に忙殺されており、社内でのメール対応力が弱い。また、コンテンツ更新態勢が整っていない。
(1)DMとWebサイトが連携・補完
・DMからWebを参照してもらい、DMあるいはWebからサンプル請求を行える。
・Webは、DMで説明しきれない詳しい情報、写真等を掲載し、DMを後押しする。
・Webからアクセスした人は、サンプル画面を印刷してFAXでサンプル請求を行える。
・事業所間取引を意識し、稟議等でWeb画面を印刷する機会が多いと判断し、Web作成に当たっては、印刷時にA4に収まるよう横幅を600ピクセルに設定した。
(1)営業戦略を決定(社長+専門家派遣事業の中小企業診断士)
(2)DM送付地域、店舗を決定(社長)
(3)DM、会社案内等送付および反応測定(総務部)
(4)サンプル請求があればサンプルを送付(総務部)
(5)サンプル送付先に電話営業を行う(社長)
・システム導入後、ただちにDM送付先から反響が現れ、サンプル納品を求める依頼が相次いだ。
・DMを送っていない相手先から(Webサイトを通じて)サンプル送付等の引き合いがあり、新規顧客開拓につながった。
(1)経営資源の分散を防ぐ
・ITの親和度が低い社内でもDMとタイアップしてFAX、電話による受信態勢を取ることで人員増を必要とせず、無理のない態勢で新規市場開拓が行えた。

(2)業務用市場開拓に絞りこんだ
・従来サイトは残したまま(リンク先の入り口の1つとして)、業務用の油揚げに的を絞った新サイトを作成。専門性を打ち出すべくaburage.netのドメインを取得した。

(3)愚直なまでに経営姿勢を打ち出した
・こだわりの油揚げの製造、清掃の徹底、経営革新支援法の認定を受けるまでの物語、スーパーでのアンケート調査結果や生活者とのグループインタビューの掲載など、当社が持つ誠実さ、愚直なまでのひたむきさを訴えた。

(4)Webデザイナーとの役割分担、コラボレーション
・Webデザインは県内在住のSOHOに依頼したが、社長と中小企業診断士がコンセプトを定め、それに必要なコンテンツ作成の素材(コピー、文章、写真)を準備した。
・それをWebデザイナーが、ぱっと見て何をしたいサイトかわかるB to B向けのシンプルなデザインに仕上げた。Webは、スタイルシートとHTMLを適宜使い分け、ユニバーサル性に配慮している。このように役割分担することで、Webのねらいが絞りこまれ、ムダな変更等がなく短期間のうちにサイトを公開することができた。






 ユニバーサルデザインなホームページの制作・Webサイトの構築およびコンサルティングサービスを提供し、これらの業務が障害者をはじめとする外出困難な方々の在宅就労に結びつくための支援を行うために、複数事業者が組織化して、ユニバーサルデザインメディア工房(以下UD工房)を設立した。以下のコンテンツを軸として、誰にでも使いやすいユニバーサルデザインウェブサイト(以下UDウェブサイト)について、在宅就労をめざす障害者と共に制作している。

(1)ユニバーサルデザインなホームページの制作およびWebサイト全般の構築
(2)情報のユニバーサルデザイン化に関するコンサルティング
(3)SEO手法を取り入れた企業向けホームページの上位検索サービスの提供
(4)これらのサービスのアウトソーシング提供・障害者自らが制作しチェックしたデザインの提供
(5)言語障害者向けコミュニケーションエイド製品の開発

 ウェブコンテンツJISの発効により、自治体を中心にアクセシブルなウェブサイトの提供が求められていた。UDウェブサイトマスターを使えば簡単にJIS準拠のサイトの提供ができ、デザインの仕事とデータ入力の仕事を切り離せるため、障害者などのスキルレベルに応じた形で仕事として提供できる。
 UD工房は、こうしたツールを開発提供することで、障害者等の在宅就労といった地域の課題解決と誰にでも使いやすいウェブサイトの提供を検討してきたが、いかなる環境でも同じデザインで見せるためのチェック作業に工数を取られている。

 当社で制作するサイトでは、文書構造(XHTML)と視覚表現(CSS)を分離している。そのためコンテンツにある情報を適切な構造とともに伝達することができる。ウェブコンテンツJISに準拠したウェブサイト制作をするため、高いアクセシビリティの実現・ HTML文書のファイル容量の軽量化・HTML文書の読み込み速度の高速化・検索エンジンへの最適化などのメリットがある。
 また、ウェブアクセシビリティ国際基準であるW3Cのウェブ・コンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン(WCAG)に準拠したサイト構築を行うことが可能である。最低レベルのA(シングルエー)は、ごく基本的な項目を満たしたことを意味し、その上のレベルAA(ダブルエー)の項目を満たすことで、サイトにアクセスできるユーザーグループはさらに増加する。最高レベルとして設定されているAAA(トリプルエー)では、サイトのアクセシビリティが大幅に向上することを意味しており、これらのレベルが正しくサイトに適用されていれば、サイトのアクセシビリティ度を判断する上で、世界標準の目安になる。
 そのため、ウェブコンテンツJIS(JISX-8341-3)に準拠したアクセシブルで誰にでも使いやすいUDウェブサイトを、CMS(UDウェブサイトマスター)を使い制作する。バリアフリーパレット(UD大文字)をツール化して提供しており、障害者や高齢者が使いやすいコンテンツを提供している。

 障害や家庭の事情等により外出困難な方々による在宅就労を支援していくことを目的に、組織を構築したため、開発者の人材教育訓練に相当な時間を割いている。主に高齢者、障害者及び一時的な障害のある人が、ウェブコンテンツを利用する際のアクセシビリティを確保・向上させるために、ウェブコンテンツの企画・制作をする際に配慮すべき事項について規定していくなど、スキル向上が当社の生命線になっている。
 弊社で制作するウェブサイトでは、先程の制作基準を最低ラインのものとし、さらに進んで「ユニバーサルデザイン」の考えをウェブサイト制作に取り入れ、「ユニバーサルデザインWEBサイト作成ツール」を開発した。
 このツールの開発により、従来アクセシビリティのスペシャリストにしか制作できなかったJIS準拠ウェブサイトを、企業担当者や自治体担当者レベルでも意識することなく構築できるようになった。障害者や高齢者など当事者を交えながら開発されたツールは、本物のユニバーサルデザインホームページを普及させることを可能にしている。
 平成16・17年度高松市サイトのUD化事業、近畿財務局サイトのUD化、香川県障害福祉課・県民参画課サイト構築、などの行政事業につながっている。
 NPO団体、ボランティア団体との交流を促進し、さらなるコンテンツ事業を拡大していく。「NPO」と「民間」お互いの長所を出しつつ欠点を補い合えば、共助の社会構築を実践しつつ、新手法による既存マーケットをさらに掘り起こすことができる。「NPO・ボランティア団体」という潜在需要の大きな消費者マーケットを今後ターゲットとし、ハードウェア、またはIT以外のツールも提供しながら、コミュニティビジネスの事業化を実践していく。
 「NPO」と「民間」のコラボレーション、すなわち、相互協力ありきの事業であるがゆえ、双方に「共助の理念」の統一がなければ、事業化が図りにくい。民間との交流の多いNPOや中間支援を行う団体も参画することで、時間がかかっても啓蒙啓発し、課題解決していく。






トロール漁船(合計6隻)を所有し、愛媛県八幡浜市と山口県下関市を拠点に沖合底引き網漁業を行っている。漁獲される鮮魚の大半は八幡浜港、下関港を通じて全国へ出荷されるが、既存の市場流通と並行して自社販路での流通直販事業も行っている。  
 流通部門では、地元の病院施設への食材の納入、首都圏のレストランへの天然鮮魚の直送、贈答用の一夜干しや加工品の製造・販売等を行っている。最近は食の安全志向・健康志向の高まりから、業務用を中心に取引依頼が増えつつあり、流通部門の売上は増加傾向にある。

 市場流通に頼っていた従来型の生産活動では、水揚量や競りによる価格決定(相場)に収益を大きく左右される。そのため、自社販路の流通事業を拡大し、部門売上の比率を上げることで経営の計画性を高めていく必要性を認識した。
 そこで、顧客データベースの管理による販売促進の効率化、需要の伸びが見込まれる首都圏の販路拡大を目的にITを導入した。具体的には、従来までの顧客情報をデータベース化するとともに、業務用利用者(ホテルやレストラン)や食材にこだわりを持つ消費者をメインターゲットとしたウェブサイトを立上げた。
 導入当初、ITに関する一定の知識とスキルを有する社員が不在で、IT化の企画、実行を取締役1名で担当していた。システム導入後は、新規に入社した営業社員1名がシステムの運用を引き継ぎ、現在2名体制でシステムを運用している。  
 今回のIT化では、人材不足から目的を絞った初歩的かつ段階的なものと位置づけた。そのため、コスト面では費用対効果に見合う規模のものであり、適正規模の投資となっている。
 ブロードバンドの接続環境にあるパソコン4台、プリンタ2台がネットワーク化されている他、社外での営業活動には携帯端末機器等を利用している。営業活動で利用するパソコン1台には、PHSのインターネット接続も活用している。顧客情報等は、専用ソフトでデータベース化されており、商品情報の告知や出荷指示等に利用されている。また、自社ドメインを取得し、ウェブサイトの構築、運用を行っている。B to B、B to Cともに対応するサイトだが、集客のためのイベントやキャンペーン企画等を頻繁に行うタイプではなく、素材のこだわり、販売のポリシーを前面に打ち出す「プル型」のプロモーションツールと位置づけており、主にプロデュースを想定したコンテンツとなっている。

 システムの導入にあたって、企画段階より経営者から推進担当者への権限委譲がなされていた。IT化にあたっては、担当者とベンダー、システム開発会社の社員とが連携して進めていった。運用段階では約1ヶ月間にわたり、新入社員への活用方法等に関する教育が行われた。システム運用は現在も社員2名体制で行われている。
 顧客情報の管理面では、効果的かつ効率的なDMの発送が可能となり、プロモーション面のコスト削減に繋がっている。また営業面では、自社サイトを営業ツールとして活用することから企業情報や販売方針等の顧客への効果的な告知に役立っている。
 自社サイトリニューアル後2年で、約10社との新規取引が発生し、自社販路の開拓、流通部門の売上向上に寄与している。

 今回のIT化は大規模なものではなく、組織の規模、リテラシーに見合った適正規模の投資である点が評価できる。特にサイト構築では、目的を販路開拓に絞った点、またターゲットを広範囲に求めず、業務用利用者に絞り込んだ上でのコンテンツ制作が、結果的に良質の取引先の確保に繋がったといえる。
 現在同社でIT化が進められているのは本社のみであり、営業店舗、支社レベルでのハード面の投資は行われていない。今後、本社との連携強化を図るために支店レベルのIT化が課題といえる。今後の新規のIT投資について、経営者は人材育成等も含めた新たな組織体制とのタイミングで決定していく方針である。また、次回の投資では事業所間の連携だけでなく、漁撈、営業、事務といった部門間の情報共有化、業務効率化を狙った展開を検討している。




 空港での販売開始を機に、からし高菜は全国にお土産品として出回るようになった。これを好む人に、全国的に食べてもらう機会を作り、販売量を延ばそうとしてインターネットモールに加盟した。またネット販売、ダイレクトメール受注に対応するため、受注配送システムの合理化も考えた。
 当時どのインターネットモールもアクセス数が少なく、実商売に結びつかないものが多いことが分かった。モール自体もアクセス数を増やす努力をしていない。アクセス数自体を管理していないようなモールもあることが分かった。そこで、ホームページ構築のシステムエンジニアと組んで自社のホームページを作り、どのようにすればアクセス数が増えるか工夫しながら、ホームページやCRMシステム、それにネットを利用しないプロモーション方法などを組み合わせて改良していった。
 システムは次の5つより成り立っている。
(1)自前のホームページによる情報発信
 (樽味屋のホームページ
 自前のホームページを作成し、どのようにすればアクセス数が増えるか工夫を進め、システムエンジニアと相談しながら1ヶ月ごとに改良を加えていった。改良のポイントは、アクセスしたくなる情報を入れること、他のページから飛びやすいキーワードを入れること、リンクの場合最初のページに出るようにすることなど各種ある。

(2)ホームページでのショッピングモールとダイレクトメールの融合
 ホームページにアクセスした顧客にメールで再度アプローチする。購買に結びついた顧客には、ダイレクトメールを出す。
 ネット接触する顧客とダイレクトメールで接触する顧客とでは、購買に結びつく確率が非常に違うことが分かった。

(3)顧客情報の自動取り込みと受注システムのIT化による省力。ネットによる受注と宅配便利用の組み合わせ。
 ネットから得られた顧客情報は、自動的に取り込んで商品の情報を流すデータとする。受注した商品は自動的に受注伝票を起こし、納品書、売上伝票を作成し、発送の手配をして宅配便で発送する。

(4)自社の生産、販売、物流管理
 前年の販売実績と在庫の状態をみて定期発注方式で生産地に洗浄、加工の指令を出す。商品は1週間分程度の在庫を持って見込み生産方式で生産する(からし高菜の漬け込みは年1回であるが、販売にあわせた加工はほぼ毎日生産)。

(5)人事、財務情報管理
 会社の給与計算などの人事情報、税理士に提出する前の基礎になる取引状況から財務計算などの経理情報の整理は、パソコンを用いて行っている。税理士には、外部会計顧問としての働きをしてもらっている。
 組織として整った形でシステムを導入したわけではない。最初は、社長がインターネットモールによるネット全国販売を考え、自分の考えを汲み取りシステムに組み込むことのできるシステムエンジニアと出会い、自分の考えを次々と実現させていった。しかし、その後販売戦略をいち早くITに利用するには、外部のシステムエンジニアといちいち打ち合わせていては間に合わなくなり、自前の販売戦略を勘案して直ちにITに適用して行けるように自社でシステム変更、構築も行うようにした(人材を導入した)。
 事業の成功は、企業のコンセプトにあった強みを生かす営業を行うに当たって、ITがいかに役立ったかによる。販売戦略との関連を抜きにしては考えられない。

(1)大手が入り込めない分野を狙おうとすればからし高菜も万人向けの味ではなくて10人いたら5人しかうまいと感じない、しかしうまいと感じる人には、はまり込む味というのを狙うべきであるというのが社長の考えである。これは全国に広く薄く存在する顧客であると考えられる。そのような顧客に対してCRMを行うには、ネット販売が有効だったと考えられる。現実に全国に散らばったからし高菜愛好者には、リピート客が多く存在する。その顧客リストが年々増えつつあるのが成果につながっている(年に約千件の割合で増加し、現在1万5千件のデータを持つ)。

(2)商品は品物だけではなくその中に感動が入り込んで付加価値が出てくるというのが社長の考え方である。
 感動は情報であり、それを伝えるにはネットの情報が一番早くてダイレクトに伝えられる。ちょっといい話、漬物百話、らっきょの効用、ひる昼時の話などを前はホームページで流していた。いまはブログで気軽に流している。九州出身者に対しては、ふるさとの情報を盛り込んだ地方新聞を商品と一緒に送るなどの工夫をしたりしたこともある。また、工場従業員の写真やら工場の状況などの情報を流している。要は会社自体に親しみを持ってもらうことが重要であり、このことが商品に対するファンの形成に役立ち、リピート客やら口コミの発生源になっていると考えられる。

(3)全国に存在するからし高菜の潜在ファンの掘り起こしに役立った。
 雑誌などのマスコミで紹介されたりするのをきっかけに、ネットのアクセス数が急に拡大した。それからメールで顧客を獲得できる。そのうちのある割合がファンとなり、リピート客となり口コミの発信源となるというパターンができている。アクセス数の向上には、さまざまな工夫を凝らしている。

(4)受注から配送システムを作って合理化した。
 受注した情報は、顧客のセグメント別に記録に残すと同時に、発送の伝票は配送の拠点(中部地方)に送られ、そこで全ての処理がなされるシステムを構築した。そのため樽味屋自体としては、非常に少人数ですんでいる。生産から配送に至る商品の流れは、最も肝心な包装、パッキングの所を除いてできるだけ外注専門業者を利用するという方針である。

(5)顧客情報のデータベースの構築ができた。
 インターネットにアクセスした顧客、受注した顧客などの情報を蓄積できた。これをセグメント化し、受注状況を分析することで顧客の情報を解析して、会社のコンセプトにあった新商品の開発や情報の発信につなぐことができた。からし高菜を激辛、中辛、マイルド、明太子入りの4品種にしたなどの情報はここから得られた。

(6)商品群を拡大した。
 ホームページでのからし高菜の情報発信でのアクセス数の増加で、からし高菜だけではもったいないということで、田舎の乾物屋的な発想の商品をネット販売商品群に加えることができた。その他の漬物、ラーメン、辛子明太子、九州のうまいもの、産地直送市場などである(これらの商品は自社で生産しているものではなくて、他から販売を頼まれているものである。いわばファブレスシステムになってきている。)。

成功の要因は次のように考えられる。

(1)社長が早くからインターネットのショッピングモールに関心を持ち、取り組んできた。しかし、既存のショッピングモールには飽き足らず、自分でモールを立ち上げた。そして、自分のホームページへのアクセス数を増加させる工夫をした。

(2)よいシステムエンジジニアに恵まれ、協力を得て、自分の事業に合うように工夫し改良してきた。最も自社のコンセプトにあうように改良されてきた。自社にとって利用しやすく、改良しやすいシステムになっている。

(3)社長が事業戦略をしっかりと立て、それを実現する方策としてITを利用する姿勢であった。したがって事業の成功に役立つITとなった。

(4)IT以外のPRの仕方とITによるアクセスとがうまくかみ合った。
 神戸の震災のとき、逆に博多駅でプロモーションをかけるとか、首都圏各県に普及員をおき、毎月100グラムのからし高菜を3枚とパンフレットを配り、PRに使ってもらうとか、ネットからダイレクトメールへ顧客を取り込む、雑誌の紹介などマスコミの利用などとITへのアクセスがかみ合ったようである。
 自社のホームページへのアクセス数を増やすための工夫はさらに続けていく。同時に販売力強化のためダイレクトメール、口コミ利用販売員の増強、顧客に感動を売り込む手法の考慮など、さまざまなITと連携する手を打って販売力を強化して売り上げ増につなげる。
 現在の本社工場はITから得られた情報をもとに顧客の動向をつかみ、新商品開発を行う拠点と考え、ここで既存商品の改良、新商品の開発などを行い、商品の生産は外注で行うという方向に進む。





(1)内外の経営環境との関連
 昨今のモータリゼーション進展の流れと土地の有効活用の候補として、コインパーキングのニーズが急成長している。そのため、全国にコインパーキングが乱立しているが、これまでの駐車場経営には流通業のようなITを活用した顧客管理システムは存在せず、業界の競争が厳しくなる中で駐車場の管理効率を向上させ、経営の質を改善するためにも、顧客管理やサービスの提供に重点を置いた経営が必要とされている。


                                                         街のコインパーキング

(2)顧客サービスの向上等
 顧客管理および情報収集の面では、コインパーキングは24時間無人営業を前提にしているので、利用客の顔が見えない。それで、常連客に対しても情報発信を行いたいというニーズはあるものの、それを実現するための適当なシステムが存在しなかった。当社が提供するシステムは、駐車場のオーナーに全てのデータを提供する。売上情報(日報、週報、月報、年報、時間別売上)や入出庫のデータをもとに、料金体系の見直し等をいち早く行い、他の駐車場との競争に勝ち抜くことができる。
 また、セキュリティに関しては、セキュリティカメラの設置を検討するものの、大手ベンダーの提案するシステムは、レコーダーやサーバーの設置等でハードの購入費用が高く、高額なシステムとなっており、駐車場運営との費用対効果を考えると      リアルタイムに状況を把握できる画面
設置したくてもできないのが現状であった。
(1)問題点
 これまでの高機能なコインパーキングのシステムはハード面で高額であったために、もっと安全で使いやすく、しかも多くの常連客を集客し、売上向上につながるシステムが欲しいというユーザーの声に応えることができなかった。
 そこで当社は、顧客管理および情報収集については、携帯電話など利用客が確実に持っている生活に根ざしたITツールを利用し、顧客情報の収集と情報を発信するシステムを構築する必要性を認識した。

(2)対応策
 セキュリティについては、設置費用などの初期費用が少ない、低価格WEBセキュリティカメラとASPサービスの利用により、低価格で高品質なサービスを提供することが
可能になった。特に、当社の提案するシステムの優れた点は、駐車場管理において、     二次元バーコード対応機
顧客管理に情報量の優れた二次元バーコードを利用する点である。これまで駐車場で
管理する情報は、車の入出庫時間や料金等に限られており、磁気カードやパンチカードの利用が一般的であったが、顧客管理を行うためには不十分であった。バーコードは、基本的には商品や製品の識別コードとして利用されているが、二次元コードはコードそのものに商品や製品に関する情報を持たせることで、物と情報のトータルな管理システムを実現する。
 オーナーの手元にサーバーを設置することにより、リアルタイムでの駐車場管理が可能となった。また、サーバーは当社側からも遠隔操作が可能であり、オーナーにサーバー管理等の負担はかからない。また、当社はサーバー設置を希望しないオーナー向けにASPサービスも提供している。
(1)経営者の役割
 業界においても全く新しい製品なので、作ってから営業に回っては遅いので、開発と同時並行的に営業を行った。

(2)社内の運用体制
 いままでは、ハードだけ売っていれば良かったが、今回の製品から駐車場の保守・管理サービスも始めたので、24時間365日体制を構築した。精算機に異常が発生すれば、社長も含めて社員全員にメールが届くようにしている。

(3)従業員の情報リテラシー教育
 (財)佐賀県地域産業支援センターの講習等には、積極的に参加している。また、福岡のソフトウェア会社との情報交換や勉強会にオブザーバー参加している。また、NTTドコモの担当者やTOA(株)、セルコ(株)等にゲストで来ていただき、情報交換を行っている。                                                      社内の運用体制
 きめ細かい顧客管理の実現が可能になった。たとえば、法人等の顧客別にあらかじめ二次元コードを登録しておくことで、顧客毎の条件にあった駐車料金の設定が可能となった(利用台数や利用回数の応じた割引等)。そのため、導入したユーザーのケースでは、いままで3人で管理していたタワー型の大型駐車場が1人で管理運営することが可能となり、人件費の削減に貢献している。
 同時に、いままで活用していた磁気カードやパンチカードは経費がかかっていたが、今回の二次元バーコードは紙のレシートに印刷することができ、駐車場経営において、人件費の次に大きな経費であるカード費用の削減に貢献できた。
 さらに、大きなメリットとして、利用者にとっても車を引き取りに行き、受け取るまでのスループットの向上が可能となった。いままでは管理人が顧客別に料金体系が異なる場合、その度に駐車料金の精算に時間がかかってしまい、利用者にとっても大きな負担となっていたが、二次元バーコードに格納できる情報が1KBと格段に大きくなっており、顧客別の情報を掲載できるようになった。
                                                      業務の効率化が図れたと話す顧客
(1)従業員の評価
 お客様の駐車場を管理する業務に携わるものとして、業務の効率化が図れた。具体的には、何かトラブルが発生した際に、直接現場に行く前に、その精算機の持っている情報を事前に収集して、判断を行うことができるようになった。それにより、現場での対応スピードも向上し、質問にも的確に答えることができるようになった。
(1)今後の情報化戦略
 今後は、既存の販売先以外の業界の運営会社への採用を働きかけたい。そして、コインパーキングシステムの業界標準を狙いたい。
 また、二次元バーコードのさらなる活用方法として、たとえば携帯電話各社が二次元コード対応機種を出しているので、利用顧客の情報を収集し、各種情報配信サービスとして、パーキングナビゲーションや割引ポイントサービス、お財布携帯対応などを実現する。
 WEBカメラシステムも、年々増え続ける路上での強盗や車上荒らし、学校などの教育現場での凶悪犯罪の増加などの社会問題に対応するために、防犯セキュリティカメラとして商店街や、幼稚園、学校、病院、公的機関などでの利用を提供したい。      開発を行った田中亨社長
また、単なる監視システムとしてだけではなく、親と子、家族とのコミュニケーションの手段としても提案していきたいと考えている。

(2)次期システム構想
 二次元バーコードに対しては、他業種からのオファーも多く、具体的にはコインランドリーや水の自動販売機への応用にも取り組んでいく。






(1)事業の目的
 新たなる産業革命を巻き起こしている。
 パソコンやインターネットが急速に普及してきている−方、ハード・ソフトやインフラに起因する障害は急増し、利用方法や操作方法の理解・経験不足から「できる人」と「できない人」の格差が拡大してきている。
 そこで当社では、従来までのハードウェア、ソフトウェアだけの概念でなく「利用技術」としての第3のテクノロジーが必要と考え、総称として「ユースウェア」とした。
 当社は、ユースウェア・プロバイダー(利用技術提供企業)として、IT(インフォメーション・テクノロジー)を誰もが不自由なく、公平に利用できるお手伝いをしていきたいと考えている。

(2)事業構築までの問題点と対応策
1)事業構築時の現状(PCのサポート体制の現状)
 コンピュータの販売サポートは、業務用は事務機屋ルート、個人用は電気店ルートで始まり、初期の導入期においては、ユーザーは専門技術を所有していたために、運用・使用時のサポートには特段の問題点は発生していなかった。
 コンピュータが電子計算機の時代から情報機器の時代に入り、インターネットが普及してハードの価格が誰にでも手に入る低価格な時代になると、PCの販売ルートは一気に家電ルートが主流となってしまった。
 PCは使いやすくなったといえども、それを活用するためには高度の専門知識・技術が必要であることには変わらない。
 一方、個人から大企業までのユーザーの規模に応じた情報活用ニーズに応じる販売・サポート体制が必要であるにも関わらず、消費者志向・顧客志向のかけ声はむなしくデジタルディバイド(情報弱者)を生み出した。

2)問題点
 コンピュータの発達・成長の長い歴史が、ハード価格の低廉化、ソフトウェアの多様化を生み、販売・サポート体制が複雑化してきている。

例えば
ハードウェア             =メーカー
OS(オペレーティングシステム) =OSベンダー
アプリケーションソフトウェアー   =ソフト開発会社
インターネット            =インターネットサービスプロバイダー、コモンキャリア(通信会社)
ソフトウェア操作           =パソコン教室

 の如くPCのハードウェアから現実的に操作をし、PCの持つ効用を享受するまでの各ステップごとに役割が分担されている。
PCにトラブルが生じたときに、どこに問い合わせたら良いかその識別には専門的な知識が必要となる。そこで、最終ユーザーの方は非常に困っている。
 一方、ユーザーは一方では、一般人でありまた職業人であるので、歴史的にビジネスユースとプライベートユースでは機種・機能の選択が違う。
 一括してパーソナルユース、ビジネスユースに精通した業者もなく、消費者・ユーザーの大半がPCを購入する量販店におけるビジネスユースへの対応力には限界があり。ビジネスユースを受け持つべき事務機系では、生産性の面から中小零細業へのアプローチが十分に行われていなく、IT化のブラックホールを生み出している。

3)事業開始の動機(改善策)
 まずは、PCを取り巻く販売環境の中で、ユーザーである消費者が安心してPCを使用し、その機能を十分に活用して生活の中に取り入れ、情報社会を享受できるためのサポート体制を作るために現(有)ニーズを設立した。
 パーソナルユースの方々への有効的かつ効率的なサポート体制を作成する中での営業経験の中から、中小零細業に対するサポートの必要性とそれを行うためのノウハウを修得し、現在までに作り上げたネットワークを組み込み、新しいもう1本の柱とした。
1)提供サービス内容
ユースウェアの3事業
(1)パソコンサポート事業
個人/法人の会員のお客様にパソコン、周辺機器、インターネットなどを安心してご利用いただけるようにトラブル・シューティング(障害解決)、操作指導やソフト機器の選定までスピーディーに対応する。
a.パソコン110番(パソコンサポートサービスパーソナル)
b.ITサポート(パソコンサポートサービスコーポレート)
2)リモートサポートセンター事業
クライアント企業様の本来業務以外のアウトソーシングにより、業務効率と顧客ロイヤリティの向上を実現する。
3)ITコンサルティング事業
a.中小企業様向けIT推進サービス
b.中小企業様向け戦略的ITコンサルティング
c.プライバシーマーク取得サ−ビス

(2)業務協力団体・企業
財団法人熊本県企業化支援センター
財団法人くまもとテクノ産業財団
社団法人九州ニュービジネス協議会
京都リサーチパーク株式会社EBSセンター
特定非営利活動法人ITコーディネーター協会

(3)販路開拓方法
1)アライアンス提携(NCにっぽん、インターウェーブ、トレンドマイクロ、PCあきんど)
2)営業のアウトソーシング(Eクルーティング)  
(1)今後の事業戦略
新商品「経営解決.com」の発売
中小企業、小規模企業をターゲットとしてさまざまな経営課題を解決する。
情報提供だけではなく成果が上がる仕組み
中小企業でも負担できるコストの商品




当社のIT導入の目的は以下の通りである。

(1)売上と利益の向上
 IT導入の目的として、先ずは製造工程で発生している商品ロス率を下げることにある。そのため、ITを活用した生産管理システムの導入に踏み切った。理由として、商品の原料が自然食品のため、収穫できる数量に限りがあるために、製造段階でロス率(製品にならないもの)が高くなると直接売上に影響するためである。

(2)新商品開発のためのニーズ調査
 当社のメイン商品の「梅肉エキス」の販売量を増やすため、現状のペースト状から丸薬状に形状を変えることがポイントと考えている。また、ロスである原料(商品として出荷できない梅干・梅干の種)を2次加工することで、さらなる付加価値をつけて市場に流通させるための消費者ニーズを把握するため、顧客管理の一環としてITシステムを活用したアンケート調査を実施したかった。

(3)販路の拡大
 現状での当社の販売方法は、当社のホームページをみた消費者の方々からの注文に対してダイレクトに個人消費者との取引を行う通信販売によって販路を確保している。この手法は、利益率が高く手間があまり掛からないため良い手法と考えている半面、ダイレクトメールを年に2回郵送しているものの、次第に返事が少なくなっているのが現状である。
 そのため、毎月確実な売上を確保するための販路確保のため、従来のダイレクトメールから、当社のホームページを介した情報発信・交換、ホームページでの商品販売、新商品 のPR、感想やアンケート等の顧客との交流を充実させる目的がある。
IT導入時に発生した諸問題については以下の通りである。

(1)ITを効果的に運用できる人材の不足
 当社が、ソフト開発の作成したシステムを導入した当時、ITを自在に活用できるものがいなかったため、自社でホームページの更新を行うことができず、毎回業者に依頼することになり、更新費用と時間的なロスが発生した。

(2)資金的な問題
 当社が、IT事業化の中で当初計画していた生産管理システムの構築は、現状そのデータベースの核となるネットワーク構築が出来ていない、資金不足もあってデータベースの構築が困難になり、ITシステムの運用状況を見ながら次回のバージョンアップまで実施しないことになった。
 当社の販売システムは、当社のホームページをみた顧客が希望する商品を選択すると、当社のサーバー内のデータベースから顧客情報が抽出されて発送準備に入る。受注後、おおむね5日以内に発注した顧客宛に発送される。

(1)当社のホームページから商品を注文すると、顧客のアクセスデータがデータベースとリンクして注文台帳ができる。

(2)注文台帳に登録されたオーダーにしたがって商品在庫の確認(現状はオフライン作業)の確認を行う。

(3)在庫を確認した後、宅配便を利用して顧客に商品を届ける。

(4)代金決済は原則として代引きで行い、一連の取引を完了する。

(5)投資額は、リース利用もあるため不明であるが約300万円程度と推定される。
(1)開発初期は代表者の率先垂範
 当時の組織体制は、インターネット・マーケティングのシステム構築に詳しい者がいなかったため、専門のソフト開発業者に依頼してシステム構築に取り組んだ。

(2)基本設計部分の開発後は、ソフト開発業者と協調して運用
 その後の運用は、実際にシステムを使う現場担当者が、誰でも簡単に使えるシステムにするため、現場の意見を聞きながらシステムを改良していった。
当初予定していた成果は、IT導入によってほぼ達成できたものと思われる。具体的な成果を述べると以下の通りである。

(1)売上が増加した
 いままでの当社の販売方法は、新聞及びさまざまなメディアを介して電話またはFAXによって受注する方法しかなかった。そのため、受注の際のミスも多くトラブルが発生することも多かった。しかしながら、このシステムの稼動によって、受注ミスがなく順調に遂行できるようになって、効率的な販売管理に役立っている。さらに、顧客管理が可能になることによって、販売計画も立てられるようになったため、資金繰り等の財務面における改善効果も出てきている。

(2)IT活用のマインド向上
 当初より、現場で使えるシステム開発を目指していたため、生産現場での活用が容易となっている。いまでは、ITが日常業務に欠かすことの出来ない道具として位置付けられるようになってきており、IT活用のマインドが大きく向上している。    
 現状では、生産管理システムなどが開発途上にあるため全てが順調とは言えないが、その中でも上手く稼動している販売管理に関する成功の要因を分析すると、以前より顧客管理が十分に出来ていたため、顧客情報のデジタル化が容易だったことが大きい。そして代表者が、IT化の必要性を感じ率先垂範して取り組んだことが成功の要因の1つといえる。
 さらに、通常はソフト開発業者が机上で設計したシステムを現場に押し付けることが多く見られるが、当社の場合、ITに詳しい者が全くいなかったこともあり、現場の意見を聞きながら、不具合が発生するとその都度手直しをしながら誰もが間単に操作できるシステムを仕上げたことが功を奏したものと思われる。
当社における当面の課題は次の通りである。

(1)ITが活用できる人材の確保と育成
 今後の受注増加に伴う増産体制と配送体制の整備とを合わせて、必要されるITに対応できる人材(パソコンとインターネットが使える)の確保、特に即戦力となる人材確保が急務となっている。

(2)市場の需要予測と計画生産
 今後は、マーケットの需要予測と生産計画をマッチングさせるなど、農業と工業の融合化を図ることが大事と考えている。したがって、いまのところ開発途中である生産管理システムの再構築を行い、効率的な生産管理体制の確立と消費動向の変化に対応できる生産システム構築によって、安定した収益確保が狙えるシステムへのステップアップを課題としている。






ポリシーとして、食品の安全性を追求する基本を「土づくり」に置いている。それには、牛肥の他、緑肥用の大豆を使い、専用の堆肥工場から有機栽培に取り組んでいる。
 平成18年には隣接地に、衛生管理の行き届いた「味付け工場」と「カット野菜工場」の建設を予定している。現在、年商は15億5,000万円であるが、完成時には30億円を見込んでいる。そしてシステムは、ITをフル活用としたものとなっており、当社のサーバー内のデータベースと、生産計画をリンクさせながら効率的な経営を実践している。
(1)システム導入の経緯
 当社の本来業務は青果物販売であったため、本格的に農業に進出するのは、点在する農場の細かいデータを管理する「データ農業」を必要としたため、事業全体をカバーするITシステムの導入に踏み切った。毎日1時間半くらいかけて事実を正確に、きめ細かくインプットを行い、収穫予想や集荷時期等のスケジュール管理を行っている。さらに、農場端末を使って独自の青果物トレーサビリティシステムの構築も行い、当社のデータサーバーに蓄積された情報をインターネット上に公開しながら、当社の生産物の安全性の向上とコスト削減に繋げている。
IT導入時に発生した諸問題については以下の通りである。

(1)ITを効果的に運用できる人材の不足
 システムを導入した当時、ITを自在に活用できる者がほとんどいなかったため、IT専門業者の協力を得ながら開発を行った。しかしながら、今後のITシステムの自社運用を考えると、社内LANの構築やトレーサビリティシステムとデータベースの運用などを効果的に運用するにはスタッフが必要なため、若手従業員の中から数人を選び、代表者が自ら指導することによって、不足する人材の養成と補充を行った。

(2)ネットワーク機器の障害対策
 当社のデータベースの核となるネットワークは、全ての従業員が使い勝手の良いシステムにするため、自社独自の仕様による構築を基本とした。そのため、各データベース間の調整が困難になったため、ソフト開発メーカーの指導を受けることで解決を図った。
 あわせて、農場の現場で使用する端末機は、砂埃や雨風などの過酷な気象条件に耐えられるものでなくては使い物にならないため、メーカーと協力しながらあらゆる局面にも耐えられる携帯端末の開発に取り組んだ。
(1)生産履歴記録端末機能
 1)作業者・圃場・作業内容選択・作業開始入力
  →農作業内容のリアルタイムな履歴記録
 2)使用薬剤/肥料使用資材・選択、数量入力
  →施肥・防除の詳細内容を記録・管理
 3)圃場台帳表示・土壌分析表示
  →圃場詳細情報の閲覧・参照

(2)生産履歴管理・品質管理機能
 1)生産計画、薬剤/肥料使用計画及び実績の管理
  →計画と実績の管理、データ対比による品質管理の徹底
 2)管理情報の開示・帳票自動発行
  →細かなリスクマネジメントの実現、素早い情報提供

(3)誤認防止・内部検査補助データ作成機能
 1)資材在庫データ管理機能
 2)圃場別 原価管理機能
  →品質管理情報に、原価管理機能を付加・誤認防止データへの活用

(4)投資額は、約1,500万円程度と推計される。
(1)開発初期は代表者の率先垂範
 当時の組織体制は、システム構築に関する知識を持った者がいなかったため、代表者とソフト開発業者と協調してシステムを構築するスタイルで取り組んだ。 

(2)基本設計部分の開発後は、プロジェクトチームにより運用
 システム開発に当たっての基本コンセプトは、代表者の経営理念を基本にシステム構築に取り組んだ。その後の運用は、実際にシステムを使う現場の従業員から構成されるプロジェクトチームに任されさまざまな現場の声を取り入れたシステムとなっている。つまり、システムの効率的な運用を図るためには、作業現場で誰でも簡単に使えるシステムでないと意味がないためである。
当初予定していた成果は、IT導入によってほぼ達成できたものと思われる。具体的な成果を述べると以下の通りになる。

(1)作物の育成計画と生産計画とのマッチング精度が向上した
 このシステムの稼動によって、生産に必要とされる量に近いものが確保できるようになり、効率的な生産に役立っている。さらに、計画生産が可能になることによって、販売計画も立てられるようになったため、資金繰り等の財務面における改善効果も出てきている。    
   
(2)IT活用のマインド向上
 当初より、現場で使えるシステム開発を目指していたため、生産現場での活用が容易となっている。いまでは、ITが日常業務に欠かすことの出来ない道具として位置付けられるようになってきており、IT活用のマインドが大きく向上している。

(3)製品の品質向上
 システムが運用された結果、作物の植付けから栽培、生産物出荷に至るまでのストーリーが明らかになったため、過去にあったミスやトラブルの発生を未然に抑えられるようになり、生産性と品質が向上した。    
 成功の要因を分析すると、やはり代表者が率先垂範して取り組んだことが大きいといえる。次に、通常は企業内の管理職サイドが机上で設計したシステムを、現場作業員の意見を十分に聞き、その都度何度も手直しをしながら現場の作業員の誰もが簡単に操作できるベストの状態にシステムを仕上げたことが要因と思われる。

当社のシステムは時代と共に成長している。当面の課題は次の通りである。

(1)契約農家向けのITアドバイザー(指導員)の育成
 契約農家のIT化を進め、より確実な計画生産にしていくためには、農家のIT化を強力に推進する必要があると考えている。したがって、契約農家をIT化するために必要な、IT指導できるITアドバイザー(指導員)の育成を当面の課題としている。

(2)市場の需要予測と計画生産
 今後は、マーケットの需要予測と生産計画をマッチングさせることが大事と考えている。したがって、消費動向の変化に対応できる生産システム構築によって、安定した収益確保が狙えるシステムへのバージョンアップを課題としている。

(3)「攻めの農業」への挑戦
 当社のIT化によって、データ管理及び特別栽培に取り組んできたことがきっかけとなって、県外大手量販店との提携が可能となり、平成16年1月から海外(香港)への野菜輸出が始まった。現在ごぼう、さといもを香港等へ輸出しており、今後、他の品目の輸出も予定している。これも、トレーサビリティシステムをフルに活用した事業を展開していくことを目標としているからである。


 「身体に良い水」という評判を活かして、「焼酎」、「黒酢飲料」、「化粧品」など新製品の開発にも熱心である。
 市場は着実に伸びており、当社の実績もそれに追随しているが、電話で注文を受け宅配便による配送が中心のため、注文の受付と配送が正確・確実であり、対応が迅速であることが要求される。このため当社では創業以来、オーダーメイドの販売管理システムを開発・導入して事業の伸展に合わせ機能の充実を図ってきたが、オフコンシステムの老朽化(叩かないと画面表示しないなど)、容量不足、機能のつぎはぎによるシステムの複雑化などから、リース期間満了を機会にパソコンシステムに置き換えることにした(財務・給与は従来通りTKCのFXシステム)。
 当社は10人の会社であり、ベンダーに対応できるのは社長と総務の女性担当者だけである。ベンダーからオフコンからパソコンシステムへの置換えの見積りの提出を受けたが、妥当性の判断ができない。製造設備に設備貸与制度を利用していることもあり、今回のシステム更新にも同制度利用を考えていたため、かごしま産業支援センターに相談した結果、専門家派遣を受けることにした。
 当初見積りは620万円であり、基本的にはハードの入替えとソフトの自動コンバージョン、データの移行が含まれていた。社長はその中に自身の要望であるCTIシステムが含まれているとの認識であったが、ベンダー側はCTIを含めると300万円アップとなることもあり、置換え完了後に判断するとして含まない見積りであった。CTIが最初から必要かどうか、それだけの効果が見込めるかどうかが議論となった。
 そこでまず目標を明確にすることにした。「5年後に現在の売上高の2倍(約5億円)を現状の人員で達成する」というものである。

 そのためには
 1)顧客満足度を高める
 きめ細かな電話対応によるリピーター・ヘビーユーザーの囲い込み→売上増
 2)事務処理の自動化
 システム更新に合わせて自動化→余裕時間を確保して営業活動へ振替→売上増を図ることにした。

実現手段としては、
 1)プリンターの増設、
 2)CTIシステムの導入、
 3)レジ機能を持ったパソコンの導入、
 4)集計プログラムの変更、などとした。

 これらの結果、投資額は815万円と2百万円ほどアップ、システム切替え時期が2ヶ月の遅れとなった。
(1)ハードウエア構成

名称 数量 備考
サーバー 1
クライアント 7 レジ用パソコン含む
ドットインパクトプリンター 3 宅配便伝票印刷用
ページプリンター 1
漢字プリンター 1
CTIアダプター 1


(2)ソフトウエア構成   *印は新規機能


サブシステム 概要

売上管理 受注入力、売上日報出力

定期発送管理 定期発送顧客の売上伝票自動作成

送状・荷札発行管理 日通、名鉄、クロネコヤマト、西濃、福山

入金管理 一般入金、FD読込、K-NET、郵便、代引き

請求管理 請求書作成、FD作成

「梅の花」連携 「梅の花」との発注、納品データ変換

月次実績管理 商品別、県別、得意先別

販売店売上実績管理 リベート計算

年間実績管理 商品別、県別、得意先別

友の会 売上実績、売掛管理

DM発行 一般顧客向け、百貨店別DM

運送会社運賃改定 運賃改定の一括変更
CTI CTIと販売管理の連携機能
POSレジ レジ機能と販売管理との連携
クレーム管理 クレーム報告書の作成


(3)スケジュール


(1)CTI機能による顧客情報表示機能で顧客対応能力の向上
 電話対応のスピードアップ

(2)端末増設・配置換えによる作業効率の向上
 出荷量増への対応

(3)バッチ締切時間流動化、バッチ処理時間短縮による労働時間短縮
 30分の就業時間短縮
 大口需要先との成約もあり、結果としてシステム置換え後、半年で約1.5倍の売上を人員増なしで対応できている。
 社長とベンダーの間で認識が違ったが、この時点で専門家を交え目標を明確にするために、現場担当者を含めて改めてシステムの位置づけを明確にしたのが良かった。特に経営者がシステム導入前に病で倒れ(その後リハビリ中)女性担当者1人になったが、目標が明確であったため、ベンダーとの対応、導入前後の指示、移行、運用開始に際して迷いが少なく、無事新システムに移行できた。従業員の評判も良い。ベンダーの協力、フォローも良好であった。
 当初目標は達成できるものと期待できる。
 残念ながらせっかく導入したレジ機能については、試行は行ったが活用できていない。現金管理を含め、実運用に合わせたソフトの変更が必要となっている。
 また、インターネットでの販売の促進とそれに合わせたシステムの構築が望まれる(顧客をインターネット注文に誘導するための価格政策(現在は電話注文と同価格のため全く利点なし)、インターネットからの入力をそのまま注文データとして使えるよう顧客データベースとの照合機能など)。併せてホームページの充実も計画に上がっているが、社内での更新人材の育成が課題である。
 なお、百貨店での展示販売などの取引の関係もあり、現在はプライバシーマークの取得を優先している。
 将来的には財務、給与システムとのデータ交換、生産管理、在庫管理も必要になってくると考えている。





建築・内装工事業界では、顧客側の投資額が大きく悪徳業者に対する警戒心も強い。そこで、新規顧客を開拓するにはお客様に信頼してもらうための努力が欠かせない。お客様が不安に思うのは、此方のことがよく分からないためであるから、その対策としてインターネット等で積極的に情報発信しようというのは、自然な考え方と言える。
 そのための手段であるホームページは4年前から公開していたものの、あまり更新もせず、半ば放置状態であった。当然ながらアクセスや問い合わせもほとんどなく、ホームページが効果をあげているとは言い難かった。
 そこで、自社の成長にはインターネットの有効活用が欠かせないと考えた社長は、ホームページの本格的なリニューアルを決断した。
 社長は最初、ホームページ作成業者にリニューアルを依頼しようと考えた。しかし、業者への丸投げでは、自社のコンセプトが正しく伝わらない可能性が大きい。自社の経営方針とホームページの内容にズレが生ずれば、お客様に発信する情報の一貫性が崩れ、ブランド力が弱まってしまう。また、新鮮な情報をホームページでタイミングよく発信するには、業者を介していてはスピードに欠けるのも問題であった。
 そこで社長は「当社の経営理念と仕事内容を理解できる人が情報発信すべき」と考え、ウェブ担当者の雇用を決断した。ウェブ技術に長けた人物を雇用したため、ホームページのリニューアルに当たっての大きな問題は特に生じていない。
 スタプランニングのホームページはレンタルサーバー上に構築しており、システム構成としては「普通」である。特筆すべきはコンテンツの内容と運用方針である。
(1)リニューアルの経緯と方針
 ウェブ担当者を雇用したのは平成16年5月末であり、同年7月にリニューアル後のホームページを公開している。会社の中身を見せて信頼して貰うのが目的であるため、リニューアルに当たってはデザインだけでなく「楽しく仕事をする会社・信頼できる会社」といったコンセプトを定めた上で、コンテンツ内容を組み立てた。さらに、沖縄県外の仕事が入って来ていたこともあり、沖縄の会社であることをお客様に意識していただくよう、デザインに工夫を凝らした。

(2)コンテンツの内容
1)仕事の内容
 内装の設計・施工に携わった店舗の紹介がメインであるが、写真の掲載はもちろんのこと、設計に当たっての担当者のコンセプトまで掲載している。紹介されている店舗には地元でなじみの居酒屋も多く、読んだ人がスタプランニングに親近感を持って問い合わせをしてくることも多い。
 また、設計・施工に携わった店舗がオープンした際には、「お店案内」も行っている。当該店舗の客として足を運び、グルメ雑誌的なタッチで店を紹介する力の入れようである。
2)従業員の顔
 会社としての実績だけでなく、スタッフの個人実績まで踏み込んで公開している。その際、本人の顔写真、メールアドレス、保有資格も掲載し、「会社の中身」を見せている。
3)ニュース、コラム
 イベントの紹介、参加レポートをニュースとして掲載したり、コラムを掲載したりして、「楽しく仕事をする会社」を演出している。
4)ブログ(ウェブログ)の活用
 スタッフがブログを立ち上げ、携わっている工事の進行状況を数ヶ月にわたって写真付きでレポートしている。仕事の結果だけでなく、その過程まで見せるため、見た人に与えるインパクトは強い。何よりも顧客本人の満足度が高い。
 ブログはウェブ技術者でなくても簡単に内容の追加・更新ができるため、長期間にわたる仕事の過程を情報発信するのに適していると言える。

(3)アクセス増加対策
 ウェブ担当者によるSEO(検索エンジン対策)の実施とともに、業界のポータルサイトなどの著名サイトからリンクを張ってもらい、アクセス増加に努めてきた。
 ホームページの運営は基本的にウェブ担当者が実施し、ブログなどの一部コンテンツに関しては実際に設計などの作業に携わっている担当者が作成している。新鮮な情報をありのまま発信する必要があるため、ウェブ担当者に社内の出来事が随時伝わる体制を取っている。社長は基本的にウェブ担当者を信頼し運営を任せてはいるが、随時ホームページをチェックし「情報発信漏れ」があれば、ウェブ担当者にコンテンツ追加の指示を出している。
 また、スタッフ全員に個別のメールアドレスを割り振り、ホームページを見た人が気軽にスタッフ個人に「声をかけられる」ようにしている。
(1)売上の増加
 現在、ホームページのリニューアルから1年が経過しているが、3万8千人以上がアクセスしている。これはユニークアクセス(同じ人から複数回アクセスがあっても1回しかカウントしない)であるため、かなり多いと言える。月間ヒット数は20万を超える月もある。ホームページを見た人からの問い合わせも増え、ホームページをきっかけとしての受注額は、1年間で1億円を突破した。
 また、沖縄県外からの問い合わせも増え、県外進出の足がかりにもなっている。

(2)優秀な人材の確保
 スタプランニングのホームページはリクルートコーナーも設けているが、技術者やデザイナーからの応募が増えており、大手設計事務所での勤務実績のある人が入社するなど、人材確保にも効果をあげている。

(3)他社からのホームページ作成依頼
 当初意図していなかった副産物として、ホームページの出来ばえを見た他社からホームページ作成依頼が来るようになった。
 従業員十数人規模の企業がウェブ担当者を雇用するのは人件費負担が決して小さくない。しかし社長はこれを経費ではなく、投資だと考えて雇用に踏み切った。この決断が第一の成功要因と言える。投資だからこそ、結果を得るためにウェブ担当者が他のスタッフとのコンセンサスが得られやすい社内環境を作り上げ、社長自身がホームページに関心を持ってフォローすることにつながった。
 このことは、ホームページを「作成業者」または「パソコンが得意な社員」に任せ切りにしてトップが無関心を決め込んだ結果、何の効果も生み出せていない企業が多いことに対して、大きな示唆を含んでいる。
 また、ウェブ担当者はデザインだけでなく、「楽しく仕事をする会社・信頼できる会社」というコンセプトを重要視して、全体のコンテンツを組み立てている。伝えるメッセージを明確化していることが、ホームページが効果を生み出している大きな要因と言える。
 ホームページ経由に限らず、業務上の問い合わせが増えてきたため、今後は顧客管理の体制を整備する方針である。この顧客には「将来の顧客」、つまり見込客も含む。お客様とのコミュニケ−ションを顧客管理システムでサポートすることによって、周囲との良い関係を構築し、自社のさらなる成長を図っていく予定である。