デジタルワークフローの概要

(1)企画・デザインから版下制作まで
 企画・デザインおよびDTPシステムとしては、アップル社のMAC G4とウインドウ用にDEL L社PC2台、簡易色校正用エプソンのインクジェットプリンタを設置。企画・デザインからDTPによる版下出力まで自社で処理している。版下出力後の刷版工程は外注である。なお、当社の主力の印刷機は小森製SPICA26Pであるが、当社は同機の第1号ユーザーである。
(2)ネットワークシステム 
 社内ではDTP関連機器以外に、売上/請求ならびに買掛/支払い等の業務処理用に富士通製ならびにIOデータ社製PCを導入し、これらの機器をイーサーネットで結ぶとともに、外部とはDELLのPCサーバー経由で、ADSLで通信している。現在、顧客との受注物のやり取りや外注先の製版業者とのデータのやりとりは、その大半がWebで処理されている。

(3)投資額
 4色オフセット印刷機導入後のソフトを含めたDTP関連機器の投資金額は、およそ500万円である。
 DTP機器の導入およびそのネットワークの構築は、既述のように後継者である現社長の子息がほぼ独力ですすめてきたが、今後もその方針である。
導入の成果は、まとめると次のよう集約される。
(1)新規顧客の開拓と業容の拡大
 従来からの顧客に対応する一方で、積極的にオフセット印刷受注を目指して、都心のビジネス街の顧客開拓に注力し、ここ3年間で売上面では年率ほぼ10%アップさせることができたが、現在の売上のおよそ40%がここ3年での新規に開拓した顧客からのものである。さらに、従来は印刷中心の売上から、版下制作からの売上の増加により付加価値率が大幅に改善され、従業員も以前の3名から7名へと倍以上の規模となった。

(2)営業品目の比率構成の変化
 営業品目別の売上高構成を導入前と比較すると以下のとおりとなる。

営業品目        3年前      現在
商業・美術印刷       30      50
和洋特殊印刷       35      20
事務印刷          30      10
各種ツール制作       5      10
企画・デザイン        0      10
合   計         100%   100%

 商業・美術印刷の比率が全体の50%を占めるようになったほか、新規に企画・デザインが10%の比率を占め、この企画・デザインは、この数字以上に商業・美術印刷の受注増に大きく寄与している。
 成功の要因を集約すれば、印刷業界のデジタル化が進展するなかで、今後の勝ち残りのためには極めて小規模の当社ながら、IT化対応への自社なりのしっかりとした見通しとその実践に将来を賭けた現社長の経営方針と後継者である子息のIT化への熱心な取り組みに帰せられ、経営者親子の一体となってのデジタル化への取り組みが、見事に当社の体質改善をもたらしたといえる。
 現行印刷機で、当面の新規の印刷機への新たな投資は不要との見通しのもと、現在外注している刷版工程をCTPおよびカラー校正機を導入することで内製化し、プリプレスからプレスまでの工程を自社での一貫処理に切り替えることを目指しており、できればさらに、折りなどの加工も自社処理できるよう計画している。また、社内のLANを無線化することを考慮している。



(1)経営目標(KGI):5年後年商50億円という経営目標を持っている。

(2)SWOT分析:目標実現のための現状分析をしてみると次のようになる。

 1)S(強み):a.主力の泡盛、もろみ酢の商品力がある。b.商品力が優れている。
         c.流通チャネルの開発が進んでいる。d.各種種類免許を持っている。
 2)W(弱み):a.受注時に納品の可否が即答できない。b.各部門間の連携が悪い。
         c.職務分掌が不明確な面がある。d.短納期対応が難しい。
 3)O(チャンス):a.短納期要求が高くなっている。b.流通チャネルが複雑、
           c.宅配便追跡システムの活用可能性。d.商品問い合わせの多頻度化、e.もろみ酢市場の拡大、
 4)T(脅威):a.県内市場の価格競争の激化、b.同業他社の参入で競争激化、
         c.1メーカー1卸の商慣行が、新規チャネル開発の障壁となっている。

(3)社長の思い入れ:顧客満足実現のため、生産から消費までの完全責任体制の推進。

(4)新戦略ドメイン:特徴ある商品で、特定分野におけるオンリーワン企業になる。

(5)よってこれらの諸問題を解決するIT導入を図る。それには5つの観点からシステムを再構築することとした。
 1)マインドウェアの再構築:いままでの考え方を白紙に戻して企業体質そのものを変える。
 2)ヒューマンウェアの再構築:ツギハギ改善ではダメ、抜本的なBPR(業務改革)をする。
 3)コミュニケーションウェアの再構築:馴れ合い取引ではダメ。抜本的な約束事の見直しをする。
 4)ソフトウェアの再構築:下乗業務追随型のプログラム開発ではダメ。ソフトウェアを戦略化する。
 5)現状業務追随のハードウェアの構築はダメ。ハードウェアを戦略化すべきである。
(1)問題点の発生
 経営戦略の立案、情報化企画の作成、RFP (提案書要求書)の作成に基づいて、メーカーのコンペを実施し、予選通過後1社に絞り込んで、開発にかかった。しかし、開発着手後、メーカーのSE の理解を得られなく、納期が大幅に遅れる可能性が出てきた。

(2)納期遅れの要因
 1)担当SEに業界知識がなかったこと。
 2)ERP(統合システム)の開発に不慣れであったこと。
 3)クライアント/サーバー型システム開発に不慣れな面があったこと。
 4)プロジェクトマネジメント力が不足していたこと。
 等が考えられる。

(3)対応策
 1)メーカー本社とも打ち合わせをさせてもらい、本社からSE の応援をしてもらうことで、マンパワーを充実させる。
 2)ユーザー担当者の打ち合わせ時間を多くとってSE の理解を深めることに積極的に協力する。
 3)これらのことを並行することによって納期を短縮することができた。
(1)得意先からの受注システム革新
 1)インターネット受注:ホームページによる消費者からの直接受注/物流、債権回収プロセスの革新システム。
  いままでピッキング/物流システムとの連携がされていなかったものを、物流のピッキングリスト、出荷指示書の出力等に
  よって改善した。
 2)EOS受注:卸売業/量販店からの受注は電話またはFAXであったものをEOS受注携帯に改善した。これによって、
  A社内の受注入力、ピッキングリスト、製造スケジュールへの反映、原料・資材等の発注作業の省力化等作業効率の向上
  が実現できた。
 3)県内観光地における受注については、携帯電話からの発注ができるようにすすめている。
 4)電話/FAX受注:いままでのように電話/FAXについての受注もできるように残した。しかし、CTI(コンピュータと電話の
  統合システム)の導入によって、得意先情報が画面に表示されるように革新する予定である。

(2)企業内の製造/製品部門のシステム革新
 1)製造部門は直前の営業からの受注によって生産していたものを、後述するコミュニケーションウェア(薬務改革)革新に
  よって、一定のルールの下で計画的に製造できるように改善した。
 2)製品部門は酒類が製造されたものを瓶詰めする工程であるが、これも新しいルールに沿って計画的に製造できるように
  改善した。
 3)いままでは、営業の受注にあわせて、原料・資材の調達をしていたために、資材の納期が長いもの(1.5ヶ月)に
  ついては、急な生産変更は不可能であった。これらを改善するために、製造/製品計画とあわせて、資材・原料の
  需要予測を行うことによって、納期短縮を実現した。それらの欠品を極小にできるようにした。

(3)仕入先への発注システムの革新
 1)前述したように、営業からの受注にあわせて製造していたため、製造ラインの変更をたびたび行わなければならなく、
   非生産的な面も縷々発生していた。CPFR(需要予測と在庫補充のための共同事業)を導入することによって、資材、
   原料業者の納期を短縮することができる予定である。
 2)いままでは、電話またはFAXによる発注であったため、納品されたものが、発注した商品であるかのチェックと、
   仕入数量・仕入原価のチェックを行わなければならなかった。EDI(電子データ交換)導入によって、仕入先への
   発注精度と、発注データの活用によって、受け入れ検品、買いかけ業務の消しこみ業務の大幅削減が実現できた。
 3)いままでは、電話またはFAXによる発注であったため、納品時に商品・数量・単価のチェックが必要であった。
   EOS/FAXシステムはA社からはEOSで発注するが、仕入先企業はFAXでも受注できるシステムの導入である。
   納入先はシステム化に金をかけないが、A社は仕入れ消しこみの省力化を実現できるシステムである。

IT投資効果をIE的に分析してみると次のような結果が得られた。

(1) マテハンによる改善・・・・・・・・・・・・・・・・・・730万円/年間
(2) 物流業務革新による効果・・・・・・・・・・・・・・・8,708万円/年間
(3) 購買・製造・在庫管理システムの革新による効果・・・・8,212万円/年
(4) 製品・製造資材・原料調達による改善効果・・・・・・・3,097.7万円/年
(5) 受注入力・納品書作成・請求書発行に関する改善効果・・6,984万円/年
合            計                    27,701.9万円/年

これらの活用効果は、実測して算出したものであり、細かな計算式を用いている。紙面の関係で結果のみを記述した。
(1)成功の要因
 1)経営者が革新に対する意欲を十分に持っていたこと。ITコンサルタントが言っていることを積極的に受け入れ、
  業務革新を積極的に後押ししてくれたこと。必要に応じて、社内体制を確立してくれたこと。
 2)本部長・部長クラスの積極的な協力が得られたこと。経営戦略を作成する段階においてKPI
 (IT投資期待効果等経過目標)を明示して、組織全体の協力が得られるように誘導したことによって、
  経営幹部の協力を得ることができた。
 3)プロジェクトに参画したユーザーの担当者が優れていたこと。これは、コンサルタントの言っていることを
  すばやく理解し、ベンダーに翻訳して伝える能力を有していたために、ITコンサルタントとユーザー/ベンダーの
  打ち合わせ時間を、短時間で済ませることができた。
 4)業務革新はプロジェクトチームに、情報システム課の人だけでなく、現場関係者を交えて情報戦略/情報化企画を
  作成したこと。そしてその内容は、担当者の納得したものになっていたこと。
 5)経営戦略・情報化企画・情報資源の調達・システム開発・運用までを一貫した思想で貫いたこと。コンサルタントの
  手前味噌になるが、ハードウェア、ソフトウェアの構築だけでなく前述した5つのウェア(マインドウェア、ヒューマンウェア、
  コミュニケーションウェア、ソフトウェア、ハードウェア)を連携させながら、あたかもトンネル工事のシールド工法のように
  5つのウェアを回しながら掘り進むような形をとった。これによって、経営戦略で立案したKPIがそのままシステム構築まで
  できるようにしたことが大きいポイントとなった。

(2)情報システムの評価
 1)ユーザーから見た評価
  受注入力の画面ひとつとっても使いやすさ、スピード、省力化の観点から見て優れている。
 2)戦略的観点からみた評価
  他社にない(CPFRやEOS/FAX等)仕掛けを多く取り入れ、企業の優位性を確立できるシステムが数多く
  取り入れられている。
 3)IT投資効果からの評価
  前述したように年間IT投資効果は2億7,700万円あまりにのぼり、投資効果はあまりあるものがある。
 4)品質評価
  現在のところシステムの品質は極めてよい結果が得られている。
 5)納期から見た評価
  RFPで要求した納期をほぼ実現している。
 6)セキュリティから見た評価
  ファイアウォール、ウイルスソフト、IP−VPMの導入等によって外部のセキュリティは確保され、内部的にはパスワードに
  プライオリティを持たせて管理しており、かなり高い管理レベルを保持している。
(1)第1次フェーズシステムの稼動
 現在EDI受注・買い掛け・物流・発注システムを稼動させた。

(2)第2次フェーズシステムの稼動
 インターネット受注・物流・回収システムの稼動。CPFRの完全稼動を目指している。

(3)統合システムの中に会計システムの完全統合を実現する予定でいる。







単に施設メンテナンス業務を請負うのではなく、経営的な視点から施設管理に伴うさまざまな業務の設計を行ったうえで、蓄積された施設データに基づき計画的・戦略的なマネジメントを実施し、施設運営費の大幅な削減や施設環境品質の向上を実現する提案型の事業を展開している。 
 近年は、高まる地球環境保全ニーズに対応するため、調査・計画・設計・施工・効果・検証を一貫して提供する省エネルギー事業も展開している。独自の経営戦略を策定・実践し、提案型施設管理総合サービス業として競争力を高め独自の経営資源を創り上げている。
(1)事業目的
 創業者である浅羽福士氏は、高峰登山のパーティのためにベースキャンプに物資を運ぶサポート隊であった。
 1976年の設立時の精神である「サポート隊が登山パーティの登頂成功を陰から支えるように、当社もお客さまの成功を
 影から支える存在であり続けたい」は、企業理念の中核と位置づけられ、社名の由来になっている。
 設立時の清掃を中心としたビルメンテナンス事業から、総合的なビルメンテナンス事業、不動産管理事業、マンション管理事業へと業態を拡大してきた。

(2)事業(ビジネスモデル)構築までの経緯
 20年以上のビルメンテナンスおよびマンション管理事業で培ってきた経験とノウハウを基盤として、FM(ファシリティマネジメント)の知識・技術を積極的に採り入れ、マネジメント業務に特化した専門家集団である「FMアウトソーサー」として、

 ●企業が保有/利用するすべての施設(オフィス、工場、福利厚生施設、他)
 ●事業用ビル・賃貸マンション
 ●区分所有マンション
 を対象とした「ファシリティマネジメント業務」を提供している。

 従来型の施設管理である「壊れたら直して使う」のではなく、きちんと「Plan→Do→See」のマネジメントサイクルを
回しながら、全体最適・長期的視野の観点で、ファシリティをマネジメントし、お客さまの利益の極大化を支援している。
(1)施設を有効活用することが特徴
  アウトソーシング先企業の持つ専門ノウハウを有効に活用することにより、戦略的・計画的に施設を有効活用することが
 できる。

(2)不動産としての価値の維持向上が出来る
  区分所有者の方々にとって、マンションは日々の快適な生活の場であるとともに、重要な資産であるということができる。
 この2つの観点から、コミュニティづくりのお手伝い、円滑な理事会・総会の運営支援、フロントマネージャー・管理員による快適な居住空間づくりへのアドバイス、コストパフォーマンスの高い維持保全業務の提供、ファイナンス機能を活用した効率的で透明性の高い管理費等の収納・支払システムの提供、分かりやすい決算資料の提供、等を総合的に行い、快適な生活の場を維持しながら、修繕計画の企画・立案により、不動産としての価値の維持向上をサポートする。
(1)ノンコア業務のコスト削減が出来る
  企業の保有/利用している施設にどれくらいの費用がかかっているのか把握し、適切に管理することは企業経営にとって大きな課題である。ファシリティコストは、一般的に人件費に次ぐ大きな経費だからである。その課題解決の手法の1つが、これにより、ノンコア業務であるファシリティマネジメント(施設管理)業務の専門企業へのアウトソーシング(外部業務委託)である。経費である「見えるコスト」の削減のみならず、ノンコア業務に携わっていた人的リソースをコア業務に投入することによる「見えないコスト」の削減が可能となる。
(2)業務の極小化が出来る
  賃貸用の事業用ビルや居住用施設において、お客様であるオーナーを代行してきめ細やかな日々のファシリティの
 維持保全業務はもとより、テナント管理業務を含めた総合的なマネジメント業務を提供できる。
  維持保全業務においては、コストパフォーマンスの観点から、実際の維持保全業務の見直しを継続的に行うとともに、
 個々のファシリティの不動産としての価値を高め、適正なキャッシュフローを継続的に生み出すための施策をお客様の
 立場にたって企画・立案している。
  テナント管理業務においては、テナント仲介、家賃収納管理、テナント対応、入退室管理、等を総合的に行うことにより、
 業務の極小化を実現できコストの削減に繋がっている。
 IT活用は業務効率化のツールであって目的ではない。今後の方針として、システムを使った上記の情報管理機能などは、お客様のノンコア業務アウトソーサーとして開発は継続していく。インターネット経由での利用ができる仕組みづくりに取り組む予定である。




総合デジタル制作業として、印刷および印刷工程で発生するあらゆる受注(企画・編集・デザイン・DTP制作・マルチメディア制作・インターネットプロバイダ事業・印刷・製本加工・デリバリー等)に対応したサービスの提供を行っている。
 従来の印刷業は、ロットの大きい受注でスケールメリットを活かし、生産性を確保してきたが、小ロット(3,000枚以下の受注)の印刷に特化し、多品種少量生産の領域での合理性を追求し、全印刷工程のデジタル化・印刷機への設備投資等、デメリットを克服する努力をしてきた。
 業界初のアウトバウンドコールセンターの設置や独自開発した自動見積りシステムをインターネット上で提供するなど、さまざまな経営革新を実践し、独自の企画力を持って競争力を発揮している。 同社の取り組みは、厳しい経営環境に直面している印刷業における経営革新の成功事例として高く評価された。
(1)事業目的
 当社は、何時も時代の先取りをしてきた。創業時、印刷・出版業界がアナログだった頃には、当時、初の電算写植出力センターを業界で初めて開設した。原稿の電子送稿、24時間対応、バイク便配送のシステムを確立するなど、絶えず新たなビジネスモデルを生み出した。
 その後、DTPの登場により事業構造がアナログからデジタルへ移行した時も、いち早くDTP化に着手した。
 業務のデジタル化を積極的に進めながら、常に新しい事業のチャンスを模索し続けてきた。
 そして、Mac出力センターを開設した。これを基点として、当社はフィルムや印刷画紙にとどまらない、多種多様な出力サービスを提供出来るようになった。従来のオンデマンド印刷には、クオリティや用紙サイズの制限などがあり、真の意味でのオンデマンドとは言い難い部分があった。
 しかし、新システムの採用で、美しく自由度の高いオンデマンド印刷が実現した。2000年1月、プリンティングセンタ−事業部の誕生によって、当社はプリプレスから印刷に至るまで、すべての工程を一貫して行えるようになった。

(2)事業構築までの問題点と対応策
 当初、実現不可能と誰もが諦めていた未開拓の分野にも当社の独創的なアイディアとそれをカタチにする技術力で果敢に臨んで対応してきた。
 たとえれば、小ロット印刷への高まりにあった平成8年には、日本に数台しかなかったデジタルオンディマンド印刷機を導入した。
 その分野を確立し、多品種小ロット印刷時代の幕開けを牽引した。ますます高まるニーズに応え、平成12年には、CTPシステムを採用したプリンティングセンターを開設した。これまでは考えられなかった、オフセット印刷機による高品質な小ロット印刷を実現した。
 それを実現する技術力で対応してきた。デジタル創造企業の当社は事業を拡大するごとにさまざまな技術を磨き上げた。
 DTP、出力、カラーマネジメント、ウインドウズ出力、ネットワークなどである。

(1)業界内でも不可能だった短期間・高品質を実現
 東京と八戸を本拠地に企画・編集の段階から参画するデザイン・DTP制作、各種データ製作・加工、出力、印刷・トータルに扱っている。DTP製作においては、データベースを活用した自動組版システムとオペレーターの技術をうまくミックスさせている。

(2)ハイレベルな技術知識を持つスタッフがフェースツーフェイスでサポート
 プリンティングセンターは、究極の「小ロットオフセットオンディマンド印刷」を追求している。印刷・加工ラインは24時間フル稼働。最短で翌日に届けている。常にお客様の立場にたって、最善のプランときめ細かいサービスで対応している。

(3)ブロードネットワークがプリントキューブの即時の受発注システムを可能にした
 ブロードバンドネットワークを活用した、時代が生んだ手軽で簡単な印刷サービスである。今後は、より高品質を追及し、もっと身近な印刷サービを展開する。

(4)インターネットを活用した独自のシステムやFAXで見積もりから発注まで行う
 「明日使いたい」を実現した。世界中に広がるネイティブチェッカーのネットワーク網を駆使し、見積もりは30分以内、納品は最短で翌日と言うスピーディな翻訳を行っている。
(1)トラブル解消
 V−lineは、インターネット上でデータ入稿でき、出力の発注が簡単にできる。入稿後は、お客様ごとのHPで、リアルタイムに作業の進捗状況が確認できる。作業終了時にはメールで知らせる。待たせることなく、安全・確実に発注できる。

(2)24時間で迅速翻訳
 海外からの出張中のビジネスパーソンをターゲットにした、ホテル向けの翻訳サービスである。従来のサービスは、納品まで1週間から10日間を必要とした。当社はブロードバンドを活用した独自の受発注を開発することで、24時間でお届けが可能になった。

(3)仕事のフットワークが軽快
 出力・印刷用データは大容量で、受け渡しにはCD−RやMCなどのメディアを使った。
 これまではバイク便などデリバリーシステムを利用してデータのやり取りをした。ネットワーク上だけで完結するようになり、100Mbps回線の導入で作業効率が急速にアップした。

 当社のサービスを支える柱は、時代の先を読む力、そして技術力である。これからも、そのもてるIT技術全てをフルに活用することで、新しいサービスを生み出し、お客様と共にビジネス展開をしていくことである。
 そして、急激に移り変わる時代の中で、総合デジタル創造企業として進化していく方針である。







DVD・ビデオ教材の制作、業務管理用ソフトウェアの製作・販売を主な事業としている。大量同時録音・録画機を自社開発し、各種イベントの収録、映像メディア製作を提供するサービスで成功を収めるとともに、各機材・商品のデジタル化への転換に取り組むことで業務内容を拡大してきている。
 製作・物流の一貫したサービス体制を構築し、教材等の保管発送体制を改善したことやブライダルビジネス等の総合的サポートシステム(顧客情報および施設運営の管理・オンライン受注・仕入・営業提案等)の構築による業務管理ソフトの開発が、革新的な技術を活用したビジネスモデルとして高く評価された。
 伝統芸能の伝承に資する教材用のDVDの製作に取り組み、踊り手の動きをコンピュータに読み込み、自在に再現するモーションキャプチャー技術を活用して教材制作を行っている。
 産学連携により、映像技術の精度向上を目指した研究開発事業を推進し、郷土の歴史に根ざした昔ながらの伝統芸能の保存・継承に貢献していることが高く評価されている。
(1)事業目的
 ブライダル業界において、ニーズの多様化は新規顧客獲得をますます難しいものとし、これに対応するために結婚式場や
 ホテルは施設の増改築や広告宣伝を有効に行う必要に迫られている。これらを間違いなく成果に結びつけるための事業は、
 次のことを目的にすることである。
 1)お客様の囲い込みによる成約率のアップ
 2)単価のアップ
 3)オペレーション業務の効率化

(2)事業構築までの問題点と対応策
  ブライダル業界は事業の華やかさとは逆に、労働集約の3K(くらい、きつい、きたない)の悪いイメージの強い業界であり、
 IT関連のシステムが必要である。一方、IT関連のシステムの初期費用が高いため、いまだに人手を掛けている旧い体質が
 問題点である。その対応策として
 1)一事業所の追加はオプションで200万円になり、単独の800万円と比較して格安になる。複数の事業所に展開するため婚礼式場を重点化した。
 2)インターネットを使ったシステムの提供(ASP)を行った。

(3)運用体制
  画面にしたがって必要なアイテムなどで演出しながら、進行例を説明する。その際に、お客様の希望にしたがって各項目を
 選択していくことは、そのままプレゼンテーションとなり、効果的な運用が出来る。そのため客前での利用を前提とし、
 豊富な画像を駆使した見栄えのよさと、個人情報を守る安全性の高さ、お客様を待たせない操作性の良い運用体制と
 なっている。
(1)サービス事業の特徴は、成約率のアップである。
 1)ニーズの多様化は新規顧客獲得を難しくしている。その解決の切り口は日々来館するお客様およびお客様予備軍が
  持っている。このシステムは彼らの志向や好みを正確に把握・分析するために、最初の問い合わせや訪問時から強力な
 マーケティングをスタートしている。
 2)顧客情報を即座にデータベース化し「いま、ユーザーが何を求めているか」を明らかにする。これを基に施設構築・
  商品開発・企画立案を行うことで、成約率は格段にアップする。下記は業務フロー図である。



(2)次の特徴は単価のアップである
 1)そのために必要なのが、的確かつ説得力のあるプレゼンテーションである。
  打ち合わせは従来のように大きなサンプルアルバムや膨大なカタログを広げるのではなく、ノートパソコン1台でOKと
  したのである。
 2)写真や動画により、当日のイメージを正確に示すことが可能。見積金額も即座に算出してプリントアウト。
 3)顧客のモチベーションに強く働きかける営業展開が、より高利益な商品を販売することにつながる。
 4)WEB機能をフル活用しているので、顧客のもとへ出向いての営業や打ち合わせ、また顧客が自らネットにアクセスして
  商品の選定・注文・変更をすることも可能である。
 5)顧客に強い印象を与えるプレゼンテーションによる高利益の獲得。それを実現するシステムである。


(3)最後の特徴はオペレーション業務の効率化である。
 1)従来のオペレーションは次のような欠点があった。
 a.手書きの台帳や伝票を使う弊害は数えきれないほどある。
 b.情報が共有できない。
 c.検索や修正が困難である。
 d.無駄な2重入力をしてしまう。
 e.売上分析が適時に行えず、しかも膨大な時間がかかる、等々
 2)ここでウエディングプランナーを導入することですべての顧客情報、営業の進捗状況、施設のブッキング状況は
   全スタッフが共有するものとなる。各サプライヤーへの発注や受注確認はすべてメールにより行われソフト上で
   視認することができるので、漏れやミスが発生しない。
 3)売上の集計や分析などの業務も即座に完了。経理システムとのシームレスな連動も可能である。
 4)業務の大幅な効率化はスタッフにとって負荷の大きい時間外労働を軽減。より多く営業に注力することにつながる。
(1)客数、成約率の増加
  平成16年11月のAホテルでシステム稼動開始から半年で、利用者として登録された見込み客は300組を超えた。
 システム導入後は「従来50%前後だった仮予約受注率が65%〜75%にまで上昇した。現在、同ホテルを訪れる
 婚約見込み客の成約率は30%前後で推移している。

(2)業務の効率化に繋がっている
  以前も顧客情報管理システムは稼動させていたが、打ち合わせ時にメモした内容を再度打ち込んで登録する
 必要があるなど、業務が煩雑になる傾向があった。システムを入れ替えたことで、アンケート機能活用などにより、
 その場で直接データが得られるようになり、業務の効率化に繋がっている。その分、お客様の要望に対して迅速に
 対応できるようにもなり、結果として受注率の上昇に繋がっている。
 システムを使った上記の情報管理機能は、現在はブライダルサロンでの利用のみとなっているが、今後の方針として、来館時に発行したIDとパスワードを用い、インターネット経由での利用ができる仕組みづくりに取り組む予定である。





DVD・ビデオ教材の制作、業務管理用ソフトウェアの製作・販売を主な事業としている。大量同時録音・録画機を自社開発し、各種イベントの収録、映像メディア製作を提供するサービスで成功を収めるとともに、各機材・商品のデジタル化への転換に取り組むことで業務内容を拡大してきている。
 製作・物流の一貫したサービス体制を構築し、教材等の保管発送体制を改善したことやブライダルビジネス等の総合的サポートシステム(顧客情報および施設運営の管理・オンライン受注・仕入・営業提案等)の構築による業務管理ソフトの開発が、革新的な技術を活用したビジネスモデルとして高く評価された。
 伝統芸能の伝承に資する教材用のDVDの製作に取り組み、踊り手の動きをコンピュータに読み込み、自在に再現するモーションキャプチャー技術を活用して教材制作を行っている。
 産学連携により、映像技術の精度向上を目指した研究開発事業を推進し、郷土の歴史に根ざした昔ながらの伝統芸能の保存・継承に貢献していることが高く評価されている。
(1)事業目的
 ブライダル業界において、ニーズの多様化は新規顧客獲得をますます難しいものとし、これに対応するために結婚式場や
 ホテルは施設の増改築や広告宣伝を有効に行う必要に迫られている。これらを間違いなく成果に結びつけるための事業は、
 次のことを目的にすることである。
 1)お客様の囲い込みによる成約率のアップ
 2)単価のアップ
 3)オペレーション業務の効率化

(2)事業構築までの問題点と対応策
  ブライダル業界は事業の華やかさとは逆に、労働集約の3K(くらい、きつい、きたない)の悪いイメージの強い業界であり、
 IT関連のシステムが必要である。一方、IT関連のシステムの初期費用が高いため、いまだに人手を掛けている旧い体質が
 問題点である。その対応策として
 1)一事業所の追加はオプションで200万円になり、単独の800万円と比較して格安になる。複数の事業所に展開するため婚礼式場を重点化した。
 2)インターネットを使ったシステムの提供(ASP)を行った。

(3)運用体制
  画面にしたがって必要なアイテムなどで演出しながら、進行例を説明する。その際に、お客様の希望にしたがって各項目を
 選択していくことは、そのままプレゼンテーションとなり、効果的な運用が出来る。そのため客前での利用を前提とし、
 豊富な画像を駆使した見栄えのよさと、個人情報を守る安全性の高さ、お客様を待たせない操作性の良い運用体制と
 なっている。

(1)サービス事業の特徴は、成約率のアップである。
 1)ニーズの多様化は新規顧客獲得を難しくしている。その解決の切り口は日々来館するお客様およびお客様予備軍が
  持っている。このシステムは彼らの志向や好みを正確に把握・分析するために、最初の問い合わせや訪問時から強力な
 マーケティングをスタートしている。
 2)顧客情報を即座にデータベース化し「いま、ユーザーが何を求めているか」を明らかにする。これを基に施設構築・
  商品開発・企画立案を行うことで、成約率は格段にアップする。下記は業務フロー図である。



(2)次の特徴は単価のアップである
 1)そのために必要なのが、的確かつ説得力のあるプレゼンテーションである。
  打ち合わせは従来のように大きなサンプルアルバムや膨大なカタログを広げるのではなく、ノートパソコン1台でOKと
  したのである。
 2)写真や動画により、当日のイメージを正確に示すことが可能。見積金額も即座に算出してプリントアウト。
 3)顧客のモチベーションに強く働きかける営業展開が、より高利益な商品を販売することにつながる。
 4)WEB機能をフル活用しているので、顧客のもとへ出向いての営業や打ち合わせ、また顧客が自らネットにアクセスして
  商品の選定・注文・変更をすることも可能である。
 5)顧客に強い印象を与えるプレゼンテーションによる高利益の獲得。それを実現するシステムである。



(3)最後の特徴はオペレーション業務の効率化である。
 1)従来のオペレーションは次のような欠点があった。
 a.手書きの台帳や伝票を使う弊害は数えきれないほどある。
 b.情報が共有できない。
 c.検索や修正が困難である。
 d.無駄な2重入力をしてしまう。
 e.売上分析が適時に行えず、しかも膨大な時間がかかる、等々
 2)ここでウエディングプランナーを導入することですべての顧客情報、営業の進捗状況、施設のブッキング状況は
   全スタッフが共有するものとなる。各サプライヤーへの発注や受注確認はすべてメールにより行われソフト上で
   視認することができるので、漏れやミスが発生しない。
 3)売上の集計や分析などの業務も即座に完了。経理システムとのシームレスな連動も可能である。
 4)業務の大幅な効率化はスタッフにとって負荷の大きい時間外労働を軽減。より多く営業に注力することにつながる。
(1)客数、成約率の増加
  平成16年11月のAホテルでシステム稼動開始から半年で、利用者として登録された見込み客は300組を超えた。
 システム導入後は「従来50%前後だった仮予約受注率が65%〜75%にまで上昇した。現在、同ホテルを訪れる
 婚約見込み客の成約率は30%前後で推移している。

(2)業務の効率化に繋がっている
  以前も顧客情報管理システムは稼動させていたが、打ち合わせ時にメモした内容を再度打ち込んで登録する
 必要があるなど、業務が煩雑になる傾向があった。システムを入れ替えたことで、アンケート機能活用などにより、
 その場で直接データが得られるようになり、業務の効率化に繋がっている。その分、お客様の要望に対して迅速に
 対応できるようにもなり、結果として受注率の上昇に繋がっている。
 システムを使った上記の情報管理機能は、現在はブライダルサロンでの利用のみとなっているが、今後の方針として、来館時に発行したIDとパスワードを用い、インターネット経由での利用ができる仕組みづくりに取り組む予定である。





和装用履物・下駄・袋物・婦人用ハンドバックの製造卸を行う会社である。本社周辺に集積する職人企業に対する企画製造委託および専門店、百貨店等に対する販売を行っている。ここ数年、売り場面積の縮小により、百貨店ルートに対する販売を急速に落としてきた。これに対処するべく、新しいブランドを開発し、新たに和装の専門小売店を販売先として開拓してきた。
(1)販売マーケティングの革新
 新ブランドの立ち上げとともに、展示会方式による直接販売を試み従来の業者販売に加えて、消費者向け直接販売ルートも一部確立出来た。その後、浅草本社の2階を改装しショールームを開設した。しかしながら東京都内に立地するものの駅から徒歩20分の立地条件の悪さからプライベートブランド確立の強みを十分生かせぬまま今日に至り、抜本的なマーケティングツールの革新を迫られていた。

(2)問い合わせ・受注業務を効率化する手段
 同社主力商品の和装用履物および下駄は鼻緒のデザイン性やおしゃれ感覚が売り物であり、デザイナーを兼務する経営者の感性に依存することが多く、単なるWebによる情報発信や受注・物流機能展開に留まらず、専門店や消費者からの問い合わせ・受注業務を効率化する手段としてのIT活用が求められていた。
 そこで、流通ルートが輻輳することに配慮し、オープンホームページに加えクローズドホームページを立ち上げた。加えて、ホームページだけでは解決しない顧客からの問い合わせ対応のためのインタ−ネット会議システムを導入した。
 テレビ会議システムは、大企業では使い古された技術であるが、中小企業、特にITやインターネット活用の遅れが目立つ伝統産業においては、ツールとして提供されていてもなかなかハードルが高く、電話同様に使いこなすまでには難渋している。
 また、販売店が全国展開しており、大手通信電話会社が提供するテレビ電話サービスが東西別立で提供されており、二重のアプリ選択を迫られた。その後、統一電話通信会社のIPテレビ電話システムに変更し、希望する小売店との間で順次利用を開始している。


 A社が保有する豊富なバラエティのある商品群を、インターネット技術を利用して、安価にかつシステム的に提供することを目的にシステムを構築した。クローズドなHPにより限定した顧客に対して商品情報を提供するに留まらず、インターネットTV電話会議システムにより、双方向でやり取りを交わしながら種々の画像を送るようにした。また、顧客になっていただいた方へのアフターフォローを目的とする顧客管理システムも安価なパッケージにて構築した。
 当社の経営は、現代表者より息子の副社長およびデザイナー(娘)に委譲されている。システム導入に当たっても、副社長およびデザイナーの合議で進められた。システム企画については、行政より派遣された中小企業診断士が支援し、ホームページの開設については、外部デザイナーが担当した。
 専門小売店からの評価は非常に高く、「大変助かる、お客様に薦めやすい。」という評価が圧倒的である。画像添付の頻度も非常に多くなっている。
 また、消費者からの問い合わせ対応のために、パソコン操作マニュアルを作成し、役割分担を行い、Web製作会社に依頼しパソコン・デジカメの使用研修を行った。また、受注確認書のフォーマットを作成し、画像を貼り付けるようにした。
 これらにより、社内で複数の人間が対応出来るようになり、対応スピードが向上し、顧客満足が増大した。
 現経営陣は若く、経営改善に対して積極的である。現状の販売マーケティング上の問題点に対して、自ら考え企画するとともに、不足する部分は外部専門家の力を借り、完成にまで漕ぎ着けた。
 ハード・ソフト・HPの構築費用等一式で約200万円の費用をかけている。社内に専門家がいない中で、高度な内容を含むシステム構築としては、安価な構築に成功している。
 色彩や風合い、柄などの人間の感性情報をインターネットでやり取りすることで、売上の増大や消費者直接販売を推進しようとする難易度の高いテーマである。インターネットTV電話会議システムは運用段階にあるが、商談活動に使えるようにしていく予定である。
 また、インターネットによる販売活動を支える、受注・物流システムの効率化も順次進める予定である。すでに、顧客管理ソフトの導入、受注確認書フォーマットの制定、商品整理用什器の導入等がなされているが、今後は、在庫管理や社外の職人とのやり取りの効率化を進める予定である。




スチール家具製造を母体に、コンピュータおよび情報通信関連のラックを企画開発・製造・販売する独立企業である。本社を東京・新橋に置き、工場は埼玉県八潮市にある。事務機器販売ルートの衰退に伴い、業績を大きく落としてきたが、Webを再構築し、戦略的な生産財マーケティングを展開することにより、メーカーが本来保持すべき企画提案・サポート機能を復活させ、業績改善につなげている。
(1)大手事務機器卸の黒子として成長
 当社は、家具問屋が軒を並べたといわれる港区芝田村町に木製家具のメーカーとして創業している。戦後いち早く鋼製家具のメーカーに転換するとともに、昭和30年代には、電動計算機スタンドやタイプライタースタンドを開発し、その後飛躍的に発展するパソコンラックメーカーとして先鞭をつけた。
 しかし、企画提案や開発力はあったが、販売はすでに中堅企業の域に達していた事務機器卸のチャネルを利用せざるを得ず、開発した商品を卸の総合カタログに掲載することで注文を取るOEM完成品メーカーとして発展して来た。
 当社は、自動車や電機業界に見られるような下請とは違い、注文取りは大手事務機器卸の力を借りざるを得なかったが、材料調達・切断・溶接・塗装・組立の生産機能に留まらず、完成品在庫や配送まで自社で行い、大手事務機卸会社の黒子のような存在であった。
 このような大手企業との補完関係は、高度成長期を経てつい最近まで続き、埼玉県八潮に物流センターを兼ねる近代的な生産工場を建設するまでになった。

(2)主要販売チャネルの衰退
 ところが、当社の順調な企業発展は皮肉にもインターネットの進展により衰退へと向った。アスクルに代表されるインターネット通販を各社が挙って行うようになり、分厚いカタログを携えて文具店の営業担当者が注文を取るスタイルは急速に衰退に向かい、当社への注文も年を追って減少した。
 これに対して当社は、得意とする企画提案・開発力により、スタンドアローン用のパソコンラックや各種メディア収納用キャビネットなどを立て続けに販売したが、販売力に勝るサンワサプライ・ELECOMなどのパソコン関連卸には勝てず、ニッチな特殊商品としての販売実績は残したものの、メディアの世代交代とともに後退を余儀なくされた。
 当社は、幸い通信大手のN社の指導を得てサーバラックを上梓し、下位メーカーではあるが、業界に定着することが出来た。Webも数年前から立ち上げていたが、事務機器卸等の販売チャネルに依存する関係から脱却することは出来ず、得意とするニッチなメディア収納キャビネット等の注文は取れるものの、飛躍的に増大するデータセンター向け等のサーバラックの需要を取り込むことは出来ず、中途半端な状態であった。
 当社は中小企業診断士の支援を受け、強みとするものづくり力や販売サポート力および豊富な製品ラインナップを表現したWebサイトを再構築することになった。
 当社は、販売力が不足することから鋼製家具の企画・設計・製造を事業ドメインとし、大手事務用卸の流通ルートに乗せることで事業展開をしてきた。しかし、インターネット販売を行う場合には、ダイレクトでの問合せが来ることが多くなり、従来販売を委託していた流通企業との棲み分けや調整が必要となった。また、家具に比べサーバラックは受注生産の色彩が濃く、最終顧客との間で仕様の綿密な打ち合わせを必要とする。
 暫定策として、仕様や在庫に関する問合せには当社が答え、価格や受注に関しては流通を紹介するようにしている。
 大手・中堅企業ではインターネットの普及率は98%に達しており、当社の強みを満遍なく表出することで、ターゲット顧客であるITベンダーやデータセンター等からの問い合わせを引き出し、得意とする企画提案力で注文につなげることは可能と判断し、Webサイトを再構築することにした。
 再構築したサイトは100ページ以上の規模であり、SEO対策を満遍なく施している。

 Web再構築は、次期社長である営業部長が社内の窓口となり、中小企業診断士とWebデザイナーの3人が推進の中心となった。Web構築は社内で行うことも可能であるが、Webマーケティングツールとして使う場合、グレードの高さが求められることから、外部専門会社に依頼することにした。
 中小企業の常として、投資余力が限られていることから、比較的安価で高品質のWeb構築を可能とする個人のWebデザイナーを捜し、過去の製作実績や当社との相性などを検討して依頼することとした。
 中小企業診断士は、経営戦略からWeb化企画を担当するほか、当社とWebデザイナーとの間の調整や予算枠の確保、費用対効果の検証などを行った。

 当社の再構築サイトは平成17年2月にスタートしたが、同3月のYahoo登録以降はコンスタントに1日300アクセス以上を記録し、狙い通りのユーザからの問い合わせや注文を誘発している。大手鉄鋼メーカー系エンジニアリング会社やPCおよび関連製品卸、複写機メーカーなどを新規顧客に獲得することが出来た。
 Webの利点として、アクセスログなどの定量的な情報をリアルタイムに収集できることがある。アクセス数に加え、検索キーワード、検索エンジン、ユーザドメインなどの情報が取れるが、ユーザドメインからは企業名が推定出来、業界を代表する錚々たる企業から日々300アクセスを獲得出来ていることは、経営者の大きな自信となっている。
 Yahooのディレクトリ登録をみると、当社は「企業間取引 > エレクトロニクス > ラック、ケース」において同業大手と同列に表示されている。当たり前のことではあるが、これも経営者の大きな自信となっており、中小企業診断士とWebデザイナーに対する信頼は高まり、Web構築後のサイトメンテナンスや事後指導を行っている。
 ターゲットとするユーザからコンスタントにアクセスを集めることに成功したことは、サーバラックメーカーとしての市場認知に成功したことを意味する。生産財購買担当者は多忙であり、営業担当者からの有益な情報提供と購買活動の効率化を期待するからである。
 売上低迷時には、ユーザから情報が取れず新製品開発や提案につなげられずにいたが、最近ではターゲットとするユーザとのアポ取りもスムーズに行えるようになっている。
 一般にIT化というと情報システムの導入をイメージし、非常にコストのかかるものを想像しがちであるが、当社の実施したWeb再構築による生産財マーケティングも立派なIT化であり、しかも低コストで調達できている。当社サイトは、製品カタログを掲載している関係から総ページ数は100ページを超えているが、製作費用は100万円以下に抑えることが出来た。
 中小企業においては、ITに詳しい人材はおらず、経営者が業務の傍らで行うことが多い。当社においては、プロジェクトメンバーであった販売部長は次期社長候補でありながら、仕事柄ITに対する知識と関心は深く、業務知識の提供に留まらずプロジェクトに深く関与し、成功に大きく貢献した。
 Webから注文が活発に入るようになったことから、沈滞気味な社内に活気が出てきた。以前はビジネスショーなどの展示会に毎年出展していたが、費用削減のために停止してから久しい。しかし、今秋開催される展示会へ出展することを決め、現在その準備に入っている。
 展示会業界は、インターネットに代替出来ることから停滞気味と言われるが、生産財においては、バーチャルな世界だけで取引が完結することはなく、個別の商談や展示会出展などリアルな活動との連携が、Webの信頼性を高め、取引の強化拡大につながっていくのである。
 当社の主力事業である鋼製家具製造販売は、今回のWebマーケティングの成功により何とか維持は出来ている。しかし、昨年来からの鋼材の大幅な値上がりは収益面で打撃を与えており、板金加工技術に立脚する現行事業の将来性は高いとは言えず、何らか新しい分野への進出を必要としている。
 サーバラックを一歩進め、電子錠を実装したサーバラック管理システムへの進出も考えられるが、当社には電子技術やシステム技術はない。板金加工の部品販売も考えられるが、単品レベルで供給出来る事業者は首都圏には多数おり、価格競争に巻き込まれる可能性が高い。
 現状では具体的な新分野進出計画を描けずにいるが、Webを活用した商品開発や関連事業者とのコラボレーションを推進するための第一歩として、数年来中断していた展示会への出展を今秋再開することを決定したのである。



有限会社ウェルネットは、代表取締役の尾藤昌道氏が製薬会社を退職後に設立した医薬部外品・健康食品・化粧品等を販売する会社である。2001年3月より、ゴルフ場の売店(70ヶ所)及び事業所の社内売店(40ヶ所)と、個人を対象にしたカタログ販売により、売上のベースをつくり上げた。2004年3月より、オンラインショップ「健康食品店ウェルネット」を開設し、また2005年3月よりショッピングモール「ビッダーズ」に出店して、販路の拡大を図り現在に至っている。
 ネット販売は実績が出るまで時間がかかったが、約半年後に月商30万円になり、それ以後毎月売上アップを続け、特にモール出店後は加速度的に売上が上昇中である。
 取扱商品は、コエンザイムQ10、グルコサミン、セントジョーンズワート等のメディカルハーブや栄養ドリンク、ビタミン、ミネラル等のサプリメント、健康茶、そしてフランス直輸入の敏感肌用化粧品などで、品質の確かな大手製薬企業の製品を中心に展開している。ウェルネットはウェルネスネットワークの略で、「正しい健康情報の提供」に努めて、品質の確かな健康食品を厳選して提供し、“健康快適生活“《Wellness Life》の輪を広げていきたい」と願って設立された。人生90年時代を迎え、いま、私たちにとって何よりも大切なものは“健康”である。そして、自分の健康は自分で守るセルフメディケーションの時代に入った。製薬会社勤務の経験と薬剤師の資格を生かして、最新の健康情報を発信し、毎日の健康を維持するために、健康食品の積極的な活用を呼びかけ、商品説明に力を入れて売上を伸ばしている
 既存の勢力が衰退し新しい勢力が台頭する、100年〜300年に1度しかないと思われるIT革命の大きな潮流を肌に感じ、「大きな変化の時代こそ、大きなチャンスの時代である」との思いからの起業であるので、IT導入なくして会社の設立は考えられなかった。
 すなわち、パソコンの活用により、納品書、請求書の作成と会計処理を行い、パソコンとスキャナー、インクジェットプリンター、デジカメの活用で商品カタログとパンフレット、ポスター、POP広告等の販売促進資材を自社製作し、宅急便及びメール便の活用によって配送業務を展開できた。さらに、ネットバンキングと郵便振替の利用、代金引換便の活用、SSLの暗号化通信によるセキュリティ対策を講じたクレジットカード決済とにより代金回収もスムーズに行えた。
 IT導入時にはさしたる問題はなかったが、2台目のパソコンを入れ、光ファイバー接続した後、スパイウエアの進入に見舞われ、さらに削除できないウイルスに感染し、突如としてマイドキュメントが開かなくなった。幸いにメールは機能したので、1台目のパソコンにデータを転送した後、修理に出した。しかしながら、救済できなかったデータも後で発見されて、データの作り直し等で時間的、精神的に受けたダメージは大きかった。
 その後、セキュリティを強化して対応し、常にバックアップデータをとるようになった。
 コンピュータを信頼しパソコンを便利に使いすぎて、落とし穴に落ちた感じである。その後「コンピュータは未完成なものであり、壊れるものである」という前提でパソコンと接するようになったのは、進歩だと思っている。
(1)販売関連
 IntuitクイックブックPro3を使用し、販売管理の仕組みを作り上げた。
A)発注業務は、すべて「発注書」発行により行う。
B)受注業務は、法人との取引は「納品書」発行により行い、ネットショップの取引は基本的に入金確認後の商品受渡し(代金引換、クレジットカード決済、銀行振込または郵便振替確認後商品発送)なので「納品書兼領収書」の発行により行っている。
C)荷造発送業務は、クロネコヤマトの「送り状発行システムB2」を使用し、パソコンで送り状を発行し、業務の標準化、迅速化、省力化を図っている。

(2)販売促進関連
A)ネットショップの販売活動はスピードで“勝負が決まる”ので、Webシステムからの「注文メール」に対して、迅速に「返信メール」を発信している。
B)荷造り梱包には気を使って丁寧な荷造りを心がけ、自社製の社名ロゴ入りの窓付封筒を使い、独自の商品説明を記したお礼状を伝票と共に同封する。さらに、お試しサンプル封筒を用意し、お買い上げの健康食品に関連した製品サンプルと説明書を同封している。
C)月に2回プレゼントキャペーンを行い、月に4回メールマガジンの発行を続けている。
D)また、担当アドバイザーの適切な指導と提案が得られ、モール出店のメリットは大きかった。
E)検索エンジン対策は何よりも大切と考え、SEMに留意して「キーワード」の研究を怠らず、毎週Webサイトの更新を行っている。

(3)会計処理関連
 Intuit弥生会計3を使用し、現金出納、売掛金、買掛金、一般管理販売費等の記帳業務を行って、会計処理の省力化に役立てている。

(有)ウェル
 ITを活用することによる徹底した省力化により、自宅の一部を事務所にして、たった1人でスタートした。まさにSOHO(small office home office)である。
 現在は代表取締役の尾藤昌道氏が経営全般を担当し、次男誠宣氏がWeb担当で、2名でネットショップ3店を運営している。
 最大の成果は省力化で、IT活用なくして1人で起業することは難しい。
 平成3年、オンラインショップ開設半年後の月商は30万円、一年後60万円、一年半後120万円と毎月、前月実績を更新しつづけて右肩上がりを続けている。
 年内に200万円を達成し、早期に月商1,000万に乗せることを当面の目標としている。
 同社の成功の要因として、以下の点があげられる。
(1)オンラインショップに適した販売促進戦略の実施
 Googleのアドワーズ広告の実施、月2回プレゼントの継続実施と月4回メールマガジンの定期配信と合わせてSEO/SEM対策を実施した。
(2)積極的に取扱品目を増やした。
(3)競合ショップの価格動向を常に調査し、販売価格を同価格に合わせた。
(4)健康食品は商品説明が大切であると考え、サイトづくりに工夫をして、丁寧な説明に心がけた。そして、購入客に対しても必ず独自の商品説明をつけて商品をお届けした。
(5)「健康食品は何よりも品質が大切である」ことを常に訴え、サトウ製薬の健康食品を自信を持って販売した。
(6)信頼と安心の健康食品店 ウェルネット
 “薬剤師 尾藤昌道(びとうまさみち)”
 “お気軽にご相談ください。”
というコーポレート・アイデンティティーをメールならびにメールマガジン、お客様へのお手紙等の最後に必ず付けて、企業イメージのPRに努めた。
(1)ヤフーの検索広告「オーバーチュア」の実施
(2)アフィリエイトの活用とブログの活用がこれからのテーマと考え、取り組んで行く。
(3)アクセス解析を導入し、ホームページのアクセスログを分析して、問題点の改善を繰り返し、戦略的なホームページ運営を図って売上を伸ばしたい。
(4)取扱品目を108品目(現在)から1,000品目に増大する。

 EC(電子商取引)市場全体に追い風が吹いているとはいえ、これからはEC市場も大競争時代に突入すると考えて対応することが重要である。
 大競争時代を勝ち残るには、「価格競争はするが価格競争に巻き込まれない」こと、
そして、「経費の節減」と「売上の増大」が勝ち残る条件になると考える。


内装はもちろんのこと、屋根工事、外構、エクステリア工事、増改築、新築も行っている。また、地震に対する耐震診断、耐震工事も手がけている。営業拠点は横浜市瀬谷区にある本部と横浜市港南区にある港南店の2ヶ所で、本部の近くには展示場を設けている。
 「選び抜かれた職人が心を込めて工事する」という方針のもとに、これまでの工事実績は約7,000件におよんでいる。社員数は16人、年間売上高は860百万円である。
 IT導入に関しては創業当時から非常に積極的である。当初は、社内業務の効率化を目的として業務管理システムを構築した。小林社長自らが開発して、実用化したこのシステムは、Accessをベースとしてリフォーム会社の業務をシステム化したものである。見積り、受注売上管理、顧客情報管理、工事スケジュール管理などの機能がある。このシステムに使用した管理ソフトを他のリフォーム会社にも販売したほどである。
 2000年には、受注促進を目的としてホームページを開設した。当初はホームページの制作と運用を外部に委託していたが、2003年からは制作と運用ともに自社で行うようにした。また、宣伝用としてのチラシや販促物なども一部は自社のパソコンで作成するようにして経費の節減に努めている。
 工事を迅速に行うためにCADを導入し、工事を担当する工務店との仕事の受渡しを効率化している。さらに、顧客へのプレゼンテーション用としての3次元CADソフトも導入している。
 最近では、カメラ付き携帯電話で撮影した現場写真を、インターネットを通してサーバーに保管し、一元管理していつでもそれを取り出せる仕組みを構築している。
 営業拠点が2ヶ所あり、別に展示場を持っているため、社内ネットワークをどのように構築するかの問題があった。これについてはNTTのフレッツ・グループアクセスを利用することで解決した。瀬谷本部と港南店そして展示場と社長自宅からフレッツ・グループアクセスに光ケーブルで接続してLANを構成した。
 ホームページは最初外部に制作を委託したが、ページの変更、追加、運営などにコストがかかりタイミングも遅れるので、2003年より自社の女性社員が担当することに変更した。
 システム概要を下図に示す。

 システムの特徴としては、瀬谷本部と港南店、展示場および社長自宅とをNTTのフレッツ・グループアクセスで結んでLANを構成していることである。サーバーの保有台数は2台、パソコンの保有台数は21台、プリンターの保有台数は8台でうち1台はコピー機、FAXとの複合機である。社員16名の小規模リフォーム企業にしては、IT活用が充実しているといえる。
 グループウェアとしてJ-MOTTOを利用しており、書類管理、社内掲示板、個人スケジュールなどの情報共有化を図っている。
 CADソフトは6台のパソコンに入れてあり、9人の社員がこれを操作できる。インターネットによるマーケティングとして、自社のホームページ以外にリフォームのポータルサイトにも加入している。
 システム全体の構築の企画は社長が行っており、システムの運用管理は各部門が行っている。ホームページの運用管理は女性社員1人が担当している。
 自社で開発した業務管理ソフトやグループウェアの利用による効果は定量的には表わせないが、業務のスピード化、省力化などに大きな成果を出している。特に顧客へ提出する見積り、受注管理、売上管理、請求業務、顧客情報管理などの営業活動面で効果が高い。
 ホームページによる受注は年間で39百万円である。このうち自社のホームページによるものが45%、加入しているリフォームのポータルサイトからのものが55%である。自社のホームページについては、最近コンサルタントの支援も受けて検索エンジン対策(SEO)を実施した。「リフォーム 横浜」「リフォーム 神奈川」などのキーワードで検索した場合、YahooにおいてもGoogleにおいても自社のホームページが上位で表示されるようになった。また、アドワーズ広告とオーバーチュア広告も始めた。これにより、自社のホームページへのアクセス数がかなりアップした。今後、自社ホームページからの受注拡大が期待できる。
 チラシや販促物の作成を一部内部のパソコンを使用して制作するようにしたことで、スピードアップと経費節減に役立っている。
 会社創立当時から社長の強いリーダーシップによりITを積極的に導入したこと、リフォーム企業としての業務管理ソフトを自社開発して活用したこと、早くからホームページを活用したことなどが成功要因である。  
 社員16人の小規模企業でありながら、これほどのIT活用を行っているリフォーム会社は見当たらない。顧客や取引先からの情報システムに対する評価は高い。
 自社ホームページをさらに充実させて、顧客との情報パイプを太くし、インターネット・マーケティングの成果を高めていく方針である。
 また、携帯電話のメール機能、カメラ機能をうまく活用して、低コストで業務改善を図っていく。




地域は高齢化で世代交代が進み、近隣にはマンションが増えてきたこともあり、ここ数年で店舗の入れ替えもあった。人を集め、商いの出来るよう各種の催事イベントを行って地域の方々から愛される商店街を目指して日夜頑張っている。
(1)IT導入の背景と経緯
 当商店街は以前からインターネットが普及するにつれて地域住民も商店のホームページをみてショッピングに出かけるであろうと予想していた。パソコンに興味のある店主の集まりである「杉田クラブ」が中心になってホームページ作りを検討してきたが、数年前、横浜市経済局の助成を受けて初めて商店街のホームページを開設した。
 ホームページを開設後、3年を経過したのでリニューアルを検討していたところ、当商店街が加盟する(社)神奈川県商店街連合会(県商連)が実施している「商店街ホームページ作成支援事業」(注)の募集が目に留まり、これに応募することとした。この支援制度の利用により、ホームページ作成費の補助や技術的な支援も受けることができたので、平成16年9月着手、同年12月オープンという極めて短期間で完成させることができた。
(注)県商連が傘下商店街を対象に毎年、募集している。ホームページ作成経費の補助や技術面の指導を受けられる。この支援事業により、ホームページを完成させた商店街は平成17年7月現在、神奈川県下で26件に達する。

(2)リニューアルの狙い
 今回のリニューアルでは下記のようなことを狙いとした
・店舗情報検索機能を設け、業種を指定すれば該当する店舗が表示されるようにする。さらに、店舗名をクリックすれば各店舗の詳細が表示されるようにする。
・トップページには、各店舗の最新のショップ情報や商店街のイベント情報などホットな表示を行い、ビジターの注目を引くようにする。
・個店が自己のホームページを専門要員の手を借りず自ら書き換えられるようにする。
・ビジターとのコミュニケーションに最新のコミュニケーションツールを取り入れる。
(1)ホームページ作成、運営経費を削減すること
 見栄えのよいホームページ目指してベンダーに作成を依頼したり、サーバーを導入して運用すると膨大な経費がかかり、計画倒れになりかねない。当商店街ではこのような事態にならないように、ホームページの作成から運用までをアウトソーシングすることとした。県商連の紹介により安い負担経費で信頼のおけるアプリケーション・サービス・プロバイダ(ASP)へ委託することとした。ホームページの作成に当たっては、専任のシステムエンジニアの援助を受け、ASP提供の汎用パッケージをカスタマイズすることにより、比較的短期間に完成させることができた。また、運用段階でもASP所有の高性能サーバーの一部を借用(レンタル)することにより、全面的に委託するようにした。

(2)運営管理に専門技術を必要としないこと
 ホームページの運営管理を自ら行うと専門技術をもつ要員を置く必要があるし、専門のベンダーに頼むと相当の費用負担を覚悟しなければならない。これは、ホームページ開設により効果が明確でない商店街にとっては、頭を悩ませる課題である。コンテンツの更新といっても通常はイベントの紹介や個店の売出しや新たな商品の紹介など、ほとんどがパターン化される。今回使用した汎用パッケージでは、コンテンツの変更を容易に行うことができる機能が備わっている。つまり、イベント、商品の内容やデジタル写真などが用意できれば、各個店からASPのサーバーに接続して直接、更新できるようになっている。
この汎用パッケージは、商店街ホームページ作成に関するノウハウが多数組み込まれており、比較的廉価で容易に利用することができた。

(3)ビジターとのコミュニケーション
 単にホームページで情報を提供するだけでなく、ビジターとの密接なコミュニケーションを図るため、下記のようなサービスを組み込んだ。 
・モバイルサービスとして携帯電話から商店街のホームページが見られるようにした。
・定期的に商店街の商品情報などをメールでお知らせするため、メールマガジンを発行するようにした。
・ビジターへの特典として「電子クーポン」、「求人情報」を提供するようにした。
 パソコン、ホームページなどITに興味のある店主の集まり「杉田クラブ」が中心となり、各店舗に呼びかけて推進した。実際の作業は、ASPの商店街ホームページ作り専門のシステムエンジニアの全面的な協力により進めた。
(1)商店検索機能の充実
 ビジターが100店舗もある店舗から目的とする店舗、商品を探し出すのは容易なことではない。従って、業種を指定し該当店舗を検索し、一覧で表示する機能を組み込んだ。
 さらに、キーワードによる検索機能が備わっているので、商品名を与えて検索するとその商品を取り扱っている商店一覧が表示されるなど、ビジターの店舗検索の便宜を図っている。

(2)最新のイベント情報や商店情報のタイムリーな表示
 商店街や地域のイベント情報がタイムリーに紹介され、トップページからワンクリックで閲覧できる。また、トップページに[Recommend Shop]として各店舗の紹介が順次表示され、その店舗のお勧め商品の詳細が写真入りで表示されている。これらの情報提供は、集客力の向上に寄与している。



(3)ホームページコンテンツの更新の容易性
 汎用パッケージを使用することにより、商店街事務所や各店舗からホームページが格納されているサーバーに直接、接続してそのコンテンツを更新できるようにした。これにより、専門的な知識を持たなくても手順に従い、いつでも容易にホームページを更新することができようになり、ビジターに対してタイムリーに情報を提供できるようになった。
 汎用パッケージを利用することにより、高度な検索機能を利用することができた。また、各店舗から直接コンテンツを更新することができ、安定した運用を実現することができた。ホームページの開設により、個店から来客数の増加や来客層の拡大が図れたとの反響を聞く。
(1)参加店舗の増加
 現在、商店街100店舗のうち、詳細な店舗情報を紹介している店舗は18店舗にとどまる。専門的な知識を持ち合わせなくてもコンテンツの更新などの仕組みは整っているので、メリットを十分PRして、詳細な店舗情報を紹介する店舗の増加を目指す。

(2)各店舗の商品・サービスやイベント紹介を充実
 現在のホームページでは、コンテンツの更新の容易性やキーワードに取り扱い店舗の検索など仕組みは整っているが、必ずしもこれらの有用な機能が活用されているとは限らないので、コンテンツの充実を図る。







会社設立以来、徹底した研究開発体制のもと、独自の技術と開発ノウハウを確立してきた。
 厚生労働省から、医療機器製造業の許可をいただいてからは、医科向け低周波治療器の分野にも参入している。
(1)システム導入以前の状況
 特に美容目的の製品は、若い女性がターゲットであるため、デザイン性が求められ、従来の2次元図面では製品のイメージを把握しづらかった。そこで、従来は試作品の模型(モックアップ)を作成して商品のプレゼンテーションに使用していたが、費用と時間を相当必要としていたため、効率が非常に悪かった。

(2)営業ツールとしての活用
 そこで、商品プレゼンテーションをタイムリーにかつ効果的に行うために、商品の曲面も表現できる3次元CADの導入を行い、営業ツールとしても活用することとした。

(3)設計・製造作業の効率化
 また、3次元CADを導入することにより、設計段階のみならず製造段階においても、多様化したニーズに対応した効率的な作業を行えるものと考えた。
 IT導入時に生じた問題点としては、3次元CADの導入経験や使用経験が全くなかったため、導入で失敗しないためにはどのような3次元CADソフトを選んだらよいかということが良く分からなかった点にあった。
 また、3次元CADを使用する際のデータ管理が2次元CADとは全く違うということは分かったが、実際にどのように対応したら良いかが分からなかった。

(1)機種選定後に事前にレンタル使用
 決して少なくない投資金額を無駄にしないために、機種選定後に購入先よりレンタルで3次元CADを1ヶ月間借用し、実運用の中で機能等を実際に試して見た。
 その結果として、十分実用的であるという判断をして正式導入となった。

(2)購入先の指導受入れや取引先とのデータ交換
 3次元CADのデータ管理は、2次元CADとは全く異なるため、十分なデータ管理が行われないと効率的な運用ができない。そこで、購入先よりデータ管理方法の指導を受けると同時に、取引先とのデータ交換を進めることで、効率的な使用ができるようになったと言える。
 3次元CADには、1,000万円前後のハイレンジのものと、100万円前後のミドルレンジのものがあるが、最近では価格差ほどの機能差はないように思われる。そこで、当社としては初めからパソコン用に開発されたミドルレンジの3次元CADを導入することとした。

(1)システム投資額
3次元CADソフト : 150万円/セット × 4セット = 600万円
パソコンハード   : 20万円/台 × 4台 = 80万円
なお、3次元CAD用データは、既存のファイルサーバーを使用しているため、新たなサーバーの導入は不要であった。
また、上記4台は3次元CAD専用パソコンというわけではなく、日常の事務処理やメール授受などにも使用されている。

(2)3次元CADのシステム構成
・SolidWorks 2005(ソリッドワークス・ジャパン株式会社製)
・SolidWorks Office Pro Suite(ビューワー、アニメーション、レンダリング、Webページ生成、標準部品ライブラリ等のツール群)
 今回のシステム導入の経緯としては、設計上における当社の現状(非効率さ)を社長に説明したことに端を発し、社長からの指示で3次元CADの検討がスタートした。検討期間としては1ヵ年ほどを要し、設計部の部長と係長の2名で検討が行われた。また、システム導入に関しても検討段階と同じ体制で進められ、社長直轄のもと効率的に導入が行われたものと考えている。
IT活用の成果としては、以下の点が挙げられる。

(1)設計期間の短縮
 3次元CADの特性として、設計段階での簡易解析機能や干渉チェック機能と、共通部品を使用できることにより、ミスが減少し設計の手戻りが少なくなった。
 その結果として、トータルで大幅な時間短縮が実現できている。

(2)プレゼンテーション資料の精度
 従来のイラストよりも現実の製品により近い表現ができるため、プレゼンテーション資料としての精度がアップした。

(3)取扱い説明書に応用可能
 また、取扱い説明書の‘挿絵’としても十分使用できるといった効果も出ている。
3次元CAD導入が成功した要因としては、以下の項目が挙げられる。

(1)3次元CAD導入への強い思い
 トップの理解と導入担当者の3次元CAD導入への強い思いが成功のベースにあったと言える。

(2)徹底した操作教育
 あらかじめ教育費を予算化し、新人に対しては操作教育を購入先に依頼して実施している。費用としては、4日間コースで20万円程を要している。

(3)1人1台体制
 3次元CADを稼動させるパソコンは1人1台とし、自由に使用できるようにしている。
 今後、より3次元CADを有効に活用していくための方策として、以下のような項目が考えられる。今後の状況を見ながら、実現可能なところから実現していきたいと考えている。

(1)営業担当者にもノートパソコンを持たせ、お客様のところでも3次元CADを使って自由にプレゼンテーションができるようにする。
(2)図面を必要とする全ての取引先と3次元CAD用データの交換を行う。
(3)3次元CAD向けのより良いデータ管理を継続して検討していく。
(4)主力商品だけでなく、他の製品(産業用ラジコンヘリコプター、等)へも3次元CADを使用していく。





ボランタリーチェーン(VC)モンマートに加盟すると共に、酒類のあるコンビニエンス・ストア(CVS)に店舗改装した。看板・店造り等は統一されたものの、本部の加盟店に対する経営支援はほとんどない状況であった。
 平成6年、店舗を40坪に増改築した。平成12年秋、近隣地籍に我が国のCVSを代表するセブンイレブンが出店し、当店は大きな影響を受けた。
 平成17年4月6日、ヤマザキYショップに加盟して、店舗内外の店舗改装を行い、店内で「パン」を焼いて販売するCVS店として開店した。インストアベーカリーは当店の目玉商品であり、売上高・粗利益高の増加を期待している。
 当店のIT化についてはPOSレジ中心の管理だけで行われ、VCモンマート本部が具体的な運営管理システムを支援しなかったことから大幅に遅れた。
 近隣地籍にセブンイレブンが出店したことにより、当店の売上高は大幅に低下したこと、部門別の「売上高」「仕入高」「粗利益高」の業績を把握できていないこと、毎月の残高試算表ができていなかったこと、酒税法に基づいて税務署に対し毎年報告義務のある酒類受払記帳の省力化が必要とされていたこと等から、IT化による経営の合理化・効率化・システム化が要請されていた。
 具体的には、平成14年秋、次のパッケージソフトを導入した。

(1)酒類受払ソフト:「テマリ酒申告」
 酒税法に基づく酒類受払ソフト。「テマリ酒申告」ソフトを導入することにより、事務の合理化・省力化ができる。

(2)財務会計ソフト:「会計王2003」
 財務会計ソフトを導入することにより自計化を図る。会計伝票の起伝とコンピュータ入力を行うことにより、翌月の5日迄には残高試算表作成をめざす。
 業績の早期把握と税理士の顧問料経費が削減できる。

(3)管理会計ソフト:「テマリ会計」
 毎日の「売上高」「仕入高」データを入力することにより、当日までの部門別:「売上高」「仕入高」「粗利益高」「推定在庫高」が「日次速報」で見られる。合わせて、経営諸計画が立案できる。
(1)IT要員の育成
 当社の経営規模から推して、IT関係の専任担当者を置くことは難しい。
 社長の古川篤志氏は、比較的コンピュータに対する関心度が高く、本人もコンピュータの操作については長けていた。しかし、IT要員を育成できなかった。

(2)IT業務の分散化
 コンピュータへの入力に際しては、ほとんどを古川社長が担当してきた。社長が期待していた奥様を迎えることができなかったことが、大きな要因である。
 従業員に対しては、任せる内容についての制約条件がある。

(3)今後の対応策
 具体的に奥様に「操作手順」を教えると共に、長年勤務している従業員に対しても「範囲」を決めて「操作方法」を教授し、作業の分散化を図ることが必要である。そのためには、教える手順と期間を決めて挑戦することが先決である。
 当社は、「パッケージソフト」を当期に「3つ」導入した。
 「テマリ会計」「会計王2003」「テマリ酒申告」である。
(1)テマリ酒申告
 〔テマリ酒申告〕ソフトは、酒税法に基づく〔酒類の報告書〕に特化した専用ソフト。初期設定したならば、納入問屋からの納品書を見て「仕入伝票登録」を行えば、仕事のほとんどは終了である。入力する場合には、「単品登録」と「共通コード登録」の2通りがある。在庫入力月を決めて在庫本数を区分・容量毎に入力すると、各帳票を出力が可能となる。初心者でも充分対応できる。



(2)会計王2003
 いわゆる「財務会計」ソフトである。ソフトは安いが、立上げに際しては中小企業診断士である筆者が「勘定科目・仕訳・減価償却資産」等を支援した。「会計伝票」を起伝して、本ソフトに入力するのには、若干簿記の知識が必要である。当社は自計化を図り、通常は自社で行い、決算は税理士にお願いした。

(3)テマリ会計
 部門別の売上高と仕入高を入力するだけで、いち早く「売上高・仕入高・粗利益高・推定在庫高」を「営業実績速報」により業績評価ができる。
 当日までの粗利益高を累計数値で把握し、利益高が上がる仕組みをつくる。
 経営計画の立案として、予想損益計算書・借入金年別元利支払明細書・借入金返済計画・資金繰計画等延136帳票を収録してある。必要とする帳票から利用する。
 借入金時における銀行提出用書類等の経営計画書作成も支援。応用範囲は広い。



(4)ソフトの投資金額
 経営規模から推して、特注によるソフトは必要なく、パッケージソフトで対応できると判断した。本ソフト3本の投資額は、113,000円である。
 ただし、ソフトの立上げに際して、立上指導料を中小企業診断士に負担した。
 当社の総従業員数は、4名である。
 ITを導入したからといって、組織を変えられる要素はない。
 IT化を推進する核になっているのは、古川社長である。
 従って、情報の発信とまとめ役は古川社長であり、いかに上手に業務を分散化するかがテーマとなっている。
(1)テマリ酒申告
 「テマリ酒申告」ソフトは、酒税法に基づく「酒類の報告書」に特化した専用ソフトである。当社は、「仕入伝票登録」は「共通コード登録」方式を採用した。
 税務署への報告書の提出条件を満たしており、合理化・省力化に貢献している。

(2)会計王2003
 いわゆる「財務会計」ソフトの自計化に挑戦した。起伝する資料は、店売上高、支払経費、預金通帳が主力である。会計伝票を起伝し、伝票入力すると必要帳票が自店で出力できるようになった。税理士に対する月顧問料が削減できた。

(3)テマリ会計
 日々の部門別業績が「売上高・仕入高・粗利益高・推定在庫高」を「営業実績速報」により業績評価ができるハズが、減量経営による人手不足の関係から、「掛売上高」と「仕入高」の入力が遅れ、「月次」での業績評価ができるようになった。
 経営計画の立案としては、予想損益計算書等を有効活用している。
 当社は、1会計年度に3つの「運営管理システムソフト」を導入し、挑戦した。
 そのうち、「テマリ酒申告」「会計王2003」については、一応のレベルに到達したことは評価される。しかし、日々の部門別業績を把握するための「テマリ会計」については、入力の遅れが見られる。特に、古川篤志社長が自ら「パン製造担当者」として工場に入られたことにより、時間の余裕がなくなってきている。
 当社の大きな課題は、赤字経営を黒字基調にすることである。日々の業績は「部門別・粗利益高」の進度を追うシステムを有効活用することである。当月度粗利益高の「絶対額」で進度を追うことが重要である。パンの自家製造は、粗利益の向上に大きく貢献するものと期待される。IT化は、古川篤志社長一人で担当するのではなく、全社をあげての取り組みが成功への近道と思われる。