元気な会社4
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量産工場の建設へ | |
新製品の開発技術を支えているのは、同社が主宰した研究開発プロジェクト「プロジェクトZ」だ。東レ、NTNや東京大学大学院、産業技術総合研究所などの産学官連携チームで、世界最高性能の小型風力発電機の量産化を目標にした。 その成果として新製品は、最大出力1・5キロワット(風速毎秒12・5メートル)、本体重量15キログラムで、発電量当たりの本体重量が世界で最も軽い。本体価格は30万円に抑え、一般消費者市場でも手の届く価格を実現した。 さらに、静音性と発電効率の良さも兼ね備えている。風力発電機は、風の力で羽根を回し、その回転力をモーターに伝えることで駆動・発電する。新製品は直径180センチメートルの主翼に、空中で一番静かに飛ぶ鳥といわれるフクロウの羽根を模したデザインを採用している。通常の羽根に比べて、騒音レベルが50分の1以下で、ほぼ無音に近い状態にした。 また、発電効率の面では、羽根を回すために発電機をモーターにするパワーアシスト機構を採用した。毎分6秒間だけモーターで繰り返し羽根を回転させる仕組みで、無風状態でも電力が得られる。モーターの消費電力が1時間に10ワット必要になるが、「羽根を回転させることで得られるエネルギーの方が高い」と伊藤瞭介社長は話す。 同社は新製品販売を機に量産工場を建設する方針で、準備を進めている。2005年3月末時点で資本金を9990万円から2億6199万円に増資した。伊藤社長は「今まで手弁当で事業をしてきた。これからは本格的な製造業になる」と意欲を燃やしている。 |
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若手アーティストの活躍の場を提供 | |
経営のもうひとつの柱として、デザイナーやイラストレーター、写真家ら若手アーティストのマネジメント事業「スターファクトリー」に取り組む。若手アーティストの才能を発掘・育成し、企業とのマッチングを行うのが狙い。現在350組を超えるアーティストが登録。登録アーティストにポストカードをはじめとする広告媒体のデザインを任せ、若い才能を育成する仕組みだ。ポストカード広告から火がついた人気イラストレーターもいるという。 事務所内には、登録アーティストが作品を紹介できるスペースを設けている。毎月1人のアーティストを取り上げ、作品発表の機会を提供する。 若手アーティストや企業などとのネットワークを買われ、ファッションショーなどの企画運営も手がける。若手クリエーターとセレクトショップとのマッチングを行う神戸市など主催の「ドラフト!」をはじめ、2005年4月に神戸税関(神戸市中央区)で行われたファッションショー「旧居留地コレクション」など実績は多い。2006年2月に開催予定の「大阪ライフスタイルコレクション」の企画運営も同社が行う予定だ。 現在、社員数15人で2004年度年商は約3億円。2003年には東京オフィス(東京都渋谷区)を開設した。5カ年の中期経営計画では「2008年度までに年商10億円」(杉本社長)を掲げる。「将来は神戸の街全体をプロデュースしたい」。街の活性化に向けた杉本社長の挑戦は始まったばかりだ。 |
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デザイン性・居住性を追求 | |
国際標準のレベルを保つために、海外の研究施設の情報をくまなく収集している。その結果、欧米で広まりつつあった「ラボラトリー・デザイン」を取り入れた。機能性だけでなく、デザイン性や居住性を考慮した研究室で、研究者の能力を最大限に引き出すという考え方だ。「日本人は研究室には研究機能さえ整っていればいいと思っている。欧米に比べて研究室の環境整備が遅れている」(同)と語る。 わが国で初めて、研究施設を専門に設計する子会社「プラナス」を設立。共同で次世代型のR&D環境を開発する。白一色で無機質な感じのする従来型の研究室ではなく、暖色系を組み合わせた配色にしたり、木製の戸棚を用いるなどしたりして研究者にとって心地よい空間設計を提案する。「研究室では長い時間をかけて研究が行われる。居住空間として良いアイデアが浮かぶような環境を整えなければいけない」(同)と語る。 2004年9月期の売上高は51億1000万円。8期連続の増収増益を果たした。「従来型の産業はおおむね海外に進出した。これからは国内で新産業を創出していかなければならない。そのために必要な研究設備機器・施設の需要は今後も伸びる」(同)とみている。 今後は医療関連の施設開発に力を入れていく。現在は末期がん患者の治療のための施設を開発中だ。そこでは患者自身の免疫細胞を培養、増殖、活性化して、患者に戻す「養子免疫療法」という最先端の研究を行う。「医者や研究者らを自社スタッフとしてそろえ、新しい治療施設など付加価値の高いものを提案していく」(同)と意欲を燃やす。 |
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当面は官公庁をターゲットに | |
カメラ付き携帯電話で撮影した画像データをメールで送信すれば、数多くの場所の情報が集まるので、自然災害や事故など緊急情報から施設管理に関する情報システムまで、さまざまな用途が見込める。実際、住宅メーカーからは、数百カ所の建築現場の情報を一元管理して作業を効率アップできるシステムの引き合いがあるという。 同社は「自然災害情報の配信や、イベント開催時のボランティア募集の告知板などの需要が見込める」(同)と判断し、まずは官公庁に売り込む方針だ。特に地震対策に力を注いでいる関東地域の自治体に営業攻勢をかける考え。 また同システムは、仮登録時のメールアドレスと本登録時のメールアドレスを別にすることで、迷惑メール対策になる。これを生かして迷惑メール排除に特化したサービスの提供も始めた。 危機管理産業展などの展示会に出品して、積極的にPRしている。情報配信システムサービス事業で、2005年度に契約数1000件、売上高1億円を見込んでいる。今後も、独自性にこだわった事業展開を図り、「かゆいところに手が届く中小企業」として勝ち残りを目指す考え。 |
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1カ月で一人前に | |
システムの携帯端末は初心者でも簡単に操作できる設計にしている。納品や精算などの基本動作はベテランで7、8分かかっていた。それがシステム導入後は新人でも3日間あれば2、3分でこなせるようになる。売り上げが一人前になるのに、かつては半年はかかったが、現在では約1カ月に短縮された。 システムによる効率化で生じた時間は季節商品の紹介や、顧客との会話を重視したコンサルティングセールスの充実、社員一人ひとりのレベル向上の時間に充てている。商品知識はもちろん、古賀社長の方針で医療全般の知識習得も図っている。 システム導入の大きなテーマは「すべての仕事を現場で行うこと」(古賀社長)で、その点で確かな成果を上げた。また、顧客とのコミュニケーションや社員の能力の向上にも役立っている。 |
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生産管理をほぼ終え、現場の効率化へ | |
だが、生産効率化の取り組みに終わりはない。システムを構築した後も、ファクスでの発注をメールに切り替えるなどシステムの改良は着実に続けてきた。 その間、一日に2回だった部品発注は12回に増え、システムをさらに高度化させる必要性が生じてきた。2004年からは在庫状況のチェックをほぼリアルタイムで行えるようにするとともに、ベースを汎用機から分散型に改めるため、一年かけてシステムを全面的に切り替えた。 それまで半日前の在庫データを基に発注をしていたが、新システムでは1時間ごとに在庫データが更新され、より実態に近い在庫状態をコンピューター上で確認することが可能になった。また、従来は汎用機の操作がある程度必要だったものが、分散型になったことで、各部署のコンピューターで必要な操作がほとんどできるようになった。 加藤取締役は「生産管理の効率化はやれるところまでやった」と新システムに自信をみせる。だが、「実際に物をつくるのはコンピューターではなく現場。今後は現場の効率化を図る」とも。同社の生産効率化への挑戦はまだまだ続く。 |
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身体障害者とドライブも | |
福島県の主要都市である福島市や郡山市でも、客待ちタクシーが多すぎて交通の障害になるほど。これに対し、二本松市では「幸いにもタクシー会社が合併を重ねて、適正な台数を維持」(安斎社長)しており、同社は土台となる事業をしっかり維持しながら新規事業参入を果たしている。 毎年秋には社会還元の一環として身体障害者施設の人たちを誘い、「さわやかドライブ」を行っている。2005年9月には旧安達町(二本松市と合併)の身体障害者施設の入居者を連れて裏磐梯をドライブした。さわやかドライブは年1回、累計20回以上続けており、行き先も裏磐梯だけでなく、いわきや相馬のような海にいくことも多い。 「タクシー会社にできることは、まだたくさんある。ようたすカーもタクシーにとっては相反する事業かも知れないが、積極的に乗り出すことで、タクシー経営にプラスにしている」と安斎社長。地域に根ざすことが同社発展の秘訣(ひけつ)のようだ。 |
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中小企業活性化支援システムも | |
これらの研究開発で2004年に、経済産業省から「IT活用型経営革新モデル事業」として認められ、3000万円の補助金交付を受けた。現在、研究に取りかかろうと準備しているのは「デジタル中小企業活性化支援システム=図」。信州大学繊維学部内にある産学官連携支援組織のアサマ・リサーチエクステンションセンター(AREC)と連携して、2006年中には情報公開する計画。 このシステムは、各会員企業から生産設備の稼働状況などを分析した管理データをインターネットを通じて集め、ARECのサイトにデジタルプラットフォーム化する。各社は空いている設備に加えて独自技術なども入力して、会員同士で仕事や技術のマッチングを図る。これにより中小企業に元気を出してもらう狙いがある。 山辺社長は「顧客ニーズをいち早くつかんで、無駄のないシステムで素早く供給する対応」が、ビジネスにつながることを重要視してきた。ここ3年間の同社の売り上げは、前年度比で毎年約15%成長と成功を収めている。 |