元気な企業2
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新型インターネット電話を販売 | |
新商品の中でも特に成長が著しいのがCD−ROMとフラッシュメモリーの機能を併せ持つUSBメモリー「UD−RW」。パソコンに差し込むだけで内蔵されたソフトやファイルを自動起動し、データの書き込み、削除も一般のUSBメモリーと同様にできる。プレゼンテーションを迅速に行いたいビジネスマンなどから支持されつつあり、法人向けを中心に販売を強化している。 2005年12月、同社はこのUD−RWに搭載している自動起動技術とインターネット電話を組み合わせた新型インターネット電話「スカイプハンドセット=写真」の販売を始めた。パソコンにインターネット専用電話を接続するだけでスカイプのソフトウエアが起動し、通話が可能となる。初期設定する必要がないため、初心者でも簡単に使える。また、ヘビーユーザーにとっても、外出先などでパソコンに接続するだけで使えるため便利だ。さらに、約40メガバイトのデータ領域を持ち、通常のフラッシュメモリーとしての機能も十分果たす。 同社は今後もパソコン周辺機器を核に事業領域を拡大していく。同社の地元の名古屋地区は製造業が好調な地域。地域での知名度を生かしつつ、一般量販店だけでなく、製造業などの法人向けの営業を強化したいところ。海外メーカーなども参入し、競争が最も激しい業界だが、商品と技術力でトップブランドを目指す。 |
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りんくう、小牧の2工場体制へ13億円投資 | |
業績拡大を受け、1億円を投資して、これまでの年間再生処理能力7500トンを、2005年1月に同1万トンへ引き上げた。2008年までには、総額13億円をかけ、泉南工場を2万平方メートル規模のりんくう工場(大阪府泉南市)に移設する。りんくう工場は24時間稼働の計画で、小牧工場(愛知県小牧市)との2拠点体制整備を進めている。 同社の経営理念の中には、「利益ある成長企業」という項目がある。現在、株式上場を視野に入れており、近年中にヘラクレス上場を目指している。 また、「社内のディスクロージャー」という理念にのっとって、全従業員に経営数字を公開している。また、本社の従業員には全員に簿記2級を取得させている。取得のための講習会も実施しており、工場など現場では同3級の取得を促している。全従業員が、リサイクル事業にとって不可欠な原価計算ができるのも、同社ならではの強みだ。 一層の企業成長のために、ペットボトル以外のプラスチックリサイクルを模索中で、リーディングカンパニーの挑戦はまだまだ続く。 |
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皮の再生商品も人気 | |
中でも、5−8月限定の季節商品として高い評価を受けているのが「すなじきんとき」。1998年に主力取引先の東京の百貨店担当者から「ゴマを使った新商品の開発」を持ちかけられ、1999年に製品化し、納入した。鳴門うず芋と比べ、芋を短冊状に切り、一晩乾燥させてオーブンで焼くという約2倍の労力と時間がかかる。2002年9月、中国・四国9県の特産品を集めた展示・即売会「中国・四国商工会ふるさと商品フェスタ」が岡山県のコンベックス岡山で開かれた。すなじきんときは、その特産品コンテストで金賞を受賞した。スティック状なので手を汚さず、砂糖をまぶしてないので食べやすいうえ、香ばしく、冷たい麦茶に合うことなどが評価された。栄養価が高い「ゴマ」がここ数年、健康ブームで注目を集めており、女性客からの注文が多いという。 エコロジー思想から出発した商品「カワイモちゃん」も開発した。製造工程で出る「芋の皮」を再生したものだ。年1トンも出る皮は、これまで処理業者に委託して廃棄処分していた。「皮の部分は繊維質が多く、カリウムが豊富」(同)なことに目をつけた徳島自動車道の上板サービスエリアから独自商品の開発を依頼されたのがきっかけとなった。 同社の商品は無添加、無着色が基本。当然、賞味期限は短い。機械化すれば生産力はアップするがその道を選ばず、「価格が高くても『品質』という付加価値にこだわる」(同)戦略で生き残りを図っている。 |
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グッドデザイン賞を二度受賞 | |
知的財産権の取得と並び、同社の製品開発重視の姿勢はグッドデザイン賞を二度受賞したことにも顕著に表れている。2003年度のグリップ付きゴミ袋に続き、2005年度は関連会社の大分製紙(大分市)と共同開発したトイレットペーパー用包装袋「らびっとぱっく」が受賞した。 このらびっとぱっくはミシン目に沿って破いていけばゴミ袋として再利用できる。従来、包装袋はゴミにしかならなかったが「再利用できる道は必ずあるはず」(同)と1998年に開発に着手し、約5年の期間を経て製品化に成功した。デザイン賞の受賞もこうした「省資源化という観点が評価されたと思っている」(同)。 このほか、トウモロコシから抽出したポリ乳酸をゴミ袋などの原料に使う研究も進めている。コスト高になり、製品化は難しいが「研究者の意識を高めるためにも研究を継続する」(同)。同社の経営理念は「工夫は無限」。今後も開発型企業として、研究重視の経営姿勢が変わることはないだろう。 |
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三つの課題を克服 | |
病院で使用する端末としてクリアしなければならない課題は三つあった。「音がしない」「壊れにくい」「メンテナンスフリー」−。市販されているマルチメディアパソコンは、インターネットやテレビ機能を搭載しているものの、ファンの回転音がうるさく、ハードディスクがクラッシュする危険性がある。 同社は課題を解決するため、マイクロソフトの基本ソフト(OS)、ウィンドウズXPの組み込み型をカスタマイズした。1ギガヘルツ以上のOSを200メガヘルツ以下に抑えることに成功し、ファン搭載の必要がないマザーボードを開発した。また、ハードディスクの代わりにコンパクトフラッシュを記録媒体として採用した。 キーボードの操作ができない人でも、ファクス感覚でメール送信できるペン入力の採用や、検温した体温計を手元の端末に差し込めば、ナースセンターにデータが送信されるといった工夫を凝らした。 製品は2004年2月の発売以降、これまでに3500台程度を販売している。今後はレンタルテレビ会社と契約し、「5−6年に一度、リニューアルされるレンタルテレビの切り替え時期が販売チャンス」と考えている。 |
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慢心せず感謝の気持ちで | |
同社の経営理念は「創意工夫する心、実意の込めた技術で社会に貢献すると同時に、全従業員の物心両面の幸福を追求する」。同社は小野社長の父で現会長の小野幸雄氏が1968年、福岡市南区で産業用自動制御装置の設計・製作を目的に創業したのが始まり。1973年には粕屋町に移転。八幡製鉄所(現新日鉄)や山武、三菱重工業長崎造船所、西部電機などの大手企業向けに制御装置を供給し、業容を拡大してきた。2004年には小野和雄社長が2代目社長に就任し、多角化に取り組んでいる。 小野社長は同社の社是を(1)顧客第一(2)実意丁寧(3)工夫・学習・実行・反省(4)公明正大−と説明する。「先代がレールを敷いてくれた。2代目の私はいかに会社を引っ張っていくか。慢心せず、経営をさせて頂く感謝の気持ちを持って社業に当たりたい」という。 小野社長は京セラ創業者の稲盛和夫氏が主宰する若手経営者のための経営塾「盛和塾」に参加して経営の原点を学んでいる。同塾は全国に約3700人、福岡県には約150人の塾生がおり、小野社長はここで「経営のフィロソフィーを学んでいる」。同塾では経営の原点12カ条として(1)事業の目的、意義を明確にする(2)強烈な願望を心に抱く(3)常に創造的な仕事を行う−などを掲げている。小野社長はこの教えを守って経営を行っている。「社長は心をベースとした経営を行うことだ」(小野社長)と話し、率先して、常に明るく前向きに経営を行っている。 |
女性社員も多くいる設計現場 |
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発電までの一貫装置を中国で生産 | |
「サテライトシステム」を運用するうえで課題となるのは、プラント用地の確保に費用がかかることや、設計から申請、稼働までに時間を要すること。同社はこれらの課題を解決した「エコジェネシステム」を開発、7月に発売した。 エコジェネシステムは生ゴミを投入した後、自動的に処理、発電まで行う自己完結型の装置。縦6×横2・4×高さ2・5メートルで、工場やマンションなどの敷地内に設置できる。最大で一日あたり300キログラムを処理し、48キロワットを発電できる。燃料電池を搭載することで発電効率を高めた。 今後は中国で装置を製造する。8月に中国のグローバルグリーンテックと合弁会社「プライシスエナジーリミテッド」を設立した。製造拠点を設け、2006年4月にも稼働させる予定だ。 グローバル社は中国でエネルギー需要が高まっていることを背景に、日本エコの技術を活用できると判断。日本エコはバイオマス発電の普及を図るために、海外生産を視野に入れた製造コスト削減を以前から検討していた。「両社の思惑が一致した」(同)と合弁会社設立の経緯を語る。 プライシスエナジーが中国での販売を手掛ける。日本エコは現在の製品価格を段階的に引き下げるとともに、日本で装置販売を進める。日本国内で2006年度30台、2007年度100台の販売を目指す。 |
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環境対策支援のウェブサイト立ち上げ | |
環境事業進出の歴史は古く、1970年代前半にさかのぼる。エコロジーという言葉が根付いていないころからノウハウを蓄積してきた。飲料メーカーのプラスチック容器回収を引き受けたのがきっかけだった。 1972年に関連会社「プラスチック廃棄物利用研究所」を設立し、再生原料の有効活用に向けた研究に着手した。また、すべてリサイクルできる製品の取り扱いを始める一方、生ゴミ処理機や木材パレットの代替になる純パルプ100%の梱包資材「エッジボード」の開発などを手がけてきた。 環境事業は自社の枠だけにとどまらない。「数十年以上蓄積してきたノウハウを、環境対策に取り組む人々に役立ててもらいたい」(菅野勝社長)という思いから、各社の環境対策や事業を総合的に支援するウェブサイト「環境の守」を立ち上げた。 同サイトでは、各種の環境設備や機器を目的別に紹介。環境機器導入に当たっての基礎知識から各業界の施設、製造現場の環境対策の参考事例まで豊富に用意している。環境機器などのカタログ掲載も始めている。 「環境対策を案内できる“駅”として気軽に使ってもらいたい」(同)というのがサイト運営の考え。環境対策に取り組む人々から分かりやすいと好評を得ている。 |