調査結果の概要


(1)発送及び回収状況
発送及び回収の状況は以下の通りである。
発送数
回収数
回収率
有効回答数
有効回答率
30,000票
4,900票
16.3%
4,767票
15.9%
(2)【回答企業の属性】
①地域区分:「23区及び政令指定都市(13市)」が22.1%、「県庁所在地(市)」が19.3%、「その他の市町村」が58.6%である。
②業 種:「製造業」(29.4%)、「サービス業」(19.7%)、「小売業」(13.8%)、「卸売業」(13.6%)、「建設業」(13.2%)、「運輸業」(10.0%)の順で多い。
③資本金:「1,000万円以下」が41.1%、「1,000万円超5,000万円以下」が42.6%と5,000万円以下が8割を占める。
④従業員数(正規雇用者):「10人以下」が33.1%、「21~50人」ガ25.9%、「11~20人」が22.6%とつづき、20人以下の企業が6割弱を占める。
⑤代表者の年齢:「60歳代以上」が44.0%、「50歳代」が36.9%、「40歳代」が15.0%とつづき、40歳未満の若い世代は4.1%にとどまる。
⑥直近の売上高規模:「1億~5億円未満」が41.4%、「10億~50億円未満」が22.8%、「5億~10億円未満」が18.8%とつづく。
⑦最近3年間の売上高の動向:「減少傾向」が49.1%、「横ばい」が32.0%、「増加傾向」が18.9%となっている。
⑧最近3年間の収益高の動向:「減少傾向」が48.8%、「横ばい」が33.9%、「増加傾向」が17.2%となっている。
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(3)調査結果の概要(企業における情報化の実態)
①全体の傾向
ⅰ.IT利用環境
・パソコンを導入している割合は97.5%に達し、うち「従業員1名に1台」を導入している企業は21.8%である。
・パソコンの利用業務は、「一般的な資料作成」(85.2%)、「経理・給与業務」(80.9%)が中心であり、「社内での情報交換等」や「社外との情報交換等」での利用は4~5割、「人事・労務管理」、「経営企画」での利用は1~2割程度にとどまる。
・パソコンの運用は、「全てLAN化されている」が4割弱を占め最も多いものの、運用方法にはばらつきがみられる。
・ネットワーク化は、「オープンネットワークに接続している」(61.3%)が中心であり、「企業内・企業間ネットワークを構築している」のは24.4%である。
・メールアドレスは「会社代表のメールアドレスのみ」が4割を占め、「社員全員が保有している」のは2割程度にとどまる。
・ホームページを「保有している」企業は48.7%と約半数を占める。一方、「近い将来保有したい」とする企業は31.3%みられ、ホームページの保有意欲は高い。
・「モバイル環境の構築・利用」(13.6%)や「グループウエアを導入している」(19.9%)という企業は現状では決して多くないが、「近い将来利用したい」とする企業はモバイルでは27.5%、グループウエアは19.1%みられる。
ⅱ.ITに関わる考え方(ITの活用状況評価)
・「一般的な業務処理には十分活用」とする評価が48.0%で最も多いものの、「一般的な業務処理の活用は十分でなく、今後更なる活用が必要」とする評価も41.3%あり、十分に活用しきれていない企業が多い。
ⅲ.IT化に係わる人材面の状況
・IT化に関する人材面での課題は、「社員間での知識・技術のばらつきが大きい」(59.2%)、「機器やソフトの操作・利用の基礎的な技能の不足」(49.0%)が上位にあがっている。
・IT化に関する今後の人材育成方法は、日常の業務を通じた育成・教育(51.5%)が圧倒的に多い。
ⅳ.IT化に関わる投資状況
・情報化への投資は、「予算に基づき計画的に投資している」企業は少なく(6.8%)、「計画的ではないが、社内外の状況判断により適宜投資している」(60.3%)が中心である。
・また、今後の投資については「現状のレベルを維持したい」(61.9%)とする企業
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が多く、積極的に投資規模を拡大したいという企業は15.8%にとどまる。
ⅴ.IT化への今後の取り組み
・電子商取引は、一部の取引を電子化する意向のある企業が約半数を占め、電子化に積極的な企業は7.8%とわずかである。
・IT化促進に必要なことは、「スキルアップの機会の充実」、「専門性の高い相談・アドバイス機能の充実」、「IT化を目的とした融資等資金面の充実」が上位にあげられている。
②地域の特徴
・情報化は人口規模が大きいほど進んでいる。
・特に、「パソコンの導入状況(従業員1人に1台)」、「パソコンの運用環境(全てLAN化)」、「インターネットの利用環境(常時接続による利用)」、「メールアドレスの保有状況(社員全員が保有)」「情報化への取組(Aグループの割合)」の点ででは23区・政令指定都市とその他の地域との相違が大きい。
・しかし、「ホームページの保有状況」、「モバイル環境の構築」、「電子商取引の方向性」、「IT化に関する社員の知識・技能の課題」、「IT化に関する人材育成」、「IT化への現在の投資状況及び今後の投資」、「IT促進にとって必要なこと」などでの相違は小さい。
③業種の特徴
・「サービス業」を筆頭に「卸売業」、「製造業」で情報化が進んでいるのに対し、「小売業」及び「運輸業」は他の業種と比べて情報化の遅れがみられる。
・ただし、「人材(知識や技能)に関する課題」や「人材の育成方法」、「電子商取引の方向性」については業種による大きな違いはみられない。
④従業員規模の特徴
・従業員規模が大きいほど情報化が進んでおり、規模による相違がみられる。
・ただし「パソコンの導入状況」において「従業員1名に1台」の割合は、ほとんど相違はみられない。
⑤業績
・業績の良い企業ほど情報化が進んでいる。特に「モバイル構築」、「グループウエア導入」等の点で減収減益企業との相違が大きい。
・また、増収増益企業では、IT化への投資も予算に基づき投資しており、今後のIT投資や取引の電子化に対しても他の企業と比べ意欲的である。
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地域、業種、従業員規模による特徴①
設 問
全 体
地 域
パソコンの導入状況
(問1)
①「特段の割り当てはなく、社内で数台導入」33.5%
②「従業員2,3名に1台」21.9%
③「従業員1名に1台」21.8%
・人口規模が大きいほど「従業員1名に1台」の割合が高い(23区等の38.5%に対しその他地域は14.9%)
パソコンの利用業務
(問2)
①「一般的な資料作成」85.2%
②「経理・給与業務」80.9%
③「販売管理」66.0%
・人口規模が大きいほど社内及び社外の情報交換等でPC活用の割合が高い。
パソコンの運用環境
(問3)
①「全てLAN化」38.3%
②「個別に使われている」30.8%
③「一部LAN化」29.9%
・人口規模が大きいほど「全てLAN化」の割合が高い(23区等の49.4%に対し、その他地域は33.8%)
ネットワーク化の状況
(問4)
①「オープンネットワークに接続」61.3%
②「企業内ネットワークを有線で構築」28.8%
③「企業内・企業間ネットワークを構築」24.4%
・人口規模が大きいほど「オープンネットワークに接続」、「企業内ネットワークを有線で構築」、「企業内・企業間ネットワーク構築」の割合が高い。
インターネットの利用環境
(問5)
①「常時接続による利用」64.3%
②「ダイヤルアップによる利用」27.2%
*未利用7.8%
・人口規模が大きいほど「常時接続による利用」の割合が高い(23区等の75.6%に対し、その他地域は59.4%)
メールアドレスの保有状況
(問6)
①「会社代表のメールアドレスのみ」40.3%
②「社員全員が保有」22.0%
③「幹部社員のみ保有」17.7%
・人口規模が大きいほど「社員全員が保有」の割合が高い(23区等の38.8%に対し、その他地域は15.1%)
ホームページの保有状況
(問7)
①「現在は持っていないが近い将来保有したい」31.3%
②「今後ももつつもりはない」20.0%
③「内部で作成・更新・メンテナンス」21.6%
・人口規模が大きいほど保有している割合は高いが、地域間の違いはさほどみられない。
モバイル環境の構築
(問9)
①「構築していない・必要ではない」41.9%
②「近い将来利用したい」27.5%
*現在構築・利用13.6%
・人口規模が大きいほど「既に構築」の割合は高いが、大きな違いはみられない。
グループウエアの導入状況
(問10)
①「導入していない・必要ではない」39.0%
②「わからない」21.4%
*現在導入・利用19.9%
・人口規模が大きいほど「既に導入・利用」の割合が高い(23区等の27.6%に対し、その他地域は17.1%)
セキュリティ被害の有無
(問12)
①「これまで被害にあったことはない」47.8%
②「未然に防いだことがある」29.0%
③「業務に支障がでたことがある」22.4%
・人口規模が大きいほど被害を受けた、あるいは可能性があったとする割合が高い。
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業 種
従業員規模
・「従業員1名に1台」の割合は、サービス業(37.4%)、建設業(28.9%)、卸売業(26.0%)で高い。
・「従業員1名に1台」の割合は規模による大きな違いはみられない。
・「所有していない」、「社内で1台のみ」の割合は規模が小さいほど高い。
・「社内及び社外との情報交換等」、「財務管理」、「経営企画」の割合は製造業及びサービス業で高い。
・いずれの業務も規模が大きくなるほど割合が高く、活用範囲が広いことがうかがえる。
・特に「人事・労務管理」、「財務管理」、「経営企画」、「社内、社外との情報交換等」で格差が大きい。
・「全てLAN化」の割合はサービス業(46.1%)が最も高く、小売業(23.5%)が最も低い。
・規模が大きいほど「全てLAN化」の割合が高く(10人以下が26.6%、101~300人は64.3%)
・一方、規模が小さいほど「個別に使われている」の割合が高い。
・「特に何も保有・構築していない」は運輸業(25.4%)及び小売業(25.2%)で高い。
・規模が小さいほど「何も保有・構築していない」の割合が高い一方、ネットワーク化は規模が大きいほど構築されている。
・特に「企業内・企業間ネットワーク構築」、「企業内ネットワークを有線で構築」で規模による違いが大きい。
・「利用しない」「利用できない」の割合は運輸業及び小売業で高い。
・規模が大きいほど「常時接続による利用」の割合が高く(10人以下は55.2%、101~300人は82.7%)
・規模が小さいほど「利用していない」、「ダイヤルアップによる利用」の割合が高い。
・「社員全員が保有」の割合はサービス業(34.2%)及び卸売業(30.8%)で高い。
・一方、「会社代表のみ」は小売業(50.5%)及び建設業(48.3%)で高い。
・規模が大きいほど「社員全員が保有」の割合が高く(10人以下は17.4%、101~300人は32.8%)
・規模が小さいほど「会社代表のメールのみ」の割合が高い。
・「内部で作成からメンテまで実施」はサービス業(30.5%)及び製造業(25.5%)で高い。
・建設業及び運輸業では「将来保有したい」と「持つつもりはない」の割合がともに高い。
・規模が大きいほど保有割合は高い。
・規模が小さいほど「今後も持つつもりはない」の割合が高い。
・「既に構築」の割合はサービス業(18.3%)で高く、運輸業(8.4%)で低い。
・規模が大きいほど「既に構築」の割合が高い(10人以下は10.6%、101~300人は23.7%)
・今後「利用したい」とする割合は、規模が大きいほど高いが、さほど大きな違いはない。
・「既に導入・利用」の割合は、サービス業(25.9%)及び製造業(25.2%)で高く、小売業(10.0%)、運輸業(13.6%)で低い。
・規模が大きいほど「既に導入・利用」の割合が高い(10人以下は9.3%、101~300人は47.1%)
・一方、規模が小さいほど、「分からない」「未導入、必要でない」の割合が高い。
・運輸業及び小売業では「被害にあったことはない」の割合が高いが、それ以外の業種ではさほど大きな違いはみられない。
・規模が小さいほど「被害にあったことはない」の割合が高い。
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地域、業種、従業員規模による特徴②
設 問
全 体
地 域
IT活用状況の評価
(問14)
①「一般的な業務処理には十分活用」48.0%
②「一般的な業務処理の活用は十分でなく、今後更なる活用が必要」41.3%
③「経営面からみた管理・マネジメントでの活用は不十分であり、今後更なる活用が必要」38.9%
*「社内外の情報交換等に十分活用」は22.3%。
・人口規模が大きいほど「社内外の情報交換等の手段として十分活用」の割合が高い(23区等の28.5%に対し、その他地域は19.9%)
IT化に関する社員の知識・技能の課題(問15)
①「社員間での知識・技術のばらつきが大」59.2%
②「機器やソフトの操作・利用の基礎的な技能不足」49.0%
③「日常的なトラブル、メンテ、セキュリティ等の対応技能の不足」34.7%
・人口規模が小さいほど「機器やソフトの操作・利用の基礎的な技能不足」、「社員間の知識・技能のばらつきが大きい」の割合が高いが、さほど大きな違いはみられない。
IT化に関する人材育成
(問16)
①「日常の仕事を通じた育成・教育」51.5%
②「社員個人の努力や資質向上に任せたい」29.1%
③「社内外の講習会と日常業務を通じた育成」22.6%
・規模が大きいほどOJTの割合が高いが、さほど大きな違いはみられない。
IT化への投資
(問17)
①「計画的ではないが、社内外の状況判断により適宜投資」60.3%
②「必要に応じて役員会等の決定を通じ適宜投資」30.2%
③「経営計画等の明確な予算に基づき計画的に投資」6.8%
・人口規模が大きいほど「計画的に投資」あるいは「必要に応じ社内の決定を経て適宜投資」の割合が高いが、その差はさほど大きくない。
今後のIT化投資
(問18)
①「現状のレベルを維持したい」61.9%
②「考えてはいない」19.0%
③「積極的に投資規模を拡大したい」15.8%
・「積極的に投資」の割合はその他地域でやや低いが、地域による大きな格差はみられない。
IT化取り組み比較
(問19)
①「同等レベル」32.2%
②「遅れている」27.6%
③「よくわからない」24.7%
④「進んでいる」15.4%
・「進んでいる」とする割合は23区等がやや高いものの、地域による大きな格差はみられない。
電子取引の方向性
(問20)
①「取引は電子化に移行するものとそうでないものとの切り分けを明確にする」27.9%
②「取引のうち電子化に移行するものはごく一部で、今後とも従来型取引が中心」23.2%
③「取引の中心を電子化へと徐々に移行させたい」22.8%
④「取引の中心を電子化へと積極的に移行させたい」7.8%
・地域による違いはさほどみられない。
IT化促進にとって必要なこと
(問21)
①「スキルアップ機会の充実」37.6%
②「専門性の高い相談・アドバイス機能の充実」37.2%
③「IT化を目的とした資金面の充実」36.5%
・人口規模が大きいほど「専門性の高い相談・アドバイス機能の充実」の割合が高いが、さほど大きな違いはみられない。
情報化レベル
①「C/bグループ」47.7%
②「Aグループ」33.1%
③「B/aグループ」8.0%
・人口規模が大きいほど「Aグループ」の割合が高く(Aグループは23区等が45.1%、県庁所在地(市)が33.2%、その他地域が27.8%)、人口規模が小さいほど「C/bグループ」の割合が高い
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業 種
従業員規模
・「社内外の情報交換等の手段として十分活用」はサービス業(28.5%)及び製造業(25.0%)で高いが、それ以外の評価についてはさほど大きな違いはみられない。
・「社内外の情報交換等の手段として十分活用」とする評価で特に格差が大きい(10人以下は14.7%、101~300人は35.2%)
・サービス業では情報関連企業が多いことから、他の業種と比べ回答の割合は低いという特徴はあるが、それ以外の業種間に大きな違いはみられない。
・規模が小さいほど「機器やソフトの操作・利用の基礎的な技能不足」の割合が高い。
・それ以外の課題は、規模が大きいほど割合が高くなる。
・特に大きな違いはみられない。
・規模が小さいほど「社員個人の努力・資質向上にまかせたい」及び「考えてはいない」の割合が高い。
・これら以外の項目では規模が大きいほど割合が高く、広範囲な人材育成が行われている。
・「計画的に投資」あるいは「必要に応じ社内の決定を経て適宜投資」の割合はサービス業及び製造業で高い。
・規模が小さいほど「計画的ではないが、社内外の状況判断により適宜投資」の割合が高い。
・一方、計画的なあるいは必要に応じて社内の決定を経て適宜投資とする割合は規模による違いが大きい。
・「積極的に投資」の割合は建設業(13.9%)でやや低い以外、業種間で大きな違いはない。
・一方、運輸業及び小売業では「考えてはいない」の割合が高い。
・規模が大きいほど「積極的に投資」の割合が高い(10人以下は13.0%、101~300人は23.5%)
・一方、規模が小さいほど「考えてはいない」の割合が高い。
・「進んでいる」とする割合は、サービス業がやや高く、運輸業で低いが、あまり大きな違いはみられない。
・「進んでいる」とする割合は規模が大きくなるほど高いが、さほど大きな違いではない。
・「分からない」とする評価は規模が小さいほど多くなる。
・「積極的に移行させたい」とする割合はサービス業(11.0%)で高いが、その他の業種間では大きな違いはない。
・「徐々に移行させたい」の割合は、規模が大きいほど高いが、「積極的な移行」については規模による大きな違いはみられない。
・規模が大きいほどいずれの項目も必要とする割合が高い。
・特に「通信環境の充実」は10人以下の23.5%に対し、101~300人は48.4%。
・「Aグループ」の割合はサービス業(43.0%)及び製造業(37.6%)で高い。
・一方、「C/bグループ」の割合は小売業(59.6%)及び運輸業(57.1%)で高い。
・規模が大きいほど「Aグループ」の割合が高い(10人以下は18.9%、101~300人は59.3%)
・一方、「C/bグループ」の割合は規模が小さいほど高い。
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