100円ショップ


拡大を続ける100円ショップ業界であるが、すでに店舗は淘汰の時代に入っている。大手チェーンといえどもリピート客を確保するのは難しく、不採算店舗や商品力が弱くなりがちな小規模店舗は相次いで閉鎖されている。一方、都市部や200〜300坪の大規模店の出店が進んでいる。

「100円」という価格設定に限定して消費者ニーズの多様化や移り変わりに対応していくことは、大手チェーンにおいても容易なことではないため、価格帯を広げたり、雑貨店風の店構えにするなど高級感を演出するといった生き残り作を模索している。
各業態において低価格化が進んでおり、100円という価格が以前に比べ訴求ポイントとして薄くなりつつある。100円ショップ業界は「店舗の大型化」「商品力の競争激化」「価格訴求力の低下」という厳しい状況にある。


1. 起業にあたって必要な手続き

100円ショップを開業するにあたって、とくに必要な資格や手続きはない。
一般の開業手続きとして、個人であれば税務署への開業手続き等、法人であれば、必要に応じて、健康保険・厚生年金関連は社会保険事務所、雇用保険関連は公共職業安定所、労災保険関連は労働基準監督署、税金に関するものは所轄税務署や税務事務所にて手続きをする。


2. 起業にあたっての留意点・準備

1)競争力

  (1)商品の品質
品質的に「買い得感」があることが重要である。大手チェーンでは有力メーカーの工場と提携するなどして品質向上に努めている。また、定期的な大量仕入れにより仕入れコストを下げ、ナショナルブランドも数多く揃えている。

(2)品揃え
豊富な品揃えは100円ショップの重要な訴求ポイントとなる。大手チェーンでは数万点にもおよぶ商品アイテムを取り揃え、毎月1000点近くを入れ替えているともいわれている。
また、他店にはない品揃えと、「これも100円?」という驚きを消費者に与えなければ生き残れない。独自色を打ち出すため生鮮品など、従来の100円ショップでは扱っていなかった商品を揃える店もある。

(3)店舗の雰囲気
人気のある100円ショップには、買い物すること自体が楽しくなるような工夫がある。掘り出し物の宝探しを楽しんでもらえるよう、雑然と商品を並べたり、売れ行きの悪い商品もあえて置いて選択の幅を広げたりする。

(4)システム管理
100円ショップ業界では、店舗数、商品数の増加に対応するため、オンライン発注により合理化を進めている。


2)商品の仕入れ

  (1)独自に開業する場合
独自に開業する場合には、付き合いのあるメーカーや問屋に交渉したり、バッタ屋や現金問屋などの特殊な仕入先を探すことが必要である。独自仕入れの場合の問題点として、商品開発力が弱い、仕入れロットが小さいため原価が高い、安定した供給が保証されないなどがある。
実際、独自に開業している100円ショップは一般に売り場面積10坪程度の小規模店舗が多い。また、仕入れルートが偏るため、商品構成の強い商品と弱い商品がでてきてしまい、ユニークなものが少なくなることなどがある。

(2)FCチェーンに加盟する場合
FCに加盟するとメーカーや卸業者から、一定以上の品質の商品が安定的に供給される。また、各FC本部には、「100円」という販売価格のなかで利益を確保する商品構成力がある。その一方で、バッタ商品などを独自に仕入れることができないデメリットもある。


2. 必要資金例

開業資金は、店舗の規模や開業形態により異なり一概にはいえない。FCチェーンに加盟した場合の目安は以下のようになる。出店条件などは各チェーンによって異なるため、詳細は本部まで直接問い合わせるとよい。


項 目 金 額 内 訳
店舗建築工事費
什器・設備資金
仕入れ商品
その他経費
1050万円
300万円
300万円
80万円
35万円/坪
10万円/坪
10万円/坪
開店披露、文具など
FC加盟保証金 50万円 FC加盟を前提として保証金を想定
合 計 1780万円 -


主要FC各社があげているモデル店の収益では、正社員1人、パート2〜3名による運営で、
 ・粗利益率  33〜35%
 ・人件費   9〜10%
 ・間接コスト 5〜7%
 ・営業利益率 16〜19%
が標準店の実績とされている。